Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

東方昔話 『怠け者と貧乏神』

2006/04/03 12:16:57
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むかしむかし、あるところに、物凄く貧乏な青年が居ました。

     霊夢「あ~~~~………寒。」

この青年はロクに働きもせず、一日中家でゴロゴロしていました。
真面目に働いてみたこともあったのですが、一向に裕福にならず、
もう馬鹿馬鹿しくなって仕事をしなくなったのです。

     霊夢「お茶でも淹れるか……って、お茶も切らしてたんだっけ。はぁ~……。」

お茶を買いに行くお金も無ければ、その気力もありません。
全部、貧乏が悪いのだと、彼は思っています。

     ??「ほれ、これでも飲むと良い。」
     霊夢「あら、ありがと。」

と、誰かからお茶を渡されました。
青年は何の疑問も抱かず、お茶をぐいっと飲みました。

     霊夢「ぶーーーッ!何よ!この不味い液体は!」
     小町「その辺に生えてた草とかを煎じたんだ。大丈夫、栄養満点。」
     霊夢「何が大丈夫なのよ!…って、あんたは?」
     小町「あたいか?あたいは貧乏神さ。この家に住んでる、な。」
     霊夢「貧乏神?」

お茶を渡した誰かとは、何とこの家に住む貧乏神だったのです。

     小町「驚いたか?一応神様の内だからな。さあ、遠慮なく崇め奉るが良い。」
     霊夢「出てけ~!!」
     小町「うわー!なにをする!?いたたたた!」

青年は貧乏神に襲いかかりました。

     小町「痛い痛い!」
     霊夢「働けど働けど私が貧乏なのは、全部あんたのせいなのね!」
     小町「いや、そりゃあんたの何時もの行いが……痛い!痛いってば!やめてって!」
     霊夢「うるさ~い!さっさと出て行きなさい!」
     小町「わかった!わかったから!どっちにしろ出て行くつもりだったし。」
     霊夢「え、そうなの?あ~よかった。」

どうやら貧乏神は、この家に居るのも飽きたので、
今日のうちに出て行こうとしていたようです。

     小町「出て行くついでに、一つ教えてやろう。明日、この家の前を、三台の馬車が通る。
        初めの馬車には金、次の馬車には銀、最後の馬車には真珠や珊瑚が、それぞれ積まれている。
        この馬車を止めることが出来たら、積荷はお前のものになるだろう。」
     霊夢「ほんとに?何か嘘くさいなぁ。」
     小町「嘘など言うものか。これでも神様だからな。」
     霊夢「ほら、言ってることが嘘くさい。」
     小町「……嘘ついたら、四季さまに説教くらうし……。」
     霊夢「本当の話みたいね。うん。」
     小町「じゃ、あたいは出て行くよ。達者でな。」

貧乏神は、家を出て行きました。

     霊夢「とりあえず、明日は早起きしなきゃいけないわね。」

青年は、金銀を手に入れて、お金持ちになる夢を見ながら、眠りに就きました。
そして、次の日の朝です。

     霊夢「む~……お賽銭が~……溢れる~……うふふふふ……。」

だらけた生活が身についてしまった青年に、早起きは無理だったようです。
もう日が昇って結構経つと言うのに、まだ寝ています。
そのころ家の前を一台の馬車が通過して行きました。

    リリカ「それそれ!もっと飛ばせ~!」
    ルナサ「無理だってば……。もうヘトヘトよ……。」
   メルラン「ほら、リリカ。時間だから次はあんたの番よ。」
    リリカ「うえ~。…あいたたた。急にお腹が~。」
    ルナサ「サボったら晩御飯抜きよ。」
    リリカ「う~、わかったわよ~。」
   メルラン「この金を山中に埋めて、『虹川埋蔵金』として後世に語り継ぐのよ~。」

馬車が一台、走り去って行きました。
そう、昨日貧乏神が言っていた、金を積んだ馬車だったのです。

    霊夢「う~ん…あ~、よく寝た。」

既に馬車は一台通り過ぎてしまいました。
そうとも気付かず、青年は目を覚ましました。

    霊夢「さて、気合入れて狩るわよ!」

青年が、久々に本気になりました。
その辺から太くて長い棒を拾ってくると、ぶんぶんと振り始めました。
と、その時、遠くの方から、馬の蹄の音が聴こえてきました。

    霊夢「来たわね!」

青年は物陰に隠れ、待ち構えます。
だんだんと、音が近くなってきます。

    霊夢「さん……にい……いち……それ!」

青年は道に飛び出しました。
そして、手に持った棒で、馬車をぶっ叩いて止めようとしました。
しかし、

    ??「みぎゃー!!」
    霊夢「やった!………え?」

青年のその手に、手ごたえはありました。
しかし、そこに居たのは、

    美鈴「きゅ~………。」

馬だけでした。
では、馬車はどうしたかと言うと、

    咲夜「折角手に入れた銀、みすみす渡せはしませんわ。」
  レミリア「ハイヨー、さくやー。」
 パチュリー「うぷ……気持ち悪い……。」

別の馬に引かれて、そのまま行ってしまいました。
どうやら、馬一匹を犠牲にして、変わり身の術を使ったみたいです。

    霊夢「……う~ん、金は逃がしたか~。次は逃がせないわね。」

青年はまだ、さっきの馬車が金を積んだ馬車だと思っています。
次は真珠や珊瑚を積んだ馬車なのですが、青年は銀を積んだ馬車だと信じています。
と、そうこうしているうちに、次の馬車が近づいて来ました。
青年は気を取り直して、物陰に隠れました。

    霊夢「スリー…ツー…ワン……それ!」

タイミングを合わせて、青年は馬車に飛びかかりました!

     ?「ふぎゃ~!」
    霊夢「やった!………へ?」

手応えはありました。
しかし、そこに居たのは、

     藍「うう……。」

またしても、馬でした。

     橙「あ~!藍さま~!」
     紫「藍は私たちを逃がすため、身体を張ってくれたのよ。」
     橙「紫様が藍様を盾にしたんじゃ……。」
     紫「さあ、藍の犠牲を無駄にしてはいけないわ。逃げるのよ!」
     橙「うわ~ん、重いよ~!」

最近の輸送業界は、みんな変わり身の術を身に付けているのでしょうか?
変わり身の術に翻弄され、青年はまたしても馬車を逃がしてしまいました。

    霊夢「ううう、また逃がした……。」

馬車は全部逃がしてしまったのですが、青年はまだ、次の馬車が来ると思っています。
気を取り直して物陰に隠れ、じっと馬車が通るのを待つことにしました。

    霊夢「……来た!」

何と、向こうから馬車がやって来るではありませんか。

    霊夢「タイミングを計るのも面倒くさいわ!突撃ー!」

青年は、そのまま馬車に向かって突撃しました。

    霊夢「てぇえええい!!」
    ??「どわぁ!?」

馬車が豪快に横転しました。
すかさず青年は、馬車に乗っていた人に襲いかかりました。

    霊夢「それ!お札お札!ニードルニードル!」
    ??「やめてやめて!痛い痛い!」
    霊夢「とどめに夢想封印!」
    ??「ふぎゃ~~~~!」
    霊夢「よ~し、討ち取ったわ!」

青年は、馬車に乗っていた人を、コテンパンに叩きのめしました。

    霊夢「さあ、お宝を渡してもらうわよ!」
    小町「うぅ~……。」
    霊夢「あ、あれ?」

青年がさっきまで殴っていたのは何と、出て行ったはずの貧乏神だったのです。

    小町「な、なんて事するんだ……死ぬかと思ったじゃないか……ぐふぅ……。」
    霊夢「何であんたが居るのよ!お宝はどうしたのよお宝は!」
    小町「何でって……真珠と珊瑚を積んだ馬車の後ろを付いていってただけじゃないか……。」
    霊夢「え?」
    小町「あたいは、三台って言ったぞ。四台目止めて、何が入ってるって思ったのよ?」
    霊夢「え~!それじゃあ最初に通ったのが2番目の馬車だったって言うの~?」

青年はここでようやく、自分が寝過ごしてしまったことに気付いたようです。

    霊夢「あ~もう、それじゃああんたに用は無いわ。行っていいわよ。」
    小町「そんな酷い……大体、あたいは、言ったぞ。」
    霊夢「あ~?」
    小町「馬車を止めることが出来たら、馬車の積荷はお前の物。
       この馬車の積荷は、あたいだ。つまり、あたいはあんたのモンだ。
       ああ、勘違いするなよ。やらしい意味じゃなくて、文字通り……。」
    霊夢「結局元の木阿弥ってこと~?そんな~。」

結局青年は、この貧乏神と死ぬまで一緒に暮らすことになってしまったそうな………。

    霊夢「あ~~~………寒。」
    小町「寒いねぇ………。」
    霊夢「お茶。」
    小町「ん。」
    霊夢「ずず~……。」
    小町「……………。」
    霊夢「……草汁も、慣れれば何とも無いわねぇ。」
    小町「住めば都。」
    霊夢「それは何か違うと思う。」

あと、ついでに馬も一緒に暮らすことになったそうですが、
青年も貧乏神も、すっかり忘れているようです。
    
    美鈴「…………お腹すいた…………。」
     藍「…………ひもじい……………。」


 おしまい


 キャスト

青年     ・・・ 博麗 霊夢
貧乏神    ・・・ 小野塚 小町
最初の馬車  ・・・ プリズムリバー三姉妹
二番目の馬車 ・・・ 紅魔館一党
三番目の馬車 ・・・ 八雲一家
類は友を呼ぶとはよく言ったもので。
そんなお話でした。

でも小町は貧乏神っぽくないなぁ。お金投げるし、スタイルとか良いし、とても貧乏に見えないです。何食べたらそんなに大きくなるんでしょうか。ねぇ、四季さm(十王裁判

追記
>>神授や産後・・・
 きっと紫様が何時の間にか中身をすり替え(四重結界
 ……真に申し訳御座いません。謹んで訂正させて頂きます。
Piko
コメント



1.策謀琥珀削除
こういう馬鹿馬鹿しい話も悪くないですね。
2.名無し妖怪削除
貧乏でも良いからこまっちゃんほしいなぁ
3.名無し妖怪削除
神授や産後は胴に変わったのか…?