「やりてぇんだ・・・くそったれ・・・」
「アンリアル・トーナメントやりてぇんだよ」
「おせえよ・・・このロード画面むかつくんだよ・・・」
輝夜様の部屋から甲高い破壊音と狂ったような叫びが聞こえる。
その狂ったような彼女を見ながらこうなってしまった原因を考えた。
事の起こりは半年前。
永琳様が月の様子を調べるのと薬の調合記録のために買ったパソコンに輝夜様が興味を持ったのがきっかけだった。
「あら・・? この月の画像が見える道具は何かしら?」
「これはパソコン、世界中の情報が瞬時に見れる魔法の箱です」
永琳様の薬の記録の手伝いをしていた私、鈴仙が答えるとたいそう興味をもたれたご様子。
「世界中の情報が見れると言う事は月の追っ手から逃れるのにも便利ね、何より面白そうだし、私にも教えなさい」
こうして輝夜様とパソコンの出会いは始まった。
最初のうちはマウスやキーボードと言う物がわからなかった輝夜様。
しかし元々頭の良い彼女。
2ヵ月後にはブラインドタッチあたりを覚え、誰に聞かなくともほとんどのことは自分でやれるようになっていました。
「それにしても、このパソコンは面白いわね」
興味しんしんといった様子で私に問い掛ける輝夜様。
「外の世界ではこの道具が一般化していて金持ちなら一人一台くらいは持っているそうです」
「私も色々出来るようになったし私の部屋にも置きたいわね」
パソコンに慣れた姫様にパソコンを買ってあげるのは良い事。
何より新しい事を覚えていく姫様の姿が目に新鮮で、その姿を心から応援し、輝夜様の部屋にパソコンが置かれる事になったのです。
しかし・・・輝夜様にパソコンを与えるきっかけになったこの時、既に彼女はおかしくなっていたのでしょう。
この時欲しがっていた輝夜様はまるで麻薬中毒者の前衛の様ではなかったかと今になっては思うのです。
「鈴仙、パソコンって楽しいわね」
「鈴仙、今日はお友達がたくさん増えたわ・・・」
毎日のように私に話しかけてくれる輝夜様の話題も殆どはパソコンの話題。
流石についていけなくなってきた私はそれなりに適当な相槌を打ってごまかす毎日。
私や周囲の者達と輝夜様との距離が耐えられなくなったのか、はたまたパソコンに完全にはまってしまわれたのか、
気づくと輝夜様は自分の部屋に引きこもって周囲の者達に全く顔を見せなくなっていたのです。
それから2ヶ月ほど経ったある日・・・
永琳様が心配になって輝夜様の様子を見に行った時。
「ふふふ・・・永琳、人を撃ち殺すのは楽しいわ・・・うふふふふ・・・・」
そんな事を言ってパソコンにかじりつく輝夜様の姿があったそうです。
永琳様はあまりに恐ろしげな形相になった輝夜様を止めるべく、パソコンの電源を切る等の策で対抗。
しかし、パソコンの魔力と言うのは恐ろしい物だったのでしょう。
どんなに電気を止めてもどんなに制止しようとしても聞く耳を貸さなかった輝夜様。
輝夜様に呆れたのか永琳様もついにはさじを投げ。
後のことは私に任せたとの台詞を残して去っていったのです。
現在・・・輝夜様の部屋に食べ物を置く私。
「私を撃ちやがったのはどこのどいつだ・・このクソヤローが・・・」
その横で画面の戦っている人間らしい物に銃を向け、発射していた姫様がそう怒鳴った後、キーボードをたたきつけた輝夜様。
狂ったようにキーボードに八つ当たりしたり、マウスを破壊してみたり、狂ったような叫び声をあげる輝夜様。
ここは月の住人達の安住の地、永遠亭。
しかし、今では恐ろしい叫び声が聞こえる恐怖の館。
妹紅ですら裸足で逃げさる月の姫の居る土地・・・
・・・・誰かあの姫様を止めてください・・・それだけが私の最大の望みです・・・。
---END---
某「置き換え 」がマイナス点ついてるけど、それより酷い作品でした。
猛省を求めます。