あらすじ
諸君、メイドは好きか!? 好きならば読め! 好きじゃなければ読んで好きになれ!
ケース4 庭師の場合
その日の朝、目を覚ました私の上に幽々子様が乗っかってました。
「あの……幽々子様?」
「お化けってぇ、寝てる人の上にのしかかることぉ、多いわよねぇ」
「……多いんですか?」
正真正銘、まじりっけなしのお化けの幽々子様にそう言われては首を縦に振るしかできませんでした。
とりあえず、そこにそうしていられると起きあがれそうになかったので、丁重にどいてもらってから着替えの開始。なのですが。
「ねぇ、妖夢ぅ。これ着てみてぇ」
「はぁ……メイド服? 何でこんなものが……」
「うふふぅ。あのねぇ、妖夢ぅ」
「あ、はい」
何が嬉しいのか、にこにこ笑いながら、幽々子様が私の目を見て。
「かわいい妖夢は大好きぃ」
……なんてこと言ってくれました。
ああ、もう。顔が赤い。
触らなくてもわかります。今の私、ほっぺた真っ赤です。あんまりといえばあんまりじゃないですか。こんなクリティカルな一言なんて。本当に、天然さん、恐るべし。
「あ……ありがとうございます……。でも、それとこのメイド服と何のつながりが……?」
「かわいい妖夢にぃ、色々な格好をさせてみたいなぁ、っていう主人魂?」
……ああ、なるほど。
つまりは、私を愛でたい、と。そういうことですか。
ま、まぁ、それならいいかなぁ、なんて。あははは。
「わかりました。じゃあ、今日はこのお洋服でお仕えさせて頂きます」
「よっしゃ」
「……はい?」
「ううん、何でもないのよぉ」
「……はあ」
何か、今、あんまり見てはいけないものを見てしまったような……。
……気のせいですよね。
「あ、あの、幽々子様。じっと見られていると恥ずかしいので……」
「ああ、そうねぇ」
ひょいと後ろを向く幽々子様。……ちょっと不満。どうせなら、『妖夢の着替えが見たいわ』なんて言ってくれたらよかったのに。そしたら、この前、藍さんに教えてもらった『主人を喜ばせる着替えの仕方』を実践するチャンスだったのに……。
……まぁ、幽々子様って素直ですから。
だから、これも当たり前なのでしょう。
「幽々子様、もういいですよ」
慣れない服なので着替えるのには時間がかかってしまったけれど、これで問題はないでしょう。振り返った幽々子様の顔が、思いっきり笑顔に染まりました。
「ああ~ん、妖夢ぅ。かわいいわぁ」
「え、えへへ……」
「はいこれ」
「……何ですかこれ」
渡されたのは……カチューシャとしっぽ……?
「つけて」
「は、はあ……」
嫌な予感がします。明らかにやばいです。反応が青です。
……でも、幽々子様は裏切れないし。た、多分、ただの飾りだろうし。
まぁ、いっか。
「えっと……」
これで……いいのかな?
「幽々子様、これでいいですか?」
「……」
「……幽々子様?」
「……妖夢……」
「……は、はい?」
「か」
あ、この先の展開読めました。
「わ」
どうしよう。身をかわすべきでしょうか。
「い」
思い立ったが吉日。実行に移します。
「い~!」
あ、遅かった。
「ふぎゅうっ!」
普段はおっとりしているくせに、何でこんな時には光速を越えられるんでしょう。一瞬、赤く光ってましたよ、幽々子様。そして私としては、抱きしめられては出来ることなど何もない。
「く、苦しいですよぅ、幽々子様ぁ!」
「うふ、うふふふぅ。猫耳メイドは、これは財産よねっ!」
「……やっぱか」
頭に装着したもの。そして、お尻に装着したもの。そう言う意味がありましたか。
とにかく、もがいて脱出。伊達に、幽々子様の抱きつきを、毎日毎晩受けているわけではありません。ちょっとでも拘束がゆるめば逃げ出せる奥義は手に入れました。簡単に言うとにょろにょろです。
「へ、変にゃ趣味を私にぶつけにゃいでくださいっ!」
……ん?
待て、何か今、話し方がおかしくありませんでしたか? 私。
「ふふっ……かかったわね」
「にゃっ!? にゃ、にゃんですか、この口調!?」
「ふふふふ! そのねこみみとしっぽには、ちょっとした術がかけてあるの! それをつけたものは、すべからく、喋り方がねこっぽくなるのよ!」
「にゃ、にゃんだってー!?」
いやそうじゃなくて。
いつも通りのボケはいいですから、私。……付き合いいいよなぁ。
「にゃんでそんにゃ事するんですかー! と、とにかく、取りますよっ!」
どうやら、ねこ語は『な』に反応するらしい。意識して使わないようにしないといけないんだけど、って、ああ、もう三回も『な』が入ってるし。
「あ、あれ?」
ぐいぐいっ。
「あれ!?」
ぐいぐいっ!
「と、とれにゃいっ!?」
「ふふふふ、無駄よぉ、妖夢ぅ。一度、装着すると、最低三日はとれないようになってるのよ!」
「そ、そんにゃー!?」
「やった~。やったわ~。これでねこちゃんようむの復活よ~」
小躍りして喜ぶ我が主。
……何か、全力で楼観剣振り下ろしたくなってきました。ダメですか? ダメですよね。
「あ、あううう……」
「さあ、妖夢ぅ。思いっきり、私に甘えなさぁぁぁぁいっ!」
「ふにゃあぁぁぁぁぁっ! 許してぇぇぇぇぇっ!」
教訓。
今度から、もっと人は疑うようにしましょう。
というか、人を素直に信じないようにしましょう。ああ、そうだ! 世の中はみんな汚いんだ! 自分を守れるのは自分だけなんだ!
私はもう、誰も信じない! 信じてたまるかぁぁぁぁっ!
「ああ……幸せ……」
「……ふにゅ」
でも……幸せだったりするんです、これ。
今だって、幽々子様にだっこしてもらいながら、喉をこちょこちょ、って。ああ……くすぐったいけど気持ちいい……。
「この幸せをずっと感じることが出来るなら、私、死んでもいいわっ!」
いや、あなたもう死んでますって。
……いや、まぁ、私も、こんな風に幽々子様と一緒なら死んでもいいですけど。そういえば、私って、あんまり幽々子様に甘えないですよねぇ……。苦労ばっかりさせられてるんですけど……。
でも、幽々子様って、優しい人だと思います。それに、とってもあったかい人だと思います。
そんな人がそばにいるから、よけいに私は自分を律してしまうのかな……。考えてみれば、私はまだまだ半人前。時には誰かに甘えたいときもあります。そんなときに、すぐそばに、こんな人がいてくれるのなら……。
「幽々子様」
「なぁに?」
「……また、甘えてもいいですか?」
「いいわよ」
……たまにはいいよね。うん。
結論。
勝ち組 妖夢
半分勝ち組 魔理沙
負け組 鈴仙
補完された人 霊夢
「我が幻想郷皆メイド化計画、誰にも邪魔はさせん」
ふふふふ、と笑みを浮かべる店主が一人。
もちろんその後、その店めがけて、『夢想封印、エネルギー充填120%! 夢想封印、発射ぁぁぁぁぁっ!』という声が響いたのは言うまでもない。
諸君、メイドは好きか!? 好きならば読め! 好きじゃなければ読んで好きになれ!
ケース4 庭師の場合
その日の朝、目を覚ました私の上に幽々子様が乗っかってました。
「あの……幽々子様?」
「お化けってぇ、寝てる人の上にのしかかることぉ、多いわよねぇ」
「……多いんですか?」
正真正銘、まじりっけなしのお化けの幽々子様にそう言われては首を縦に振るしかできませんでした。
とりあえず、そこにそうしていられると起きあがれそうになかったので、丁重にどいてもらってから着替えの開始。なのですが。
「ねぇ、妖夢ぅ。これ着てみてぇ」
「はぁ……メイド服? 何でこんなものが……」
「うふふぅ。あのねぇ、妖夢ぅ」
「あ、はい」
何が嬉しいのか、にこにこ笑いながら、幽々子様が私の目を見て。
「かわいい妖夢は大好きぃ」
……なんてこと言ってくれました。
ああ、もう。顔が赤い。
触らなくてもわかります。今の私、ほっぺた真っ赤です。あんまりといえばあんまりじゃないですか。こんなクリティカルな一言なんて。本当に、天然さん、恐るべし。
「あ……ありがとうございます……。でも、それとこのメイド服と何のつながりが……?」
「かわいい妖夢にぃ、色々な格好をさせてみたいなぁ、っていう主人魂?」
……ああ、なるほど。
つまりは、私を愛でたい、と。そういうことですか。
ま、まぁ、それならいいかなぁ、なんて。あははは。
「わかりました。じゃあ、今日はこのお洋服でお仕えさせて頂きます」
「よっしゃ」
「……はい?」
「ううん、何でもないのよぉ」
「……はあ」
何か、今、あんまり見てはいけないものを見てしまったような……。
……気のせいですよね。
「あ、あの、幽々子様。じっと見られていると恥ずかしいので……」
「ああ、そうねぇ」
ひょいと後ろを向く幽々子様。……ちょっと不満。どうせなら、『妖夢の着替えが見たいわ』なんて言ってくれたらよかったのに。そしたら、この前、藍さんに教えてもらった『主人を喜ばせる着替えの仕方』を実践するチャンスだったのに……。
……まぁ、幽々子様って素直ですから。
だから、これも当たり前なのでしょう。
「幽々子様、もういいですよ」
慣れない服なので着替えるのには時間がかかってしまったけれど、これで問題はないでしょう。振り返った幽々子様の顔が、思いっきり笑顔に染まりました。
「ああ~ん、妖夢ぅ。かわいいわぁ」
「え、えへへ……」
「はいこれ」
「……何ですかこれ」
渡されたのは……カチューシャとしっぽ……?
「つけて」
「は、はあ……」
嫌な予感がします。明らかにやばいです。反応が青です。
……でも、幽々子様は裏切れないし。た、多分、ただの飾りだろうし。
まぁ、いっか。
「えっと……」
これで……いいのかな?
「幽々子様、これでいいですか?」
「……」
「……幽々子様?」
「……妖夢……」
「……は、はい?」
「か」
あ、この先の展開読めました。
「わ」
どうしよう。身をかわすべきでしょうか。
「い」
思い立ったが吉日。実行に移します。
「い~!」
あ、遅かった。
「ふぎゅうっ!」
普段はおっとりしているくせに、何でこんな時には光速を越えられるんでしょう。一瞬、赤く光ってましたよ、幽々子様。そして私としては、抱きしめられては出来ることなど何もない。
「く、苦しいですよぅ、幽々子様ぁ!」
「うふ、うふふふぅ。猫耳メイドは、これは財産よねっ!」
「……やっぱか」
頭に装着したもの。そして、お尻に装着したもの。そう言う意味がありましたか。
とにかく、もがいて脱出。伊達に、幽々子様の抱きつきを、毎日毎晩受けているわけではありません。ちょっとでも拘束がゆるめば逃げ出せる奥義は手に入れました。簡単に言うとにょろにょろです。
「へ、変にゃ趣味を私にぶつけにゃいでくださいっ!」
……ん?
待て、何か今、話し方がおかしくありませんでしたか? 私。
「ふふっ……かかったわね」
「にゃっ!? にゃ、にゃんですか、この口調!?」
「ふふふふ! そのねこみみとしっぽには、ちょっとした術がかけてあるの! それをつけたものは、すべからく、喋り方がねこっぽくなるのよ!」
「にゃ、にゃんだってー!?」
いやそうじゃなくて。
いつも通りのボケはいいですから、私。……付き合いいいよなぁ。
「にゃんでそんにゃ事するんですかー! と、とにかく、取りますよっ!」
どうやら、ねこ語は『な』に反応するらしい。意識して使わないようにしないといけないんだけど、って、ああ、もう三回も『な』が入ってるし。
「あ、あれ?」
ぐいぐいっ。
「あれ!?」
ぐいぐいっ!
「と、とれにゃいっ!?」
「ふふふふ、無駄よぉ、妖夢ぅ。一度、装着すると、最低三日はとれないようになってるのよ!」
「そ、そんにゃー!?」
「やった~。やったわ~。これでねこちゃんようむの復活よ~」
小躍りして喜ぶ我が主。
……何か、全力で楼観剣振り下ろしたくなってきました。ダメですか? ダメですよね。
「あ、あううう……」
「さあ、妖夢ぅ。思いっきり、私に甘えなさぁぁぁぁいっ!」
「ふにゃあぁぁぁぁぁっ! 許してぇぇぇぇぇっ!」
教訓。
今度から、もっと人は疑うようにしましょう。
というか、人を素直に信じないようにしましょう。ああ、そうだ! 世の中はみんな汚いんだ! 自分を守れるのは自分だけなんだ!
私はもう、誰も信じない! 信じてたまるかぁぁぁぁっ!
「ああ……幸せ……」
「……ふにゅ」
でも……幸せだったりするんです、これ。
今だって、幽々子様にだっこしてもらいながら、喉をこちょこちょ、って。ああ……くすぐったいけど気持ちいい……。
「この幸せをずっと感じることが出来るなら、私、死んでもいいわっ!」
いや、あなたもう死んでますって。
……いや、まぁ、私も、こんな風に幽々子様と一緒なら死んでもいいですけど。そういえば、私って、あんまり幽々子様に甘えないですよねぇ……。苦労ばっかりさせられてるんですけど……。
でも、幽々子様って、優しい人だと思います。それに、とってもあったかい人だと思います。
そんな人がそばにいるから、よけいに私は自分を律してしまうのかな……。考えてみれば、私はまだまだ半人前。時には誰かに甘えたいときもあります。そんなときに、すぐそばに、こんな人がいてくれるのなら……。
「幽々子様」
「なぁに?」
「……また、甘えてもいいですか?」
「いいわよ」
……たまにはいいよね。うん。
結論。
勝ち組 妖夢
半分勝ち組 魔理沙
負け組 鈴仙
補完された人 霊夢
「我が幻想郷皆メイド化計画、誰にも邪魔はさせん」
ふふふふ、と笑みを浮かべる店主が一人。
もちろんその後、その店めがけて、『夢想封印、エネルギー充填120%! 夢想封印、発射ぁぁぁぁぁっ!』という声が響いたのは言うまでもない。
甘えて甘えられて、そんな主従関係は理想郷。
これからも実に春な光景を見させてくださいな。
お付き合いいたしますよこれからも。
大 好 き で す 。
嗚呼、幽々子様が素敵に壊れていく・・・
ねこみみめいどようむ 万歳
で、お約束のアレ。
い い ぞ も っ と や れ
もうこの出だしから駄目です。やられました。
藍様、何教えてんですか。