Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

みっどないと だーんす♪

2006/03/23 05:52:54
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狂気と狂喜と恐慌を。
悲劇と喜劇と終劇を。
暗い暗ぁい愉悦の噺。

あの日、あの時、あの場所で…。
例えば彼女が壊れた瞬間。
例えば彼女が狂った瞬間。
例えば彼女が終わった瞬間。
其処は常世の果てと成る。
その気遣いは須らく終焉。浮かべる笑みは狂気のそれ。覆る事は決して無い。
控える彼女は常に笑みを浮かべ、其れは全ての感情を萎縮させた。

あの日、あの時、あの場所で…。
そして彼女が笑った瞬間。
そして彼女が倒れた瞬間。
そして彼女が諦めた瞬間。
其処は幻想の夢と成る。
浮かべる顔は須らく虚ろ。投げ出した四肢は生きる術を放棄。弄ばれる事に暗い愉悦。
押さえられた彼女は常に笑みを浮かべ、其れは全ての感情を凍結させていた。



みっどないと だーんす♪



紅魔館に在る中で、最も静謐、最も高い位置に在るその一室。

「ぅー…?」

その声は、冗談のように大きなベッドの中から聞こえてきた。
甘いマシュマロのようなシーツの中、その中央の膨らみがもぞもぞと動き、上を目指している。
そしてすぐに、淡い銀色をした頭がひょっこりと其処から生えた。

「……ふぁ~あ、夜かぁ…」

肌触りの良さそうな…実際に肌触りの良いシーツを盛り上げて、其処から現れたのは幼女の裸身。漆黒の羽。
何処も彼処も細く、本当に申し訳程度の肉付きに、病的なまでの白さを誇る肌。加えてそれは、病的なまでにぷにぷにとしていた。
触れれば壊れてしまいそうな少女特有の儚さを持ちながらも、香り立つような艶を併せ持つ、悪魔特有のそれ。無論、乳臭さも忘れてはいけない。そんな彼女をより一層際立たせるのが、ぱたぱた動く闇色の翼であった。
眠そうにシーツを払い、幼女…レミリア・スカーレットはアヒル座りをする。その両膝に手を付き、正座にも似た体勢のまま、自分があと五人は横になっても快適に寝れるだろうベッドの上で、詰めればあと二十人は何とか寝れるベッドの上で、ぽけー…っとシーツの皺を数えてみた。
そんな状態がどれ程続いただろうか…、永遠に紅く幼い月はニ、三度瞼を擦ると、小さな唇を開いた。

「咲夜ー」

それは決して大きな声ではない。
乳臭さの残る声であり、眠そうにうとうとした声であり、母親を求める子猫のような声であった。
次の瞬間、彼女しか居ない筈の室内に、カッ、と足音が鳴る。
それと同時に、普段飲まない者であろうとも解る、上品な紅茶の香りが部屋を満たして行った。

「お待たせ致しましたお嬢様。今日は珍しい紅茶が手に入ったんですよ」
「…ふふ、咲夜は解っているわね」
「勿論ですわ」

咲夜はベッドの傍らへ歩み寄り、レミリアの近くへカップの乗ったトレイを差し出した。
主がカップに指を掛けるのを見ながら、主の無垢な裸体を見ながら、彼女はいつもの問いを向ける。

「お召し物は如何なさいます?」
「…うーん、普段通りで良いよ。特に何が在ると言う日でも無いだろうしね。……、ん、中々だわ」
「畏まりました」

紅茶の感想で僅かに変わったが、それ以外は全く持っていつも通りの会話。そして、いつも通り平原。
普段通り。その言葉を聞き、咲夜は俄然やる気を出した。
普段通りと言う事は、咲夜が決め、飾る、自分の出来る最高以上の選択をすると言う事である。
何処に出ようと決して見劣りせぬ、レミリアに恥を掻かせぬ、そして何より、主人のプライドを預かった己の誇りを傷付けぬ、最高以上の仕事だ。
返答した際、既に時は止めていた。
出来るなら、何時までも主をこのままの格好で置いておきたい。
咲夜はそんな事を思いつつ、頭に何百種類もの衣装を並べ、今宵のレミリアを飾る相手を選んだ。
今日は、巫女。ただの巫女ではなく、とびきりの巫女だ。
博麗の巫女に負けぬほどの巫女を。巫女の中で尚映える、巫女の中の巫女を。
それを更に飾るのは、博麗の巫女と揃いの腋だ。これだけは譲れない。
その者を立てるように慎ましく。けれど、咲き誇るように大胆に。曝け出せ!
最後に飾るリボンを片手に、咲夜は時を動かした。

「今日は如何しようか。……ってうわぁぁぁぁっっ!?!?」
「お嬢様のお好きなように」

腕に纏わり付く感触に、何処かで見たような衣装に、レミリアは飛び退くほど驚愕した。
何故に霊夢とお揃いの服なのか。服に繋げている訳でも無いのに落ちない腕のあれ。持ち上げようとも、曝け出した腋を隠さぬよう断固として動かない。胸元がすーすーして、かなり心許無い。そしてとても恥ずかしい。何だか自分が露出狂にでもなったかのような気分だ。
動揺した際に紅茶を零してしまったレミリアは、シーツに広がって行く紅い染みに、取り返しの付かないほどの陵辱を受けた気分になった…。

「ちょっ、ちょっと咲夜!何よこれぇ!!」
「巫女です。誰が如何見ようとも博麗の。今宵はそれでファイナルアンサー?」
「んな訳在るか!やり直しよっ!!」
「解りましたわ」

如何言う訳か、咲夜が可笑しい。
腋を押さえ羞恥に顔を染めるレミリアへ瀟洒に笑い、咲夜は再び時を止める。
ベッドの横に立つ主を押し倒し、彼女は獣の如くその衣服を剥ぎ取った。
如何やらお気に召さなかったらしく、いつもとは違った会話だった。でも、いつも通り平原。
やり直し。その言葉を聞き、咲夜は更にやる気を出した。
やり直しと言う事は、まだ咲夜が決め、飾る、自分の犯した過ちを払拭すると言う事である。
何処に出ようと決して見劣りせぬ、レミリアに恥を掻かせぬ、そして何より、主人のプライドを預かった己の誇りを傷付けぬ、最高以上の仕事リベンジだ。
既に時は止めている。
出来るなら、このまま主を襲ってしまいたい。
咲夜はそんな事を思いつつ、再度頭に何百種類もの衣装を並べ、今宵のレミリアを飾る相手を選んだ。
ならば、メイド。ただのメイドではなく、とびきりのメイドだ。
この完全で瀟洒な従者に負けぬほどのメイドを。メイドの中で尚映える、メイドオブメイドを。
それを更に飾るのは、普段は決して見えぬガーターベルトだ。ドロワーズとは合わないので、今宵は純白のショーツを着用だ。これだけは譲れない。
その者を立てるように慎ましく。けれど、咲き誇った時は大胆に。打ちのめせ!
最後に飾るホワイトプリムを片手に、咲夜は時を動かした。

「……くぁ…っ」
「今宵は如何なさいますか?」

普段と似た感触に軽く安堵し掛けたレミリアは、しかしそれを見た瞬間に眩暈を覚えた。
如何してメイド服なのか。ジャストフィットのサイズが意味深過ぎて聞くに聞けない。しかも今度は下半身がすーすーして泣きたくなってくる。死ぬほど心許無い。太腿の擦れる感触が恥ずかし過ぎる。前に掛けた真っ白のエプロンも、それに拍車を掛けた。
お揃いのメイド服を真っ赤に染め始めた咲夜を見て、レミリアは心の奥底まで屈服させられた気分になった…。

「如何するも何もっ、何でメイドなのよ!?」
「お嬢様、此度…咲夜は完全の名を返上致しますわ。お嬢様こそが完全で幼女な従者とお名乗り下さい」
「よっ、よう…っ、~~~ッ!もう良い。自分で決める!咲夜はもう休みなさいっ!!」
「今宵はそれでファイナルアンサー?」
「んな訳在るかぁーっ!!」
「解りましたわ」
「ちょっと!さく」

スカートを押さえ顔を真っ赤に染めるレミリアへ瀟洒に笑み、咲夜は再び時を止めた。
ベッドの上で座る主を押し倒し、彼女は野獣の如くその衣服を毟り取った。
またもお気に召さなかったらしく、その会話いつもより刺々しい。でも、いつも通り平原。
自分で決める。その言葉を聞き、咲夜はもう歯止めが利かなかった。
自分で決めると言う事は、もう咲夜は必要無いと言う事だ。それは赦せない。自分の犯した過ちを払拭する事すらかなわぬと言うのか!?
否!断じて否!!
なればこそ、レミリアに恥を掻かせた失態を、そして何より、それで傷付き失った己の誇りを取り戻す為、成功を収めるまでこの身は復讐者と成る!!
既に時は止めた。
いっそ、このまま主を壊してしまおうか……。
咲夜はそんな事を思いつつ、暴走した頭に全ての衣装を並べ、今宵のレミリアを飾る相手を選んだ。
だったら、ブレザー。ただのブレザーではなく、完璧なブレザーだ。
あの月の兎すら霞ませるブレザーを。ブレザーの中で尚輝く、クイーンオブブレザーを。
それを更に飾るのは、絶対領域を醸し出すニーソックスだ。ドロワーズは無謀が過ぎるので、秘蔵の超ローレグ着用だ。これだけで全ては満たされる。
その者を立てるように慎ましく。けれど、常時咲き誇る様はまさにハートブレイク!
最後に飾る通学鞄(謎)を片手に、咲夜は時を動かした。

「や…。…ぁ…………」
「ファイナルアンサー?」

もう駄目だ。既に上手く働かない頭で、レミリアはそれだけ思う。
きっちりとした服装は嫌いでは無い。少し堅苦しい感も在るが、先程のメイド服に比べたら幾分かマシ。と思えたのは何故かとても涼しいお腹に気付くまでの事だった。レミリアはもう考えるのも億劫で覚束無い手付きで何も考えず疑問に思ったまま随分と短いスカートをたくし上げ辛うじて機能している下着を目に移した瞬間に理性を放棄した。

「あはははははははははははははは」
「お気に召したようで私も満足です」

そして咲夜が時を止める。
まだ試していない衣装が何百種類も存在する。着合わせをも考えれば、それは何万種類を超えるだろう。
…狂乱は続く。
素材の良い人物は、この紅魔館には大勢居るのだ。それこそ悠久の時を必要とするほどに。
しかし彼女に、時は関係無かった。好きなように弄び、この身果てるまで興じるだけだ。
次第にヒートアップしていく思考が、それ以外の事象を排除して行く。何処で間違えたか、それすらも理解の外。理性などとうに失せている。
限り無くハッピーエンドに近いバッドエンドは、今この時、始まったばかりであった……。
終劇ッ!ですよ絵描人です。
ダーク分とエロス分と他多数が色々と足りません。

道の狂った混沌のようなお話です。
読後にげっそりと来るような、そんな風味に仕上げてみました。
暗い愉悦を感じて頂ければ幸いです。幸いです、ですですですふふふ……(壊
絵描人
http://www.yoroduya.org/
コメント



1.名無し妖怪削除
繰り返しはベタネタの基本と申しますw 狂ってるぜ!(誉め言葉
2.変身D削除
狂ってる、狂ってるけど……まだ咲夜さんは余裕がありそうな気がw
3.銀の夢削除
いや、まあ怖いっちゃあ怖いっていうか壊れてるんだろうけどうーんw
氏まで何やってんですかもうw
でもね、いいぞもっとやれ、私は一向に構わん!
4.名無し妖怪削除
序文を見た瞬間に「はいはいダーク系バトル物」とか思ったのに……。
凄い良い形で裏切られたw
5.名無し妖怪削除
着せ替え人形にされて狼狽するレミリア様がめっちゃかわいいです。
6.名無し妖怪削除
元の小説と思わし話を読んだことがあるゆえにワロスww
ダーク系とワロスをいく書き手に敬礼する!
7.絵描人削除
そろそろ想創話の方に投稿したくなってきた絵描人ですレスります!


名無し妖怪様>いつも心にLinatic!もう少ししたら繰り返しもののボスが解き放たれると思います。

変身D様>瀟洒ですから。いつも心にゆとりを、それが咲夜さんの矜持だと思います。きっとおそらく多分!

銀の夢様>最近悟ったのですよ!時代はエロスだと!(今更
     いつも心にエロスをー。

名無し妖怪様>油断すると大変な目に遭ってしまう良い例です。絵描人は殺伐としてても、可愛らしい題名を付ける事があります!

名無し妖怪様>着せ替えは楽しいですよねぇ。やられる方は堪ったもんじゃありませんが!オーダーメイドは基本です。

名無し妖怪様>有難う御座います!色々と!
       本気でダークな話を書くと、決まって救いが無くなります。ので……(汗


時間が出来たので、猛烈にボードを叩いています。猛烈にゲームもやってますが!
兎に角、レス有難う御座いましたっ!