このお話には、作者の主観が多分に入り交じっています。
こんなの俺の○○じゃない、という方は脳内でそのように変換して、その後、己の魂をどこかに叩きつけてください。
今日は、年に一度の、幻想郷恒例身体検査の日。
何で身体検査かというと、ある時、人間の里に流行病が現れたからである。幸いにして、それが大きな被害を出すことはなかったのだが、それでも死者も出れば重症者も出た。だから、主に人間達はそうした病気にかかると致命的であると言うことで、少しでも、『健康』にならなければ、とどこぞの腹黒うさぎが広めたせいで、ここ、永遠亭でそんな催しが開かれることになったのである。
なお、妖怪は別に来なくてもいいのだが、面白そう、という理由で訪れるものもいたりする。
「え~、霊夢さんは、バストは75のB、と」
「……大きくなった……」
感激して涙を流すのは、博麗神社の巫女、博麗霊夢。言うまでもなく『ないぺた組』の一人である。
ただいま、身体検査はスリーサイズのチェックに入っているところだ。
彼女たちのチェックに当たっているのは、永琳指揮下の医療兎たちなのだが、特に霊夢など、懇意にされているもの達には永琳が直々にそれに当たっていたりする。
メガネ。白衣。ストッキング(黒)。
何か色々『パーフェクトぅ!』な格好である。
「魔理沙さんは、72のBね」
「なっ……!? な、ななじゅうにっ!? 去年と変わってないぞ!?」
「おーっほっほっほ! 勝った! 勝ったわっ! 魔理沙に勝ったわーっ!!」
自分のぺたんな部分をぺたぺた触りながら悔し涙を流す魔理沙。ちなみにそのすぐそばでは、後ろ向いて首筋の辺りをとんとんとやっている人形遣いの姿がある。なお、彼女は80のCだとか。
「フランドールちゃんは、60のAAね」
「わぁ、それってすごいの?」
「別にすごくはないわ。でも、フランの見た目なら、それが妥当なところでしょうね」
と、62のAAと宣告されたレミリアが言う。なお、その目元に伝っている涙は伊達ではない。
「ちくしょー!
霊夢、お前、何でそんなにでかくなった!? 確か、75って、お前、去年より3センチもでかくなってるぞ!?」
「ふふふ……これも努力のたまものよ!」
「お前、努力しない天才じゃなかったのか!」
「はっ! そんなの私の知った事じゃないわ! でかくするためなら手段を選ばない、それが博麗の巫女なのよ!」
「そーなのかー……って、そうじゃない!
おい、アリス! パチュリーがいないから、お前も何とか言ってやれ!」
「パチェは大丈夫かしら」
ちなみにそのパチュリーは、たった数分、裸になる程度なのに風邪を引いて、現在は別室で床に伏せっている。なお、彼女は、実は82のCということが判明している。実は着やせするタイプだったらしい。
「……まぁ、いいんじゃない? それに、ほら、魔理沙。女の価値は胸だけじゃないわよ」
「お前に言うとなおさら悔しくなるっ!
ええい、お前ら、表に出ろ! 弾幕勝負開戦だぜ!」
本気で泣いている魔理沙が地団駄踏み、何やら手をばたばたさせて表を指さす。その、あまりにも子供っぽい仕草に、「魔理沙子供みたーい」と本物の子供であるフランドールに言われてしまうと言う、彼女の人格的沽券にも関わる問題に発展しているのだが、まぁ、それはさておこう。
「さて、それじゃ。
咲夜さんは、81のCですか」
「……はぁ。あんまり大きくならないわね」
「まあまあ。咲夜さん、気落ちしないで」
「ウドンゲ、83のDのあなたが言っても説得力ないわよ」
「いつ測ったんですか!?」
白衣のうさぎさんが胸を隠して顔を真っ赤にしつつ、ツッコミを入れる。その一言に、もちろん、永琳がそっぽを向いて口笛吹いたのは当然の結末である。
「まぁ、あっちの子達も言っているけれど、大きさじゃないわ。形よ。感度よ」
「……それをあなたが言うの?」
ゆさゆさ揺れるリーサルウェポンを持つ女医に半眼でツッコミ入れる咲夜。
「あら。でも、咲夜は形はいいじゃない。それを売りにすれば、それなりの稼ぎにはなるんじゃなくて?」
「……何の稼ぎですか、お嬢様」
何やらとんでもないことを口走るレミリアに、『絶対、来年こそDになってやる!』と胸に誓う咲夜。
くるりと、永琳は、そんな彼女たちを尻目に。
「それで。何で映姫さんがここにいるのかは存じませんが」
「閻魔の仕事もストレスが多くて大変なのです。これを機に、せっかくですから、どこか悪いところがないか調べてもらおうかと思いまして」
「なるほど」
こんな所になど来る必要のない閻魔様の言葉にうなずく永琳。
「ちなみに、どこか悪いところはありましたか?」
「別にどこも。ただ、胃が潰瘍気味でしたので、お帰りの時にお薬を出しておきますね」
「……やっぱり」
近頃、きりきりと胃が痛むのはストレス性の神経性胃炎のせいだけじゃなかったか、と卒塔婆握りしめる映姫。
ちなみに。
「……あの」
「68のAです」
「ぐは」
幻想郷というのは、主に二つに区分が分かれる。
俗に言う、『育つもの』と『育たないもの』である。何が具体的にどう育つのかは、ここでは具体的追求は避けよう。それが彼女たちのプライドを守る最終手段であり、我々が命を守る最後の道だからである。
「ううっ……閻魔になって、早数世紀……って、もっと過ぎているような気もしますけど、一向に育たないこれが憎い……」
「ご愁傷様です……」
「ちなみに妖夢さんは、73のBですね」
『な、何だってー!?』
外で霊夢達と弾幕バトルをしていた魔理沙までが突っ走ってきて、映姫と一緒に声を上げる。
「わっ!?」
「な、何でだ!? 何でだーっ!? お前、小さいじゃないか! 何か色々小さいじゃないか! なのに何で育ってるんだー!?」
「そうです! さあ、素直に育つに至った経緯を話しなさい! 私は閻魔です! ちゃんと語るべき事を語らなければ地獄行きですよ!」
「え? い、いや、あの、別に何かをしているわけでは……」
「さらしを巻いていると、小さくて感度のいい胸になるとは聞いてますけど……」
「それの反動かしら」
血の涙流して詰め寄る二人に困惑顔で、じりじりと後ろに下がりながら弁解する妖夢。ある意味、哀れだ。
しかし、いつの時代も、身体検査というのは悲喜こもごもである。
これで一応、全員、体重は維持しているのだからまだ幸せといったところか。
ともあれ、集まったメンツの検査が大体終わり、さて、これで今年は終わりかしら、というところになって。
「ちょーっと待ったぁっ!」
すぱぁぁぁぁぁんっ、と豪快に障子を開いて現れる、赤と白のチェック柄衣装が目に痛い自称最強妖怪。
「あら、幽香さん」
「うふふふ。聞いたわ、聞いたわよ。身体検査なんですってね?
そして、ここにいるメンバーの、誰もがアレなこともしかと聞き届けたわ!」
その一言に、全員のこめかみに青筋が浮かぶのだが、幽香は気づいていない。
「何しに来たのよ、幽香」
「そうだ。事と次第によっちゃ、マスタースパークを連射で喰らわしてやるぜ?」
「まぁ、そう血の気の多いことを言わないで。
私も、ただ単に身体検査してもらいに来ただけよ」
なぜかそう言うと、彼女は、ぶわぁっ、と服を見事に放り投げた。
「さあ、どこからでも測りなさい!」
「……あの、スリーサイズの前に、まず……」
「お黙りそこのへにょり耳うさぎ!」
「へ、へにょり耳……」
色々ツッコミ入れたそうな鈴仙に無情な一言を投げつけ、思いっきり撃墜してから、胸を張って幽香が永琳の前に歩み出る。
「……あれは……!」
戦慄するアリス。
「わー、何かすごーい」
「……おのれっ!」
無邪気に感想を述べるフランドール、そして、視線に殺意すら載せるレミリア。
「えーっと、それじゃ……」
メジャー片手に、幽香のサイズ計測。
まさに勝ち誇った勝者の表情を浮かべている幽香に対し、ぎりぎりと歯ぎしりの音すら聞こえてきそうな顔で一同が視線を注ぐ。
そして、永琳から下される、無情の一言。
「89のDね」
「ほーっほっほっほ! ねぇ、霊夢ぅ? あなた、確かいくつだったかしらぁ? 75? B? まあまあまあ、いいですわねぇ、そのコンパクトなお胸ぶり」
「ぐっさぁ!」
「そこの白黒さんは72だったかしら。あらあら、体は大きくなっても胸は小さいままなのねぇ」
「ざくぅっ!」
「それに、そちらのメイドさん。81のCねぇ。確かに形はいいけれど、やっぱり、女性の性的魅力は胸に集まりますよねぇ?」
「ぐはぁっ!」
「それにそれに、閻魔様に吸血鬼様。いやはや、あなた達は確かにお強くて私でも戦えば苦戦するでしょうけど、事、女の勝負となれば話にもならないみたいねぇ。
ほほほほほほ!」
「はぅっ!」
「がはぁっ!」
勝ち誇る幽香。彼女の絶対の勝利宣言に、少女達がことごとく打ちのめされていく。
言い返せない。これは事実だからだ。
言い返せば、それこそ百倍ぐらいにして言い負かされそうだった。現実には勝てない。目の前にそびえる巨大な渓谷に勝つ手段は、彼女たちにはない。
「と言うか、私たちは目の敵にされてないんですね」
「まぁ……幽香だから」
と、妖夢とアリス。
相手にされてなくて、ある意味、幸せである。
「さて、それじゃ、私は……」
「……こうなったら、仕方ないわね」
「ええ……お嬢様」
「? どうしたのー?」
「我が紅魔館の最終兵器を使うわよ!」
「はいっ!」
「……ふふふ。この手段だけは使いたくありませんでしたが……!」
何やら、目に薄暗い光をともす三人。服を着て、とっとと帰ろうとしていた幽香が思わず足を止めるほど、仄暗いオーラを漂わせる彼女たちは、ある意味、ものすごく異様だった。思わずフランドールが泣きべそかいて魔理沙に抱きつこうと言うものだ。
「待ってなさい、幽香!」
「ぎゃふんと言わせてあげます!」
咲夜と映姫が部屋から走り出していく。
「ふん。でかい口を叩いて。結局、逃げたんじゃない」
『あら、そう?』
唐突に、その場に響く声。
何事かと一同が視線を向ける中に、ふわりと歩み出る女が一人。空中に空いた不気味な亀裂から姿を現したのは、うさんくささだけは幻想郷最強、それに関しては幽香も何も言わない八雲紫だった。
「……紫、何で」
「紫様じゃないですか。どうされたんですか?」
「ちょっとね」
ふふっ、という視線を幽香に向ける。その視線は、『この勘違い女の鼻をあかしてやるわ』という顔だった。当然、幽香がかちんときた表情を浮かべる。
彼女がふわりと服を脱ぐ。その下から現れたのは、まさに優美な女の肢体。っていうか、お前、下着くらいつけろよ、と魔理沙がつぶやいたのは秘密である。
「えーっと」
鈴仙が、その胸元にメジャーを回す。なかなかわかっているようだ。
「紫さんは……」
「ふん。こんな女が私に勝てるわけないじゃない」
「86の……」
「ほら、見なさ……」
「Fですね」
「……いっ!?」
幽香が思わず硬直した。
F。言うまでもなくFカップである。ついでに言えば、Dカップよりも、俗に言えば『大きい』。
「大きさは、数値じゃないの。カップなのよ?」
「ふ……ふんっ。で、でも、数値は私の方が上だもの。その程度じゃ、まだまだね」
「あら、しぶとい」
そのまま、「ひどいわよね~、霊夢~」となぜか霊夢にしなだりかかる。当然、くっつくな、うっとうしい、と蹴り入れられたのは言うまでもない。
「あ、あの、咲夜さん、これは何の騒ぎなんですかっていうか服返してくださいよ~!」
「いいから、つべこべ言わず、来る!」
その時、外から帰ってくる人間が一人と妖怪が一人。言うまでもなく、紅魔館の門番、紅美鈴である。何があったのか、彼女の頭にはナイフが突き刺さっていたりする。
泣いている美鈴は、すでに上は裸。その威容に、幽香が息を飲むのがわかった。
そして何より驚異的なのは、涙目、手ブラ、上目遣いという色々『クリティカル』な美鈴の、その艶姿である。もう色々前屈み確定だ。
「えー……」
冷静に、事務的に、鈴仙が彼女のバストにメジャーを回す。
「91のGです」
「じ、じいっ!? きゅうじゅういちっ!?」
「ふぇぇぇぇ~ん、何でバスト測るためだけにナイフが……」
「ほほほほほ! 見なさい、幽香! これが紅魔館の実力よ!」
「その通り! あなたのそれなんて、美鈴のこれに比べれば、しょせんは完熟リンゴ! 美鈴のマスクメロンに勝てると思っていたのかしら!?」
何でこいつらが威張るんだろう。その場にいる全員(幽香とフランドール除く)が頭の中に全く同じ事を思い浮かべる。
そして。
「四季さま、どうしたんですか? 何の説明も……」
「いいから来なさい! 来ないと地獄のお仕置きフルコースにワンダフルスペシャルを追加しますよ!」
「ひぃっ!? それだけはご勘弁を!」
「あ……ああ……!」
すでに幽香の自我は崩壊寸前。続けて素っ裸で連れてこられたのは、三途の川の橋渡し、小野塚小町。
またもや鈴仙が、それが当然のようにメジャーを回す。
「96のHです」
「きっ……えっ……!」
「あ~……またでかくなったか……」
「さあ、幽香さん! 訂正しなさい! この私、四季映姫・ヤマザナドゥに勝利したなどと言う無粋な言葉を!」
いや、お前には勝っただろ、とこれまた以下略。
がくがくと震える幽香。幻想郷最強の自負が、今、とことん揺らいでいる。徹底的に揺らいでいる。紫には、数値上は勝利した。だから、まだ、何とか己を保っていられた。だが、この二人には数値の上でもカップの上でも完全敗北だ。このままでは……!
「あ、ちなみに、師匠はいくつでしたっけ?」
「私? 93のHよ」
「……かふっ」
その一言が決め手となった。
ふっ、と意識が遠のくような仕草の後、ばたりと幽香が前のめりに倒れる。そこへ、いつのまにか、中華風の衣装に着替えた魔理沙が駆け寄り、なぜか脈などを取った後、宣言する。
「死亡確認!」
かくして、一つの戦いが終わりを告げたのだった。
「……巨乳墜つ、か」
一人、何だかむなしそうにつぶやくアリスだった。
それから数日後、里を預かる慧音から、「何か最近、牛乳の売れ行きがいいらしいぞ」という話が誰にともなく伝わり、それが幻想郷を駆け抜けることになる。牛乳を新たに買い始めた『元』幻想郷最強の妖怪は、後の文々。新聞の取材にこう答えたという。
「これで勝ったと思うなよ!!」
なお、ここはヴワル図書館。
そこで働く司書の小悪魔も、文々。新聞の取材に、こう答えている。
「何か最近、多いんですよね。バストが大きくなる方法が書かれた本の貸し出し。この前も、霊夢さんと魔理沙さんが来て借りていきました。魔理沙さんにしては珍しく、正面から堂々と『これを貸してくれ』って。私もあの時は、明日は幻想郷が終わるのかなって思いましたよ。
でも、バストって、大きすぎてもダメだと思いますよ。やっぱり、ほどよい大きさと形、それに感度。これに尽きますよね」(話:小悪魔 84:D)
こんなの俺の○○じゃない、という方は脳内でそのように変換して、その後、己の魂をどこかに叩きつけてください。
今日は、年に一度の、幻想郷恒例身体検査の日。
何で身体検査かというと、ある時、人間の里に流行病が現れたからである。幸いにして、それが大きな被害を出すことはなかったのだが、それでも死者も出れば重症者も出た。だから、主に人間達はそうした病気にかかると致命的であると言うことで、少しでも、『健康』にならなければ、とどこぞの腹黒うさぎが広めたせいで、ここ、永遠亭でそんな催しが開かれることになったのである。
なお、妖怪は別に来なくてもいいのだが、面白そう、という理由で訪れるものもいたりする。
「え~、霊夢さんは、バストは75のB、と」
「……大きくなった……」
感激して涙を流すのは、博麗神社の巫女、博麗霊夢。言うまでもなく『ないぺた組』の一人である。
ただいま、身体検査はスリーサイズのチェックに入っているところだ。
彼女たちのチェックに当たっているのは、永琳指揮下の医療兎たちなのだが、特に霊夢など、懇意にされているもの達には永琳が直々にそれに当たっていたりする。
メガネ。白衣。ストッキング(黒)。
何か色々『パーフェクトぅ!』な格好である。
「魔理沙さんは、72のBね」
「なっ……!? な、ななじゅうにっ!? 去年と変わってないぞ!?」
「おーっほっほっほ! 勝った! 勝ったわっ! 魔理沙に勝ったわーっ!!」
自分のぺたんな部分をぺたぺた触りながら悔し涙を流す魔理沙。ちなみにそのすぐそばでは、後ろ向いて首筋の辺りをとんとんとやっている人形遣いの姿がある。なお、彼女は80のCだとか。
「フランドールちゃんは、60のAAね」
「わぁ、それってすごいの?」
「別にすごくはないわ。でも、フランの見た目なら、それが妥当なところでしょうね」
と、62のAAと宣告されたレミリアが言う。なお、その目元に伝っている涙は伊達ではない。
「ちくしょー!
霊夢、お前、何でそんなにでかくなった!? 確か、75って、お前、去年より3センチもでかくなってるぞ!?」
「ふふふ……これも努力のたまものよ!」
「お前、努力しない天才じゃなかったのか!」
「はっ! そんなの私の知った事じゃないわ! でかくするためなら手段を選ばない、それが博麗の巫女なのよ!」
「そーなのかー……って、そうじゃない!
おい、アリス! パチュリーがいないから、お前も何とか言ってやれ!」
「パチェは大丈夫かしら」
ちなみにそのパチュリーは、たった数分、裸になる程度なのに風邪を引いて、現在は別室で床に伏せっている。なお、彼女は、実は82のCということが判明している。実は着やせするタイプだったらしい。
「……まぁ、いいんじゃない? それに、ほら、魔理沙。女の価値は胸だけじゃないわよ」
「お前に言うとなおさら悔しくなるっ!
ええい、お前ら、表に出ろ! 弾幕勝負開戦だぜ!」
本気で泣いている魔理沙が地団駄踏み、何やら手をばたばたさせて表を指さす。その、あまりにも子供っぽい仕草に、「魔理沙子供みたーい」と本物の子供であるフランドールに言われてしまうと言う、彼女の人格的沽券にも関わる問題に発展しているのだが、まぁ、それはさておこう。
「さて、それじゃ。
咲夜さんは、81のCですか」
「……はぁ。あんまり大きくならないわね」
「まあまあ。咲夜さん、気落ちしないで」
「ウドンゲ、83のDのあなたが言っても説得力ないわよ」
「いつ測ったんですか!?」
白衣のうさぎさんが胸を隠して顔を真っ赤にしつつ、ツッコミを入れる。その一言に、もちろん、永琳がそっぽを向いて口笛吹いたのは当然の結末である。
「まぁ、あっちの子達も言っているけれど、大きさじゃないわ。形よ。感度よ」
「……それをあなたが言うの?」
ゆさゆさ揺れるリーサルウェポンを持つ女医に半眼でツッコミ入れる咲夜。
「あら。でも、咲夜は形はいいじゃない。それを売りにすれば、それなりの稼ぎにはなるんじゃなくて?」
「……何の稼ぎですか、お嬢様」
何やらとんでもないことを口走るレミリアに、『絶対、来年こそDになってやる!』と胸に誓う咲夜。
くるりと、永琳は、そんな彼女たちを尻目に。
「それで。何で映姫さんがここにいるのかは存じませんが」
「閻魔の仕事もストレスが多くて大変なのです。これを機に、せっかくですから、どこか悪いところがないか調べてもらおうかと思いまして」
「なるほど」
こんな所になど来る必要のない閻魔様の言葉にうなずく永琳。
「ちなみに、どこか悪いところはありましたか?」
「別にどこも。ただ、胃が潰瘍気味でしたので、お帰りの時にお薬を出しておきますね」
「……やっぱり」
近頃、きりきりと胃が痛むのはストレス性の神経性胃炎のせいだけじゃなかったか、と卒塔婆握りしめる映姫。
ちなみに。
「……あの」
「68のAです」
「ぐは」
幻想郷というのは、主に二つに区分が分かれる。
俗に言う、『育つもの』と『育たないもの』である。何が具体的にどう育つのかは、ここでは具体的追求は避けよう。それが彼女たちのプライドを守る最終手段であり、我々が命を守る最後の道だからである。
「ううっ……閻魔になって、早数世紀……って、もっと過ぎているような気もしますけど、一向に育たないこれが憎い……」
「ご愁傷様です……」
「ちなみに妖夢さんは、73のBですね」
『な、何だってー!?』
外で霊夢達と弾幕バトルをしていた魔理沙までが突っ走ってきて、映姫と一緒に声を上げる。
「わっ!?」
「な、何でだ!? 何でだーっ!? お前、小さいじゃないか! 何か色々小さいじゃないか! なのに何で育ってるんだー!?」
「そうです! さあ、素直に育つに至った経緯を話しなさい! 私は閻魔です! ちゃんと語るべき事を語らなければ地獄行きですよ!」
「え? い、いや、あの、別に何かをしているわけでは……」
「さらしを巻いていると、小さくて感度のいい胸になるとは聞いてますけど……」
「それの反動かしら」
血の涙流して詰め寄る二人に困惑顔で、じりじりと後ろに下がりながら弁解する妖夢。ある意味、哀れだ。
しかし、いつの時代も、身体検査というのは悲喜こもごもである。
これで一応、全員、体重は維持しているのだからまだ幸せといったところか。
ともあれ、集まったメンツの検査が大体終わり、さて、これで今年は終わりかしら、というところになって。
「ちょーっと待ったぁっ!」
すぱぁぁぁぁぁんっ、と豪快に障子を開いて現れる、赤と白のチェック柄衣装が目に痛い自称最強妖怪。
「あら、幽香さん」
「うふふふ。聞いたわ、聞いたわよ。身体検査なんですってね?
そして、ここにいるメンバーの、誰もがアレなこともしかと聞き届けたわ!」
その一言に、全員のこめかみに青筋が浮かぶのだが、幽香は気づいていない。
「何しに来たのよ、幽香」
「そうだ。事と次第によっちゃ、マスタースパークを連射で喰らわしてやるぜ?」
「まぁ、そう血の気の多いことを言わないで。
私も、ただ単に身体検査してもらいに来ただけよ」
なぜかそう言うと、彼女は、ぶわぁっ、と服を見事に放り投げた。
「さあ、どこからでも測りなさい!」
「……あの、スリーサイズの前に、まず……」
「お黙りそこのへにょり耳うさぎ!」
「へ、へにょり耳……」
色々ツッコミ入れたそうな鈴仙に無情な一言を投げつけ、思いっきり撃墜してから、胸を張って幽香が永琳の前に歩み出る。
「……あれは……!」
戦慄するアリス。
「わー、何かすごーい」
「……おのれっ!」
無邪気に感想を述べるフランドール、そして、視線に殺意すら載せるレミリア。
「えーっと、それじゃ……」
メジャー片手に、幽香のサイズ計測。
まさに勝ち誇った勝者の表情を浮かべている幽香に対し、ぎりぎりと歯ぎしりの音すら聞こえてきそうな顔で一同が視線を注ぐ。
そして、永琳から下される、無情の一言。
「89のDね」
「ほーっほっほっほ! ねぇ、霊夢ぅ? あなた、確かいくつだったかしらぁ? 75? B? まあまあまあ、いいですわねぇ、そのコンパクトなお胸ぶり」
「ぐっさぁ!」
「そこの白黒さんは72だったかしら。あらあら、体は大きくなっても胸は小さいままなのねぇ」
「ざくぅっ!」
「それに、そちらのメイドさん。81のCねぇ。確かに形はいいけれど、やっぱり、女性の性的魅力は胸に集まりますよねぇ?」
「ぐはぁっ!」
「それにそれに、閻魔様に吸血鬼様。いやはや、あなた達は確かにお強くて私でも戦えば苦戦するでしょうけど、事、女の勝負となれば話にもならないみたいねぇ。
ほほほほほほ!」
「はぅっ!」
「がはぁっ!」
勝ち誇る幽香。彼女の絶対の勝利宣言に、少女達がことごとく打ちのめされていく。
言い返せない。これは事実だからだ。
言い返せば、それこそ百倍ぐらいにして言い負かされそうだった。現実には勝てない。目の前にそびえる巨大な渓谷に勝つ手段は、彼女たちにはない。
「と言うか、私たちは目の敵にされてないんですね」
「まぁ……幽香だから」
と、妖夢とアリス。
相手にされてなくて、ある意味、幸せである。
「さて、それじゃ、私は……」
「……こうなったら、仕方ないわね」
「ええ……お嬢様」
「? どうしたのー?」
「我が紅魔館の最終兵器を使うわよ!」
「はいっ!」
「……ふふふ。この手段だけは使いたくありませんでしたが……!」
何やら、目に薄暗い光をともす三人。服を着て、とっとと帰ろうとしていた幽香が思わず足を止めるほど、仄暗いオーラを漂わせる彼女たちは、ある意味、ものすごく異様だった。思わずフランドールが泣きべそかいて魔理沙に抱きつこうと言うものだ。
「待ってなさい、幽香!」
「ぎゃふんと言わせてあげます!」
咲夜と映姫が部屋から走り出していく。
「ふん。でかい口を叩いて。結局、逃げたんじゃない」
『あら、そう?』
唐突に、その場に響く声。
何事かと一同が視線を向ける中に、ふわりと歩み出る女が一人。空中に空いた不気味な亀裂から姿を現したのは、うさんくささだけは幻想郷最強、それに関しては幽香も何も言わない八雲紫だった。
「……紫、何で」
「紫様じゃないですか。どうされたんですか?」
「ちょっとね」
ふふっ、という視線を幽香に向ける。その視線は、『この勘違い女の鼻をあかしてやるわ』という顔だった。当然、幽香がかちんときた表情を浮かべる。
彼女がふわりと服を脱ぐ。その下から現れたのは、まさに優美な女の肢体。っていうか、お前、下着くらいつけろよ、と魔理沙がつぶやいたのは秘密である。
「えーっと」
鈴仙が、その胸元にメジャーを回す。なかなかわかっているようだ。
「紫さんは……」
「ふん。こんな女が私に勝てるわけないじゃない」
「86の……」
「ほら、見なさ……」
「Fですね」
「……いっ!?」
幽香が思わず硬直した。
F。言うまでもなくFカップである。ついでに言えば、Dカップよりも、俗に言えば『大きい』。
「大きさは、数値じゃないの。カップなのよ?」
「ふ……ふんっ。で、でも、数値は私の方が上だもの。その程度じゃ、まだまだね」
「あら、しぶとい」
そのまま、「ひどいわよね~、霊夢~」となぜか霊夢にしなだりかかる。当然、くっつくな、うっとうしい、と蹴り入れられたのは言うまでもない。
「あ、あの、咲夜さん、これは何の騒ぎなんですかっていうか服返してくださいよ~!」
「いいから、つべこべ言わず、来る!」
その時、外から帰ってくる人間が一人と妖怪が一人。言うまでもなく、紅魔館の門番、紅美鈴である。何があったのか、彼女の頭にはナイフが突き刺さっていたりする。
泣いている美鈴は、すでに上は裸。その威容に、幽香が息を飲むのがわかった。
そして何より驚異的なのは、涙目、手ブラ、上目遣いという色々『クリティカル』な美鈴の、その艶姿である。もう色々前屈み確定だ。
「えー……」
冷静に、事務的に、鈴仙が彼女のバストにメジャーを回す。
「91のGです」
「じ、じいっ!? きゅうじゅういちっ!?」
「ふぇぇぇぇ~ん、何でバスト測るためだけにナイフが……」
「ほほほほほ! 見なさい、幽香! これが紅魔館の実力よ!」
「その通り! あなたのそれなんて、美鈴のこれに比べれば、しょせんは完熟リンゴ! 美鈴のマスクメロンに勝てると思っていたのかしら!?」
何でこいつらが威張るんだろう。その場にいる全員(幽香とフランドール除く)が頭の中に全く同じ事を思い浮かべる。
そして。
「四季さま、どうしたんですか? 何の説明も……」
「いいから来なさい! 来ないと地獄のお仕置きフルコースにワンダフルスペシャルを追加しますよ!」
「ひぃっ!? それだけはご勘弁を!」
「あ……ああ……!」
すでに幽香の自我は崩壊寸前。続けて素っ裸で連れてこられたのは、三途の川の橋渡し、小野塚小町。
またもや鈴仙が、それが当然のようにメジャーを回す。
「96のHです」
「きっ……えっ……!」
「あ~……またでかくなったか……」
「さあ、幽香さん! 訂正しなさい! この私、四季映姫・ヤマザナドゥに勝利したなどと言う無粋な言葉を!」
いや、お前には勝っただろ、とこれまた以下略。
がくがくと震える幽香。幻想郷最強の自負が、今、とことん揺らいでいる。徹底的に揺らいでいる。紫には、数値上は勝利した。だから、まだ、何とか己を保っていられた。だが、この二人には数値の上でもカップの上でも完全敗北だ。このままでは……!
「あ、ちなみに、師匠はいくつでしたっけ?」
「私? 93のHよ」
「……かふっ」
その一言が決め手となった。
ふっ、と意識が遠のくような仕草の後、ばたりと幽香が前のめりに倒れる。そこへ、いつのまにか、中華風の衣装に着替えた魔理沙が駆け寄り、なぜか脈などを取った後、宣言する。
「死亡確認!」
かくして、一つの戦いが終わりを告げたのだった。
「……巨乳墜つ、か」
一人、何だかむなしそうにつぶやくアリスだった。
それから数日後、里を預かる慧音から、「何か最近、牛乳の売れ行きがいいらしいぞ」という話が誰にともなく伝わり、それが幻想郷を駆け抜けることになる。牛乳を新たに買い始めた『元』幻想郷最強の妖怪は、後の文々。新聞の取材にこう答えたという。
「これで勝ったと思うなよ!!」
なお、ここはヴワル図書館。
そこで働く司書の小悪魔も、文々。新聞の取材に、こう答えている。
「何か最近、多いんですよね。バストが大きくなる方法が書かれた本の貸し出し。この前も、霊夢さんと魔理沙さんが来て借りていきました。魔理沙さんにしては珍しく、正面から堂々と『これを貸してくれ』って。私もあの時は、明日は幻想郷が終わるのかなって思いましたよ。
でも、バストって、大きすぎてもダメだと思いますよ。やっぱり、ほどよい大きさと形、それに感度。これに尽きますよね」(話:小悪魔 84:D)
パッドのいらないメイドなんてちょおま何する(r
>あとパチェは着やせ属性。これ確定な。
えぇ、確定ですとも!!
・・・・・・・・・乳牛のをでかくする薬の影響が残ってるんだって
>あとパチェは着やせ属性。これ確定な。
モチのロン。
しかし相変わらず面白い。
それにしてもパチェは着やせ確定ですかぁ。ううむ、個人的に月明かりに照らされた、華奢な、抱きしめたら折れてしまいそうな――そういうのとどちらがいいかと迷っていたのですが、ひとつの指針になりそうです。
白玉楼のリーサルウェポンはどのくらいなんでしょうねぇ…
おっきいは正義って俺の脳の一部が言ってるしね
メロンの威を借る大平原たちにめっさワロタ
小野塚小町 96 H (またでかくなった・本人談)
八意永琳 93 H
紅美鈴 91 G
上白沢慧音 90 G (未計測につき予測値)
風見幽香 89 D
八雲紫 86 F
小悪魔 84 D
鈴仙・U・イナバ 83 D
パチュリー・K 82 C (着やせ)
十六夜咲夜 81 C
アリス・M 80 C
射命丸文 79 C (未計測につき予測値)博麗霊夢 75 B (前年比+3)
魂魄妖夢 73 B
霧雨魔理沙 72 B (前年比±0)
四季映姫 68 A
レミリア・S 62 AA
フランドール・S 60 AA
伊吹萃香 58 AAA (未計測につき予測値)
番外
ミッシングパープルパワー萃香 290 G (未計測につき予測値)
何が言いたいかというと妖怪萌え
この訴えは毎日続けていく予定です。
単純に胸囲の話なのか