Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

アスパラガスの辞世の句

2006/03/06 13:24:52
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『止めてしまいたい

 誰とも知れぬ他人の息の根を』







でおなじみの幽々子様に私からあなたへ息の音を届けたい

ふぅぅぅぅはぁぁぁぁ

ひひひひひひひへれへらっほ

「やめて妖夢 ほんとにやめてちょうだい妖夢 面白いわ その顔、傑作すぎて もぐもぐできないわ」
「そうは言っても幽々子様 笑わせて見なさいと言ったのは 幽々子様ですよ」
「だってまさか 妖夢がそこまで必死にギャグやるなんて 意外で意外で」
「心外です 幽々子様。私ならいつもあなたのために命賭けられて 駈け翔て欠けてますます弾ける友達の輪!
 弾けちゃだめじゃん!」

びしぃぃっと決まった一人突っ込み
それが心から出た叫びならば見るあるじたる心意気
本当に可愛い従者を持った事 
これを置いていってくれたあの人に御の字を恩の字を怨の字を時を戻せたならば
私は断ったでしょう これにまかされた役割は きっと私をふぬけさせること
ふぬけ? まさか。 これは私の本質じゃなくて 例えるならば
アスパラガス そうね まっすぐ緑に立ったあれは マヨネーズ和えが大変美味で
天ぷらにしても感慨深い。 そこに毒がある事を  幽々子は見てしまった!
家政婦張りに見てしまった! とても丸い。 丸い家政婦 
幽々子はそんなに自分は丸くないわ と 少し腹を立てた。

「でも足りないの妖夢。 今になって足りなくなった 長い間してなかったから」
「でも足りないのは 幽々子様 今になって満たされなくて 長い間忘れてくれていたのに でもがちょーん」

哀しくて鳥が鳴いた 

「妖夢、今のはいただけないわ 勢いだけでギャグを語ろうとした恥を知りなさい」
「恥で己を知れるなら、プライドだって捨てましょう。でも 幽々子様には、私は何に見えるのですか?」

答えるまでもない アスパラガスよ妖夢 まっすぐに立つ 少しささくれた緑色
春の芽吹きに支えられて しなやかな体躯 ささみやかな繊維 枉げてしなって 
美味しくて 美味しくて 美味しくて 美味しいの 香り立つ 苦み来る瑞々しさが
油で揚げてみたならば さぞかし苦みが広がるでしょう 油は冥界の大気
禍々しさがまとわりついて あなたはますますハリが出る 
そこに そこに添えられたマヨネーズに私が気がついてしまった時 果たして
果して つかず離れずのマヨ玉を ねちりとつけてみたい そう思ってしまっただろうか
それはいけないことか それはいけないことか ねくてくたるはりえてるみる さななきの
我が想いはこれにあらじ
妖夢がアスパラガスに見えた事には理由があって 
アスパラガスに見えた何かにこんな気持ちを抱いた事に理由はあって
それぞれは違う理由であって。 て。
どだい理由につながりがなくとも 心は一つ 私は一人 丸くなっていた 最近は。
気持ちを偽ってみても仕方が無い。

考え連ねる 幽々子に、妖夢は嬉々として危機として 利き問いて  幽々子につかえる機器として
とにかく言った 思いつくままに

「 幽々子様!  幽々子様! 効け私の一代言の葉 従へ私の言葉に 主従にあれど 今はおのが魂を賭けた時
 翔ても 欠けても あなたに懸けたる私の想い 聞いてください」

改まって ぺこりと妖夢 つらを下げた オジギガス ガスパラアス だすだす だしね 奇異て揚げる

妖夢は、筆を二本とりその先にわらわらあつめられた毛げに細かい黒い固まりを溶かした墨を漬けた。
それを 幽々子の両手に持たせる。

「ゆゆこが!」

妖夢が言った。

「ゆゆこが ゆゆこが ゆゆこが ゆゆこに ゆゆたる ゆゆしく ゆゆ書いた!
 筆を握って 穂先を自分に向けまして 右筆右ほほ 左の筆は鼻頭 左のほほは舌でなめとけ 
 鼻からたれた墨が 薄まって 舌先から左ほほへ 次第に黒く
 渦巻きたるは 頭上と同じ それは ゆ の字だと ゆの時だと 試しにやれば きっと分かる
 ゆゆこが ゆゆこに ゆゆたる ゆゆしく ゆゆ書いた!」

あははははははははははははははははははははははははははははははは!

幽々子は妖夢の歌に合わせて顔にゆの字を書きながら大声で笑った
だから妖夢は幸せに思った だって主の命に従えたから 役に立てたのだから
きっとあの言葉は幽々子様の本意ではない。 そう信じたくて その通りで来た事に
胸ときめいた ゆゆこさまだいすきですを必死に伝えたくて 胸を膨らませた



あの言葉 あはあは笑いながら 幽々子様は 繰り返し言った

「妖夢がアスパラガスになってしまったようだからあはは マヨネーズもある事に気がついてしまったのあはは
 違うと言うなら笑わせて見なさいあはは 私を笑わせるアスパラガスなど見た事も無いものあはは 
 気が変わるかもあはは」

そして一言付け足した。

「あはあはでもね。 妖夢。 アスパラガスに毒なんて無いの」
「…… 幽々子様 それ 面白くありません」
「そうね」

幽々子は結局もぐもぐしてみた。
もぐもぐされたら それは とたんにひしゃげるわけじゃなくて
誘われるとはこういう事か ただひたすらに 胸が苦しい 
妖夢は その感覚を 句に残そうと思った 薄れ行く意識の中 初めて 幽々子に感じた想いを含めて詠った。



「教えてムネキュン私のハート



 この切なさの意味を教えて

 瞳の中にはあなただけ視野狭窄が始まるの

 心の芯からぼぉっとなって

 意識が霞んで考えられない

 想いが集って私をせめる

 耐え切れなくて心が痛む

 教えてムネキュン私のハート

 死にたくないとか考えても良いの?





 動悸が乱れてめまいもするわ

 まるで吸い込んだ空気が肺の中にたまっていく感じ。

 あなたに思いを伝えたくて胸を膨らませたのに

 ただ苦しいだけで吐き出せない

 吐き気ならいっぱいあるのにね


 教えてムネキュン私のハート

 

 何も言わないあなたの優しさ」





「その歌 はじめに聞きたかったわ あんな真実のギャグじゃなくて」









追いつめられると何をしでかすか分からない。
大切なのは明日です 明後日からはまともになりたいあはは試行錯誤中
らららくらら
コメント



1.ぐい井戸・御簾田削除
嵐を呼ぶ作家の後輪の悪寒
2.名無し妖怪削除
神経性…か?割とキてるタイプの毒だ
3.Tz削除
酔った。

いろんな意味で。
4.名無し妖怪削除
天才とナントカは紙一重と言いますが、その丁度境界線上に貴方は居るのでしょうか?
フランちゃんのお話も含め、貴方の文章に対して感想を書ける程の文章力は私には有りません。悔しいです。
5.名無し妖怪削除
心の奥底からスゲェと思った。
こうまでしなやかに織り込んだ文章は久しぶりにみた。
6.らららくらら削除
感想ありがとうございます。もっと研ぎ澄まされたいなぁ。