Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

湯冷めには注意

2009/09/13 22:30:39
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「うわぁ……凄い降ってきたわねぇ」

 霊夢はいつもと同じように縁側に座っていたのだが、雲の動きや空気の重さで、なんとなく天気が荒れると思い、居間に引っ込んだ。
 すると、どうだろうか。数分後には大雨になっていた。
 相変わらず、霊夢の勘は凄かった。

「だぁれか! 居ませんか!」
「……誰かしら」

 雨音に混じって、声が聞こえた。
 聞き慣れない声だった。
 博麗神社に訪れる者は、お賽銭的に悲しいが限られている。
 なのに、霊夢には誰だか分からない声だ。
 首を傾げつつ、障子を開き、外を覗く。
 すると――

「あーあんたここに住んでたのね。土砂降りだから、助けてくれると嬉しいな?」
「帰れ疫病蜘蛛」

 ヤマメが立っていた。
 速攻障子を閉めた。
 何故か、それは面倒なことになりそうだったからである。

「あ、酷い! 風邪引いちゃうってば。助けて~」

 雨音に混じってヤマメの声が聞こえる。
 霊夢は小さな声で、関わらない関わらないと呟き続けている。

「ぅ……助けて、ょ……っ!」

 段々と涙声になってきた。
 次第に小さくなる声は、雨音にかき消されてゆく。
 霊夢は、うーうー唸った後、勢い良く障子を開いた。
 そこには、俯いたまま肩を震わせているヤマメが立っていた。

「あぁもう! 入りなさいよ馬鹿!」
「良い……の?」
「良いからほら! 風邪引く――」
「そんじゃあお言葉に甘えて!」
「……は?」

 さっきまでの雨模様顔はどこへいったのか。
 ヤマメは、にぱっと明るい笑顔で中に入って来た。
 しばらく呆然としていた霊夢だが、やがて騙されたことに気付く。

「いやいや、巫女さんは優しいねぇ」
「捻り潰すわよ?」
「おぉ怖い」

 ケラケラと笑うヤマメを見て、完全な敗北感を覚えた霊夢だった。

「ってあんた、服脱ぎなさいよ!」
「えっちぃ」
「潰すわよ? 床が濡れてるから、ほら!」
「水も滴る良い女だね」
「くたばれ!」

 霊夢の投げた針を、ひらりと身を翻して避けるヤマメ。ヤマメが避けたことにより、ヤマメの背後にあった、霊夢のお饅頭に刺さった。世界中のお饅頭が餡という名の涙を流した瞬間だったが、割とどうでも良いので省略。
 その後も、攻撃を仕掛けるがあたらない。
 無駄にすばしっこい。
 避ける度に、辺りに水滴が散る。

「はぁ……もう良いから、脱ぎなさいよ」
「うん、私も疲れた」

 えへへっと赤い舌を出して、恥ずかしそうに笑うヤマメ。早くやめたかったようだが、意地になってたようだ。

「何処で脱げば良いかな?」
「湯が沸いてるから、お風呂場案内するわ」
「ん、あんがとー」

 おとなしく霊夢の後を付いていく。
 脱衣所で服を脱ぐ。
 華奢で白い肌が、露になった。

「うわぁ……あんた華奢ねぇ」
「そうかい? ……ってどこ見てるのさ!」
「んー?」

 霊夢の視線の先には、ヤマメの未成熟ぼでぃ。控え目ながらも、ほわっとしている胸を凝視していた。
 そして、小さくガッツポーズをする霊夢。

「んなっ!?」
「私の勝ちね」
「もうっ! そんなジロジロ見ないでよ!」

 顔を赤くして、細い足で霊夢をげしげしと蹴る。
 霊夢は、あーはいはいと言って居間へと引っ込んだ。

「……はぁ」

 ヤマメは自分の胸に両手で触れる。ふにっとした感触があるが、小ささを痛感した。
 少し落ち込んだ様子でお風呂へと入った。





 少女入浴中~





「ふぃ~っとねぇ」
「ん、湯加減どうだった?」
「熱かったよ。身体の冷えが無くなったよ、あんがと」
「どういたしまして。って服置いといたでしょう? 着なさいよ」
「えー……巫女服じゃん。何か動き辛そう」
「だからって下着姿だと湯冷めするでしょうが」

 ヤマメは霊夢から借りたドロワーズ一丁だった。
 お風呂上がりなので、身体は火照っているのが良く分かる。
 だが、そのままの姿では湯冷めして風邪を引くのが目に見えている。

「あんたさ、さらしは?」
「使ったこと無いから分かんなくて」
「……はぁ。ならせめて巫女服着ときなさい。風邪引くわよ?」
「病気を操る能力の私が風邪を引くとでも?」
「もう勝手にしなさい」
「あ、でも」
「ん?」
「さらし巻いて欲しいな。さすがに、ちょっと……恥ずかしいし」

 頬を人指し指でかきながら、そんなことを言うヤマメ。顔が赤いのは、お風呂上がりだからか、それとも恥ずかしさからくるものか。
 卓袱台に湯飲みを置いて、溜息を吐きながら立ち上がる霊夢。
 霊夢はさらしを手に持ち、ヤマメの背後に回る。

「まったく……」
「にはは、申し訳ないね。って痛い痛い!」

 さらしをキツくする。もちろんわざとだ。
 ヤマメが痛い痛いと喚き暴れるが、霊夢は左腕をヤマメのおへそに回し、暴れても意味が無いように固定。

「ちょ!? 潰れちゃうってば!」
「元から無いでしょうが」
「酷っ! 一応あるもん! 小振りなだけだもん!」

 しばらくそんなやりとりをして、ギャーギャーと暴れた。
 数分後、結局ちゃんとさらしを巻かれたヤマメ。

「ふぇ……」
「ん?」
「ふぇ~……」
「んん?」
「ふぇくちっ!」

 ヤマメがくしゃみをした。
 少し、肩を震わせている。
 霊夢は、大きな溜息を吐く。

「ほ~ら、みたことか」
「あ、あれ? い、いや、風邪じゃないよ? ちょーっち湯冷めしちゃっただけで……へくちゅっ!」

 わたわたと焦った様子で、否定をするヤマメ。しかし、くしゃみが止まらない。
 霊夢は立ち上がって、居間から消える。
 ヤマメが首を傾げる。一体何処へ行くのだろうか、と。
 しばらくして、霊夢が毛布片手に戻ってきた。

「あ、あんがと」
「だから巫女の言うことは聞いておくべきなのよ」
「いや、それはどうだろう」
「毛布貸さないわよ?」
「あ、はい、ごめんごめん」

 霊夢が毛布を渡す。
 ヤマメは、毛布を身体にぐるぐると巻く。
 顔だけちょこんと出るような感じだ。小動物にしか見えない。

「あんた、蜘蛛っていうより、小動物ね」
「お? それは可愛いってことだね」
「いや、まぁ」

 霊夢はジッとヤマメを見つめる。
 改めて見ると、さらりとした髪、くりくりと大きな瞳など、可愛い要素盛り沢山だった。

「うん、可愛いんじゃないかしら」
「はへ?」
「何よ、変な声出して」
「い、いや……実際そう言われると、照れますなぁって感じで……え、えへ」

 照れ笑いを浮かべるヤマメ。その様子さえも、可愛らしかった。

「ふむ……というかさ」

 霊夢はすっかり冷めてしまったお茶を啜りながら、話す。
 ヤマメをちらりと見て、また啜る。

「あんた、何しに地上に来たの?」
「むぅ、あんたあんたって……私は黒谷ヤマメっていう名前があるんだけど」
「は?」
「人はちゃんと名前で呼びましょう!」
「えーと、ヤマメ」
「あい、良く出来ました」

 にぱっと笑顔を浮かべるヤマメ。

「そういうヤマメは、私の名前言えるの?」
「……え?」

 霊夢の言葉に、笑顔が固まる。
 それを見て、霊夢はぴくっと反応する。

「あんた、もしかして……」
「い、いやぁ……あはは」
「博麗霊夢、よ」
「そうそれ! 霊夢だかられむれむって呼んで良いかな?」
「普通に霊夢って呼びなさいよ。それで、結局何しに来たのよ?」

 にぱっと笑うヤマメを見て、霊夢は怒る気力が無くなった。

「いやぁ、前に霊夢にやられた時から地上に興味持ってね。いざ来たは良いけど、まさかの土砂降り」
「帰れば良かったじゃない」
「霊夢にどうしても会いたくてねぇ……」
「私の名前を知らなかったやつが何を言うか」
「えへ、ごめんごめん」

 ペロッと赤い舌を出して、笑うヤマメ。

 その後も二人はなんてことない話をし続けた。
 しばらくすると、ヤマメがうとうとしているのが分かった。

「眠いの?」
「んー……疲れたのかも」
「寝ても良いわよ、外はまだ大雨だしね」
「ん、あんがとー霊夢」

 ヤマメは緩い笑みを浮かべた後、糸が切れたように眠った。
 体育座りしながら、寝てしまった。
 毛布にくるまっているから、霊夢にはどんな座り方しているかは分からないが。
 地上に来て、疲れたのだろう。

「すぅ……」

 穏やかに眠っているヤマメを見て、霊夢は大きな欠伸をする。

「ん、私も寝ちゃお」
「んみゃ……すぅ」

 畳に転がる。
 雨音を子守歌代わりに、霊夢も眠りについた。
 雨は、まだまだ止みそうに無い。
ヤマメ可愛いですよね。どうも喉飴です。ヤマメとかルーミアとか、もっとSS増えれば良いのにー。
お風呂上がりのヤマメを見てみたいです。絶対、より可愛いと思うのでぃす。
あと、湯冷めには気をつけましょうね。
そんにゃこんにゃではありますが、少しでも楽しんで下さったなら、嬉しいです。
うみゃ!
喉飴
http://amedamadaisuki.blog20.fc2.com/
コメント



1.名前が無い程度の能力削除
なんてったって地底のアイドルですもの、可愛くない筈がない!
毎度々喉飴おいしいです^p^
2.名前が無い程度の能力削除
ヤマさんが可愛いなあw
もちろん、ルーミアも可愛いですけど・・・w
いつもながら暖かいなあw
3.名前が無い程度の能力削除
俺の中ではヤマメは、滲み出るせくしぃキャラだったから新鮮なのですw
4.名前が無い程度の能力削除
ヤマメカワイイよカワイイよヤマメ

しかし一ボスなら秋姉妹を忘れてはいけない
5.薬漬削除
何このものすごく可愛いヤマメさん。
続編希望!
6.名前が無い程度の能力削除
れむれむは優しいなぁ
7.喉飴削除
>>1様
やっぱり可愛いですよねー。
ありがとうございます。

>>2様
ほえ、いつも読んで下さってるとはありがとうございます。
温かいお話が大好きなので、そう言ってもらえると嬉しいです。

>>3様
なるほど、せくしぃヤマメですか。
それも良いですねw

>>4様
みんな可愛いです!

>>薬漬様
続編は無いですねぇ、このお話が終わってしまっているので。
またこの組み合わせで書くことはあるかもしれません。

>>6様
なんだかんだで、相手を放ってはおけないようなタイプだと思います。
8.名前が無い程度の能力削除
ヤマメ♪ヤマメ♪喉飴さん♪
ヤマメの膨らんでるお腹には残りの脚が仕舞ってあるらしいですよ?
9.喉飴削除
>>8様
ふぇ!?
で、でもヤマメは可愛いですよね。
10.名前が無い程度の能力削除
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