Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

恋焦がれるふたり

2009/09/03 23:54:53
最終更新
サイズ
6.01KB
ページ数
1

分類タグ

 人里につづく林道で多々良小傘は隠れていた。
 勿論ここを歩いてくる人間を驚かす為だ。
 そしてそのチャンスはそこまでやってきている。
 向こうから女の子が1人で歩いてきたのだ。

 その女の子は黒い帽子に黄色い洋服で、見た目は小傘と同じくらいの
 背格好をしている可愛らしい少女だった。ただその左胸には丸い物体に
 コードのようなものが伸びている。

「なんだろうアレ?人里で流行っているアクセサリーかしら」

 そんな疑問が浮かんだが今はそれどころじゃない。
 もうすぐ女の子がやってくる、小傘は目を閉じ深呼吸を行い自分の傘を
 強く握りしめ気合を入れる。

「(今だ!)うらめしやー……ってあれ?」

 なんと飛び出した先にいたはずの女の子が忽然といなくなっていたのだ。
 もうそれは綺麗さっぱりと、最初から女の子なんていなかったかのように。

「ねぇ、何してるの?」
「っひゃあ!?」

 呆然としていた小傘の背後から突然声がした。

「なによぉ、そんなに驚かなくてもいいじゃない」

 その声の主はぷんぷんとほっぺを膨らましながらこっちを見ている。
 それは小傘の前を歩いていた女の子だった。前にいたはずなのに
 いつの間にか自分の後ろから現れたのだ。

 びびった。それはもう人生…もとい、妖怪生で一番の衝撃だった。
 自分の半身である唐傘も落とし、その場にへにょりと座り込む。
 ………少しだけチビッたのは内緒だ。

「大丈夫?どこか怪我でもしたの?」

 小傘の反応がないことに気づいたのか膨らましたほっぺを直して女の子が
 心配そうな顔で話しかけてきた。
 なんとか正気を取り戻し、慌てて手をパタパタ振って、

「アアッ、ダイジョブ、ダイジョブ!ケガナンテシテイナイデスヨ!!」

 ごめんなさい、全然正気ではないです。まだ心臓がドキドキバクバクしています。

「あっ、そうなの。よかった~。怪我させてたらお姉ちゃんに怒られちゃうとこだったよ」

 そんな小傘の思いを知ってか知らずか、女の子はにぱーと笑顔で言う。
 さっきの心配顔は私の為じゃなく自分の為だったのかい!と何とか落ち着いてきた心で
 ツッコんでおく。
 女の子は小傘に手を貸し、落ちた傘を拾いながら尋ねた。

「んで何してたの?」
「え?え~と実は…」

 傘を受け取った小傘は正直に言うか悩んだがここまできたらもういいだろうと結論づけて
 全てを話した。
 目の前の少女が人間ではないと気付いたからだ。あそこまで気配を完全に消すことができる
 人間なんていないのだ。あの紅白ですらどんなにしても気配くらいは感じた。
 ちなみに、黒白、さでずむ巫女はバリバリ気配を出しまくっていた。もう近づきたくない(特に後者)





     *             *             *                            





「ふ~ん、要するに人を驚かせてその心を食べる為にここに隠れていたわけね」
「うん」
「で、人間と勘違いして私を驚かそうとしたけど逆に私に驚かされたと」
「うぐっ…そのとおりです」
「全然ダメダメね、あなた」
「ぐふっ!ど、どこが?」
「まず怖くない」
「ひでぶっ」
「というかカワイイ」
「あべしっっ」
「むしろ萌え?」
「ガーーーーーーーーン!!!」

 バッサリ切られた。それも凄く清清しい笑顔でバッサリと。いや切られたのかこれ?
 でも妖怪としては致命的だよね。
 うぅ、私もなんとなく最近、人間を驚かそうとしてもみんなから今の彼女みたいな凄い笑顔で
 「イヤッフゥーーーーー!!!」ていう反応しか返ってこないことに疑問を感じていたんだよ。
 それを他人に直接言われるなんて……ヤバイ泣きそう。

「アハハ!でも良かったね。」

 彼女が大声で笑いながらこう言った。さすがにカチンときた。

「ぐすっ、なによ私の気持ちも知らないで、こっちは死活問題なんだから!」

 でも彼女は笑っている。そしてこうも言う。

「だから良かったんじゃない。私に出会えたんだから」
「えっ?」
「私はこう見えても誰かを驚かすことのプロよ。そういうことができる能力を持っているの。
 あなたも実感したでしょ」
「う、うん」
 彼女は(ない)胸を張って偉そうに言った。
 確かに気配もなく移動できる彼女の能力は驚かすという点においては素晴らしい。
 というか完璧である。

「その私があなたに人の驚かし方をレクチャーしてあげる。そしたら人間もまたあなたに
 驚かされること間違いなし!」
「ほ、ほんとに…」
「ええ、本当よ。でも…、でも1つだけ条件があるの」
「条件?」

 さっきまで笑っていた彼女の顔が急に曇り、そして黒い帽子を目元まで深くかぶった。
 なぜか私の心がズキズキと痛む。せっかく研究してた人の驚かし方を教えて貰える機会が
 なくなるかもしれないことへの痛みか、それとも別の何かなのかわからない。ただ一瞬見えた
 彼女の不安な、まるで私が条件を拒否するのを恐れるような表情がとても気になった。

「………………………」
「………………………」
「………………………」
「………………………」
「あ、あのね………………」

 長い沈黙を破り彼女が口を開く。左胸のアクセサリーに自分の手をあて、
 そして小さな、本当に小さな声で、

「私と友達になってください」

 そう呟いた。

 聞き間違いかと思った。けど、彼女の発した言葉の中で今の言葉が一番の本心なんだろうなぁ
 となんとなくわかった。
 でもなによそれ、こんな完璧で凄い能力を持っていてそれを教える為の条件がソレ?
 とても拍子抜けだわ。だから今度は私が笑ってしまった。

「フフッ、アッハハハハ!!」

 彼女がビクッと小さくなる。今にも消えてしまいそうなほどに。だから私は傘を高く広げ大声で言う。

「もうとっくに私たち友達でしょ」

 彼女が顔を上げた。驚いた表情で。

「あら、こういう驚かしかたもあるんだね。ごちそうさま」
「…本当に友達でいいの?………私、『覚』の妖怪なのよ。今、心は読めないけど」

 まだ不安そうな顔。
 『覚』 たしか昔読んだ本にあった。ヒトの心を読める妖怪。忌み嫌われて地底に追いやられたんだっけ?
 まあだからなんだというのか。

「それがどうしたの?私なんて付喪神、神様でもあるのよ。神様はそんなこと気にしないわ。
 友達になるのに種族って関係あるの?」
「……ううん、ありがと」

 頭を振り、そうして彼女は笑顔に戻った。いや、この笑顔はさっきまでの何倍も良い笑顔。
 まだ出会って少しだけど、たぶんこの子の真実のココロ。そう感じた。
 過去に何があったのか私にはわからないけど、彼女の心には雨が降り続いていたんだと思う。
 だったら誰かが傘を差してあげればいい。
 ちょうど私はからかさお化け。傘を差すのは大得意!ならばその役引き受けよう。
 友達もできて、人間の驚かし方も教えて貰える。こんな素敵なことなんて他にないよね!
 








 ここは人里につづく林道。

 一本の茄子色傘に少女がふたり仲良く並んでおしゃべり中。そこでひとりがふと思い出す。

「あ~、そういえばまだお互い名前も知らないままだったね。私の名前はこいし、古明地 こいしよ」

「こいしね。わちきの名前は多々良 小傘、愉快な忘れ傘だよ!」
こい(し)こが(さ)れるようなふたりが見たい


お初です。
小傘をはじめてみたとき、自分の中でこいしに人間の驚かし方を
教わる姿を想像しました。
このふたりは以外に仲良くなれると思います。
もるすあ
コメント



1.名前が無い程度の能力削除
イヤッフゥーーーーーー!!!
2.名前が無い程度の能力削除
タイトルうまい!
そして二人とも可愛いよぉ!イヤッフゥーーーーーー!
3.名前が無い程度の能力削除
こいこがイヤッフゥーーー!マンマミーア!
4.名前が無い程度の能力削除
イヤッフゥーーーー!
そーいや付喪"神"だったなぁ…
5.謳魚削除
では、私もあやかって。

こいしさんとこがさんイィィィヤッッフゥゥーーーーーーーー!!!
6.名前が無い程度の能力削除
イヤッフゥー!イヤッフゥー!イィヤッッフゥウウウ!
7.名前が無い程度の能力削除
タイトルがうまいwwww

もう小傘ちゃんの次回人気投票上位は決定してるんじゃないか、と思うこのごろ