Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

愛とか恋とか結婚とか繁殖とかまぁ生きてたら色々あるんだよ

2009/08/30 22:37:46
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 今日は師匠と里の民家巡り。
 普段は私やてゐだけで薬の補充をおこなうだけなんだけど、定期健診というやつなのだそうです。
 触診に問診。簡単なものだけだけど、里の人全員におこなうので五日がかり。長丁場。
 師匠も頑張るよね。お金余計に貰えるわけじゃないのに。

 そんなわけで本日最後の健診。
 近々結婚なさるのでは?と近所で噂されてる女性の方です。
 検診結果は正常で、機材を仕舞う間のちょっとした雑談ちうなのです。
 ふふふ、幸せな人は呪われてしまえ。良い人なんぞおらぬぞ。欲しいぞ。

「最近あの人のことを思うと、胸が苦しくて」
「あぁ、あれですね。お医者様でも草津の湯でも、っていう」
「えぇ」
「あはは、困りましたね、それに効く薬なんて持ってないですよ」

 惚気が耳に痛む。耳長いから通常より痛む。ヘナッてるから面積大きい。
 妬ましい。
 でもこれおおっぴらに云うと水橋さんがキャラ取られたって妬むからミュート。お口にチャック。

 と、そんな話をしていると、師匠がなにやら驚いた顔で思案している。

「胸が痛むの。じゃあ痛み止めを処方した方が良いかしら」

 一瞬意味が判らなかった。

「ええええええええ!!?」

 本気にした!
 この人本気にしたよ!

「え、あ、えっと」

 あぁ、困った顔してる! 師匠がマジ顔だから困った顔してる!
 もっとやれ!

 こほん。落ち着こう。まずは。

「ん? どうしたの? 二人揃って鳩が豆鉄砲食ったみたいな顔をして」
「あ、あの、ですね、師匠。今のはその、病気じゃなくてですね?」
「? でも、傷は……もしかして内臓? 困ったわね、他に不調はない?」
「すみません。この人そういうのすっごく疎くて!」

 何故私が詫びねばならぬのか!

 しかしひとまずとりあえず、私は里の方に勢い良く詫びておいた。
 するとそのお姉さんは、あらあらと楽しげに微笑んでくれた。
 好かった……師匠が扱いにくい人って認識されるより先に鈍感な人って認識されたようで好かった。

「え? なんなのよウドンゲ。どういうこと?」
「後で説明します。とりあえず用事は済んだので帰りますよ」
「何よ、教えなさいよ」
「拗ねた顔しないでください!」

 可愛いなこの人!
 恋愛経験ないって云ってたしなぁ。いいなぁ。
 願わくばこのまま独り身でいて欲しい。

「……何か呪いを感じたのだけど」
「気の所為であります師匠。師匠を呪う様な人おりません」
「そう」

 私兎だし。
 うさっ。

「それで、さっきの娘さん、なんで胸を痛めたのに無事なの? もしも悪質の病だったら」
「場合によっては不治ですが場合によっては数秒で治ってしまう気まぐれな病なのでお気になさらず」
「……風邪?」
「それは場合にもよりますが。でも人に感染は……するかも」
「それかなり危険な病気何じゃない」

 場の空気というものがありますね。
 あと人は兎と似て万年発情期とも云うから、もしかするとそういう発情細菌が周囲で覚醒すると誘発して症候群になったりするのかもしれない。
 世に云うところの、ベビーブーム。
 ビバ次世代作成期。全生命の繁殖期。
 ……増えすぎても嫌ですか。そうですね。
 人類うじゃうじゃ。
 置いておいて。

「えっと、師匠って人を好きになったことありますか?」
「ウドンゲのことは好きよ」

 わひゃぁ!?

「そそそういうここととであらずの!」
「落ち着きなさい」
「いえすまいますた」

 深呼吸。
 心を静める。
 無の境地。
 かわいいな師匠
 去れ煩悩。

「あのですね、親愛友愛と違いまして、繁殖用のごふんごふん」

 噎せた。

「えっと、男性と女性が愛し愛され結ばれて子を成すような恋愛的な好きです」
「……要するに恋愛ってこと?」
「ですです」

 そう云えば通じたんだ。

 すると師匠思案顔。

「……えっと、恋ってことよね。恋ね……」

 すごい。未だかつて見たことのない苦悩顔。

「……一度あったようななかったような」

 あれ意外だ!?

「え、それどんなんです? 園児の時のですか、学校でですか、それとも道をすれ違った人ですか?」

 なんかワクワクしてきた。どんなほのぼのした恋愛をしてきたのか。
 そして師匠に惚れられた相手が少し、もといかなり妬ましい。

「あれよ、えっとなんだったかな」
「はいはい」
「えっとねぇ。そう、あれは私が蓬莱の薬を作った後」
「はいはい」
「その薬を輝夜が飲んだ時に」
「……はい?」
「すっごく、ゾクゾクしたのを憶えてるわ」
「それ恋違う! 師匠、それ恋と違う何かです!」

 全然甘くなかった! むしろ苦かった!
 だからこの人、処方した薬を目の前で患者が飲む時あんな嬉しそうな顔してたのか! 満面の笑みだったよ。艶っぽかったよ!

 恐ろし。あな恐ろし。

「そういうなんか胸キュンな出来事じゃなくてですね」
「そういえばあの時別に男性はいなかったわね」
「もっと早く気付いて」
「これが同性愛?」
「違う何かです。もっと別の何かです」
「そうなの?」

 危ない。この人ちょっとからかって嘘云ったら信じそう。
 用心しないと。
 ……興味あるけど。でも自重しないと。

「いいですか、師匠」
「はい」

 ……なんかゾクゾクっとした。
 これが恋?

 ペッ。
 甘くないという。

「恋というのはですね、相手を好いて、いつまでも一緒にいたいと思う気持ちなんです」
「じゃあ輝夜やウドンゲはそれに当てはまるのだけど」

 胸キュンさせるなばかぁ!
 そうじゃないの!
 ちょっと違うの!
 たぶん!

「えっとですね! いいですか! そうじゃないんです!」
「お、おぉ」
「いいですか! もっとこうなんか、ラブなんです! 胸の奥が熱くなる、ラブなんです!」
「ら、らぶ?」
「ラブ!」

 通じるのかコレ!? いや、迷うな! 届け私の想い!

「ら、らぶ……」
「えっとですね! こう熱く滾る欲求というか劣情というか下心というか! 萌えるの!」

 まずい、暴走が。落ち着け、落ち着くの……私は良い子! 賢い子!

「落ち着いて、師匠」
「え、私?」
「すみません私です」
「そうよね」
「はい」

 脳が炎上中……
 というかちょっと戸惑ってた師匠が可愛すぎる。
 置いておく。

「あのですね、その恋心が胸を締め付けるように痛んだりするわけです」
「胸を?」
「こう、キュッと痛くなるんですよ」
「えっと、山葵食べて鼻の奥がツンとする感じ?」
「せめて感動した時に鼻の奥が痛むとかいってください。そんな感じです」
「恋って痛むのね」
「なんか誤解された気がする」

 また難しい顔してる。

「治療はどうしたら」
「しちゃいけません。それこそ死ぬほど呪われます」
「治したのに?」
「この世には治しちゃいけない病もあるんです」
「なるほど、共存してる寄生虫みたいなものね」
「喩え最悪ですがまぁそんな感じです」

 恋愛を寄生虫と言い切って好かったのだろうか。
 まぁいいや。

「一つ賢くなったわ」
「うわっ、眩しっ!」

 師匠がキラキラ光ってる!

「薬学に関しては人類の及ばない叡智を持ってるのに……」
「あら。人は生きていく内に色々と学ぶのよ」
「ことこれに関しては遅すぎるような」
「学ぶことに遅いはないわ」
「いいこと云った」

 でも適齢期ってあるんですよ?

「鈴仙。恋しなさい」
「問わせてください。何故ですか」
「どういう感じか臨床したいのよ」
「まことに残念ながら相手が居ません」
「とりあえず私に恋してみたら?」
「え、いや、そんなに自由に恋はできないわけで」
「えー」

 わー、不満そう。

「好きになるのは偶然なんです」
「そんな運任せなの?」
「まぁそうです」
「それで、私を恋せる確率はどのくらいなのかしら?」

 本人気付いてないんだろうけど、さっきから殺し文句がマシンガン。
 惚れるぞこの野郎。

「私同性は無理です」
「薬と手術の力を持ってすれば、性転換なんて」
「私♀から♂になる気は毛頭ございませんが」
「なら私が」
「やめてー!」

 自分さえ実験動物か! 自分を大事に!

「何よ、生えるくらいじゃない。あと乳房がなくなる程度」
「程度と言い切らないでください超重大です」
「嫌になったらすぐに戻せばいいじゃない」
「生命の神秘に喧嘩売らないで……」

 月の医学恐るべし。

「さしあたって、ゆっくり学んでいってください。きっと師匠にも好い相手が見つかります」
「別に私子供いらないしなぁ」
「身も蓋もないな。でもそうですね、不老不死ですし」
「正直面倒を見るのは面倒くさいわ」
「折角フォローしようとしたのに!」

 台無しさ!

 でも、仕方ないのかな。
 やっぱり死なないから子供いらないのかな。
 つまり永遠に繁殖しない気かな。
 でも、それもいい。
 なんか師匠が誰かといちゃいちゃしてるの見たくないし。

「ウドンゲはどうなの?」
「私ですか? そりゃ恋したいですよ」
「ということは、死ぬまでにはするのよね?」
「そりゃ繁殖しないと。ぽんぽんと」
「じゃあ、恋したら教えて。臨床するから」
「うお、恐っ!?」

 甘酸っぱい恋に早くも暗雲!

 ……でも、私はしないと駄目だからなぁ。うぅ、我が青春が……
 恐いなぁ。恋人出来ても内緒にしたいなぁ。
 さもないと、絶対途中で師匠は脳を見ようとすると思うんだ……

 ……隠せばいいじゃない!

 そうよ、隠し通す。そしていつの間にか産む。
 それで好し! これでいこう!

 というわけで相手募集中です。できれば兎希望で。
 お電話待ってます。あ、手紙もメールも永遠亭宛てで大丈夫です。
 またねぇ。
永遠亭の未来に幸あれ。
焼き竿
コメント



1.名前が無い程度の能力削除
はい!是非とも私がお相手をば!
え?おまえ人間だろうって?
いやいや立派な兎詐欺(うさぎ)ですよ!
2.削除
>>胸キュンさせるなばかぁ!

胸キュンさせるなばかぁ!
3.アステルパーム削除
永琳が……かわいい、だと?
うどんげの表現が上手くて
>というかちょっと戸惑ってた師匠が可愛すぎる。
に激しく同意。
4.名前が無い程度の能力削除
永琳の可愛さに胸キュン

こんな永琳もいいなぁ…
5.謳魚削除
えーりん先生は永遠の乙女(キリッ)

っつーか生娘。いや凄く好みですが。
6.Ninja削除
ちょっと君たち可愛すぎるんですけどw
これは電話しちゃうぞ!
7.名前が無い程度の能力削除
なんというかわいい師弟。
8.名前が無い程度の能力削除
これはキタw
こう胸がグッと
はっ! もしやこれが恋!?
9.名前が無い程度の能力削除
なんて乙女な師匠さんでしょうかwww


ぬ~ん…
連絡しようと思ったが電話番号もアドレスも知らない…
だれか教えてくれませんかね?
10.名前が無い程度の能力削除
永遠亭宛てでどうやって隠し通すつもりだw
11.名前が無い程度の能力削除
幻想郷に行きたいわ
12.名前が無い程度の能力削除
できるといいですね、恋
13.名前が無い程度の能力削除
胸を掻き毟って悶え苦しむほどに永琳がかわいい
14.GUNモドキ削除
医学馬鹿(天才)も極めりゃ萌える。

あ、今なんか悟りが開いた。
15.奇声を発する程度の能力削除
師匠に萌えたwwww
16.名前が無い程度の能力削除
ししょおおおお
17.名前が無い程度の能力削除
言い回しとリズムがすげえ
18.理工学部部員(嘘)削除
永琳が美しいと思ったり、
変人だと思ったことはあったけど、
可愛いと思ったのは初めて
うどんげの心の表現が上手いなあ
あと、読みやすくて、
面白かったです!