※前作品集の「冬妖怪は夏に眠れない」のびみょんに続きです。
その日も、幻想郷はうだるように暑かった。
具体的には、霊夢がお茶を飲む気力を失う程度に。
「う~あ~……」
じりじりと焼け付くような陽射しが、地面に跳ね返って容赦の無い熱気を撒き散らしている。
力ない呻き声をあげて、霊夢は床の木目の上を転がる。
じっとりとしみ出す汗を避けるようにごろごろごろ。きりがない。
「なんとかしなさいよ、そこの冬妖怪……」
近くで自分以上にぐったりしている影を見やって、霊夢は呟いた。
「む~り~……」
返ってくるのは力ない声。
「何のために拾ってきたと思ってるのよ……」
「だから~、寒気が無いと~、寒くできないんだってば~……」
真夏には不似合いなその影は、日陰に仰向けになって呻いていた。
先日、洞穴から霊夢が冷房用に拾ってきた冬妖怪、レティ・ホワイトロックである。
「役に立たないわねえ……」
「仕方ないでしょ~……」
「てゆか、だったらここに居座ってないで帰りなさいよ……」
「自分で連れてきておいてそういうこと言う~? ひどいわ~……」
冷房を拾ってきたら動かないポンコツだったというだけの話である。
しかし暑すぎて棄てに行く気力もない。
チルノにしておけば良かったと後悔しても遅いのだ。
「こんな炎天下じゃ、寝床に着く前に溶けちゃうわ~……」
じりじりじり。どんなに恨めしく見上げても陽射しは脳天気に降り注いでいる。
溶ける、というか焦げる。普通に死ねる。暑い、と不平を口にする気力もない。
「萃香の奴……帰ったら豆ぶつけてやるわ……」
萃香はとっくに天界に避難していた。この真夏でも常春のあそこは過ごしやすいだろう。
それについていく気力も沸かないほど暑いのだからどうしようもないが。
ぐったりとため息を漏らして、霊夢はレティの方を見やる。
「せめてあんたは、その暑苦しい服脱いだらどうなのよ?」
「ふえ? え、えええ~……」
レティはこの暑さだというのに、冬場のあの格好のままである。見てるこっちが暑い。
霊夢の方はとっくに巫女装束を脱ぎ捨てて、さらしとドロワーズだけになっていた。人目を気にしていられる暑さではない。
「れ、れいむの方こそ、もう少しこう~……そんな格好、はしたないわ~……」
「そんなこと言ってられる暑さじゃないわよ、これ……」
いっそドロワーズも脱いでしまいたい。さすがに露出狂のレッテルを貼られそうだが。
「う~……」
赤くなってレティは呻く。……ええい、だから見れば見るほど暑苦しいのだ。
ずりずりと霊夢はレティの方に這う。「れいむ~?」と振り向いたレティの上着に手を掛けた。
「ええい暑苦しい、脱げ、いいから脱げー」
「ひゃああ!? れ、れいむ、やめ~……」
もがくレティを押さえつけて、霊夢はその暑苦しい上着を脱がしにかかる。
はだけてまくりあげると、雪のように白い肌がのぞいた。触れてみるとひんやりとしている。
体温が低いのだろう。「ふひゃあ」とレティが声をあげた。
「れいむ~、だからやめ……」
「あー……人肌クーラーって手があったわね……」
「うえええ!?」
気温が体温より高いのであれば、くっついていた方が涼しいという話である。
レティの体温は常人より低いようだし、こうなったらそれしかあるまい。
「な、なにいってるの~」
「常識的な提案のつもりだけど。……あんたもくっついてた方が涼しいわよ、これじゃ」
ぺと、と頬をレティのお腹にくっつけてみた。本当に冷たくて気持ちよかった。
ひゃあう、と悲鳴をあげるレティのことは、とりあえず無視。
「だ、だめよ~、れいむ~……」
「何よ、このままじりじり溶かされるよりはいいでしょ?」
「……は、恥ずかしいから~」
「うっさい」
ええいもうまどろっこしい。霊夢は無理矢理レティの服を全部脱がしにかかる。
抵抗するレティを押さえつけて格闘することしばし、ドロワーズ一丁の姿にまで脱がし終えて、そして霊夢は倒れ込むようにレティに重なった。
……無駄な体力を使ってしまった。
「れいむ~……ひどいわ~……」
しくしくとレティが泣いている気がしたが、反応する気力もない。
ぼふりとその柔らかくて冷たい身体に折り重なる。……ああ、気持ちいい。
「あー……あんたって柔らかくて抱き心地いいわね……」
「柔らかいとか言わないで~……」
「もう動く気力無いから、あんたもじっとしてなさいよ、暑いし……」
「う~……」
呻くレティに構わず、その胸元に顔を埋めて、霊夢はレティにしがみつく。
むぎゅう。人肌クーラーが心地よいのは本当だった。なるほどこれは悪くない……。
「れいむ~……」
「あによ」
「この状況って、誰かに見られたら激しく誤解を招きそうなんだけど~……」
「どうでもいいでしょそんなの……」
「どうでもよくないわ~」
「いいわよ、そうなったらそうなったで、もう……」
ふへ、と目をしばたたかせるレティに構わず、霊夢は目を閉じる。
とりあえず後は寝て、熱気が過ぎ去るのを待つしかない。
「……れいむぅ」
困り声のレティに構わず、霊夢はぎゅっとその柔らかい身体を抱きしめた。
――レティの心臓の音がやけにうるさく聞こえたのは、気にしないことにした。
その日も、幻想郷はうだるように暑かった。
具体的には、霊夢がお茶を飲む気力を失う程度に。
「う~あ~……」
じりじりと焼け付くような陽射しが、地面に跳ね返って容赦の無い熱気を撒き散らしている。
力ない呻き声をあげて、霊夢は床の木目の上を転がる。
じっとりとしみ出す汗を避けるようにごろごろごろ。きりがない。
「なんとかしなさいよ、そこの冬妖怪……」
近くで自分以上にぐったりしている影を見やって、霊夢は呟いた。
「む~り~……」
返ってくるのは力ない声。
「何のために拾ってきたと思ってるのよ……」
「だから~、寒気が無いと~、寒くできないんだってば~……」
真夏には不似合いなその影は、日陰に仰向けになって呻いていた。
先日、洞穴から霊夢が冷房用に拾ってきた冬妖怪、レティ・ホワイトロックである。
「役に立たないわねえ……」
「仕方ないでしょ~……」
「てゆか、だったらここに居座ってないで帰りなさいよ……」
「自分で連れてきておいてそういうこと言う~? ひどいわ~……」
冷房を拾ってきたら動かないポンコツだったというだけの話である。
しかし暑すぎて棄てに行く気力もない。
チルノにしておけば良かったと後悔しても遅いのだ。
「こんな炎天下じゃ、寝床に着く前に溶けちゃうわ~……」
じりじりじり。どんなに恨めしく見上げても陽射しは脳天気に降り注いでいる。
溶ける、というか焦げる。普通に死ねる。暑い、と不平を口にする気力もない。
「萃香の奴……帰ったら豆ぶつけてやるわ……」
萃香はとっくに天界に避難していた。この真夏でも常春のあそこは過ごしやすいだろう。
それについていく気力も沸かないほど暑いのだからどうしようもないが。
ぐったりとため息を漏らして、霊夢はレティの方を見やる。
「せめてあんたは、その暑苦しい服脱いだらどうなのよ?」
「ふえ? え、えええ~……」
レティはこの暑さだというのに、冬場のあの格好のままである。見てるこっちが暑い。
霊夢の方はとっくに巫女装束を脱ぎ捨てて、さらしとドロワーズだけになっていた。人目を気にしていられる暑さではない。
「れ、れいむの方こそ、もう少しこう~……そんな格好、はしたないわ~……」
「そんなこと言ってられる暑さじゃないわよ、これ……」
いっそドロワーズも脱いでしまいたい。さすがに露出狂のレッテルを貼られそうだが。
「う~……」
赤くなってレティは呻く。……ええい、だから見れば見るほど暑苦しいのだ。
ずりずりと霊夢はレティの方に這う。「れいむ~?」と振り向いたレティの上着に手を掛けた。
「ええい暑苦しい、脱げ、いいから脱げー」
「ひゃああ!? れ、れいむ、やめ~……」
もがくレティを押さえつけて、霊夢はその暑苦しい上着を脱がしにかかる。
はだけてまくりあげると、雪のように白い肌がのぞいた。触れてみるとひんやりとしている。
体温が低いのだろう。「ふひゃあ」とレティが声をあげた。
「れいむ~、だからやめ……」
「あー……人肌クーラーって手があったわね……」
「うえええ!?」
気温が体温より高いのであれば、くっついていた方が涼しいという話である。
レティの体温は常人より低いようだし、こうなったらそれしかあるまい。
「な、なにいってるの~」
「常識的な提案のつもりだけど。……あんたもくっついてた方が涼しいわよ、これじゃ」
ぺと、と頬をレティのお腹にくっつけてみた。本当に冷たくて気持ちよかった。
ひゃあう、と悲鳴をあげるレティのことは、とりあえず無視。
「だ、だめよ~、れいむ~……」
「何よ、このままじりじり溶かされるよりはいいでしょ?」
「……は、恥ずかしいから~」
「うっさい」
ええいもうまどろっこしい。霊夢は無理矢理レティの服を全部脱がしにかかる。
抵抗するレティを押さえつけて格闘することしばし、ドロワーズ一丁の姿にまで脱がし終えて、そして霊夢は倒れ込むようにレティに重なった。
……無駄な体力を使ってしまった。
「れいむ~……ひどいわ~……」
しくしくとレティが泣いている気がしたが、反応する気力もない。
ぼふりとその柔らかくて冷たい身体に折り重なる。……ああ、気持ちいい。
「あー……あんたって柔らかくて抱き心地いいわね……」
「柔らかいとか言わないで~……」
「もう動く気力無いから、あんたもじっとしてなさいよ、暑いし……」
「う~……」
呻くレティに構わず、その胸元に顔を埋めて、霊夢はレティにしがみつく。
むぎゅう。人肌クーラーが心地よいのは本当だった。なるほどこれは悪くない……。
「れいむ~……」
「あによ」
「この状況って、誰かに見られたら激しく誤解を招きそうなんだけど~……」
「どうでもいいでしょそんなの……」
「どうでもよくないわ~」
「いいわよ、そうなったらそうなったで、もう……」
ふへ、と目をしばたたかせるレティに構わず、霊夢は目を閉じる。
とりあえず後は寝て、熱気が過ぎ去るのを待つしかない。
「……れいむぅ」
困り声のレティに構わず、霊夢はぎゅっとその柔らかい身体を抱きしめた。
――レティの心臓の音がやけにうるさく聞こえたのは、気にしないことにした。
甘さに悶絶
夏の熱さを加速させてるのはあんたらだw
これからは自分も非力ながら、くろまくみこの普及に勤めますww
4に続くぜ!
よし、まずは布団を一つだけしこう
そこに二人で潜り込むんだ
さぁ続きをどうぞ
ここはチーちゃんも交えて一家団欒でワンクッションを入れてからですn(神霊「アイシクル夢想ウィザラウェイ」
とゆーわけで続いてみたw
良いなぁ人肌クーラー^∀^
流れにのってみたw
前作も読んできましたが、レティを可愛いと思ったのは初めてやなぁw ナイスカプGJ
俺的に間延びした話し方って幽々さまのイメージなので、ちょっと違和感……