『鬱エンドなんざ認めねぇ!』
――これは、悲しき運命に風穴を開ける、熱き少女達――鬱フラグブレイカーズの物語である。
稗田 阿求の命は、風前の灯火であった。
御阿礼の子供として生を受け、ただ幻想郷縁起を記すためだけに生きてきた。
その役目を終えた今、この世を去るのは当然なのだろう。
彼女自身、そんな事は承知していたし、不満はなかった。
不満はなかったが。
「これで、お別れかしらね」
目に浮かぶは、楽しげな人妖達の笑顔。厄介だけど、実に気持ちの良い連中で。
「嫌だなぁ」
未練だった。
最高の友人達が出来たのに、自分だけが逝ってしまうなんて。
生きていれば、まだまだ楽しい事があっただろうに。
「死にたくないよ」
堪えられず、涙がこぼれ落ちた。
その瞬間だった。
「ちょっとォォォォォォ! 誰も入れるなって言われてんですからァァァァ!!」
「どきなさい。今の私は押せ押せモードなのよ」
女中を押し退け、ガラリと戸を開いて入って来たのは、完全で瀟洒な従者――十六夜 咲夜だった。
「あなたは」
「お久しぶりですわ。最近宴会に顔を出さないと思えば、何をウジウジしているのかしら」
ああ。なんて事だ。
彼女達に会ってしまえば、余計辛くなると思って遠ざかったのに。
「帰って下さい」
「帰る理由がありませんわ」
冷たい言葉にも、表情一つ変えずに咲夜は応える。
業を煮やし、阿求は真実を告げる事にした。
「私、死ぬんです」
「面白い冗談ね。念仏でも唱えてあげましょうか。ナンマイダー」
薄笑いさえ浮かべながら、咲夜は言う。
……冗談だって? 人の気も知らずに!
我慢できず、阿求は咲夜に掴み掛かる。
「アンタって人はァァァァ!!」
「あら、死ぬ割には随分と元気ねえ」
咲夜の言葉によって、阿求は己の体の変化に初めて気付いた。
僅かの活動でも軋みを上げていた肉体が、脳の命令に従い、淀みなく動くのだ。
「これは……」
「私の能力を忘れたのかしら」
十六夜咲夜。時間を操る程度の能力。――まさか!
「その通り。伸ばさせて貰ったわ。だいたい五十年ってところかしら」
「そんなことが、可能なのですか」
「可能だからやったんじゃない……さてと」
当然の様に言い放ち、咲夜は阿求に背を向ける。
「今夜、博麗神社で会いましょう。――あなたの時間は私達のもの……。宿命なんかにくれては、やらない」
十六夜 咲夜。どこまでも瀟洒な鬱破壊であった。
――これは、悲しき運命に風穴を開ける、熱き少女達――鬱フラグブレイカーズの物語である。
稗田 阿求の命は、風前の灯火であった。
御阿礼の子供として生を受け、ただ幻想郷縁起を記すためだけに生きてきた。
その役目を終えた今、この世を去るのは当然なのだろう。
彼女自身、そんな事は承知していたし、不満はなかった。
不満はなかったが。
「これで、お別れかしらね」
目に浮かぶは、楽しげな人妖達の笑顔。厄介だけど、実に気持ちの良い連中で。
「嫌だなぁ」
未練だった。
最高の友人達が出来たのに、自分だけが逝ってしまうなんて。
生きていれば、まだまだ楽しい事があっただろうに。
「死にたくないよ」
堪えられず、涙がこぼれ落ちた。
その瞬間だった。
「ちょっとォォォォォォ! 誰も入れるなって言われてんですからァァァァ!!」
「どきなさい。今の私は押せ押せモードなのよ」
女中を押し退け、ガラリと戸を開いて入って来たのは、完全で瀟洒な従者――十六夜 咲夜だった。
「あなたは」
「お久しぶりですわ。最近宴会に顔を出さないと思えば、何をウジウジしているのかしら」
ああ。なんて事だ。
彼女達に会ってしまえば、余計辛くなると思って遠ざかったのに。
「帰って下さい」
「帰る理由がありませんわ」
冷たい言葉にも、表情一つ変えずに咲夜は応える。
業を煮やし、阿求は真実を告げる事にした。
「私、死ぬんです」
「面白い冗談ね。念仏でも唱えてあげましょうか。ナンマイダー」
薄笑いさえ浮かべながら、咲夜は言う。
……冗談だって? 人の気も知らずに!
我慢できず、阿求は咲夜に掴み掛かる。
「アンタって人はァァァァ!!」
「あら、死ぬ割には随分と元気ねえ」
咲夜の言葉によって、阿求は己の体の変化に初めて気付いた。
僅かの活動でも軋みを上げていた肉体が、脳の命令に従い、淀みなく動くのだ。
「これは……」
「私の能力を忘れたのかしら」
十六夜咲夜。時間を操る程度の能力。――まさか!
「その通り。伸ばさせて貰ったわ。だいたい五十年ってところかしら」
「そんなことが、可能なのですか」
「可能だからやったんじゃない……さてと」
当然の様に言い放ち、咲夜は阿求に背を向ける。
「今夜、博麗神社で会いましょう。――あなたの時間は私達のもの……。宿命なんかにくれては、やらない」
十六夜 咲夜。どこまでも瀟洒な鬱破壊であった。
洋画のクライマックスのような、スピード感が清清しいww
是非とも他の組み合わせも
ところで右腕に制御棒を持つ少女の活躍はいつですか?