「きょーうはうーさぎのおとしあなー」
今日も今日とて永遠亭。
うさぎ達の総元締、因幡てゐは元気に落とし穴を掘っていた。
「ふっふっふ、こないだの騒ぎから鈴仙調子に乗ってるからね。
ここらでがつんとやっておかなきゃ」
そういいながらも落とし穴の下にクッションを引くあたり、
それも鈴仙がてゐに嫌われていないことを自覚した原因の一つであることに気づいている様子は無い。
「さて、ここらでいいかな~♪」
穴を掘り終わって、いい汗をかいたと一休み。
健康には適度な運動も不可欠なのだ。
そう、それはいつものこと。
いつものことで、終わるはずだったのだ。
倒れている鈴仙を見つけるまでは。
「ちょ、鈴仙!なにやってんの」
「あ、てゐ」
ふにゃ、と弱弱しく笑う鈴仙。
服はどこかに引っ掛けたのか鉤裂きだらけ、所々に血がにじんだひどいありさまだ。
「よかった、私、無駄死にならなくて、すみそうだね」
「な、ばか!なに、何が?!」
「お願い、師匠たちに伝えて。もう、月の奴らは目的を果たしたって」
「私がいなくなるから、もう月のことは心配しなくて良いって」
「そ、んな」
鈴仙は震える手でてゐの頬を撫でる。
「ね、てゐ。いままでありがとう」
「だめ、そんなことを言ったらだめ!」
長く生きたてゐは知っている。
こんな状況で御礼を言われて、嬉しかったことなど無いのだ。
鈴仙の手を掴んで強く握り返す。
それに鈴仙が少し、微笑んだのが分かった。
「てゐは、私のこと嫌いだったのかもしれないけど、
わたし、てゐのこと……」
鈴仙の手から力が抜ける。
てゐは、同じことを、もう何度も経験していた
「ばかれいせん……」
「てーゐー!れいせーん!」
永琳が探しに来たときには、もう鈴仙は冷たくなっていた。
てゐはやさしく鈴仙の手を擦るだけ。
もう、間に合わないことは分かっていたから。
「な、鈴仙!どうしたの!」
「お師匠様、遅い。もう、鈴仙は……」
そういうてゐを押しのけて、永琳は鈴仙の体を診察する。
と、懐から薬の包みを一包取り出し、鈴仙に嗅がせたかと思うと、
「くしゅんっ」
鈴仙がくしゃみをしてとびおきた。
「くしゅんっ、くしゅ、な、何これ、くしゅっ」
呆然とするてゐに永琳は言う。
「だめよてゐ。これ、多分『死にフラグダケ』だわ。
相手のやってる死にフラグに付き合ってるとどんどん悪化しちゃうんだから」
「え、じゃあれいせんは……」
「あの通り」
そこにはくしゃみを連発する鈴仙の姿が!
「どっかで変なモノ食べたんじゃない?まったく人騒がせねえ」
「えーと、ちなみにお師匠様、これって死にフラグ途中の記憶とかは……?」
「ばっちり残っているはずよ」
にやにやと笑いながら永琳は言う。
「何言ったのかは知らないけど、ちょっとは素直になったほうが良いんじゃないかしら」
しばらくしてくしゃみが落ち着いたのか、鈴仙がハンカチで鼻を拭きながら近づいてきた。
「ごめんね、てゐ心配かけて」
「……別に、心配なんて」
「だって、てゐ、目が赤い」
ばっと目を隠すてゐ
「うさぎの目はもともと赤いでしょうに」
呆れ顔の永琳
「えーと、あれ、てゐ泣いてたんじゃないの?」
追い討ちをかける鈴仙
手まで真っ赤になったてゐは耐え切れなくなったのかプルプルと震えだし、
「あ-もう!鈴仙のばか!あほどじまぬけー!!」
だだだだだっと走り出して、
「あ。」
その日、永遠亭近くの竹林では、落とし穴に落ちるてゐが観察されたという。
ああもう可愛いなぁ、てゐ可愛い。
>大事な弟子をそう簡単に手放す師匠はいない
ガチだったのかもしれないのか……w
てゐが可愛すぎて生きるのが楽しい
なぁにすぐ戻るさ
ここは俺が行く
どうぞ どうぞ
てゐのかわいさに2828w
\(^q^)/