ふと気付いたら、自分の居場所を見失っていた。
-
そしてじべたから、天上を見下ろしていた。
あれからどれくらいの時が流れたかはおおむねにおいても定かではないけれど、
ふと立ち寄ったその場所で見た私達の行動の結果に愕然とした。
と思ったけれど、先入観の問題で、やっぱり愕然とはしなかった。
深い深い地面の上で、ここに押し込められたものはどんな事を考えているのかと、
ちょっと気にもなったりはしたが、別に私とは違う生き物なので、
それも結局どうでもよかった。
感情に走って余計なことばかりを思考するのはあまり良くないクセだなと思う。
しかしこれは人間特有のものなのかなとも思うと、少し気が晴れた。
私は人間だろうか。
帰り際、ふと振り返ると、そこには地面の奥底で普通に生を営んでいるそれらが居た。
やはり先入観はよくない。住む場所がやや違うだけで、根本的には皆一緒なのだから。
でも、もう当面来なくても良いかなと思った。
少なくとも彼女たちだけでこの世界は回っているし、
何よりここは私のいる場所ではないから。
-
そして天上から、じべたを見上げていた。
場所が違えば時の流れも違うのだろうかと思ってやってきたが、
別にそんな事はなく、時間の流れはおおむねにおいて全てに平等で、
一部の例外を除けば誰だってそうだという事を再認識させられた。
高い高い青空の下で、典雅な生活を営むものはどんな事を考えているのかと、
元は大差ない生き物だからあまり気にはならなかったけれど。
帰り際、遥か天上から地上を見下ろして、
言い知れない感情で胸がいっぱいになっていた。
「…すごい」
そういえば、こうやって景色を見る機会もなかったな、と、僅かに自身を省みた。
こちらに来てからというもの、何かと多忙でそんな事に気を回す余裕はなかったのだ。
…いや。
忙しく無かったからといって、別に風景を眺めたりする事もなかっただろうな。
だって、外に居た頃からそうだったのだから。
そもそも、少し前の私なら何を考えていただろうか。
まるで神々の視点にでも立ったようだとでも言っただろうか。
私は神様だろうか。
-
「ばーか」
「あ」
気付けば等身大の神様が、私を見上げながら見下ろしていた。
「バカって何ですか、いきなり失礼な」
「バカだからバカって言ったのよ」
「そんなひどい…」
「早苗は相変わらず目の前が見えてないね」
「…これでも変わったつもりですよ」
「そうかな?」
ゆるやかに自分自身を見直して、ただそれで結果があるとするなら、
ここでは誰もそれを咎める事が無くて、それ故に私は後ろばかり見る暇も無くて、
それでもただ一言、
「でも、早苗はここが居場所だし、ここに居ていいんだよ」
という諏訪子様の言葉が、痛いほどに胸に突き刺さって、涙がポロポロと溢れた。
私の居場所はまだ見つからない。
-
そしてじべたから、天上を見下ろしていた。
あれからどれくらいの時が流れたかはおおむねにおいても定かではないけれど、
ふと立ち寄ったその場所で見た私達の行動の結果に愕然とした。
と思ったけれど、先入観の問題で、やっぱり愕然とはしなかった。
深い深い地面の上で、ここに押し込められたものはどんな事を考えているのかと、
ちょっと気にもなったりはしたが、別に私とは違う生き物なので、
それも結局どうでもよかった。
感情に走って余計なことばかりを思考するのはあまり良くないクセだなと思う。
しかしこれは人間特有のものなのかなとも思うと、少し気が晴れた。
私は人間だろうか。
帰り際、ふと振り返ると、そこには地面の奥底で普通に生を営んでいるそれらが居た。
やはり先入観はよくない。住む場所がやや違うだけで、根本的には皆一緒なのだから。
でも、もう当面来なくても良いかなと思った。
少なくとも彼女たちだけでこの世界は回っているし、
何よりここは私のいる場所ではないから。
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そして天上から、じべたを見上げていた。
場所が違えば時の流れも違うのだろうかと思ってやってきたが、
別にそんな事はなく、時間の流れはおおむねにおいて全てに平等で、
一部の例外を除けば誰だってそうだという事を再認識させられた。
高い高い青空の下で、典雅な生活を営むものはどんな事を考えているのかと、
元は大差ない生き物だからあまり気にはならなかったけれど。
帰り際、遥か天上から地上を見下ろして、
言い知れない感情で胸がいっぱいになっていた。
「…すごい」
そういえば、こうやって景色を見る機会もなかったな、と、僅かに自身を省みた。
こちらに来てからというもの、何かと多忙でそんな事に気を回す余裕はなかったのだ。
…いや。
忙しく無かったからといって、別に風景を眺めたりする事もなかっただろうな。
だって、外に居た頃からそうだったのだから。
そもそも、少し前の私なら何を考えていただろうか。
まるで神々の視点にでも立ったようだとでも言っただろうか。
私は神様だろうか。
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「ばーか」
「あ」
気付けば等身大の神様が、私を見上げながら見下ろしていた。
「バカって何ですか、いきなり失礼な」
「バカだからバカって言ったのよ」
「そんなひどい…」
「早苗は相変わらず目の前が見えてないね」
「…これでも変わったつもりですよ」
「そうかな?」
ゆるやかに自分自身を見直して、ただそれで結果があるとするなら、
ここでは誰もそれを咎める事が無くて、それ故に私は後ろばかり見る暇も無くて、
それでもただ一言、
「でも、早苗はここが居場所だし、ここに居ていいんだよ」
という諏訪子様の言葉が、痛いほどに胸に突き刺さって、涙がポロポロと溢れた。
私の居場所はまだ見つからない。
深いとも浅いとも言い難いですね