魔理沙が変な顔してる。
アリスの第一印象はそれに尽きた。
アリスの家にやってきた魔理沙が紅茶を要求するのは今日が初めてではない。
最近は魔理沙も心得たもので、クッキーやらマフィンなど、何かしらもってくるようになっていた。
アリスはそれを楽しみにしていたし、魔理沙もそう思ってくれているようだ。
ところが今日は、ドアを開けたときから座って紅茶を手に取るまで、ずっと妙な顔で考え込んでいる。歯の奥になにかつまったかのような、実に微妙な顔だ。
「どうしたの?」
「何の話だ?」
「もう、そんなに難しい顔で考え込んどいて、それは無いんじゃないかしら?」
それを指摘された魔理沙は驚いた顔をしてアリスに向きなおる。
アリスは手を伸ばして魔理沙の眉間をぐりぐりしてやった。
「あんまり額に眉寄せると、しわになっちゃうわよ?」
「あうあうあうあう」
アリスのぐりぐりから開放された魔理沙は、ちょっと涙目になりながらも理由を説明した。
「霊夢がケーキ食ってたんだ」
はあ。
アリスの感想はそんなものだ。
顔に出ていたらしく、魔理沙も微妙な顔で続ける。
「いや、霊夢も女だしな。甘いものが好きなのも分かる。
いくらお賽銭が入らないって言っても、たまには贅沢することもあるだろう」
そう言うと顎に手を当てて唸った。
「でもそれなら絶対和菓子のはずなんだ。
霊夢があんなふわっふわのショートケーキを食べるなんてありえない」
「あら、魔理沙ショートケーキ好きなの?」
「うん、大好き。っていや、そっちが主眼じゃなくて」
突っ込む魔理沙にはいはいと調子を合わせるアリス。
もちろん心の奥深くに刻み込むのは忘れない。
「まあ霊夢だってたまにはケーキを食べたい時があるんじゃない?」
「いや、それは無い」
魔理沙は断言する。
「一回私が持っていったときには一切手をつけなかった。
緑茶でケーキを食べるのは茶の神に対する冒涜だとか何とか言ってたな」
「ふーん」
「百歩譲って、高級なケーキを霊夢が手にしたとしよう。
それならたぶん、どうにかして和菓子と交換しようとすると思うんだよな」
魔理沙はまた額に眉を寄せて考え込む。
「別にたいした問題じゃないんだが、どうも気になる。
あれだけ理屈を捏ねて食べなかったケーキだぞ。
いったい何でまた食べる気になったんだろう」
うんうん唸る魔理沙を横目に、アリスはテーブルに手を伸ばして赤いクッキーをつまんだ。
スティック状のそれをタバコのように指にはさみ、ちょっと気取ったような表情を浮かべる。
「ふふふ、まだ分からないのかねワトスン君」
「なんだって?」
「この霊夢嬢ケーキ事件、私の手にかかればなんてことの無い問題さ」
クッキーを唇につけ、ぷはーと紫煙を吹く真似をする。
「そう、これは説明するより、体験した方が分かりやすい事件よ。
ちょっと上を向いて」
そういわれて上を向いた魔理沙は、すっと伸びた手に顎をつかまれ。
タバコのように咥えられたままのクッキーを味わうことになった。
「魔理沙、美味しい?」
「……うん」
「これ、にんじんクッキー。私、あんまりにんじん好きじゃないの知ってるでしょ?」
「……うん」
「でも、今のは美味しかったわ。何でか分かる?」
「…………うん」
どんな物でも、美味しくする魔法ってあるものよ。
そう言ってアリスは少しはずかしそうに笑った。
アリスの第一印象はそれに尽きた。
アリスの家にやってきた魔理沙が紅茶を要求するのは今日が初めてではない。
最近は魔理沙も心得たもので、クッキーやらマフィンなど、何かしらもってくるようになっていた。
アリスはそれを楽しみにしていたし、魔理沙もそう思ってくれているようだ。
ところが今日は、ドアを開けたときから座って紅茶を手に取るまで、ずっと妙な顔で考え込んでいる。歯の奥になにかつまったかのような、実に微妙な顔だ。
「どうしたの?」
「何の話だ?」
「もう、そんなに難しい顔で考え込んどいて、それは無いんじゃないかしら?」
それを指摘された魔理沙は驚いた顔をしてアリスに向きなおる。
アリスは手を伸ばして魔理沙の眉間をぐりぐりしてやった。
「あんまり額に眉寄せると、しわになっちゃうわよ?」
「あうあうあうあう」
アリスのぐりぐりから開放された魔理沙は、ちょっと涙目になりながらも理由を説明した。
「霊夢がケーキ食ってたんだ」
はあ。
アリスの感想はそんなものだ。
顔に出ていたらしく、魔理沙も微妙な顔で続ける。
「いや、霊夢も女だしな。甘いものが好きなのも分かる。
いくらお賽銭が入らないって言っても、たまには贅沢することもあるだろう」
そう言うと顎に手を当てて唸った。
「でもそれなら絶対和菓子のはずなんだ。
霊夢があんなふわっふわのショートケーキを食べるなんてありえない」
「あら、魔理沙ショートケーキ好きなの?」
「うん、大好き。っていや、そっちが主眼じゃなくて」
突っ込む魔理沙にはいはいと調子を合わせるアリス。
もちろん心の奥深くに刻み込むのは忘れない。
「まあ霊夢だってたまにはケーキを食べたい時があるんじゃない?」
「いや、それは無い」
魔理沙は断言する。
「一回私が持っていったときには一切手をつけなかった。
緑茶でケーキを食べるのは茶の神に対する冒涜だとか何とか言ってたな」
「ふーん」
「百歩譲って、高級なケーキを霊夢が手にしたとしよう。
それならたぶん、どうにかして和菓子と交換しようとすると思うんだよな」
魔理沙はまた額に眉を寄せて考え込む。
「別にたいした問題じゃないんだが、どうも気になる。
あれだけ理屈を捏ねて食べなかったケーキだぞ。
いったい何でまた食べる気になったんだろう」
うんうん唸る魔理沙を横目に、アリスはテーブルに手を伸ばして赤いクッキーをつまんだ。
スティック状のそれをタバコのように指にはさみ、ちょっと気取ったような表情を浮かべる。
「ふふふ、まだ分からないのかねワトスン君」
「なんだって?」
「この霊夢嬢ケーキ事件、私の手にかかればなんてことの無い問題さ」
クッキーを唇につけ、ぷはーと紫煙を吹く真似をする。
「そう、これは説明するより、体験した方が分かりやすい事件よ。
ちょっと上を向いて」
そういわれて上を向いた魔理沙は、すっと伸びた手に顎をつかまれ。
タバコのように咥えられたままのクッキーを味わうことになった。
「魔理沙、美味しい?」
「……うん」
「これ、にんじんクッキー。私、あんまりにんじん好きじゃないの知ってるでしょ?」
「……うん」
「でも、今のは美味しかったわ。何でか分かる?」
「…………うん」
どんな物でも、美味しくする魔法ってあるものよ。
そう言ってアリスは少しはずかしそうに笑った。
うん、大好き
ここでやられた、破壊力でかすぎる。
魔理沙の「うん」の破壊力は異常
魔理沙も可愛いが霊夢も可愛いな
ごちそうさまでした
この台詞はすばらしすぎるだろ。
ブラボー! おお、ブラボー!!
>> うん、大好き。
可愛すぎる。
でも、甘かったー!