血と狂気を連想させる紅色の部屋が、この時ばかりは淫靡に、妖しく月の光を湛える。
お嬢様の小さな唇。ほんのりと紅に染まり、吸血鬼とは思えないほど可愛らしい唇が私の指先を包み込む。にちゃ、と水音が響き、生温かく、猫のようにざらついた舌先が指紋を舐る。やがて、カリ、と言う乾いた音が部屋に響き、私は興奮と歓喜に身体を震わせるのだ。
私の指先を咀嚼するお嬢様が一言、美味しいと呟く。私の脳裏に白い閃光が奔り、パァンと弾ける。
腰から下に力が入らなくなり、その場に崩れ落ちる。優しく抱きかかえてくれるお嬢様の笑顔を見て、私は意識を手放した。
嗚呼、私は、貴女に全てを捧げます――。
☆
だからね、レミィはまだまだ子供なのよ、所詮……と言うと人間の貴女はどう思うか知らないけれど。たかだか500年を生きた程度の吸血鬼よ。不機嫌な子供のあやし方は分かるわよね。母乳? その胸で? 笑わせないで頂戴。プチプチでも与えておけばいいのよ。プチプチよ、プチプチ。知らないの? じゃあ別の方法を教えてあげるわ。子供が喜ぶとっておきの方法。
☆
「お嬢様、おやつの時間で御座います」
「帰れ」
「畏まりました。ですが……せめて私の話を聞いてからにしてください」
「フン、どうせ私の嫌いなピーマンを練りこんだクッキーだろ? 底は知れてるんだ。下がりなさい、咲夜」
「本日のおやつはリバー・ウォークから調達しました」
「リバー・ウォーク?」
聞きなれない単語にお嬢様の耳がピクンと反応する
「ええ。アメリカはテキサス州、サンアントニオ市と紅魔館は姉妹都市協定を結んでいるのです。この都市の別名がリバー・ウォークですわ」
「いつの間に……」
「先日、紅魔館に迷い込んだフィル市長とついうっかり結んでしまったのです。おかげさまでアメリカンな食材には困りませんわ」
「ロブスターが出てきたのもそのせいね! それで……今日のおやつは何なのかしら?」
お嬢様は私の話に得心がいったようで、瞳を輝かせながら先を促す。外の世界から調達したおやつだ。お嬢様の興味を引くには充分すぎるほどだった。
「はい、通りすがりの狐目の男から入手したものなのですが……お嬢様、失礼ながら少しだけ、外を向いてくださいますか?」
「よくわからないけど……良いわよ。あっち向いてればいいのね」
「ありがとうございます」
私は衣擦れの音を響かせて本日のおやつを取り出した。見事な曲線美と色鮮やかなコーンイエローが必ずやお嬢様を誘惑するだろう。
「さぁ、準備ができましたよ、召し上がれ」
「……!」
お嬢様の前に両手をさしだす。恐れ多くも羞恥で顔が熱くなる。10本の指にはめられたのはかの有名なトンガリ子爵が考案したと言うスナック菓子。とても恥ずかしいのだけれど、お嬢様のご機嫌はパタパタと動く翼を見れば一目瞭然だった。
「さくやぁぁぁぁ♪」
感無量とはこのことを言うのだろう。
私を求めるお嬢様の声が高らかに部屋に響く。
私は、幸せの絶頂に包まれた。
ハモハモ。
お嬢様の小さな唇。ほんのりと紅に染まり、吸血鬼とは思えないほど可愛らしい唇が私の指先を包み込む。にちゃ、と水音が響き、生温かく、猫のようにざらついた舌先が指紋を舐る。やがて、カリ、と言う乾いた音が部屋に響き、私は興奮と歓喜に身体を震わせるのだ。
私の指先を咀嚼するお嬢様が一言、美味しいと呟く。私の脳裏に白い閃光が奔り、パァンと弾ける。
腰から下に力が入らなくなり、その場に崩れ落ちる。優しく抱きかかえてくれるお嬢様の笑顔を見て、私は意識を手放した。
嗚呼、私は、貴女に全てを捧げます――。
☆
だからね、レミィはまだまだ子供なのよ、所詮……と言うと人間の貴女はどう思うか知らないけれど。たかだか500年を生きた程度の吸血鬼よ。不機嫌な子供のあやし方は分かるわよね。母乳? その胸で? 笑わせないで頂戴。プチプチでも与えておけばいいのよ。プチプチよ、プチプチ。知らないの? じゃあ別の方法を教えてあげるわ。子供が喜ぶとっておきの方法。
☆
「お嬢様、おやつの時間で御座います」
「帰れ」
「畏まりました。ですが……せめて私の話を聞いてからにしてください」
「フン、どうせ私の嫌いなピーマンを練りこんだクッキーだろ? 底は知れてるんだ。下がりなさい、咲夜」
「本日のおやつはリバー・ウォークから調達しました」
「リバー・ウォーク?」
聞きなれない単語にお嬢様の耳がピクンと反応する
「ええ。アメリカはテキサス州、サンアントニオ市と紅魔館は姉妹都市協定を結んでいるのです。この都市の別名がリバー・ウォークですわ」
「いつの間に……」
「先日、紅魔館に迷い込んだフィル市長とついうっかり結んでしまったのです。おかげさまでアメリカンな食材には困りませんわ」
「ロブスターが出てきたのもそのせいね! それで……今日のおやつは何なのかしら?」
お嬢様は私の話に得心がいったようで、瞳を輝かせながら先を促す。外の世界から調達したおやつだ。お嬢様の興味を引くには充分すぎるほどだった。
「はい、通りすがりの狐目の男から入手したものなのですが……お嬢様、失礼ながら少しだけ、外を向いてくださいますか?」
「よくわからないけど……良いわよ。あっち向いてればいいのね」
「ありがとうございます」
私は衣擦れの音を響かせて本日のおやつを取り出した。見事な曲線美と色鮮やかなコーンイエローが必ずやお嬢様を誘惑するだろう。
「さぁ、準備ができましたよ、召し上がれ」
「……!」
お嬢様の前に両手をさしだす。恐れ多くも羞恥で顔が熱くなる。10本の指にはめられたのはかの有名なトンガリ子爵が考案したと言うスナック菓子。とても恥ずかしいのだけれど、お嬢様のご機嫌はパタパタと動く翼を見れば一目瞭然だった。
「さくやぁぁぁぁ♪」
感無量とはこのことを言うのだろう。
私を求めるお嬢様の声が高らかに部屋に響く。
私は、幸せの絶頂に包まれた。
ハモハモ。
あとがきで笑いが加速、制御棒かロ○クバスターかサイコ○ンか…w