「八雲紫、貴女は少し雑すぎる。結界修復などは即座に対応すべきですし。大体貴女は……」
「はいはい、すみませ~ん閻魔様」
「真面目に聞きなさい! 今日という今日は許しませんよ」
霊が送られて来ないことに、また小町がサボっているのだろうと説教をしに来た映姫。しかし、そこには小町と仲良くお酒を飲む紫が居た。
紫曰く、気まぐれで死神と飲んでみたかったとか。それが意外と話も弾み、仲良くきゃっきゃっ飲んでいる二人を見て、映姫はもちろんぷっちんときたわけで。
言い訳をする小町をどこか遠くへ吹っ飛ばし、その間に逃げようとした紫は捕まった。
そして、現在に至る。
「閻魔様は牛乳を飲むべきですわ」
「何ですって?」
「すぐ怒るからカルシウム足りて無いのでしょう」
「大きなお世話です! 大体元凶の貴女が――」
「胸も大きくなりますよ?」
「ほ、本当ですか!?」
「まぁ嘘ですけどね」
「う……嘘は大罪です!」
映姫は涙目で紫を睨む。
口元を扇で隠しながら、ニヤニヤと笑う紫。
「あ、笑ってますね!? 閻魔を笑うとは、地獄行きです!」
「裁判に私情を挟むのはどうかと思いますわ」
「くっ……八雲紫」
恨めしそうに紫の名を呟く。
紫は正直、映姫を苦手としていた。会えば即長い説教が始まる。しかも、説教中はほぼ逃げられない。そんな苦痛。
弾幕勝負でも、紫は幻想郷でトップクラスの実力者ではあるが、映姫はジョーカー的存在なのだ。
だが、そんな映姫相手に今日は初めて紫のペースに巻き込むことが出来た。
「意外に楽しいかも……」
「は? 何がですか?」
「いえ、こちらの話ですわ」
慌てる映姫、涙目の映姫、赤くなる映姫、どれも初めて見るものだった。
それらは新鮮で、紫の悪戯心をかなりくすぐる。
「うふふ……」
「ひぅっ!?」
思わず、笑いが込み上げてくる紫。
物凄く嫌な予感を感じ取った映姫は、びくりと身体を震わせた。
「と、とりあえず今日はここまでにしておいてあげます。ちゃんと善行を積むのですよ?」
背を向けて、さっさとこの場を去ろうとする。
が、しかし――
「つーかまーえたっ!」
「ひゃあ!?」
背後から両肩に手を置かれ、がっしりと掴まれた。
映姫はびくっと身体を震わせた。
「閻魔様が逃げるなんて珍しい」
「に、逃げてなどいません!」
「閻魔様が嘘を吐いて良いのですか?」
「ぅ……嘘ではありません! ただ、嫌な予感を感じ取ったので立ち去ろうとしただけです」
「それを人は逃げと言うのですわ」
一歩を踏み出そうとするが、肩を掴まれたまま動けない。
「うぎぎ……!」
「うふふ……」
一体どこにこんな力があるのか、というくらい紫の力は強かった。映姫は足を前に出すが、進めない。
これはおかしい、と思った映姫が後ろを振り向くと、自分の肩に手が六つ、乗っかっていた。
「ひ……」
「ひ?」
「ひゃぁぁぁぁ!?」
映姫は一瞬、ぴたりと停止し、その後大声で叫ぶ。
自分の肩にありえない数の手が乗っていたら、それは立派な怪奇現象だから仕方無い。
「あーあ、ばれちゃった。藍、橙、ありがとう」
「へ?」
よく見ると、腕が伸びてる先は隙間。
中から、藍と橙が協力していたらしい。
それに気付いた映姫は、ほうけた表情を浮かべていた。
「閻魔様ー?」
「……」
反応が無い。
紫が目の前で手を振ってみるが、それでもぼーっとしている。
「四季? 映姫ちゃーん? やりすぎたかしら……私、本当に地獄行きかも」
「……」
未だに、ほうけたままでいる映姫。
考える紫。
刺激を与えたからこうなったのではないか、という結論に至る。
ならば、より強い刺激を与えれば動くのではないだろうか。
「ということで、映姫の唇をいただきまーす」
「あなたは何をしようとしてるのですか!」
「っ!」
直前で我に帰った映姫が、手のひらで紫の顔を押し戻した。
むぎゅ、とでも聞こえそうなくらいに滑稽なシーンだった。
「いや、閻魔様を戻すためにキスを」
「んなぁ!? き、キス!?」
「あら、キスじゃあ分かりません? 接吻、口付け、とか言った方が分かるかしら?」
「キスくらい知ってます!」
「あらあら、意外にえっちですね」
「っ! や、八雲紫!」
顔を真っ赤にして怒る映姫に対して、紫は扇で口元を隠して笑う。
小さく笑いつつ、紫は思っていた。凄く楽しい、と。
「でも、経験はしたこと無いんじゃない? 慌てっぷりから見て」
「そ、そそんなことは……!」
「私で、経験してみます?」
「~っ!?」
映姫の顎に手を添えて、くいっと上を向かせる。
視線が交わる。
こうして改めて相手を見ると、今まで分からなかったことが良く分かる。映姫は思っていた。紫の白い肌、長い睫毛、そして柔らかそうな唇が目に入る。
「な、何を!?」
「キスをするときは暴れないで、目を瞑って」
「だ、だから何故私があなたと――」
「映姫、静かになさい」
「~っ!?」
真面目な表情と、名前で呼ばれること。
映姫は、ただそれだけで顔が熱くなる。
紫の真面目な態度なんて、滅多に見たことが無かったから、より新鮮に感じられた。
「ほら、目を瞑って」
「え、あ、ぅ?」
「大丈夫、肩の力を抜いて」
紫が少し屈み、次第に顔が近付く。
映姫は拒絶しようにも、この空気が、そうさせてくれなかった。
反射的に、目を瞑る。強く、強く瞑った。震える身体を、紫がそっと片腕で抱く。
「あっ……」
紫の腕の中は温かくて、柔らかかった。身体から強張った力が抜けた。
甘い匂い、顎に添えられた指、映姫はそれらの全てを敏感に感じ取ってしまう。
紫は、リラックスした映姫に気付き、片腕で抱くのを止めた。
「ふっ……」
「んっ……」
そして、映姫の唇に柔らかい何かが触れた。
その事実にまた、ぷるぷると震えてしまう。
どれくらい、経っただろうか。映姫の顎に添えられた指が、何故か震えていた。疑問に思った映姫が、ゆっくりと目を開くと、そこには笑いを堪えている紫。
「んなっ!?」
「あぁ……あなたがこんなにも可愛いなんて……くっ」
映姫が唇だと思っていたものは、紫の人指し指だった。
つまり映姫は、人指し指を唇にあてられてまま、目を瞑り、小動物のようにぷるぷると震えていたわけだ。
「や、や~く~も~ゆ~か~り~!」
「また、お会いしましょう。可愛い閻魔様?」
「ま、待ちなさい!」
にっこりと爽やかな笑みを浮かべて、隙間を出現させる紫。逃げる気満々だ。
しかし、それを見過ごすわけが無いのが映姫である。
「逃がしませんよ!」
「あらあら、そんなに私と離れたく無いのかしら?」
「ぬぁ!?」
普段の映姫ならば、動揺などしなかっただろう。だが、今の映姫は乱れすぎていた。
紫の言葉に、一瞬戸惑ってしまう。
それが、いけなかった。
「またね、映姫~」
紫はうふふと笑い、消えてしまった。
この溜まった怒りをどうすれば良いのだろうか。
映姫はぷるぷると肩を震わせて、とりあえずは叫ぶことにする。
「絶対地獄行きですっ!」
次会ったら、問答無用でいきなり攻撃をしようと心に誓う映姫だった。
いいぞもっとやれ
ど こ が 20% だ
どう考えても糖分詐欺、糖分表示法違反です。本当に(ry
さぁ、さらに糖分濃度を高める作業に入ってくださいw
自分的には極甘だったんですが…。
喉飴さんの100%はどんなんだろ…
当人が耐えうる糖分レベルの最大値が大幅に上昇しているせいでしょうかw
ついていけない私はもう大惨事でげふァァ(吐糖
ゆかえーき良いですねwww
えーき様可愛すぎる。
夏なのでちょいとテンションアップですw
>>てるる様
あちきには糖分20%なのですw
>>3様
過去に100%は書いてますよw
>>4様
大丈夫ですかぁー!?
>>5様
肩の力が抜けてるでしょうねw
>>6様
私飲んだことないです。
>>7様
ありですよね!
>>8様
実は初投稿以来の映姫様でした。
私、二度しか書いてません。
>>9様
こんな映姫様もたまには良いですよね。
>>10様
ありがとうございます!
ゆかえーきってなんかいい組み合わせですよね。なんだろう。生真面目な風紀委員とグータラな生徒会長? みたいな。
何が言いたいかと言うと、ゆかえーきも良いけれどえきゆかもね!(ないわ)
まさにそんなイメージです!
良いですよね、ゆかえーきw
マイナーにさせませんぜ!
>>謳魚様
それは是非みたいです!
いえ、ありですよ!