「お姉様。訊きたいことがあるの」
「いいわよ、云いなさい」
妹に頼られる私。実にキュート。間違えた。クール。
キューティクルと間違えて変なことを云ってしまった。
「それで、何かしらフラン」
「あのね」
妹は恥ずかしげに指を突いては離している。
「えっと、あのね」
「遠慮なんてすることないわよ」
「う、うん」
可愛い妹。しかし何を恥じているのだろう。
訊きづらいこと。なるほど、察しが付いた。プレゼントだ。私の欲しいものでも訊こうとしているのだ。
愛い奴。
「あのね、お姉様」
「えぇ、何?」
「子供ってどこからくるの?」
「カスタードの天然水超うめぇ」
聞かなかったことにした。
「お、お姉様!」
しかしそれは認められなかったみたい。
「それカスタードじゃなくてマスタードの天然水よ」
そっちか。
「あら本当。どうも舌に優しくない味だと思ったわ」
「危なかったよ。一瓶飲んでたら舌が黄色くなるところだった」
「ありがとう、フラン」
「どういたしまして」
こうして私は救われた。
「それで子供だけど」
まだ救われてなかった。
「キスすると産まれるのよ」
常套手段とも云える嘘で誤魔化してみる。
「そうなんだっ」
予想外の反応!
「そうよ。キスで体液交換をすると、女の子の体には命が宿るの」
「へぇ」
きらきらした瞳はキツイ。嘘吐いてるからキツイ。
「じゃあお姉様、キスしよっ」
「お姉様ちょっと南極往ってくるわ」
「お姉様が死んじゃう!」
「大丈夫、夜しか行動しないから」
「白夜だよ!」
「盲点だったわ」
白夜って何かしら?
さておき。私はどうにか妹の性的好奇心に打ち勝ったわ。これぞ家族愛。
「私ね、女の子が欲しいな」
何一つ打ち倒せてなかったことに対して私は嘆く。手加減はしない。
「フラン。あなたにはまだ早いわ。せめて乳が美鈴になるまで待ちなさい」
「一生無理だ!」
「私の胸を見て云うのは止しなさい」
乳のサイズ=母の愛というわけではないが、フランの乳では子供がかわいそう。
というより、産まれてすぐにきゅっ☆されちゃいそうなのでさすがにそれは見たくない。
「仕方ないわね。フラン。私が一日だけあなたの娘になってあげる」
「わーい、それじゃおしめ変えるね」
「前言撤回することをここに強く宣言するわ」
「えーーー!」
危ないところだった。さすがに妹とはいえ、そんなデンジャラスなことさせるわけにはいかないわ。
「判ったわ、フラン。こうしましょう」
「え?」
妹は首を傾げる。
「今日の夕食に出てくるゆで卵を愛でなさい」
「わーい。私大事に温めるね」
「お湯の愛に勝てるかしら」
「大丈夫。レーヴァテインはそんなものに負けないよ」
心底思う。
冗談でも子供貸し与えなくて良かった。
「そう。それじゃあ夕食に行きましょうか」
「うん」
今日の夕食。
ゆで卵に子供の名前を書いていく妹がちょっと恐かった。
妹様はゆで卵になんて名付けたんだろうか。
私はこういう作品好みだわ~~~♪
上手い漫才のようなテンポと返しに感服致したw
>>「一生無理だ!」
ここで笑ってしまったw
わふぁ、面白かったです!
フランちゃん頭良いwwww
てかマスタードの天然水って何だよw
「白夜だよ!」
噴いたwwwwww