Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

紅紫

2009/08/04 22:04:54
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「ただいま……って何してるのよ?」

最愛の妻の待つ新居に戻ると、部屋の隅でしゃがみガードしている可愛い生き物が居た。
事情を聞こうにも、泣きじゃくるばかりで全く要領を得ない。

「ほら、泣いてばかりじゃ分からないわよ?」

背中をそっとさすりながら、優しく宥める。
辛抱強く続けていると、ようやく嗚咽混じりの弱々しい声で事情を話し始めた。

「あのね……たまには……えぐ……お嫁さんらしいことしようと思ったの……」

スキマを使って家の中をみると、台所はぐちゃぐちゃ、風呂場は不夜城レッドをぶっぱした跡がある。

「でも……全然……ひっぐ……上手くいかなくて……」

まあ仕方ないだろう。ついこの間まで箱入りのお嬢様をやっていた彼女が、急に家事をしだしても上手く出来ないだろう。

「こんなダメなお嫁さん……えぐ……要らないよね…………」

せっかく落ち着いてきたのに、また泣き出しそうになっている。
こういう時にちゃんとフォローを入れてこそ夫だろう。

「大丈夫よ」

その言葉に、俯いていた彼女がピクリと反応する。

「ご飯も出来てないし、お風呂も沸いてない。でもね……」

彼女の両頬をそっと掴んで上を向かせる。
泣きはらした真っ赤な目が痛々しい。私が帰って来るまで苦悩を想像すると、心が痛い。

「“あなた”はいつだって居るわ」

そんな苦悩を忘れてしまえるように、唇にそっと優しいキスを落とす……






八雲レミリア






「おはよう、霊夢」

のんびりと縁側でお茶を飲んでいると、よく知った声が耳に飛び込んで来る。
神出鬼没の胡散臭い妖怪、八雲紫だ。

「珍しいわね、あんたが歩いて来るなんて」

妙なスキマとやらを使ってやってくることが多いのだけれど、今回は歩いてここまで来ている。一体どういう風の吹き回しだろうか。

「私が一緒だからよ」
「へっ?レミリア??」

よく見れば、紫の日傘の影にもう一人居た。
彼女はこの前の紅魔異変の首謀者の吸血鬼で、ブチのめしたら妙に懐かれてしまい困っている。
それはそうと、日傘の相合い傘は珍しいが、この二人が仲睦まじく並んでいるのは、さらに珍しい。
この二人が一緒にいると、たいてい私の所有権を巡って争っている気がする。私は誰かの物になった覚えは無いのだけれど。
それがどうだ、仲良く一つの傘に収まって挙げ句手まで繋いでいる。

「何?新手の異変か何か?」
「結婚するのよ」
「はぁ? 誰がよ?」
「私ね」
「私よ」
「ふーん……」

あの二人の夫になるだなんてよっぽどの物好きだろう。
たまに来るだけでも鬱陶しいのに、一緒に暮らすだなんて考えたくもない。

「で、誰と?」
「レミリアね」
「紫よ」
「へぇ……って、ええっ!?」
「今日はその報告に来たのよ」
「えっと……罰ゲーム?」
「そんなんじゃないわよ!」

一番可能性の高い選択肢を上げたのだが、レミリアは語気を荒げて否定する。
さらに紫の手を引き自分の方に顔を向けさせると、背中の翼で少し飛び上がり……

「なっ――」

目の前で紫に口づけして見せたのだ。
紫なら演技でやりかねないが、レミリアにそんな器用なことが出来るとは思えない。
私に向き直った顔も、無理している様子もない、いつものレミリアだ。

「……本気、なのね」
「もちろんよ」
「まあ、不幸になる人間が減るのは良いことよね」
「ええ、私達は幸せよ」
「……」

お前らのことじゃ無いんだよ。と悪態を付きたくなるが、グッと堪える。ここで話を拗らせても、面倒なだけだ。

「で、いつまで居座るつもり?用事は終わったでしょ?」
「あら、霊夢。新しいお母さんとちゃんとお話しておかないと」
「何の話だ。何の」
「だって、私にとってあなたは娘みたいなものだし……」
「あんたみたいな胡散臭い母親を持った覚えはないわ」
「そういうことだから、お母さんって呼んでくれても良いわよ?ママでも良いわね」
「黙れ、クソ吸血鬼」
「まあ霊夢。どこでそんな汚い言葉覚えたの?おか……っと危ないわねぇ」

黙って陰陽玉を投げつける。
当たるかどうかはともかく、今の私の気持ちを代弁してくれるはずだ。

「今日の霊夢はご機嫌斜めみたいね」
「誰のせいだと思ってるのよ!」
「日を改めましょうか」
「そうね」

喚く私を無視して紫がレミリアを抱え上げる。
大人しく紫の腕の中に収まるレミリアが妙に腹立たしい。

「それじゃ、また来るわね」
「次こそはお母さんと呼ばせてみせるわ」
「黙れ!二度と来るな!」

怒号と共に打ち出された針は空を切った。
二人はすでにスキマの奥に消えた後。

「……全く何なのよ」

面白くない。
散々人に付きまとっておいて、いざとなったら自分達でくっ付くなんて。

「面白くないわ……」
「八雲レミリア」という緋想天のプロフ名を見てここまで妄想した。
tukai
http://ginfei.g.ribbon.to/
コメント



1.名前が無い程度の能力削除
これは…意外と…いい……!

冒頭のれみりゃと拗ねる霊夢がめっさ可愛い。
ちと短いので、もそっと量が欲しいが。
2.喉飴削除
レミリアお嬢様可愛過ぎw
新しい組み合わせの可能性を感じました。
3.名前が無い程度の能力削除
なんだこれ?なんだこれ!?いろいろ広がりそうな組み合わせw
もっと妄想してくれお願いします。
4.奇声を発する程度の能力削除
凄いとしか言えませんw
貴方の妄想力は神かwwwww
5.名前が無い程度の能力削除
味噌汁のひとつもまともに作れないなんて云々いってレミリアをいびる藍様を幻視した