Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

それ行け我らのドラム式

2009/08/03 00:18:14
最終更新
サイズ
9.6KB
ページ数
1

分類タグ


※壊れが苦手な方は貴方自身のために回れ右























ある夜の博麗神社にて。
文は極秘裏に神社の屋根裏に侵入していた。
その目的は、『霊夢の寝顔をフィルムに焼き付け、生還すること』である。


全ての始まりは、文の所属する霊夢ファンクラブ『永遠に、霊夢ちゃんを、追い続ける会』、
略称『ERO(全年齢)』の会議中でのこと。
『霊夢の寝顔を見てみたい』という議題で進む会議、その中で文は思わず
「まあ、私だったら屋根裏に忍び込んで写真撮影なんて朝飯前ですけどね」
と、ポロリ。
その途端他のメンバーから
「言ったわね」
「まさか嘘じゃないわよねぇ」
「万が一撮ってこれなかったら、おにぎりの具になってもらうわよ」
「まあ、美味しそう」
と、瞬く間に議論が過熱。
気がつくと『特命大使』に就任していたのであった。


それ故、急遽、文花帖Phantasmに挑戦せざるを得なくなった文。
(でもま、無理な話ではありませんけどね)
音を立てないように匍匐前進で進む文。
良質な寝顔写真をゲットして独占。
ちょっとぶれたりピンぼけしているのを、ファンクラブに提出すればいい。
とにかく、自分はこんなに苦労しているのだからそれだけの権利はある、と文は自己弁護していた。
(さてさて、目的地まであと少しですね)
建物の構造は既に頭にはいっている。下調べはバッチリ。
とは言え、狭い神社だが匍匐前進をしている以上、進む速度はかなり遅い。
それはもう、普段から音速ワールドの住人である文にとっては悶え死ぬほど遅い。
でも行ける。君の為なら死ねる夜。いや、生還したいけど。
(確か寝室は次の柱を曲がってすぐですね)
懐中電灯もなしに、カメラだけを携えて屋根の上を進む文。
目的の柱のところを曲がると、

ゴッツン!

「あ痛ッ、いったい誰ですか……こんな夜中に非常識な」
「おまえこそ……って、その声は、もしや文か!?」
「そういうあなたは、萃香さん!?」
なんということだ、ERO副会長、萃香は既に来ていた。
「ちょ、潜入は私だけじゃなかったんですか?」
「最初はそのつもりだったけど、あんた1人だと抜け駆けするかもしれないからねぇ」
「そんなぁ」
「まあ、そんなわけだ。のぅ、紫よ」
「まあね」
「紫さんまで来てるだと!?」
ERO会長、紫すら来ていたとは。文の計画は完全に頓挫した。
「ということで、貴方は私たちが十分堪能した後に撮影しなさい」
「フィルムは私たちが現像してあげるから心配するな」
「そんな、それは困ります」
「ノンノン、受け入れられないわ」
と、押し問答しているうちに
「やい、そこの出歯亀ども!」
見つかった、と3人はびくんとしたが、暗闇の向こうから現れたのは魔理沙だった。
EROには属さず、自分流に霊夢を追う勇者[ トレジャーハンター ]である。
「そこはこの魔理沙さんの特等席だ。黙って譲れ」
「ちょ、なんであんたなんかに譲らなくちゃいけないのよ」
萃香が反抗した。
「なんで、ってほら、霊夢に関しては私が全権を握ってるって法律で決まってるし」
「「「そんな法律いつできた」」」
「私が法だ!」
こうして天井に開けられた小さな穴を奪い合う争奪戦がはじまった。
「ちょ、魔理沙、どけなさい」
「嫌だぜ、今夜は私が独占だ」
「萃香、魔理沙を引き剥がして」
「あ、ちょ、ストップ!」
魔理沙が小声で叫び、場は一旦静まった。
「あれ見ろ」
魔理沙が天井の穴を少し広げて、指差した。
霊夢のもぐっていた布団がもぞもぞと動くと、中から燐(猫型)が出てきて、人型になった。
「ふぃー」
息を1つつくと、布団の下に隠しておいたスケッチブックに霊夢の寝顔をデッサンしはじめる燐。
「近っ」
文が言うのも無理はないほど近かった。自分はこんな遠距離からしか覗けないのに!
「畜生、あの泥棒猫め。せめて5mは離れろ」
と、興奮した魔理沙が再び覗き穴を独占した。
「ちょ、魔理沙、馬鹿、こんな時くらい共有しなさいよ」
「待て待て、今は一大事だ」
「いいから少しくらいスペースゆずりなさい!」
と、天井の上でドタバタしているうちに……

元から人が乗るようにはできていなかった天井は崩落した。

「!?、何、何の音ッ」
天井板が引き裂ける音に霊夢は目を覚まし、ガバッと身を起こした。
すると目の前には、砕け散った天井の残骸と、魔理沙、文、萃香、紫の姿。あとスケッチをする燐。
「あんたらねぇ、人の家に何時に忍び込んでるのよ」
「ち、違うんだ、霊夢、これには訳が……」
「おだまりッ」
霊夢はパジャマ姿の中から札と針を取り出した。
「あんたら、ただじゃ帰さないわよ」
「落ち着いて霊夢、話せば分かるわ!」
「やかましい!」
霊夢はすかさず、紫の胸倉を掴むと背負い投げを決め込み、布団の上に落ちた紫を間髪いれず簀巻きにした。
「紫ィ!」
既に紫は戦闘不能だった。
「さて、お次は誰かしらねぇ」
霊夢の目がギロリと光った。
死亡フラグが乱立した瞬間であった。
「わ、私はこれで失礼するぜ!」
「私もたまには地底に帰って鬼の会合にでないと!」
「私も新聞書かないと!」
「あたいも怨霊の管理やらないと!」
我先に逃げ出す4人。
「逃がさないわよ!」
霊夢が指を鳴らすと、防火シャッターが神社の壁という壁に姿を現した。
「な、いつのまにこんな改造を!?」
「この前、暇だったとき。この壁は結界機能もあるから破れないわよ」
とは言え、コーティングされているのは天井と壁と床のみ。
襖は普通のままだった。
「と、とりあえず逃げるぞ!」
「「「了解ッ」」」
襖を開き、4人は奥の部屋に逃げ込んだ。
しかし、所詮は狭い神社。狭いスペースに閉じ込められたら、隠れるしかない。
「よし、分かれましょう。固まっていると危険がいっぱいだよ」
「そうね、じゃあ散開!」
萃香の提案のもと、4人は散り散りになった。


魔理沙はとっさに台所にもぐりこんだ。
鍋をしまうスペースなら、人一人ははいれるはずだ、と確信を持っていたその矢先。
開けたら中に早苗がいた。
「ちょ、早苗!?」
「はっ、ち、違うんです。決して、あの不思議キュートな霊夢さんだから寝顔も可愛いだろうなぁとか思っていたわけではなく」
「正直だな、おまえ」
「違いますってばぁ!」
「まあ、それはどうでもいい。とにかく霊夢が来るんだ、匿ってくれ」
「無理です、ここ狭いです!」
「まぁ、そう言うな。朝まで凌げればいいんだ」
「だから入れませんって」
無理やり静止しようとする早苗を無視して侵入する魔理沙。
「お、ほら、入れた」
しかし、両者の顔が近すぎた。距離10cm。
「ちょ、近いです!」
「我慢しろ。扉閉めるぞ」
すぐに魔理沙は扉を閉めた。
「魔理沙さん」
「何だ?」
「なんかエロいです」
「知るか」
「息遣いが聞こえます」
「やめろ、なんか恥ずかしくなる」
「貴方にも恥ずかしいという感情があるのですね」
「当然だ!」
思わず大きな声をだしてしまった。
反応したかのうに、扉がバッと開いた。向こうには包丁持った霊夢がいた。
「あのね、うちはそういうイチャイチャは禁止だから」
悲鳴が2つ。


一方、お燐はと言うと、霊夢の寝室に戻っていた。
題して『一度探した場所にはなかなか戻ってこないだろう作戦』 。
行ける、そう思いながら燐は押入れを開け、ここに隠れることにした。
完ぺきな作戦だったが、誤算はあった。押入れの中には咲夜がいたのであった。
「……なんでメイドさんがいるの?」
「お嬢様の命令よ。霊夢のシーツを持って帰ってこい、と」
「持って帰ってどうするつもりだったの?」
「DNA解析」
「……頭にいいって奴?」
「それはDHA」
と、どうでもいい問答の最中に、ガラッと襖が開いた。
「あら」
霊夢だった。手にはチェーンソーを持っていた。
「今は個人情報1つ守るのも大変な時代なのね」
悲鳴が2つ。


さて、萃香と文は2人で行動していた。
場所はお風呂手前。
「さて、萃香さん、どうしましょうねぇ」
「悲鳴が4つほど聞こえたね」
「困りましたね。風呂場って、隠れるところありませんよ」
「まあ、でもここにいたって仕方がない。まずは行こう」
「はい」
と、脱衣所に踏み込んだ2人。
目の前にあったのはドラム式洗濯機。
でも機械のことなんて2人は知らない。
「萃香さん、なんか分からない鉄の化物がありますよ」
「あー、この前紫が拾ってきた奴だ。よく知らないけど」
「これ、真ん中に穴がありますよ。はいれませんかね」
「分かんないけど、ここしか隠れられそうなところないしねぇ」
と、まず萃香が入り込む。
「お、見た目に反して中は広いぞ」
「本当ですか?どれどれ」
つられて文も。
「おー、確かに。これは快適」
「外の世界の機械だって言うが、なんだろうね、こいつは」
「さあ。憩いの場を提供する程度の機械では?」
「かもしれない」
と2人で話していると血相を変えた咲夜と燐が飛び込んできた。
「お、メイドさん、ここにいい隠れポイントが!」
「本当ね、よし、潜るわよ」
「イエッサー!」
すぐにドラム式の中にはいる咲夜と燐。
「あら、先客がいたのね」
「ちょっと狭い」
「仕方ないわ。朝まで持久戦よ」
「うぅ」
4人もはいると、さすがに狭いドラム式。
ところが世の中はなかなかうまくできていないわけで、今度は早苗と魔理沙が来た。
「!」
「うにゃ、どうした、早苗」
「なんでここにドラム式洗濯機あるんですか」
「ん?こいつか?」
「そうです」
「お、これ、中に入れそうだな」
「うぇぃ、何をぉ!?」
「よし、早苗、この中に隠れるぞ」
「違います、それって中に人がはいるものじゃありません!」
「やかましい、核シェルターみたいなものだ!」
早苗の袖をつかんで、魔理沙は中に飛び込んだ。
「おぉ、先客だらけだな。失礼するぜ」
「ちょっと、6人は狭いわよ」
「ここしかないんだ、頼むぜ」
「てか、やっぱ無理。溢れる!」
「萃香さん、押さないでください」
「んにゃぁ、押してるのは文、おまえだろう!?」
「無理、駄目、もう限界!」
霊夢の知らないところで、6人は臨界点を迎えた。
そして───────────

3分後。

「もう脱衣所以外考えられないわね」
霊夢が脱衣所に行くと、なんとも不思議な生命体がいた。
ボディはドラム式。しかし、手と足と角としっぽが生えている。
咲夜の右足、文の左足、早苗の両腕、萃香の角、燐のしっぽ。
それらを備えた生命体は、なんとも奇妙な珍獣だった。
「あんたら、何やってるの?」
『これが合体した結果よ』
「まあ、まとめて反省しなさい!」
霊夢は夢想封印を放ったが、ドラム式のボディには傷1つつかない。
「何ぃ!?」
『次はこっちの番だぜ』
ドラム式の蓋がパカッと開くと、そこから飛び出したマスタースパーク。
とっさに霊夢は避けるため、脱衣所の外に飛び出した。
『よし、今のうちだ、逃げるわよ!咲夜、文!』
『『合点!』』
そして、珍妙なチームワークで歩き出す最強モンスタードラム式。
結界機能つきシャッターも壁も障子のようにぶち破り、調子よく外に飛び出した。
『よし、外よ!』
『このまま神社脱出ね!』
調子よく庭を堂々と逃亡するドラム式。
「くっ、逃がしてたまるもんですか!」
後ろから陰陽玉や針やお札が飛んできたが、ドラム式ボディには全て無駄。
『このドラム式があれば霊夢は怖くないな』
魔理沙が言うとおりだった。
こうして、6人は無事、各々の勝利をその手につかみ、自宅への道を歩み始めたのであった。






2秒後、ドラム式の左足が神社の石につまずき、ドラム式は転倒、神社の池の庭に落ちた。
当然沈んだ。





翌日、神社の庭には様々な服が合わせて6着、びしょ濡れになって干されていた。
そして、見習い紅白巫女6人が1日中神社の修理に追われたという。

 

「私はいつまで巻かれているのかしら」
地球人撲滅組合
コメント



1.名前が無い程度の能力削除
そこここに突っ込みどころがあるのですが、

>「万が一撮ってこれなかったら、おにぎりの具になってもらうわよ」

↑コレに腹筋を叩き割られました。どんなじゃwww
2.名前が無い程度の能力削除
射命丸wお前が転んだせいでw

こいつらの日常って本当に楽しそうだなw
3.奇声を発する程度の能力削除
包丁からチェーンソウにレベルアップしたwwwww

あと、見習い紅白巫女のイラスト誰か描いてくれませんか?
4.名前が無い程度の能力削除
チェーンソウのくだりでマスクを付けた霊夢を想像してしまったw
5.名前が無い程度の能力削除
リアルで二層式洗濯機を期待した
6.名前が無い程度の能力削除
ドラム式のイラスト誰か描いてくれませんか?
7.名前が無い程度の能力削除
うめえw
8.名前が無い程度の能力削除
よかった、洗濯機廻されて乾燥されて干物にされておにぎりの具になる話じゃなくて…
笑いましたよ、面白かったですw
9.地球人撲滅組合削除
コメ感謝です。
そしてレス返し。


>1
 ほかほかご飯に素敵なあやや。
 ピクニックにぴったり☆
>2
 あの下駄って転びやすそうだなあ、と。
 増して二人二脚という何とも楽しそうな走法だから、ついw
>3
 うぐぐ……
 私は絵は苦手ですのでちょっと……
 期待に添えなくてすみません。
>4
 想像して、違和感の無さに吹いたww
>5
 期待に添えなくてすみません。
 二層式も幻想入りしてておかしくないかもw
>6
 こ、これは……
 うーん、私には無理ですね
 期待に添えなくてすみません。
>7
 ありがとうございます。
>8
 ありがとうございます。
 でも、流石にそれはw