「ふわぁ……。春になると眠いにゃー……」
私は、そんなことを呟きながら神社の縁側で丸くなってます。
紫様が霊夢さんとお話があるから神社に連れて来られたんだけど、やる事がないので私は困ってるんです。
いつもは藍様と色んなことをして遊んでる時間なんだけどなぁ……。
うーん……。眠い……。
縁側でゴロゴロ……。
「あれ? スキマ妖怪の式の式の猫じゃん」
「むっ。猫として負けられない敵が今まさにいるのかっ?」
二人分の声が耳に入って、眠気がすっと抜けていきました。
何だろう……。
「おっす。眠そうだな」
実際眠いのになぁ……。
目を閉じたまま丸くなっていた姿勢を少し起こし、縁側に脚をかけます。
「こんにちは。 こんな所で式ともあろうものが寝てていいのかしら?」
むっ……。この癪に障るいい方は……。
「地霊殿の黒猫!」
「ご名答。私は猫耳キャラとして貴方に負けるわけにはいかないのさ!」
「あのー……。私のことおいてかないでくれる?」
「あ、いたんだ。えーと……名前なんだっけ?」
「お空。ちょっとそこらへんで核融合ごっこでもやってなさい。主に一人で」
「…………うん」
右手が特徴的な彼女は、目に雫を浮かべながら去っていきました。
去っていく時に、雫がキラキラと光っていたのが何となく寂しそうでした。
結局、名前を名乗ってはくれませんでした。
右手が特徴的な人としか覚えてなかったのは失礼だったかな……。
「今日こそ……どっちが猫の頂点かを決める時ね!」
「藍様の式として負けるつもりはありませんよ!」
ここからよく分からない戦いが始まったのです!
そこからは様々なことを競いあいました。
どっちが猫の姿で高いところまで上れるか、から始まりスペルカード戦まで……幅広く長い間競いあっていました。
結局、勝負が付かず私もあの黒猫も肩で息をするぐらい疲れていました。
そんな状態の時に霊夢さんがやってきたのです。
「ん? あんた達何やってんの?」
「霊夢さん……ちょっと猫の頂点を決める戦いをですね……」
「頂点って二人で競いあってるの? 見物者もいないのに?」
「えぇそうですよ。あの式神には負けたくないんですよ」
「……。どうでもいいけど。決着を決める人もいないのに競っても決まらないんじゃない?」
「…………」
「…………」
よく考えればそうだったのではないでしょうか……。
博麗神社の境内を春風が過ぎていきます。
三人の内、私を含む二人には冷たい春風です。
(抜粋:橙の日記より)
『抜粋者:八雲藍』
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「核融合……面白くない……ぐすん……」
ここにも一人、冷たい春風が過ぎていく。
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・何で特に用もないのに紫が橙を連れて来たのかが不明
・何で空と燐が神社に来たのかも不明
ここらへんをもう少し上手く説明されていたらよかったと思います。
それと、猫同士の戦いっていうテーマは面白かったのですが、オチがちょっと弱すぎた印象。
最初から霊夢を審判役にして(二匹から懇請されて渋々引き受ける、など)、勝負の様子を丁寧に描く、という構成にしてみたらよかったのではないでしょうか。
でも序盤の橙の暇そうな様子とか、しょげながら核融合しにいくおくうとか、そういう描写は読んでて癒されました。
次も頑張ってください。