Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

東方波動拳5~優しさの壁~

2009/07/11 19:40:45
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夕暮れ時の迷いの竹林
それは最も迷いやすい時間帯である
暗くなりかけていることもあるが、
竹のあいだからのぞく夕日の美しさについ奥へと足を踏み入れてしまうのである

「ちょっと時間かかりすぎたかな。急がないと師匠に怒られちゃう」

両手いっぱいに薬の材料となる(はず)植物を抱えた鈴仙は、
その光の中を永遠亭へと急いでいた

「でも師匠も、こんなにいっぱい何に使うんだろう・・・ん?」

急ぐ彼女の足を止めたのは、少しだけ見えてきた永遠亭の近くにある人影だった
影は一つだが、二人が重なっているように見える
またてゐが何かやらかしたのかしら


***永遠亭内***

「うどんげ遅いわねえ。ちょっといっぱい頼みすぎたかしら」

「今頃因幡の落とし穴にはまってるのかもよ」

「姫様、いくらなんでもそれは・・・」

玄関の戸が開く音がした
・・・来客感知用のスピーカーからだが

『ししょー、遅くなりましたー』

「あらお疲れ様。ごめんなさいね。ちょっと多かったかしら?」

鈴仙の声はどこかあせっていた
何かあったわね

『そんなことより、近くに人が倒れてますよ!二人!』

この時間帯の患者は珍しい

「わかったわ。あなたは医務室の準備をしておいて」

『了解です!』


***永遠亭 医務室***

「治療はこんなもんね。門番の方は何とか動けると思うけど、
 その小さいこの方は当分無理そうね」

二つのベッドにはそれぞれ美鈴とルーミアが寝かされていた
どちらもまだ意識がない

「うどんげ、そろそろ門番の方の体温計見て頂戴」

「はい」

鈴仙が美鈴にくわえさせた体温計を覗き込んだ瞬間、
彼女が飛び起き、医務室に鈍い音が響いた

「ぃひゃっ!?」

「!?だ・・・大丈夫ですか!?」

「それはこっちの台詞よ、紅魔館の門番さん」

目を覚ました彼女は一見元気そうだったが、
腕に残る痛々しいあざは健在だ
鈴仙は額を押さえてうずくまっている

「たたたたた・・・」

「あ、あの~」

「あなた、大丈夫なの?」

この質問に美鈴は笑顔で答えた

「慣れてますから」

「そっちもあるけど、あなたがここに居る理由の方はどうかしら」

「あ、ルーミアは!?」

「回復してはいるけれど、動けるようになるまでは時間がかかるわね」

「そうですか・・・」

「あなた、何をしたの?その怪我は弾幕でできるものじゃないわよ」

その通りである
腕にあるあざや、全身の関節に見られる極度の疲労
どう見ても物理的な力によってできたものだ

「あなたほどの腕の持ち主が、近接戦で倒れるなんて、ただ事ではないはずよ」

「実は・・・」

美鈴は昨日の出来事から全てを話した
自分が新しい技を取得したこと、それによって異変が起きてしまったこと、
・・・そのせいでルーミアが傷ついてしまったこと

「私のせいです・・・私がもっと強くなろうとしたばかりに
 こんな小さな妖怪まで巻き込んでしまって・・・」

「・・・あなたのせいではないわ」

「でも・・・」

今にも泣き出しそうな門番の表情には、強い罪悪感が表れている

「あなたは優しすぎる
 自分が強く関わったことを一人で背負おうとしているだけ。
 異変を解決する身となった今、有り余る優しさは障害になるだけよ」

美鈴はうつむいた
それでも発端が自分にあることはほぼ確かだ
むしろ自分は異変の“解決者”ではなく、“黒幕”に近いのではないか?
それならなおさら、自分が責任を持たなければならない

「・・・そういえば、あなたを追い詰めたのは魔理沙だって言ったわね?」

「はい・・・」

「ならどうして、ただの人間が短時間で
 あなたを超えるほどの技術を手にしたのかしら」

「恐らく、彼女は魔法で自分を強化したんだと思います」

「それはないわね
 あなたの体に残っているダメージは全て確実な打撃によるものだったわ
 もし魔法で強化していたなら、ここまで損傷が確実になることはないはずよ」

門番の表情が鋭くなった
冷静で、かつ怒りを含んだ顔だ

「ということは・・・」

「第三者が白黒を何らかの形で強化した可能性が高いわ」

「まさか・・・そんなことが・・・」

「ここは幻想郷よ。ありえないことなんてほぼ存在しないわ」

「なら、その“第三者”を許すわけにはいきません!
 関係のない小さな子まで巻き込むようなこと・・・ッ」

痛みに顔をゆがめた美鈴を涙目の鈴仙が寝かしつけた

「まだ完全じゃないわ。今日は泊まりなさい
 うどんげ、私も手伝うから、今日の夕飯は一人分多くね」

「はい」

感謝で心が震えた
ほぼ自業自得な私をここまで思ってくれるなんて・・・
心で深く頭を下げていたとき、彼女はふと思い出した

「門番の仕事・・・」


***紅魔館***

「美鈴・・・どこに行っちゃったのかしら
 門番の仕事もすっぽかして」

「まあ咲夜、今回は大目に見てやりなさい」

「お嬢様?」

「今来客募集中だから、むしろ好都合よ」

「あら偶然、私もよレミィ」

(お嬢様たちまで・・・?)





                        続きます
作風が安定しないOB-24800です
だいぶ間が空きました、すみません;
実はちょっとよくないものを食べまして、胃の中がスキマワールドと化していました
それでも遅れたのは数週間なんですけど^^;
今回は戦闘なしです。どうも戦闘表現は難しいです。がんばります


:以下余計エリア:
あ、私の名前は「おぶ にじゅうよん はっぴゃく」と読みます
近々相方も書きに来るといっていたので優しくしてあげてください
OB-24800
コメント



1.脇役削除
今回は格闘はないみたいですね
出来れば、あとがきに技の元ネタを書いてもらえると
読んでくれた人にもわかりやすいと思いますので書いてくれると良いな
続き、待ってます
2.OB-24800削除
>>脇役様
元ネタ追加させていただきました
いつもアドバイスありがとうございます
もうアタマが上がりませんorz
3.名前が無い程度の能力削除
なかなかに面白いww
美鈴は果たして何処までいけるのかww