「あ………」
「おはよう」
「………ん、そっか、昨日泊まって行ったんだ」
「ええ」
「すぐ仕事?」
「いや………」
咲夜は窓のほうを向いた。
時間が早いらしい、外は薄暗く、鳥のさえずりは聞こえない。
そもそも紅魔館では聞こえないかもしれないが。
「まだ4時よ」
「ほんとだ………なんで起きてるの?」
咲夜は私が目を覚ましたときから半身を起こしていた。
「ちょっと前に起きたのよ、どうも目が冴えてね」
「そう………」
「気にしなくていいから、寝なさい」
「………ん」
言われたとおり私はまた咲夜の隣で目をつぶった。
すぐに眠れそうではあったが、咲夜がずっと起きているのが気になった。
「ねぇ」
「ん」
「寝ないの?」
「寝るわよ」
「変な奴………」
昨日の夜、咲夜のベッドで二人で添い寝をした。
疲れが溜まっていたのか、咲夜はすぐに目を閉じて眠りについてしまった。
私はそれに気が付かず、一人でべらべらと話していた。
「………咲夜」
「ん?」
「横になってよ」
「………いいわよ」
昨晩のように咲夜は私のほうを向いてベッドに横たわった。
「………」
「なに?ずっと見て」
「昨日………貴女すぐ寝たでしょ、私一人にして」
「そうだったわね」
「こうして、貴女の澄んだ目を見ることもできなかったのよ」
「そう」
咲夜は私から目を逸らさず、少しだけ微笑みながら私をずっと見つめていた。
息のかかるほどの距離ではないが、少しずつ恥ずかしくなってきた私は、体を仰向けにした。
「ふふ………」
「………」
案の定咲夜は笑った。結局照れて見つめつていられなかった私を。
「咲夜………」
「なに?」
「もっとこう………せっかくこうして一緒に寝てるんだから」
「………いいじゃない、別に」
「………」
「私は貴女の匂いを感じてるだけでいい」
「………」
どうして何もしてくれないんだろう。
私のことを気にかけていてくれるなら、昨晩だってもっと私の相手をしてくれてもよかっただろう。
寝ている間に何かしてくれてもよかったじゃないか。
「………」
「そんな顔するんじゃないわよ」
「………だって」
「バカね、おいで」
片手で、咲夜は私の体を引き寄せた。
息のかかる距離まで連れてこられて、私の心臓の鼓動はひたすら激しくなった。
「………」
「何かして欲しいなら言いなさい、私は貴女にならなんだってしてあげる、でも言わないんじゃダメよ、私だって本当にしていいのかわからないもの」
「………わかった、じゃあ、少しお話しましょう?」
「ええ」
話の内容は覚えていない、眠気もあったからきっと私は何度か同じ話をしたと想う。
でも咲夜は何も言わなかった、何も言わないで私が寝るまで、ずっと話し相手になってくれた。
最後にキスをして欲しいと言おうと想っていたが、話しているうちに忘れてしまっていた。
目を覚ますと、ベッドには私一人になっていた。
でも人と触れている感触がする、これはなんなんだろう。
気になって反対側を振り返ると、そこにいたのは小悪魔で、私の手を握っていた。
「ん………」
「起きましたか?」
「うん、これ、何してるの?」
「咲夜さんに頼まれたんです、咲夜さんが仕事にいこうとした時、寝相でアリスさんが手を話そうとしなかったから、私に代わりに握っておいてあげてって」
「そうだったの………ごめんなさいね」
「いえ、気にしないでください」
そういって小悪魔はニッコリと笑った。
私もそんな風に笑えたらいいのにね。
「咲夜さんから伝言があるんです」
「え?」
「今度パチュリー様がお菓子を増やす魔法を実験するので、もし興味があったら来てって」
「ああ……わかった」
「是非いらしてください」
私はまた赤い顔をしているんだろうか。小悪魔に感づかれるのが嫌だから早めにここを発とうかと想ったが、手遅れだった。
「アリスさん、可愛らしいですね」
「え、な………何言い出すのよ」
「嬉しいなと想った時はもっと笑いましょう、嬉しいと想ってくれたとわかれば、相手はもっと嬉しくなりますから」
「………笑うって言ったって」
「恥ずかしいんですか?」
そりゃあ恥ずかしい。
無防備に笑ってしまったら相手に隙を晒してしまう。
「私はよく、笑顔が上手だと言われます、でも私なんかより、咲夜さんのほうがもっと嬉しそうな顔をされるんですよ」
「咲夜が………」
「咲夜さんが仕事に向かう時、ごめんねって呟いてアリスさんの頬にキスをしていったんです、そしてアリスさんが寝返りをうって寝顔が見えた時、咲夜さんはとっても可愛らしい女の子の顔をしていました」
「………なんだか、想像できないわね」
「ええ、だから私も驚きました、でも同時に咲夜さんがアリスさんのことが好きなんだなってすぐにわかりましたよ」
「………そう、見える?」
「ええ」
「………貴女だけよきっと、そう想ってくれて、口に出してくれるのは」
「そうでしょうか」
「羨ましいわ、貴女の素直で可愛い所」
「アリスさんは気が付いてないだけです、言いませんけどね」
「………」
きっとコイツはお菓子を食べたときに天使のような笑みを浮かべて美味しいと口にするだろう、悪魔なのに。私もそれを見て、少しは勉強してみようか。
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「おはよう」
「………ん、そっか、昨日泊まって行ったんだ」
「ええ」
「すぐ仕事?」
「いや………」
咲夜は窓のほうを向いた。
時間が早いらしい、外は薄暗く、鳥のさえずりは聞こえない。
そもそも紅魔館では聞こえないかもしれないが。
「まだ4時よ」
「ほんとだ………なんで起きてるの?」
咲夜は私が目を覚ましたときから半身を起こしていた。
「ちょっと前に起きたのよ、どうも目が冴えてね」
「そう………」
「気にしなくていいから、寝なさい」
「………ん」
言われたとおり私はまた咲夜の隣で目をつぶった。
すぐに眠れそうではあったが、咲夜がずっと起きているのが気になった。
「ねぇ」
「ん」
「寝ないの?」
「寝るわよ」
「変な奴………」
昨日の夜、咲夜のベッドで二人で添い寝をした。
疲れが溜まっていたのか、咲夜はすぐに目を閉じて眠りについてしまった。
私はそれに気が付かず、一人でべらべらと話していた。
「………咲夜」
「ん?」
「横になってよ」
「………いいわよ」
昨晩のように咲夜は私のほうを向いてベッドに横たわった。
「………」
「なに?ずっと見て」
「昨日………貴女すぐ寝たでしょ、私一人にして」
「そうだったわね」
「こうして、貴女の澄んだ目を見ることもできなかったのよ」
「そう」
咲夜は私から目を逸らさず、少しだけ微笑みながら私をずっと見つめていた。
息のかかるほどの距離ではないが、少しずつ恥ずかしくなってきた私は、体を仰向けにした。
「ふふ………」
「………」
案の定咲夜は笑った。結局照れて見つめつていられなかった私を。
「咲夜………」
「なに?」
「もっとこう………せっかくこうして一緒に寝てるんだから」
「………いいじゃない、別に」
「………」
「私は貴女の匂いを感じてるだけでいい」
「………」
どうして何もしてくれないんだろう。
私のことを気にかけていてくれるなら、昨晩だってもっと私の相手をしてくれてもよかっただろう。
寝ている間に何かしてくれてもよかったじゃないか。
「………」
「そんな顔するんじゃないわよ」
「………だって」
「バカね、おいで」
片手で、咲夜は私の体を引き寄せた。
息のかかる距離まで連れてこられて、私の心臓の鼓動はひたすら激しくなった。
「………」
「何かして欲しいなら言いなさい、私は貴女にならなんだってしてあげる、でも言わないんじゃダメよ、私だって本当にしていいのかわからないもの」
「………わかった、じゃあ、少しお話しましょう?」
「ええ」
話の内容は覚えていない、眠気もあったからきっと私は何度か同じ話をしたと想う。
でも咲夜は何も言わなかった、何も言わないで私が寝るまで、ずっと話し相手になってくれた。
最後にキスをして欲しいと言おうと想っていたが、話しているうちに忘れてしまっていた。
目を覚ますと、ベッドには私一人になっていた。
でも人と触れている感触がする、これはなんなんだろう。
気になって反対側を振り返ると、そこにいたのは小悪魔で、私の手を握っていた。
「ん………」
「起きましたか?」
「うん、これ、何してるの?」
「咲夜さんに頼まれたんです、咲夜さんが仕事にいこうとした時、寝相でアリスさんが手を話そうとしなかったから、私に代わりに握っておいてあげてって」
「そうだったの………ごめんなさいね」
「いえ、気にしないでください」
そういって小悪魔はニッコリと笑った。
私もそんな風に笑えたらいいのにね。
「咲夜さんから伝言があるんです」
「え?」
「今度パチュリー様がお菓子を増やす魔法を実験するので、もし興味があったら来てって」
「ああ……わかった」
「是非いらしてください」
私はまた赤い顔をしているんだろうか。小悪魔に感づかれるのが嫌だから早めにここを発とうかと想ったが、手遅れだった。
「アリスさん、可愛らしいですね」
「え、な………何言い出すのよ」
「嬉しいなと想った時はもっと笑いましょう、嬉しいと想ってくれたとわかれば、相手はもっと嬉しくなりますから」
「………笑うって言ったって」
「恥ずかしいんですか?」
そりゃあ恥ずかしい。
無防備に笑ってしまったら相手に隙を晒してしまう。
「私はよく、笑顔が上手だと言われます、でも私なんかより、咲夜さんのほうがもっと嬉しそうな顔をされるんですよ」
「咲夜が………」
「咲夜さんが仕事に向かう時、ごめんねって呟いてアリスさんの頬にキスをしていったんです、そしてアリスさんが寝返りをうって寝顔が見えた時、咲夜さんはとっても可愛らしい女の子の顔をしていました」
「………なんだか、想像できないわね」
「ええ、だから私も驚きました、でも同時に咲夜さんがアリスさんのことが好きなんだなってすぐにわかりましたよ」
「………そう、見える?」
「ええ」
「………貴女だけよきっと、そう想ってくれて、口に出してくれるのは」
「そうでしょうか」
「羨ましいわ、貴女の素直で可愛い所」
「アリスさんは気が付いてないだけです、言いませんけどね」
「………」
きっとコイツはお菓子を食べたときに天使のような笑みを浮かべて美味しいと口にするだろう、悪魔なのに。私もそれを見て、少しは勉強してみようか。
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・・・ところでこの小悪魔を召換して結婚するにはどうすれば良いんですか?
もちろんこの人形の様な耽美系カップリングがツボだというのもありますが
非日常から遠ざかった落ち着きと微妙な距離感、程よい甘さが何よりも好きなんだと思います。
俺と変われ!いや、変わってください。お願いします!!(全力で土下座