※こんなのいつも以上に霖之助じゃありません
※誰も落ちないので萌えはありません
こちらは、「萌えの活用」シリーズの続編にあたります。よって、ご一読を多分お勧めします。
…僕の名前は森近霖之助、古道具屋を営むただの半妖である。
…ただ、この店はもうすぐ閉店することになるだろう。
…なぜかって?店主である僕が、もうすぐ死ぬからだ。
…事の始まりは、一枚の新聞だった。
がらがら
「いらっしゃい」
「どうも、新聞でーす」
そう言いながら入ってきたのは、文だった。
彼女は僕も購読している、文々。新聞という新聞を一人で発行している。
発行は不定期だが大体週一くらいで、今日も新聞を届けにやってきたようだ。
「何だ君か」
しかし、新聞を届けに来たということは客ではない、ということだ。
僕の態度が冷たくなるのも、無理もないことだ。
「あやー、相変わらず客商売に向いていない態度ですね」
「君は客じゃないだろう?」
「確かに今日は客じゃありませんけど、別にいつもこんな感じじゃないですか」
…大きなお世話である。
「新聞はそこに置いといてくれればいいよ」
「いえいえ、新聞を届けに来たということもありますけど、森近さんにお聞きしたいことがあるんですよ」
天狗が僕に、ねぇ。嫌な予感しかしないな。
「森近さんは、萌え、という言葉をご存知ですか?」
……なぜ、こんなにも悪い予感は的中するのだろうか?
「最近、外の世界から来た言葉なんですけどね」
「ここも外の世界のものを取り扱ってるんで、何かないかなー、なんて」
「…あいにくだが、その萌えとやらは初めて聞いたよ。今まであった萌えとは、意味が違うんだろう?」
僕は必死に平常心を保ちながら、彼女に言葉を返した。
「あやー、そうですか、残念です」
「まぁ、詳しくは新聞に書いてあるので見てください。それでは失礼します」
そう言い、彼女は風のように去って行った。
そして、僕も風のように新聞を取りに行った。
…こんなに本気で動いたのは、いつぶりだろうか?
そして僕は新聞を読み始めた。
そこには要約すると、以下のようなことが書いてあった。
・萌えとは外の世界の言葉である。
・萌えとは対象に対して、強い好意や愛情を持っているときに使う。
・萌えのおかげで結婚できました。
……僕の状況が分かってもらえただろうか?
…僕はすでに五回ほど萌えを使ってしまっている。
つまり、五回告白をしてしまったのだ。
その相手は、アリス、紫、鈴仙、早苗、パチュリーである。
五人が五人とも、大変見目麗しい女性たちだ。
…一体、僕はどうすればいいんだ。
…ん、だがそれになにか問題があるのか?
現時点では、別に五またをかけたわけでもないし、告白しただけだ。
しかも、全員が全員、望みなしと言える。
アリス…人里の男性からも人気は高いが男より魔法を取る。幾人の男たちが玉砕。
紫…検討するまでもない。彼女が僕に肯定の返事を返すなんてありえない。
鈴仙…初めて会った上に一時間ほどしか話していない。可能性は無い。
早苗…とても引かれていた。あれで好意を持たれていたら、こっちもびっくりだ。
パチュリー…お互いに良い友人のはずだ。彼女は僕の勘違いを知っているので問題は無い。
「…なんだ、問題ないじゃないか」
せいぜい、僕が好色だと噂が立つ程度。
僕だって年頃の独身男性だ。
嫁さん探しをしている、と思われる程度だろう。
「ふぅ、一時期は死んだかと思ったが、特に気にするまでも無かったな」
まぁ、あと問題と言えば、店の客が減るくらいか。
アリス、鈴仙、早苗の三人は、恐らく来ないだろう。
まぁそれくらいは、仕方のないことだと諦められる。
がらがら
「いらっしゃ…い?」
…来た客は、たった今、もう来ないと思ったアリスだった。
「ひ、ひさしぶりね?ど、どう、元気になった?」
それも何故か、非常に変だった。
「…あぁ、おかげさまで、君のおかげで生き延びたよ」
「そ、そう、ならいいわ、あなたに倒れられても困るしね」
…これは一体何のつもりなのだろうか?いやがらせなのか?
…しかし、僕が言わねばならないだろう。
「…アリス、僕はその人形じゃなくてこっちにいるんだが」
そう、何故かアリスは僕ではなく、入り口横の人形に話しかけていた。
「そ、それくらい分かってるわよ!で、でも、そっちを見ると、その…」
…よく分からないが、アリスにはアリスなりの考えがあるのだろう。
僕は、そっとしておくことにした。
「…そうか、好きにしてくれ」
「す、好き!え、あぁ、ええ!好きにするわよ!」
何故か怒っているようだ。
「そ、そんなことより、その、何か言うことがあるんじゃない?」
「その、髪についてるもの、とか、何でもないわよ!馬鹿!」
…さらに怒られた。
ん、髪?そう思い、彼女の髪型を見ると、あのとき買った髪飾りがついていた。
「あぁ、髪飾りをつけてくれたんだね。よく似合っているよ」
「――!そ、そう、あ、ありがとぅ」
…会話には返事をしてくれるが、こっちを見ようとはしない。
やはり、向こうも気まずいのだろうか?
がらがら
「いらっ、しゃい」
…次にきたのは鈴仙だった。
「こんにちは、霖之助さん!あれ、アリスさん?お買い物ですか?」
「…ええ、あなたもそうなの?」
「えーと、そ、そんなような、ちがうような、ハハ」
…やはり彼女たちは知り合いのようだ。
そして、何故か鈴仙も僕のあげたリボンをつけている。
「ふーん、ま、いいわ。それより髪型変えたのね?よく似合っているわ」
「あ、ありがとうございます!これ、大切な人もらったお気に入りなんです」
…なぜか不穏当な単語が聞こえた気がした。
「あら、じゃぁ大切にしないとね」
「はい!えと、霖之助さんは、どう思いますか?」
「…よく似合っているよ」
というか、君は以前ここで着けただろうに。
「ありがとうございます」
「あ、アリスさんの髪飾りも、とってもきれいでお似合いです」
「ふふ、ありがと。わたしのこれも、その、た、大切な人にもらったものだから」
…またしても理解できない単語が聞こえた。
「あらあら、若い子でいっぱいね」
そう言いながら現れたのは紫だった。
「げ、なんであんたがここに」
「失礼しちゃうわね~、私はここの常連よ、まぁ、もうすぐ、それだけじゃ、な、何でもないわ!」
「どうも、お久しぶりです」
「ええ、久しぶりね。ふふ、礼儀正しい良い子ね。アリスも見習いなさい」
「あんたに言われたくないわよ!」
「まぁまぁ、お二人とも、あれ?紫さんって結婚なさってたんですか?」
「え、いや、まだ、その、婚約というか、ねえ?」
…なぜだろうか、紫の左手の薬指にはまっているドーナツ型の物体は、僕の店で購入して行ったものに似ている。
…どうやら、最近珍しく忙しかったから疲れているようだ。
「へー、おめでとうございます」
「あんたを嫁にするなんて変わった妖怪ね。でも、まぁ、おめでとう」
「ふふ、二人ともありがとう」
…さっきから、疲れのせいかやけに胃が痛い。
がらがら
「……」
「ここの店は、客に挨拶もしなくなったのかしら?」
「…いらっしゃい、よく来たね」
あぁ、なぜか無性に布団が恋しい。
「パチュリー?あなたもここの常連だったの?」
「ええ、といっても今日が二回目だけどね」
「そうなんですか、私も今日が二回目なんですよ」
「あ、かわいいペンダントですね」
「へー、魔術的な要素も入ってるじゃない」
「ええ、ありがとう。私の体を心配してくれる人がいてね」
「あら、それってあなたのいい人かしら?」
「…ま、まぁ、そうとも言えるわ」
なぜ僕は今、布団に包まれていないのだろうか?
「あれ、ということは、なんだかんだでここにいる全員が、良い人ができたのね」
「あら、みんなもそうなの?」
「そうそう、聞いてくださいよ、なんと紫さんは結婚するらしいですよ」
「ふふ、もう、やめてちょうだい、鈴仙」
「…正直意外だわ。でもおめでとう」
「ふふ、ありがとう」
早く、暖かい布団に包まれたい。
「それで相手は誰なの?」
さっきから体がガクガクしているんだ。
「そういえば、私たちもまだ聞いていないわ」
もう、感覚なんてよくわからないけど、多分とっても寒いんだろう。
「そうですよー。どこの人なんですか?」
そうそう知ってるかい?この現象はシバリングって言うんだよ。
「え、でも、あの人に勝手に言うなんて…」
…今、紫が僕のほうをちらっと見た気がするが、気のせいだろう。
「きゃー、あの人だって!」
間違いなく気のせいだろうう。
「…どうせ、いつかばれるんだし、教えてくれてもいいんじゃない?」
そもそも、僕には紫の指にはまっているドーナツ型のものが認識できない。
「そうね。あの人もうなずいてくれたし」
ははっ、これで僕じゃないことが確信されたね。
「そこにいる森近霖之助さんよ」
へー、僕と同姓同名の人がいるのか。
「…へー」
「…え?」
「…あら」
…いっそ殺してくれ
はっ!僕は慌てて布団から飛び起きた。
「ゆ、夢か」
…なにやら、夢落ちかよ!それゃないだろ!作者死ね!とか電波が聞こえるが気のせいだろう。
今注意すべきは僕の命だ。
「あら、起きたの?」
あぁ、幻聴がする。
「あなたが寝ている間に、みんなで話したわ」
はは、なんだまだ夢の中か
「とりあえず、聞きたいことがあります」
また夢から覚めないかな~
「…いい加減、戻ってきなさい」
あ、ちょうちょさんがいるー
「「「「早くしろ」」」」
「…はい」
僕は彼女たちに今までのことを全て話した。
ちなみに態勢はずっとDO・GE・ZAだ。
なぜかって?彼女たちの顔が怖くて見えないからだよ。
「…そう、つまり私たちを騙していたのね?」
「…霖之助さん、ひどいです」
「…覚悟はいいかしら?」
「………」
…彼女たちの怒りも、もっともなことだ。
故意では無かったにせよ、僕は彼女たちの心をもてあそんだことになる。
…しかし、さっきから一言も発しない紫が怖すぎる。
「紅符」
「幻朧」
「日符」
「………」
あぁ、せめて魔理沙の花嫁姿くらいは見たかったな。
「和蘭人形」
「月睨」
「ロイヤルフレア」
「………」
そして、視界の全てが白く染め上げられた。
…あぁ、痛みも感じないようだ。良かったというべきか、彼女たちに申し訳ないというべきか
あれ?段々と光が小さくなっているようだ。
そして、僕の目の前には
「…どういうつもりかしら、紫?」
紫が立っていた。
「どういうも何も、ねぇ?」
「…邪魔をするなら紫さんと言えど」
「…容赦はしないわ」
茫然とする僕に、紫が話しかける。
「怪我はないかしら?」
「あ、あぁ、問題ない」
…なんのつもりなのか、さっぱり理解できない。
「そう、良かった」
「…それで、あなたはそんな男をかばって、どうするつもりかしら?」
――っ!…ひどい言葉だが反論する言葉もない。
「どうするも何も、少しやりすぎじゃない?別に騙そうとしたんじゃなくて、勘違いしてただけなんだし」
「…悪気が無ければ、全てが許されるというわけじゃないですよ?」
…鈴仙の言うとおりだろう。
悪気がなくても許されないこともある。
今回の場合もそうだ。
「どきなさい、次は本気で打つわ」
「いくら紫さんと言えど、私たち三人の攻撃は防ぎきれないはずです」
「さぁ、そこをどきなさい!」
しかし、そう言われても、紫は肩をすくめるだけだ。
「…紫、ありがとう、だがもういいんだ」
「悪気があったとかではなく、僕が彼女達、君も含め傷つけたのは事実だ」
「彼女達には、僕を責める権利がある」
「…無理よ、だって、あなたがなんとも思ってなくたって、もう、好きになっちゃたんだから」
「「「っ!」」」
「あ、あれは、その、すまなかった」
謝っても許してもらえることでないことは分かっていたが、僕にできるのはそれだけだった。
「ふふ、いいのよ。片思いも悪くないわ、それに恋する乙女は無敵なのよ?」
「さぁ、かかってきなさい、あなたたちに私の結界が破れるかしら?」
「「「………」」」
「…やらないの?」
「はぁ、そんなこと言われて攻撃できるわけないでしょ」
「私たちも、もう好きになっちゃてるんですから」
「よく言ったものね。惚れたが負けって」
…どうなったんだ?
「あら、いいの?じゃぁ、あとは、私を好きにさせるだけね」
「…おばさんは黙ってなさい、もう年なんだから狐のところで隠居でもしなさい」
「パチュリー、その言葉、あなた自身にも言えるわよ?」
「えーと、私は、そのお側に置いてもらって、時々かわいがってもらえればいいんですけど」
「あら、じゃぁ共闘しましょう。別に殿方の側室くらい認める心はあるから」
「…パチュリー?」
「ええ、一時休戦ね」
…僕が中心のようでいて、僕を無視して進行していく。
「「「「それじゃぁ」」」」
…もう、なるようになるしかないか
「「「「勝負開始!」」」」
…あぁ、今日も、いい、天気だ。
※誰も落ちないので萌えはありません
こちらは、「萌えの活用」シリーズの続編にあたります。よって、ご一読を多分お勧めします。
…僕の名前は森近霖之助、古道具屋を営むただの半妖である。
…ただ、この店はもうすぐ閉店することになるだろう。
…なぜかって?店主である僕が、もうすぐ死ぬからだ。
…事の始まりは、一枚の新聞だった。
がらがら
「いらっしゃい」
「どうも、新聞でーす」
そう言いながら入ってきたのは、文だった。
彼女は僕も購読している、文々。新聞という新聞を一人で発行している。
発行は不定期だが大体週一くらいで、今日も新聞を届けにやってきたようだ。
「何だ君か」
しかし、新聞を届けに来たということは客ではない、ということだ。
僕の態度が冷たくなるのも、無理もないことだ。
「あやー、相変わらず客商売に向いていない態度ですね」
「君は客じゃないだろう?」
「確かに今日は客じゃありませんけど、別にいつもこんな感じじゃないですか」
…大きなお世話である。
「新聞はそこに置いといてくれればいいよ」
「いえいえ、新聞を届けに来たということもありますけど、森近さんにお聞きしたいことがあるんですよ」
天狗が僕に、ねぇ。嫌な予感しかしないな。
「森近さんは、萌え、という言葉をご存知ですか?」
……なぜ、こんなにも悪い予感は的中するのだろうか?
「最近、外の世界から来た言葉なんですけどね」
「ここも外の世界のものを取り扱ってるんで、何かないかなー、なんて」
「…あいにくだが、その萌えとやらは初めて聞いたよ。今まであった萌えとは、意味が違うんだろう?」
僕は必死に平常心を保ちながら、彼女に言葉を返した。
「あやー、そうですか、残念です」
「まぁ、詳しくは新聞に書いてあるので見てください。それでは失礼します」
そう言い、彼女は風のように去って行った。
そして、僕も風のように新聞を取りに行った。
…こんなに本気で動いたのは、いつぶりだろうか?
そして僕は新聞を読み始めた。
そこには要約すると、以下のようなことが書いてあった。
・萌えとは外の世界の言葉である。
・萌えとは対象に対して、強い好意や愛情を持っているときに使う。
・萌えのおかげで結婚できました。
……僕の状況が分かってもらえただろうか?
…僕はすでに五回ほど萌えを使ってしまっている。
つまり、五回告白をしてしまったのだ。
その相手は、アリス、紫、鈴仙、早苗、パチュリーである。
五人が五人とも、大変見目麗しい女性たちだ。
…一体、僕はどうすればいいんだ。
…ん、だがそれになにか問題があるのか?
現時点では、別に五またをかけたわけでもないし、告白しただけだ。
しかも、全員が全員、望みなしと言える。
アリス…人里の男性からも人気は高いが男より魔法を取る。幾人の男たちが玉砕。
紫…検討するまでもない。彼女が僕に肯定の返事を返すなんてありえない。
鈴仙…初めて会った上に一時間ほどしか話していない。可能性は無い。
早苗…とても引かれていた。あれで好意を持たれていたら、こっちもびっくりだ。
パチュリー…お互いに良い友人のはずだ。彼女は僕の勘違いを知っているので問題は無い。
「…なんだ、問題ないじゃないか」
せいぜい、僕が好色だと噂が立つ程度。
僕だって年頃の独身男性だ。
嫁さん探しをしている、と思われる程度だろう。
「ふぅ、一時期は死んだかと思ったが、特に気にするまでも無かったな」
まぁ、あと問題と言えば、店の客が減るくらいか。
アリス、鈴仙、早苗の三人は、恐らく来ないだろう。
まぁそれくらいは、仕方のないことだと諦められる。
がらがら
「いらっしゃ…い?」
…来た客は、たった今、もう来ないと思ったアリスだった。
「ひ、ひさしぶりね?ど、どう、元気になった?」
それも何故か、非常に変だった。
「…あぁ、おかげさまで、君のおかげで生き延びたよ」
「そ、そう、ならいいわ、あなたに倒れられても困るしね」
…これは一体何のつもりなのだろうか?いやがらせなのか?
…しかし、僕が言わねばならないだろう。
「…アリス、僕はその人形じゃなくてこっちにいるんだが」
そう、何故かアリスは僕ではなく、入り口横の人形に話しかけていた。
「そ、それくらい分かってるわよ!で、でも、そっちを見ると、その…」
…よく分からないが、アリスにはアリスなりの考えがあるのだろう。
僕は、そっとしておくことにした。
「…そうか、好きにしてくれ」
「す、好き!え、あぁ、ええ!好きにするわよ!」
何故か怒っているようだ。
「そ、そんなことより、その、何か言うことがあるんじゃない?」
「その、髪についてるもの、とか、何でもないわよ!馬鹿!」
…さらに怒られた。
ん、髪?そう思い、彼女の髪型を見ると、あのとき買った髪飾りがついていた。
「あぁ、髪飾りをつけてくれたんだね。よく似合っているよ」
「――!そ、そう、あ、ありがとぅ」
…会話には返事をしてくれるが、こっちを見ようとはしない。
やはり、向こうも気まずいのだろうか?
がらがら
「いらっ、しゃい」
…次にきたのは鈴仙だった。
「こんにちは、霖之助さん!あれ、アリスさん?お買い物ですか?」
「…ええ、あなたもそうなの?」
「えーと、そ、そんなような、ちがうような、ハハ」
…やはり彼女たちは知り合いのようだ。
そして、何故か鈴仙も僕のあげたリボンをつけている。
「ふーん、ま、いいわ。それより髪型変えたのね?よく似合っているわ」
「あ、ありがとうございます!これ、大切な人もらったお気に入りなんです」
…なぜか不穏当な単語が聞こえた気がした。
「あら、じゃぁ大切にしないとね」
「はい!えと、霖之助さんは、どう思いますか?」
「…よく似合っているよ」
というか、君は以前ここで着けただろうに。
「ありがとうございます」
「あ、アリスさんの髪飾りも、とってもきれいでお似合いです」
「ふふ、ありがと。わたしのこれも、その、た、大切な人にもらったものだから」
…またしても理解できない単語が聞こえた。
「あらあら、若い子でいっぱいね」
そう言いながら現れたのは紫だった。
「げ、なんであんたがここに」
「失礼しちゃうわね~、私はここの常連よ、まぁ、もうすぐ、それだけじゃ、な、何でもないわ!」
「どうも、お久しぶりです」
「ええ、久しぶりね。ふふ、礼儀正しい良い子ね。アリスも見習いなさい」
「あんたに言われたくないわよ!」
「まぁまぁ、お二人とも、あれ?紫さんって結婚なさってたんですか?」
「え、いや、まだ、その、婚約というか、ねえ?」
…なぜだろうか、紫の左手の薬指にはまっているドーナツ型の物体は、僕の店で購入して行ったものに似ている。
…どうやら、最近珍しく忙しかったから疲れているようだ。
「へー、おめでとうございます」
「あんたを嫁にするなんて変わった妖怪ね。でも、まぁ、おめでとう」
「ふふ、二人ともありがとう」
…さっきから、疲れのせいかやけに胃が痛い。
がらがら
「……」
「ここの店は、客に挨拶もしなくなったのかしら?」
「…いらっしゃい、よく来たね」
あぁ、なぜか無性に布団が恋しい。
「パチュリー?あなたもここの常連だったの?」
「ええ、といっても今日が二回目だけどね」
「そうなんですか、私も今日が二回目なんですよ」
「あ、かわいいペンダントですね」
「へー、魔術的な要素も入ってるじゃない」
「ええ、ありがとう。私の体を心配してくれる人がいてね」
「あら、それってあなたのいい人かしら?」
「…ま、まぁ、そうとも言えるわ」
なぜ僕は今、布団に包まれていないのだろうか?
「あれ、ということは、なんだかんだでここにいる全員が、良い人ができたのね」
「あら、みんなもそうなの?」
「そうそう、聞いてくださいよ、なんと紫さんは結婚するらしいですよ」
「ふふ、もう、やめてちょうだい、鈴仙」
「…正直意外だわ。でもおめでとう」
「ふふ、ありがとう」
早く、暖かい布団に包まれたい。
「それで相手は誰なの?」
さっきから体がガクガクしているんだ。
「そういえば、私たちもまだ聞いていないわ」
もう、感覚なんてよくわからないけど、多分とっても寒いんだろう。
「そうですよー。どこの人なんですか?」
そうそう知ってるかい?この現象はシバリングって言うんだよ。
「え、でも、あの人に勝手に言うなんて…」
…今、紫が僕のほうをちらっと見た気がするが、気のせいだろう。
「きゃー、あの人だって!」
間違いなく気のせいだろうう。
「…どうせ、いつかばれるんだし、教えてくれてもいいんじゃない?」
そもそも、僕には紫の指にはまっているドーナツ型のものが認識できない。
「そうね。あの人もうなずいてくれたし」
ははっ、これで僕じゃないことが確信されたね。
「そこにいる森近霖之助さんよ」
へー、僕と同姓同名の人がいるのか。
「…へー」
「…え?」
「…あら」
…いっそ殺してくれ
はっ!僕は慌てて布団から飛び起きた。
「ゆ、夢か」
…なにやら、夢落ちかよ!それゃないだろ!作者死ね!とか電波が聞こえるが気のせいだろう。
今注意すべきは僕の命だ。
「あら、起きたの?」
あぁ、幻聴がする。
「あなたが寝ている間に、みんなで話したわ」
はは、なんだまだ夢の中か
「とりあえず、聞きたいことがあります」
また夢から覚めないかな~
「…いい加減、戻ってきなさい」
あ、ちょうちょさんがいるー
「「「「早くしろ」」」」
「…はい」
僕は彼女たちに今までのことを全て話した。
ちなみに態勢はずっとDO・GE・ZAだ。
なぜかって?彼女たちの顔が怖くて見えないからだよ。
「…そう、つまり私たちを騙していたのね?」
「…霖之助さん、ひどいです」
「…覚悟はいいかしら?」
「………」
…彼女たちの怒りも、もっともなことだ。
故意では無かったにせよ、僕は彼女たちの心をもてあそんだことになる。
…しかし、さっきから一言も発しない紫が怖すぎる。
「紅符」
「幻朧」
「日符」
「………」
あぁ、せめて魔理沙の花嫁姿くらいは見たかったな。
「和蘭人形」
「月睨」
「ロイヤルフレア」
「………」
そして、視界の全てが白く染め上げられた。
…あぁ、痛みも感じないようだ。良かったというべきか、彼女たちに申し訳ないというべきか
あれ?段々と光が小さくなっているようだ。
そして、僕の目の前には
「…どういうつもりかしら、紫?」
紫が立っていた。
「どういうも何も、ねぇ?」
「…邪魔をするなら紫さんと言えど」
「…容赦はしないわ」
茫然とする僕に、紫が話しかける。
「怪我はないかしら?」
「あ、あぁ、問題ない」
…なんのつもりなのか、さっぱり理解できない。
「そう、良かった」
「…それで、あなたはそんな男をかばって、どうするつもりかしら?」
――っ!…ひどい言葉だが反論する言葉もない。
「どうするも何も、少しやりすぎじゃない?別に騙そうとしたんじゃなくて、勘違いしてただけなんだし」
「…悪気が無ければ、全てが許されるというわけじゃないですよ?」
…鈴仙の言うとおりだろう。
悪気がなくても許されないこともある。
今回の場合もそうだ。
「どきなさい、次は本気で打つわ」
「いくら紫さんと言えど、私たち三人の攻撃は防ぎきれないはずです」
「さぁ、そこをどきなさい!」
しかし、そう言われても、紫は肩をすくめるだけだ。
「…紫、ありがとう、だがもういいんだ」
「悪気があったとかではなく、僕が彼女達、君も含め傷つけたのは事実だ」
「彼女達には、僕を責める権利がある」
「…無理よ、だって、あなたがなんとも思ってなくたって、もう、好きになっちゃたんだから」
「「「っ!」」」
「あ、あれは、その、すまなかった」
謝っても許してもらえることでないことは分かっていたが、僕にできるのはそれだけだった。
「ふふ、いいのよ。片思いも悪くないわ、それに恋する乙女は無敵なのよ?」
「さぁ、かかってきなさい、あなたたちに私の結界が破れるかしら?」
「「「………」」」
「…やらないの?」
「はぁ、そんなこと言われて攻撃できるわけないでしょ」
「私たちも、もう好きになっちゃてるんですから」
「よく言ったものね。惚れたが負けって」
…どうなったんだ?
「あら、いいの?じゃぁ、あとは、私を好きにさせるだけね」
「…おばさんは黙ってなさい、もう年なんだから狐のところで隠居でもしなさい」
「パチュリー、その言葉、あなた自身にも言えるわよ?」
「えーと、私は、そのお側に置いてもらって、時々かわいがってもらえればいいんですけど」
「あら、じゃぁ共闘しましょう。別に殿方の側室くらい認める心はあるから」
「…パチュリー?」
「ええ、一時休戦ね」
…僕が中心のようでいて、僕を無視して進行していく。
「「「「それじゃぁ」」」」
…もう、なるようになるしかないか
「「「「勝負開始!」」」」
…あぁ、今日も、いい、天気だ。
わたしは さくしゃを ゆるさない
誰も落ちない? どこが?
一言で全員メロメロなら幻想郷全員落とされてはいかがですか
ありがとう
みたいな、腕が一本まだ見つかってないとか言う、バラバラBADENDにならなくて本当に良かったです。
勘違いから始まる恋と言うのもなかなか良いものだと思った今日このごろ。
それにしても入院されていたのですね。お体はお大事に、無理は禁物ですよ?
ですから、無理の無い範囲で後日談とかもっと書いて欲しいなあとか思いました。
最高の作品でした!
ニヤニヤがまだ止まらないwww
ああ間違えた。
こーりん死ね。
好意以外の感情で「幻想郷に行きたい」と強く願ったのは
俺は四人(よもや六人?)に殺されても構わない
ただ一人を亡き者にできればね
作者さんの次の作品にも期待してます!
そんな馬鹿な!!!!
俺はこの結果を認めない、認めないぞぉぉぉぉぉぉ!!!
あ、ちなみに紫霖で次回からおねがいしまs(夢想封印&マスパ
って言うはずのパチュリーが!!!
霊夢と魔理沙の活躍に期待します。超期待。
鮮血の結末が回避されて良かったね。
何のためのタグなのか
よくできていたと思います。
ニヤニヤさせて頂きましたw
次回作にも期待させて頂きます。
まてそれはパッチェさんの仕事だ!
魔理沙と霊夢はこの地獄を打ち破れるのだろうかwww
あと、鈴仙のペット根性?は地味に美味しいです。
それはそれとはじめに予防線を張るのは止した方がいい。
面白く読もうとしているところに水を差しこまれてちょっと読む気が削がれるよ。
ブッコロだおwwwwwwwwwwwww
>16さん
共に戦いましょうwwwwwwww
ああ、だめ。
負けたと言わざるえない。
年寄りの知恵袋先生の次回作にご期待下さい☆
こーりんブン殴るために幻想郷に行きたいです。
あ、作品は面白かったですよ?
良い作品でした。そしてこーりん、罪袋たちが黙っちゃいないぞ!
そうか……やっと幻想郷(せかい)が霖ちゃんを受け入れたのですね……。
だがしかし霖ちゃんにはマンツーマンが良く似合うのです。
だから私はこの言葉を紡ぐっ!
『そこm(その後k(ry』
死なない… 死亡フラグ立ったのに… 死なない!?
凄く面白かったです。誠エンドを覚悟しましたが、見事ハッピーエンド(?)オチで俺としては非常に嬉しいです。次回作に期待させて頂きます。乙×10&GJでした。
霖之助との絡みはいいね
完結は残念だけど次回作も期待してます
だが、それとこれとは話は別だ
死 ぬ が よ い
久々に使うか。
こーりんころす
これくらい歯の浮く台詞を並べれば…
ってか何だ最後の読んでる方が恥ずかしくなりそうな甘々っぷりはw
砂糖吐いても吐いても足りねぇ!
あと予防線云々言ってる人もいるけど特に気にはならないし、気に入らないなら最初の数行だけ読み飛ばせば良いと思うな。
こんなすばらしいことを言うゆかりんに惚れた
>「うう、腰が~あんなに激しいなんて…」
ロデオだよな?な!?
……さぁ~て…、建前はこんくらいにして…。
レッツパーリィィィィィ!(幻想郷に殴り込み)
ボコラレ落ちはよく見るからたまにはこんなのもありだと俺は思う。
いやぁ~面白かったな・・・
さてと、武器は揃ったが人手が足りん・・・
まぁいいや、香霖堂に向けてれっつらごぅ♪
ブッコロブッコロブッコロブッコロ・・・・・・
まさかのハーレムエンド
霖之助にはじめて殺意を覚えたよ
次回作にも期待します
今頃作者の黒歴史だろ