Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

門の前にて法螺を吹く

2009/07/04 02:35:38
最終更新
サイズ
5.17KB
ページ数
1

 門の前に一人の黒髪の小さな少女が立ちながら
 ボーっと青い空を見つめていた

 そんな少女の前に銀髪の女性が現われた


「あら?門番隊の子?美鈴は居ないの?」
 今日はシフトでお休みですよ?
「あら本当…何処に行ったか知らないかしら?」
 さあ…でも、きっと何処かで休んでますよ 
「そう…ありがとう寝室に行って見るわね」 
 もしかしたら、外かも知れませんよ?

  
 銀髪のメイド長が嬉しそうな雰囲気を残しながら
 門番長の部屋に向かっていった

 紅美鈴はメイド長に好かれているのだろう





     ・・・





 黒髪の少女がその場に座り込みながら
 ボーっと目の前の湖を見つめていた
  
 そんな少女の前に、傘を差した金髪の吸血鬼が姿を現した

「あれ?めーりん居ない?」
 今日はお休みですからね…きっと何処かで骨休めをしてますよ
「え~…せっかくめーりんと遊ぼうと思ったのに…」
 そうですか…門番長の事は好きですか?
「大好き!」
 きっと、門番長も同じ気持ちですよ
「えへへっ…そうかな?」
 間違いありませんよ…


 黒髪の少女の言葉に金髪の吸血鬼の少女が
 嬉しそうに羽根をパタパタさせて
 門番長を探してくると屋敷の中に戻っていった
 
 紅美鈴は悪魔の妹にも好かれているのだろう





     ・・・





 黒髪の少女が門の前に小さなシートを引いて
 大き目のおにぎりを頬張りながらボーっとしていた

 その少女の前に、箒に乗った魔法使いがそっと現われた

「おーい、何時もの門番は居ないのか?」
 …きっと、門を破壊されすぎで門番を首にされてしまったんでしょう
「ふむ…門を破壊するなんて酷い奴が居た者だ」
 …門を破壊する泥棒さんにはおにぎりは上げませんよ?
「おっと、すまんすまん…今度からは少し自重するから、一つ分けてくれ」
 はい…シートも隣をどうぞ 
「ん、有難く」

 黒髪の少女の隣に白黒の魔法使いが座る

「むぐむぐ…それで?門番の奴はどうしたんだ?」
 今日は門番の御仕事お休みです
「そうか…怪我とか病気じゃないんだな?」
 はい…今日はボムも受けてませんから
「ははっ、悪かったって」
 門番長の事は嫌いですか?
「ん、面向かっていう事はないけどな、門番の事は嫌いじゃないぜ?」
 そうですか…でしたら、普通に門を通れば良いのに
「ん、でもそれは門番のあいつに失礼じゃないかと思ってな」
 …それよりも、お茶を一緒に飲む方が喜ぶと思う
「…ああ、悪くないかもな」
 
 白黒の魔法使いが大きめのおにぎりを頬張り終えると
 箒に乗って、図書館の方に向かってゆっくりと移動し始めた
 どうやら、今日は略奪しないみたい

 紅美鈴は白黒の魔法使いにも好かれているようだ





     ・・・





 黒髪の少女が門の横にシートを広げて
 その上で軽くうとうとしていた 

 うとうとしていると、その傍に七曜の魔法使いが姿を見せた

「…美鈴はいないのかしら?」
 今日は非番ですよ…
「何処に行ったか知らないかしら?」
 ん~…きっと何処かで日向ぼっこをしているかと
「…何処で?」
 さあ…それは解りませんけど
「…残念ね…」
 何がですか?
「久しぶりに、門の前に居る美鈴でも見ようと思ってね」
 …門番長の事は好きですか?
「ん~…大切とは思っているわ…ただ、もう少し猫度を上げてもらいたいけど」
 そうですか…これからどうするんですか?
「…時間が空いてしまったわ」
 時間があるのでしたら、このシートの隣で日向ぼっこでもしたらどうです?
「…存外悪くないわね」
 
 門の横のスペースで黒髪の少女と
 七曜の魔法使いが日光浴を開始した
 二人ともうとうとする

 紅美鈴は七曜の魔法使いにも好かれているようだ





     ・・・





 黒髪の少女が夕焼けを見ながら
 おやつをもごもごと食べていた

 その黒髪の少女の隣に傘をさした屋敷の主が現われた

「そこの貴方…美鈴を知らないかしら?」
 あ、お嬢様…どうなされたんですか?
「…今日半日、何処にも美鈴が見つからないのよ」
 今日はお休みですから…きっと外ですよ
「そ、そう…」
 門番長の事が気になりますか?
「だ、誰が美鈴の事など!」
 ………
「ま、まあ…少なくとも家族の一員だと思っているわ
 美鈴がどう思っているかは分からないけど…」
 きっと…門番長もそう思って居ますよ
「そう…だと良いんだけど」
 随分と弱気ですね?
「…ええ、美鈴には随分と無理させているのは解っているから」
 無理ですか?
「門番の役職を作る時に、誰もやりたがらなかったの」
 確かに…昼は暑いし、夜は寒いですね
「そう…それにキツイ、汚い、危険がそろう場所と言うのも解っているし」
 朝早く起きて、夜遅く寝る…命にかかわる事もありますからね
「それに、妹の面倒を見てもらうことも…」
 あ、あはははっ…だ、大丈夫ですよ頑丈ですから
「…本人の前では言えないけど…ありがとうって本当に思うわ」
 …是非、本人の目の前で言いましょうよ
「は、恥ずかしいじゃない」
 …大丈夫ですよ…きっと門番長にもその心は届いてますから
「………」
 さあ、もう少しでお食事のお時間ですよ?
「あらいけない、もうこんな時間ね…そうね…美鈴が戻ってきたら
 私の部屋に一人で来るように伝えておいてくれるかしら?」
 解りました、そう報告しておきます

 屋敷の主が食事のために屋敷の中に戻っていった
 手にした傘を門の傍に置きっぱなしにして

 紅美鈴は屋敷の主からも好かれているみたいだった





     ・・・





 外も暗くなってきた頃、黒髪の少女が門の前から立ち上がる

(さて、そろそろ戻りましょうか)

 黒髪の少女がグッと背伸びをすると
 門番隊の宿舎の中に戻っていく

 そして、自分の部屋の中に入ると
「おっと…カツラを外さないと」
 黒髪のカツラを外して元の紅い髪に戻し
「そうそう、秘薬の解除薬を飲んで…っと」
 御手製の薬をグッと飲み干すと
 小さかった体を何時もの身体に戻して

「たまには、誰にも気が着かれない様な休暇も悪くないですよね」

 今日一日、誰にも知られないまま
 のんびりとした休暇を取れたことに感謝した
 どうも、脇役です…

 屋敷の皆から愛されるのは良いけれど
 たまには、欺いてのんびりと仕事場でごろ寝するのもまた良いものです

 えっ?ちび黒髪美鈴の服?
 ゴスロリ以外にあり得ないでしょう!
脇役
コメント



1.アクセス削除
最初ほのぼのした流れでしたが、最後の展開が思わずビックリな落ちで驚きました。
2.名前が無い程度の能力削除
途中からゴスロリだって気づいたよ
3.名前が無い程度の能力削除
グッジョーブ!
めーりんはそんな秘薬も作れるんですね
でも休暇中のめーりんがいなかったら代わりの門番は誰もいなかったんでしょうか。

紅美鈴は俺にも好かれているようだ
4.謳魚削除
ゴスロリまでは見抜けませんでした…………不覚っ!
5.七人目の名無し削除
黒髪にゴスロリって何故にああも合うものなのか・・・・・・。
おもしろかったです。
6.名前が無い程度の能力削除
二重の保険をかけていたんですねwww
髪はわかりましたが、体は気付きませんでしたwww
7.薬漬削除
美鈴すげぇぇぇぇぇぇ!!!
8.名前が無い程度の能力削除
『少女』の正体には早いうちに気づいたが、
てっきり気功によるもんかと・・・
この美鈴なら永遠亭でもやっていけるんじゃなかろうか。

>ゴスロリ
そういえばありましたね、そんな幼き日の美鈴の写真(「今日も愉快な二人の隊長」より)
・・・あなたが、神か。
9.名前が無い程度の能力削除
なるほど、次はパチェさんによってこっそりすり替えられた秘薬の作用で猫耳幼女なめーりんが見られるわけですね?
10.名前が無い程度の能力削除
黒髪めーりんのゴスロリ…

「少女」って書いてあったからもうちょっと落ち着いた服だって信じてたのに!