この作品は同作品集「紅魔館のおぜうさま」「おぜうさまのかっこいいところ」の続編です。
今日はお姉さまに、大切な話があるといわれて私室に呼ばれた。
行ってみるとそこにはお姉さまだけじゃなくて、パチュリーや咲夜、美鈴も同席していた。
これってひょっとして紅魔館トップ会議?
「掛けなさいフラン」
お姉さまに促されて私の席に座る。いったい何が始まるんだろう。
「今日あなたを呼んだのは他でもない。紅魔館の最重要機密をあなたに話す必要があるからよ」
さいじゅうようきみつ?
「あなたもついに社交を覚えて、他の勢力と交流するまでになったわ。
それはとても喜ばしいこと。けれど、紅魔館には他の勢力に絶対知れてはならない秘密があるの」
そうなの?と皆を見回すと、深刻な顔をしている。そんなに大変なことが紅魔館にあったなんて。
私は椅子に座りなおしてお姉さまの言葉を待った。
「咲夜、防諜はいい?パチュリー?美鈴?
……そう。ではフラン、よく聞きなさい。
それは、『うー☆』と呼ばれているわ」
うー☆?
「そう、それは儀式。
『れみ』の掛け声で神の右手を不浄の左へ
『りあ』の掛け声で悪魔の左手を聖なる右へ
『うー☆』の掛け声で神を貶め、悪魔を崇拝する。
私達吸血鬼に伝わる、伝統的な悪魔崇拝の方法なのよ」
そういうとお姉さまはゆっくり「うー☆」をしてくれた。
「お姉さまそれって、この間永遠亭のトイレでやってたの?」
「お嬢様、やはり我慢なさることができなかったのですね」
咲夜があきらめ顔で言う。
「お嬢様は一時間に一回はうー☆しないと持ちませんからねえ」
美鈴が苦笑する。
「うるさい、仕方がないじゃないか」
お姉さまは不機嫌な顔をしている。
「でもお姉さま、どうしてそれがそんなに秘密にされてるの?」
私は不思議に思った。私達吸血鬼が悪魔信仰をしているのなんて常識じゃないだろうか。
「それはね」
お姉さまが私に噛んで含めるようにして教えてくれる。
「この間、あなたがトイレの話をしたときに私が止めようとしたのに似たようなものなの。
私達がうー☆をしていることはもしかしたら知られているかもしれないわ。
でも、面と向かってそれを言ったり、してみせたりするのはとても恥ずかしいことなの。
私達紅魔館の上層部ならいいわよ。でも、他の勢力にそういうことの話をするのは絶対ダメ。」
「ふーん」
私にはまだまだ知らないことがたくさんある。勉強しなきゃなあ。
なぜかお姉さま以外は笑いをこらえてるから、それにもきっと意味があるんだろうな。
れみりあうー、れみりあうー、と何回かやってみた。
お姉さまみたいに可愛く「うー☆」をするのはとても難しいみたいだ。
「お姉さま、私がやるときも『れみりあ』でいいの?」
「んっ?ああ、そうね、フランがやるなら、『ふらんどーる』のほうがいいかもしれないわ」
そういわれたのでふらん、どーる、うー☆と何回かやってみたがしっくり来ない。
さっきから皆物凄い勢いでニコニコしてたのに、それもなんだか微妙な顔になっちゃった。
「うー☆」がうまくできない私は、本当にお姉さまの妹なんだろうか。
へたくそな「うー☆」をもう何回かしたあと、私は顔を上げられなくなってしまった。
そんな私を、お姉さまは後ろから抱きしめて、こういってくれたのだ。
「フラン、なにも自分の名前にこだわる必要はないわ」
「でも、お姉さまは『れみりあ』って名前でうまくやっているわ。
私が『ふらんどーる』だから『うー☆』をうまくできないのに」
顔がふにゃっとゆがむのがわかる。
泣いたらダメ。お姉さまが悲しむ。そう思っても、なかなかとまりそうにない。
そしたら、お姉さまはとても素敵なことをいったのだ。
「フランとレミリアがいっしょになった『れみ、ふら、うー☆』というのはどうかしら。
わたしとフランがいっしょなら、これほど紅魔館にふさわしい儀式はないわ」
「本当?」
「ええ本当よ。だから笑ってフラン。あなたが泣いていると私も悲しいわ」
私は顔をごしごしこすってお姉さまに返事をした。
「れみふらうー☆」
「はい、れみふらうー☆」
私もお姉さまも笑顔になった。
皆も物凄い勢いでイイ笑顔になった。
やばいこれはまったわw
想像したら忠誠心が…
ふぅ…
レミ☆フラ☆ウー!レミ☆フラ☆ウー!
れみふらうー☆
鼻から忠誠心が出そうだ・・・
嬉しくなると
ついやっちゃうんだ
みんなもやってみようよ
れみ☆ふら☆うー☆
ここに新しい歴史が刻まれました。すばらしい!!
群を抜いてかわいいのは当たり前として、それ以上にちゃんとお姉さんしてる。御当主さましてる。
ロードとはこう言うもんだという自負がかっこいいよね。
もちろんそれを自然と支えたり素直に受け止めてる紅魔館のみんなもすばらしいよね。すばらしい!