同作品集「紅魔館のおぜうさま」を読んでいないと意味不明だと思います。
また、過去のアステルパーム作品(プチ、創想話)とも関連があります。
紅魔館で開かれたパーティはおおむね和やかな雰囲気でにぎわっている。
永遠亭から帰ってきたレミリアの鶴の一声で始まったパーティは、メイド長の瀟洒なマジックですぐに準備が行われた。
フランを外に慣れさせるという意味の強かった永遠亭への訪問とは違い、
魔理沙やアリスも巻き込んだフランドール成長のお祝いだけあって、無礼講な雰囲気が強い。
メイドたちも客人に不快を感じさせない程度に楽しんでいるようだった。
レミリアは
「今日は私の妹が社交と言うものを学んだ日。
これからの紅魔館はフランも交えてますます発展していくだろう。
さあ、遠慮なく飲むがよい」
と魔理沙とアリスにワインを勧めている。
レミリアが何気ない仕種をするたびに、乾かされた杯が咲夜によって満たされる。
人を使うのに慣れた貴族らしい物腰だった。
パチェリーはふよふよ浮きながら本を片手にワインを飲んでいる。
済ました顔で永遠亭の印象について語るフランドールに合いの手を入れているので、
もう本を開いている意味はないだろうが。
先ほどからページがめくられていないのに気づいた子悪魔が、本を抜き取って料理の皿に替えている。
咲夜はレミリアのそばに控えて瀟洒な従者を演じつつも
はしたなくない程度に美鈴の様子を気にしている。
美鈴の皿の肉がいつのまにか増えていたりするのはきっと彼女の仕業だろう。
美鈴はメイドに大人気だ。
入れ替わり立ち代り妖精達が寄ってくる。
よってくる者皆が料理を勧めているあたり、紅魔館での美鈴のポジションが窺い知れる。
こういうときでもないと、内勤のメイド隊と外勤の門番隊では交流がないのだろう。
フランドールが永遠亭の印象を語り終えたのか、
次の話題に移ろうとした。
「それでね、お姉さまとトイレであったんだけど、」
「フラン」
威厳たっぷりの物腰でレミリアがさえぎった。
「客人の前でそんな話題は優雅とはいえないんじゃないかしら」
「そうかな?お姉さまの話なんだけど」
「私の話ならもっとほかにもあるわよ」
「でもせっかく……」
「妹様」
レミリアが一瞬狼狽したのを敏感に察知した咲夜が声をかけた。
「確かにそのような場所の話はこのような場にふさわしくありませんわ。
もっと永遠亭のことを話されたらいかがでしょう」
「でもお姉さまがね、」
「妹様」
長年の友人らしい、抜群のタイミングでパチュリーが割って入った
「私ももっと永遠亭の話が聞きたいわ。
あそこにはどんな本があるのかしら」
「えっと……」
「いいじゃないか、もう無礼講っぽいんだし、フランドールの話を聞いてやろうぜ」
三人が必死でフォローしたにもかかわらず、空気の読めない魔理沙が爆弾を投げ込んだ。
その横でふらふらしているアリスもうなずいている。
レミリアはその一瞬で覚悟を決めた。
もし自分のカリスマが崩壊するようなことがあれば次は自分が495年引きこもろうと。
咲夜はその一瞬で悟った。
レミリアはやはり我慢できなかったのだ。
かくなるうえは、時間を止めてフランドールをさらうしかないだろうか。
パチュリーはその一瞬で判断を下した。
フランドールの話より、自分が魔理沙を吹っ飛ばすほうがインパクトが大きい。
レミリアの羽がぱたぱたと動いた。
咲夜の手が銀時計を握り締めた。
パチュリーの手に再び本が握り締められた。
一瞬で緊張の高まった紅魔館の面々にフランドールが言葉を放つ。
「お姉さまって手を洗うときにハンカチを口でもつんだよ!
なんかすごいかっこよかった!」
無理して頑張るれみちゃんかわいい!
れみぃ可愛いよれみぃ。
かっこいいというフランちゃんもまた可愛らしい!
もうこの姉妹可愛い過ぎ///
どれくらい可愛いかって、それは。
まあ、最低限、お持ち帰りするぐらいには、可愛いですね。
ちなみに、永遠亭の天才薬師は、人と接するときは、何でも出来るスーパーレディで、部屋の中には可愛いぬいぐるみが置いてあるのが私の脳内ジャスティス。
へたレミリア最高!!