永遠亭、応接間にて。
「今日はお招きに預かり、光栄だわ。
こちらは我が妹のフランドール・スカーレットよ。
まだ未熟だけれども、これからよろしく頼むわ」
「初めまして。ツェペシュの末裔、夜の吸血鬼、レミリア・スカーレットの妹、フランドール・スカーレットです。
今後ともよろしくお願いします」
正装をし、若干緊張気味のフランドールが挨拶をした。
今回の訪問にあわせて礼儀作法と社交マナーを練習してきたようだ。
精一杯気を使っているのが見て取れる。
思わず昔の姫を思い出し、永琳は微笑した。
もう何年前のことだったか数えるのもめんどくさいが、輝夜にもそんな時代があったのだ。
「ご丁寧にありがとう。では私たちも。
私は姫の従者 八意永琳。こちらは、月の姫にして永遠亭の主、高貴なる……」
「いいわ永琳。私は蓬莱山輝夜。肩書きなんかは抜きにして、フランドールと呼ばせてもらっていいかしら」
「うん!じゃなくってはい!」
輝夜は一目でこの子を気に入ってしまったようだ。
そのまま二人は楽しそうに談笑している。
永琳は話が弾ませている二人を横目に、レミリアに話し掛けることにした。
今日のレミリアはフランドールに合わせて正装をしている。
先ほどの挨拶にも気負ったものはなく、板についたものだった。
今は紅茶を片手にフランドールをさりげなく気にしているようだ。
会話に詰まったらフォローをするつもりなのだろう。
上品に紅茶を飲む様子も堂に入ったものだ。
「姫は彼女を気に入ったようね。久々にはしゃいでいる姫を見るわ」
「まったく、今日は作法の練習もかねての訪問なのに。これじゃあ練習にならないわ」
「いいじゃない。今日の目的は他者に慣れることなんでしょう?」
「まあ、そうなのだけどね。永遠亭の二人ならば、万が一にも対応できるから。
外に出れるようになったフランにトラウマなど植え付けたくないわ」
「あらあら、慎重ですこと。まあでも、フランちゃんには興味があったし、姫も気に入ってるようだし。
今日は私たち二人がお相手しましょう」
その日の小さな社交パーティは和やかな雰囲気のまま終わった。
しかし、永琳は知らない。
「さくやー!紅茶飲むときはどのくらい砂糖入れていいの?」
「ぱちぇ!挨拶の文句ってこんなんでいいの?」
レミリアも長いこと社交の現場からは遠ざかっていたことを。
「お嬢様。お砂糖はひとつくらいがスマートです。いつものように蜂蜜を何回も入れるのはお行儀がよろしくありませんよ」
「うー、我慢する」
「レミィ、これでいいけど、むしろ話に重点をおかなきゃ。今のレミィなら、季節とお茶とお菓子の話なら無難よ。間違っても妹紅の話なんかしちゃだめよ」
「わかった。お菓子の話なら大丈夫!」
レミリアも背伸びをしていることを。
「お嬢様、やはり私もついていきましょうか」
「だめよ。今回は向こうにも従者は無しでって言ってあるんだから」
「レミィが途中で『うー☆』しないとは思えないんだけど」
「今日いっぱいしとけば大丈夫だもん。れみりあうーれみりあうースカートつまんでご挨拶!」
従者や友人に、レミリアは語る。
「明日はフランにとって大事な日。私はそのために最大限の努力をする権利があるのよ」
それが姉の責務だと。
「私はフランのお姉ちゃんなんだから!」
罰として俺の家でボランティアを義務付け いや冗談ですよさくy……aー!!
ひめさまもかりすまになるといいよ!
でもフラさまとえーりんはかりすまなしのほうこうで。
素敵なおぜうさまをありがとうm(==)m
カリスマってチャージが必要なんだ。
カリスマ粒子とかあるに違いない。