何をすればいいかわからない
美鈴の頭の中はそればかりだった
異変の解決などやったこともない
原因はわかっても解決方法がわからない
・・・私一人で解決できるのかもわからない
とりあえず私が勝てば、相手はその技を捨てるようではある
でも、どこまで広がっているのか・・・
波動技だけで果たして勝てるの――――
「たーすーけてー」
どこか抜けている声がした
たすけ・・・?
「わーん」
「逃がさないぜ!」
小さな影がすぐ横の外壁に叩きつけられるのが見えた
それにもうひとつの影が跳びかかる
「ぐっ・・・!」
一方的に攻撃されているのを見過ごすわけにはいかない
彼女は全速力で二つの影の間に走りこみ、その間に立った
「邪魔だ!」
本能的に守りの体制を取ったと同時に、
空中から全身を強く揺るがす拳を食らった
なんて重い攻撃・・・!
歯を食いしばりながら見上げると、その影の正体は魔理沙だった
「うー・・・」
背後からうめき声がした
振り向くと、外壁に打ちつけられた小さな影が動けずにいた
昨日の氷精くらいの妖怪だ
一緒にいたのを見たことがある
「邪魔するんならまた倒してやるぜ!」
「もうこの子は戦闘不能ですよ!?
戦う必要はありません!」
「そんなの私の勝手だぜ!!」
たった一歩で大きく間合いを詰められ、強力な一撃が来ることを予測させた
力強い踏み込みと同時に右腕を突き出す
何とか防御体制をとったが、確実な張り手はいくらかのダメージを与えてゆく
まさか・・・これは八極拳?
八極拳は中国にも古くから伝わる拳法
非常に近い間合いから攻める技だ
でもなぜ・・・?これほどまでに技を磨き上げるにはかなりの修行が必要なはず・・・
「まだまだいくぜ!」
一瞬の迷いの内に次々と踏み込まれ、後退を強いられる
このままでは身動きができない・・・!
防御しても重い一撃のせいで腕がすぐに動かないのだ
「どうした!?私に一ミスさせたあの門番はどこに行った!?」
自信を持った相手ほど有利になったときに隙を見せやすい
その法則を、美鈴は見逃さなかった
「いつものように・・・ここに居ます!!!」
何とか距離をとり、両腕を引き、力をためる
「覇王翔吼拳!!」
彼女は波動を撃つときに、心身の動きを感じていた
両手から放たれる気・・・それは体の一部を放っているのと同じ感覚であった
両手から現れた急激な流れと気の弾ける音が爆発し、魔理沙に直撃した
でも・・・
思ったとおり、魔理沙は動じなかった
変わらぬ構えで、変わらぬ笑みを見せている
やはりこの程度では倒せない・・・!
「ようやく前の門番が戻ってきたな」
「あなたはなんでこんなことをするんですか!?」
「決まってるだろ!強くあるためだぜ!!」
より気迫を増した魔法使いがさらに攻撃を加えに来る
相手が力技を使うなら、こちらはそれを受け流す“清水”・・・!
「消えろ!!」
独特の構えを見て次の攻撃を悟った
必殺の一撃“鉄山靠”
くらえばたとえ私でもダウンするのは間違いない
タイミングを合わせるために全神経を集中する
魔理沙が自分に触れる瞬間、その圧倒的なパワーを利用して相手を上空に放り上げ、
自分と相手が地面と平行になった瞬間に、全霊の一撃を放った
突き出した両手が魔理沙の腹に食い込み、10メートル近く吹き飛んだ
「羅生門・・・!」
彼女はこの一撃は発勁のようなものだと考えている
急所に当てれば一発で相手を沈められる・・・が
長い修行とともに完全に取得した状態でなければ、一発に消費する体力は激しい
現に彼女は今の一発にかなりの体力を消耗した
これで勝てなかったら、もう手はないだろう
地面に伏せて動かない魔理沙をじっと見つめる
終わったと思い、気を抜いた瞬間、それは“消えた”
そして消えたものは自分の後ろにあると確信した
「!?」
「十年早かったな!門番!」
すさまじいほどの殺気を背中に感じた
ここまでか・・・
すいません、咲夜さん、お嬢様・・・
「舞え・・・っ!」
あきらめかけて目を閉じた瞬間、何かが魔理沙をさらっていった
「何!?」
殺気の根源は数メートル先に移動していた
何者かが敵を押し付けて移動しているのだ
驚きを顔に浮かべた魔理沙の横腹を押し付けているのはあの妖怪だった
そして同時に名前を思い出した
「ルーミア!だめです!体が持ちません!!」
「こんの一ボスごときが・・・!」
ルーミアはさっきまでの自分と同じように、魔理沙を外壁にたたきつけた
魔理沙が煉瓦壁にめり込む
少女の周りに闇が現れ、それが生きているかのように動いて魔理沙を刺してゆく
「望みどおり!」
「まさかこの程度のやつに・・・!」
ルーミアが高く上げた手のひらに特大の闇の塊が生まれる
一呼吸後に、しなやかに、そして力強く手を振り下ろした
「天から堕ちよ!!!」
大きな闇の塊がさらに膨張し、太い線状となって周囲を揺るがした
外壁の一部が吹き飛び、魔理沙も姿を消した
数秒の沈黙の後、門番を救った少女は重々しく倒れた
どうしようもないほどの罪悪感と悲しみが美鈴の感情を覆いつくした
「しっかりしてください!」
幸い、生きてはいるようだ
だが体に見られるダメージの大きさは火を見るより明らかだった
ほとんど気力で意識を保っている状態だった
「なんで・・・なんで私なんかを助けようとしたんです?」
「負け・・・ルーミア・・・守って・・・」
絞り出すようなかすかな声が、彼女の悲しみを増大させた
「守るのは私の仕事です!あなたは守られて当然でした・・・
でも私は守られるべき存在では・・・」
「そんなの・・・いない・・・よ・・・・・・」
彼女の腕の中で少女は意識を失った
このままにしておくわけにはいかない
自分の体力のことも仕事のことも忘れ、
ルーミアを背負った美鈴は今唯一思い至る場所へと走った
永遠亭・・・!
to be continued...
技の発動した風景がよくわからないというか…
戦いの内容がよくわかりづらい
それと妖怪達ならまだわかるけど、
いくら異変でも数日かそこらで人間である魔理沙が
拳法を会得して美鈴を圧倒するのは少し難しいので
『魔力による強化』とかわかりやすくしてほしいかな?
駄文ごめんよ…次回も楽しみにさせてもらいます
確かに、仰る通りですね
どこか自分の妄想で完結させてしまうところがあるようです
素晴らしい意見をありがとうございます
もっと勉強が必要なようです
これからもっとよい作品を作れるようになっていきたいです(`・ω・´)