Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

もんぺは嫌だそうです

2009/06/06 23:13:08
最終更新
サイズ
5.22KB
ページ数
1

分類タグ

魔理沙の家から時折爆発音が轟く、今日も平和に静かな魔法の森。
「もんぺは嫌なのよ!」
その一角から女性の喚き声が響いたとて気にするものは居ない。
たとえその発信源がアリス邸であり発言主がアリスでなかったとしても、今日も一人でにぎやかなことねと誰も気には留めないのだった。
その家の主はといえば、予告なく訪問してきた妖怪に紅茶のカップを渡したところだった。
「はいはい、煩いから耳元でがならないでね」
「人の話聞いてる?」
「聞いてるわよ。もんぺが嫌って話でしょ?」
椅子に腰掛けるアリスに訪問者はうなずいてみせる。
「その通りよ。時代に合わせて今時の服装に切り替えるべきと思うの」
「愚痴は聞いてあげたわ。気も晴れたでしょ?はい、邪魔だからさっさと出て行け」
「人の話を最後まで聞きなさいっ!!」
堅く握った拳をテーブルに叩きつけ、風見幽香は息を荒げる。テーブルがきしんで悲鳴を上げたが、傘を振り回し叩き壊されなかっただけましであろう。
対するアリスは落ち着いた物腰で紅茶を飲むと幽香を半眼で見つめ、
「で?」
「あんたが洋服作ってるって聞いたから頼みに来たのよ。もんぺ以外の服をね」
「その話をどこで仕入れたのかは知らないけど、私が作ってるのは人形用の服よ。それでいいならストックもあるからもって行っていいわ」
「当然人間サイズだって作れるわよね?」
「そうね」
単にサイズを大きくすればいいのだ。手間はかかるだろうが不可能と言うわけではない。
手間がかかる。それは非常に面倒なことだ。
「作れ」
「フリフリひらひらのレース付きスカートでいいかしら?」
幽香がもう一撃テーブルにお見舞いする。幽香の堪忍袋の緒が切れるか、テーブルの耐久限界が先に来るかの激しいレースになってきた。もっとも、先に彼女の堪忍袋の緒が切れたとしてもテーブルの辿る運命は同じであろうが。
「破壊作業中のところを悪いんだけど、このテーブルを暖炉の薪にする予定はないからその辺でやめてもらえる?」
「魔界以来の間柄だからあんたに頼んでるのよ。わかる?もんぺやフリフリレーススカートでカリスマ性が取れるとでも?」
「他の奴には恥ずかしくて言えないだけでしょうが。萌え路線でいいじゃない、きっとうけるわよ。それが嫌なら寝巻き姿で登場とか」
「今夜、この家とその主の強制破砕をするからそのつもりで」
「暴力反対」
「言葉の暴力も反対」
「とりあえず、お茶を飲んで落ち着きましょ」
アリスの提案で二人は紅茶のカップに口をつける。卓上のクッキーにも手をつけて。
サクサク、うんおいしい。
「平和的打開策を思いついたわ」
「へぇ?それはどんな?」
「あんたがさっさと諦めて帰ればいいわ。私が服を作るという労力も不要だから省エネよね。人里にもお店あるから紹介してあげるわよ」
「そんなに嫌なら力ずくで従わせるまでよ。私の力、知らないわけでもないでしょ?何年かぶりに戦ってみましょうか」
「御免こうむるわ」
はぁ、とアリスがため息を漏らす。そして明らかに乗り気でない態度で、
「今はもんぺのほうがいいと思うんだけど、わかったわよ。柄とか色とか希望はある?」
「今の柄をそのままスカートにしてくれるだけでいいわ」
「心機一転衣装換えするつもりなのかと思ってたけど違うのね。それでいいなら数日で仕上げる」
それを聞いてようやく幽香の怒りボルテージが下がった。よかったねテーブル、お前が粉砕される心配はなくなった。
「やっと素直になったわね」
「スカートなら確かに似合うとは思うけどねぇ。私としては、しばらくもんぺ着用をオススメするわ」
「本音を言えば明日にでも変えたいのよ」
「幽香がそれでいいならいいけどね。作るのに数日は貰うわよ?」
「えぇ」
幽香の口元が緩む。
アリスの口元も緩んだ。





数日後。
人里や花畑を鼻歌交じりに歩くスカート姿の幽香が目撃された。
そして上機嫌な幽香が「さらば、黒歴史!」と言って自らのもんぺにマスパを撃つ姿を一部の妖怪が目撃した。



その翌日の昼下がり。
「まさかもんぺが流行するなんて!」
幽香にトドメの一撃を叩き込まれ、テーブルはめでたく粗大ゴミとなった。

幻想郷で「もんぺスタイル」が流行となっていることを幽香は知った。
どうやら妹紅ファッションが一部の妖怪間でブレイクしたのが発端らしい。

「言ったじゃない、『しばらくもんぺ着用をオススメする』って」
「スペアも含めて全部、跡形もなく吹き飛ばしちゃったわよ」
「ご愁傷様」
人形を作る手を止めず、目線も人形に注いだまま適当に言葉を返すアリス。
「私の言いたいことはわかるわね?」
「いいえさっぱり」
わかっていてなおも目線を幽香に向けないアリス。
「もんぺ作って」
「帰れ、テーブル弁償してから帰れ。人里の家具屋によさそうなのがあったからそれでいいわ」
「私は流行に乗るの!もんぺ作れ、いえ作ってください後生ですから」
「旧知の仲だからこれだけは言っておくけど、それには激しく賛同しかねるわ。すぐに収まるだろうから今は耐えなさい」
「しくしくしく。ひどいわアリス、私にそんな屈辱を味わえだなんて!もんぺを作りなさい、さもないとアリス邸を中心に半径30メートルのクレーターを作るわよ!ふはは、私のこの怒りを受けるがいいわ!」
「参考にしたあんたのもんぺ、残ってるからもって行きなさい・・・・忠告はしたわよ?」


数日後、
もんぺの時代は短期間で終了し、幻想郷ではドロワーズブームが巻き起こっていた。
幽香は慌ててスカートに履き替えたという。





「ドロワ流行はしばらく続きそうね。しばらくすれば腋出しスタイルが流行りそうだけど、どうする?」
「スカートでいい・・・・・・いえ、ドロワ1つお願い」
「懲りないわねぇ」
「流行には乗りたいのよ」
「あらそう。もうしばらくはからかって遊べそうね」
「それにしてもこんな短期間で流行が変動するなんて・・・・今なんて言った?」
「あら聞こえなかったかしら?私が洋服の流行を作ってるんだから当然でしょうに。これでもうしばらくはからかって遊べそうね、と言ったのよ」
瞬間、いまだ叩き折られたままなぜか放置されていたテーブルが丁度薪に使えそうなレベルまで粉砕された。









その後、スカートを流行させるという条件でアリスは保身できたそうな。
アリスとしては薪材を手に入れた上にテーブルを新調できてほくほくだったとか。





  
すべてはアリスの計画通り?




SSを書くペースがまた落ちております。その割に冗談で書いてたACE TOUHOUが9割方完成してるわけですが、もちろん気にしない。黒歴史入りですねはい。
「そんな設定じゃねーよ」とか「厨設定おつ」とか言われても書き上げたいSSというのは皆さんあるのでしょうか?私にはできてしまいました。ま、書くだけはタダですからね。自分の黒歴史ファイルにそっとしまっておきましょう。
ゴミ箱行き多いなぁ・・・・・・
水崎
コメント



1.名前が無い程度の能力削除
これは良い二人

というかゆうかりんかわいいなw
2.名前が無い程度の能力削除
ミーハーなゆうかりんも可愛いですな~
3.奇声を発する程度の能力削除
さすがアリス!!!
4.名前が無い程度の能力削除
いいコンビだw