「ヒマ~何か無い?」
そんなフランドールの一言。
「なら、一日普段と違う自分になってみれば?」
「うにゃ?」
たった一言から、今日一日が変わる。
淡く紫色に発光する魔方陣の中央に、フランドールが立っている。魔方陣の周りには小悪魔とパチュリーが、呪文詠唱を行なっている。
パチュリーのみでは無く、小悪魔と共に読み上げなければならない特殊なタイプの呪文。
魔女としての魔力と、悪魔としての契約による束縛力を複合させるタイプの珍しい魔法だ。
「んっ!」
一際、強く発光した瞬間、その光がフランドールを包み込んだ。
そして、発光が止んだ。
息を荒くするパチュリーを支える小悪魔。
「大丈夫ですかパチュリー様?」
「妹様、これで貴女は今日一日だけ能力の使用、及び吸血鬼としての力は封印されたわ」
魔法力で吸血鬼としての身体能力などを制御、能力は悪魔の契約で一日のみ使用禁止。
つまり、今のフランドールはただの少女である。
「ありがとうパチュリー!」
「けど危ないから誰かと一緒に居た方が良いわよ。ちなみに私は……無理」
パチュリーが完全に気を失った。
膨大な魔力、契約と魔力の複雑な合成、小悪魔のセクハラに疲れたのだろう。
「パチュリー様ぁぁぁぁぁぁぁぁ!? 死んじゃ嫌ですぅぅぅぅぅ!」
小悪魔は泣きながらパチュリーを抱き締めたり揉んだり舐めたりする。
フランドールは見なかったことにしておいた。
「それじゃあ小悪魔、私はお姉様のトコ行ってくるね」
「お気をつけて下さい。私は疲れきったパチュリー様をベッドに寝かしてきます。えぇ、ベッドに……ふ、ふへへ」
パチュリーをお姫様抱っこして、小悪魔は奥へと消えてった。
それを見なかったことにしたフランドールは、図書館を後にした。
◇◇◇
「お姉様、入るよ」
「その声はフランね。どうぞ」
フランドールがレミリアの部屋に足を踏み入れる。
相変わらず紅い部屋で、普通の人なら落ち着けないような部屋だった。
「あれ? お姉様、どっか行くの?」
日傘を片手に、咲夜がレミリアの隣りに立っていた。
「お嬢様は本日、博麗神社へ向かう予定です」
「そういうことよ。で、フランは何の用かしら?」
「あーじゃあいいや。美鈴と一緒に居るから」
出掛けるのなら仕方無い。しかも咲夜まで付いて行くのなら、残るのは美鈴だ。門番の仕事をしているだろうが、フランドールの頼みなら従うだろう。小悪魔はパチュリーの世話をしているから、美鈴しかいない。
「ん? 何の話?」
「美鈴と一緒に一日過ごす話」
「何故?」
「美鈴が、必要なの」
捉え方によっては、激しく誤解されるようなフランドールの言い方に、レミリアは固まる。
「咲夜、私は今から美鈴を潰してくる」
「お止め下さい」
「無理。美鈴は大切だけれど、フランに手を出したとなっては話は別。半殺しにしないと気がすまない」
「じゃあ私は美鈴のトコ行って来るから」
「待て、ストップ、フリーズ! フラン、行っては駄目よ」
笑顔で走り去ろうとするフランドールを、レミリアは必死に止めた。
「うにゅ、何さ?」
「あ、えーと……」
しかし、美鈴の元へ行くなというのはレミリアの我侭だ。止める理由が無い。
レミリアは考える。
「そ、そう! 結局、何故私の元へ来たの?」
考えた結果、まだ解消されていない疑問を訊くことにした。
咲夜は言葉を発しないで、大人しく日傘を振り回して遊んでいる。
「んー? 本当はね、お姉様に丸一日ずっと一緒に居てもらいたかったんだけど、お姉様出掛けるみたいだからさ」
「っ!?」
お姉様に丸一日ずっと一緒に居てもらいたかった、この一言がレミリアの脳内でずっとエコーがかかった状態になる。
「……咲夜」
「はい」
「神社へ行くの中止」
「分かりました」
日傘を振り回すのを止めて、頷く咲夜。
「お、お姉様?」
「フラン、一日ずっと一緒に居てあげるわ」
「え、でも……」
「いいからー! あなたがー好きだからー!」
レミリア加速中、主に脳内。
レミリアの脳内では既にフランドールがベッドの上で下着一枚と靴下だけになっている。
「さぁさぁフラン、丸一日不夜城レッドよ」
「意味分からないよ」
「お嬢様、私はどうしましょう?」
「咲夜、今日は休んでていい。好きなように過ごしなさい」
「分かりました」
とは言っても、咲夜は丸一日休暇ということが珍しいため、どう過ごしていいか悩む。
悩みに悩んだ結果、仕方無くドロワーズクエスト、通称ドロクエのレベル上げをすることにした。
「では私は自室に戻ります」
「あぁ、ご苦労だった咲夜」
「じゃあね、咲夜」
次の瞬間にはもう咲夜はいなかった。おそらく時を止めて移動したのだろう。
部屋にはレミリアとフランドールだけが残る。
「さて、私たちはどうするか」
「んー……そういえばこんな状態になったからって、別にしたいことがあるわけじゃないや」
「こんな状態?」
レミリアはフランドールの言葉に首を傾げる。
「あれ、説明して無かったっけ? 私、今は能力も吸血鬼としての力も無い状態なんだよ」
「……はい?」
時間が止まった。
何を言ったのか理解出来ないという表情のレミリアに、笑顔で説明するフランドール。
パチュリーと小悪魔によって、一日だけ力を封じてもらったこと。
一人では危険だから、今日一日レミリアと一緒に居たいということ。
全てを聞き終えたレミリアは、青ざめた顔をしていた。
そしてフランドールの肩を掴む。
「何をしているのよ! もし何かあったら――」
「大丈夫だよ。だって、お姉様が私を守ってくれるでしょう?」
「っ!?」
無邪気にそう言うフランドールに、悶えるレミリア。
「当たり前よ! フランは私が守る!」
「わわっ!?」
レミリアはギュッとフランドールを抱き寄せてそう言った。
「フランの身に迫る危険は、私が全て排除する」
「ありがとう、お姉様。大好きだよ!」
えへ~と笑うフランドールを見て、軽く体中から血を出して悶える。
「ふ、フラン……」
「私ね……」
ギュッと、より強くレミリアに抱き付く。
温かくて、甘い香り。
「私、こうして普通にお姉様に甘えてみたかったんだぁ。ずっと、ずっと」
「ぐはぁっ!」
普段甘えて来ないフランドールからの突然の、実は甘えたかった発言にレミリアはさらに悶える。
「い、今までだって甘えて良かったのに……」
「だって、好きすぎて、大切すぎて、だからこそ壊したく無くって……」
能力を扱いきれていないフランドールは、感情によって暴走してしまう可能性がある。
だからこそ、フランドールは大好きなレミリアに必要以上に甘えたりしなかった。
壊したく無かったから、気持ちを抑えて。
「でも、今は甘えて良いよね? えへ~」
「あぁもう可愛い!」
レミリアの胸に顔をぐりぐりとして、甘える。
そんなフランドールを力強く抱き締め返す。
「フラン、顔を上げて」
「え……きゃぅ」
フランドールの頬に、レミリアは軽くキスをする。最高最大全ての愛情を込めて。
突然のことに、フランドールはピクッと体を震わせるが、すぐにリラックスした様子になる。
「ん、うにゅ、くすぐったいよ……」
「フラン、愛してる。我慢なんてしなくていいのよ。私は貴女が大好きだから」
「みゃ、ぁう……」
頬、額、鼻、耳、いろんなトコにキスをする。一つ一つに愛情を込めて。
「フラン、こっちを向いて」
「ん……」
「いいかしら?」
「は、恥ずかしいんだから訊かないでよ」
「ん、ごめんね」
フランドールは顔を赤くして、頬を膨らませた。
そんなフランドールを愛しげに撫で、そっと唇を近付ける。
レミリアもフランドールも、緊張して少し体が強張る。
そして、唇同士が重なりあった。
ただ触れるだけの幼いキス。
だけど愛が詰まった、温かくて優しい口付け。
二人、体をより強く抱き締め合った。
唇はまだ重ねたまま。どこか甘くて、心地良い。
互いに、鼻で息をすることも忘れていた。それほどこの行為に夢中になっていた。
「はぁ……」
「んっ……」
名残惜しげに離れた。呼吸をするために。
そして、新しい空気を肺に運んだ後、急ぐようにまた唇を重ねた。
馬鹿みたいに、ただ同じことを繰り返す。何度も何度も、唇を重ねる。
それだけで、満たされていくのを感じた。
「んゃぅ、お姉様……」
「フラン……愛してる。これからも、ずっと」
「えへへ、お姉様~」
「何かしら?」
穏やかに笑う。
「私、今すっごく幸せだよ」
「奇遇ね。私もよ」
二人、クスッと笑いあった。
何がおかしいのか分からないけれども、笑った。
抱き締め合う二人の間には、確かな幸せが存在していた。
まったく、喉飴さんの作品は毎回毎回表記に詐欺が見られますね
いかげんにしないと、映姫さまの罰が下りますよ!褒め言葉)
ごちそうさまでした!
闘気だけで私は消し飛ばされそうです…げほば!(口から砂糖)
そして私はまずはドロクエにツッコミを入れたいのだが、よろしいか?
息を荒くするパチュリー「わ」支える小悪魔。
↓
息を荒くするパチュリー『を』支える小悪魔。
続きは向こうで待ってればいいのかな?
この糖分だけで1ヶ月は生きていけるぜ
どう考えても120%越えてますって!
電車内でニヤニヤが止まらないw
素直に甘えるフランが可愛すぎる!!
次は糖分100%でお願いしますね
というわけで…
レミフラ!レミフラ!
俺は限界だ(ピチューン
と叫ぶと見せかけて
フラメイ!フラメイ!
ぅわっっっっふぅぅぅぅぅぅぅ!!!!!(喉さんGJ、だけれど誰かへるぷみー!の意)
良い作品だ、実に良い(ピチューン
やっぱり、甘ーーーーーーい!!(ピチューン
俺は、もう…………(ピチューン
ドロクエが気になる……どんなストーリーなんだろ?
最近甘い紅姉妹見てなかったからたまらねぇぇぇぇ!!!!
おいしいですレミフラおいしいです(^q^)
あ、吸収しきれない甘み成分が鼻から…(ピチューン
アウトじゃないですかw
>>岩山更夜様
私的には75%くらいかなぁ、なんて思ってたりしたんで。
楽しんで下さって幸い。
>>3様
今回は少し甘さ意識しましたからw
>>脇役様
100%はここじゃあ見せられないよ、になっちゃいますw
>>5様
ドロクエ、やりたいですよね。
>>6様
是非ツッコミ入れて下さい。
>>7様
誤字訂正しました。ありがとうございます。
>>8様
続きはありませんw
>>9様
そろそろ糖分95%を書きます。
>>10様
そんなにですか!?
>>てるる様
いえいえ、120%ならもっと悶えるくらいに甘いですよ。
>>12様
95%なら……
>>13様
ありませんw
>>14様
私過去に90%以上を書いてますから。それに比べたら80%かなと。
>>七人目の名無し様
甘党でもアウトですかw
>>16様
何故w
>>謳魚様
楽しんでいただけたようで幸いですぜ。
>>奇声を発する程度の能力様
私的にはまだまだです。
>>19様
気に入ってもらえてなによりです。
>>20様
大丈夫ですかー!?
>>21様
ドロクエは楽しいですよ。内容は(ry
>>22様
楽しんでもらえて幸いなのです。
>>23様
まだまだ甘くしたいです。
あまーいーぞー!!いいレミフラでした!
ありがとうございます!
ちょっと大人しく日傘振り回して遊んでくる
可愛すぎてどうしようもないぞこのフランめッ
糖分過多で死にそうです。わふぁ……
ギャグ期待。
あなたの作品はやはり癒されます。
良いお話をありがとうございました。
そこはやっぱり優しくギュッとでw
>>26様
日傘振り回すのは非常に冷静になれますよ。
>>27様
糖分120%を書く作業に入ります。
>>28様
私でも砂糖吐くくらい甘いのが100%です。
>>29様
お塩が必要ですぜ。
>>30様
ギャグですか……私に書けるでしょうかね。
>>Taku様
ほんわか優しい話を心掛けることが多い私にはとても嬉しいお言葉です。
そしてベッドの上でスポーツをする後編はまだですか?
…………迎撃の準備をしておくか。
激甘なSS、ごちそうさまでした。
レミフラは神
喉飴さんも神
80割の間違いじゃあ……ゲフッ
甘い・・・甘すぎるぅぅぅぅ!
心が満たされました。レミフラ最高!!