Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

2009/06/05 12:34:44
最終更新
サイズ
17.21KB
ページ数
1

博麗神社の縁側で鴉天狗の射命丸、文が、博麗神社の巫女、博麗霊夢のさかずきに酒を注いだ、霊夢は魔法の森に住む魔法使いの霧雨魔理沙のさかずきに酒を注ぎ、お互いに酒をくみ交わしながら、スペルカードルールについて話をしていた。

 幻想郷一速い私のスピードに箒などで付いてこれるはずが無い、弾幕ごっこしたところで所詮無駄なことだ私に勝てる見込みはない。酒がいわせたのか文が豪語した。

 それならばと、魔理沙の闘争心に火がつき、後日、霊夢の審判で弾幕戦をおこなう事になった。

 森の中では右手に八卦炉、左手に箒の柄をにぎり木々の間を右に左にすり抜けながら、魔理沙はマスタースパークを放った。全てが枝をかすめて遠くえ消えていく、これではスピードが上まわる文には勝てない、勝つにはマスタースパークを放つタイミングだけだ。 

「魔理沙~タイミングをはかって撃つつのだ」
「わかってるって、そうしてるんだけど……しかし!」

 しかしも案山子もあるか、お茶を飲んでるとき無理やり連れだされた霖之助は、そう思いながらも妹みたいな魔理沙のために来たからには協力しない訳には行かなかった。
 
「いいから、もう一度やるんだ」 

 頭の上を飛び回る魔理沙に叫んだ。

 魔理沙は、もう一度木々の間を抜けながらマスタースパークを放った。今度は上手くいき、腕ほどの木の枝に見事にあたり、木の枝は回転しながら落ちていった。

 霖之助はよける間もなくその枝の直撃をうけた。魔理沙は霖之助にかけより、「香霖、大丈夫か?」霖之助が呻きながら、[あぁ」と、いった。

 見ると、ふくらはぎのところに枝のささくれが二~三本刺さっていてかなり深そうだ。ささくれを抜くと血が流れ出し傷口のまわりは赤紫にはれていた。近くに生えているヨモギを手でもんで傷口にあて、手ぬぐいを裂いて巻き霖之助をおこした。

「歩けるか? 香霖」
「歩けないことはないけど、肩をかしてくれ」

 家に着くと傷口を奇麗に洗う,足はかなり腫れていた。霖之助をちゃぶ台の横に寝かせた。

「無理やり引っ張り出し怪我までさせてすまなかった、香霖」
「気にすることは無いさ、俺の不注意だから」
「永琳を呼んでくるので、少し待っていてくれ」

 永遠亭に向かっていると向こうから文が歩いて来た。いままで練習していたといい、どこに行くのか聞かれ、永琳に会いに行くといった。

「どこか悪いのか?」
「私ではないが、香霖が足を怪我して」
「ひどい怪我なのか?」
「あぁ少し、もしひまなら戻ってくるまで、付いていてくれないか」
「いいよ、すぐに行くから魔理沙も、いそいで行くがいい」

 文と別れ、竹林を抜け永遠亭に着くと、幻想郷一の名医といわれる医師の八意永琳をたずねた。

「なにか、私に御用でしょうか」
「香霖が怪我をしたので見てもらえないか」
「まぁ、霖之助さんが、解りましたすぐに薬箱を取って参りますのでお待ちください」

 永琳が薬箱をとりにいってる間も、文に頼んだとはいえ心は落ち着かない、うろうろしている私の背に永琳の声がかかった。

「お待たせしました、それでは参りましょうか」

  香霖堂に着くと、文がお茶を霖之助に進めていた。

「文、遅くなってすまなかった、ありがとう」
「どうせ暇だったから気にしなくていいよ」

 練習で疲れていたにもかかわらず、文のこころよい返事が嬉しかった。霖之助も文に何度もお礼をいった。

「もう疲れてるから帰って休むといいぜ」
「なら、そうさせてもらうか」

 霖之助の傷を見ていた永琳が。

「アマドコロと言う草を知っていますか?」
「もしかして『甘野老』の事か?」
「そうですこの近くにありますか?」 
「いまが時季だから、少し先に行った所の土手にあると思うけど」
「それを少し、取ってきてはくれませんか」
「葉っぱだけでいいのかな?」
「いいえ、根っこがいるので、それをお願いします」

 魔理沙はスコップを持って土手に向う、土手につくと周りを見てまわった。

 土手の上の小さな草花の上を蝶々が舞っている、その横にある甘野老を見つけた。七~八本掘るとそれを持って戻り根っこを洗って永琳に渡す、永琳はすり鉢におし当てて摩りおろし始めた.甘野老はすり鉢のそこにドロドロになりながらたまっていく、ドロドロになっている甘野老を、四角に切ったサラシにぬり霖之助の腫れてる足に乗せサラシで巻いた。

「明日も今のようにして取り替えて見てください腫れが引くと思います、二日後にもう一度きてみますね」
「遅くまでありがとうございました」

 魔理沙は永琳にお礼をいって、表まで出ると周りはすっかり暗くなっていた。話をしながら送っていくと「もう、ここで、いいですから」と、いって帰っていった。
 永琳の後姿にもう一度頭をさげて家に戻ると霖之助はもう軽い寝息をたてていた。その横で布団をかぶり眠りについた。

 小鳥の声で目が覚め、横の霖之助を見るとまだ眠っている、土間におりて朝食の準備にとりかかる、味噌汁ができたころ霖之助も目を覚ました。顔を拭くように濡れた手ぬぐいを渡した。食事が済むと傷口の手当てにかかる、顔が少しあかい、額に手をあてると熱が少しある、サラシを取るとはれているところは黒ずんでいて痛々しい、傷口はまだ塞がっていない、手当てが終わると急須にお湯をいれちゃぶ台においた。

「ちょと、出かけてくるけど一人で大丈夫か?」
「あぁ、大丈夫だから、行ってくるといい」

 魔理沙は森へ向った。着くと『ドクダミ』を採り、次に梅の木から『梅の実』を採り袋に入れ、ついでに周りに生えてるキノコを取ると永遠亭に向う、着くと永琳に『ドクダミと梅』が、入った袋を渡した。

「これは何ですか?」
「昨日のお礼です、受け取ってください」

 永琳は袋の中の『梅とドクダミ』を、見て『これは良い薬ができます』と、礼をいい、霖之助の容態を聞いて「明日、伺いますね」といった。

 香霖堂に戻った魔理沙は『キノコ』を干して、霖之助の様子を見る、朝と変わりなく少し熱がある、お茶を飲んでいると「私はいいから、もう帰るといい」という、「傷が少し良くなるまでここにいる」と、いうと、迷惑だといいたそうな顔をして私の顔を見ると諦めた。

 店に客が来ると薀蓄をたれ楽しそうに話す霖之助も、泊まるとなると頑なにこばむ、そんな偏屈なところがある、私でなければおそらく帰されたであろうと思う。

 朝、食事の支度をしていると文がやって来た。流石に『鴉』だけに朝には強そうだ。

「霖之助さんの容態は、どうなんだい?」
「少し熱が、あるみたいだ」
「そうなのか」

 文が心配そうな顔をした。朝食がまだなら一緒にどうかと聞くと「ご馳走になる」と、いってちゃぶ台の前に座る、霖之助をおこして食事を勧めると、「食べたくない」といい横になる、額に手を当てると熱がかなりある、手ぬぐいを濡らして額に乗せてやり食事を速く済ませた。

 文に、霖之助をたのみ、食事の後片付けをしている処に永琳がやって来た。『ドクダミと梅』のお礼をいって霖之助のそばにいき傷の手当てをした。額に手を当て顔をしかめて魔理沙を表に連れ出した。

「どうしたんだ?」
「少し心配ですね、熱が高すぎます、傷口から細菌が入ったみたいです」

 文も表に出てきて「どうしたんだ?」と、聴く、魔理沙は泣きそうな顔で余り良くないと答える、文が『他に方法』は、無いのかと訊ねると、永琳が無いことも無いが一つ問題があるといった。その問題とは妖怪の山である、山の八合目に鬼や天狗たちが昔から戦で傷ついた体を直した温泉があるという、その温泉につかれば傷も治り熱も下がるはずだが、山に入るのが問題だといった。

「こけし岩の、温泉の事か?」
「文、知っているのか?」
「その温泉なら知っている、昔は見回りで、今は新聞に載せる写真をよく撮りに行くこともあるから」
「詳しく教えてくれ」
「山は見張りがいて入れないのは、お前が一番知っているはずではないのか?」
「そうなんですよ、それが問題なんですよ」

 私一人なら入れないことは無いが、あいつ『犬走椛』がいるから香霖が一緒では到底不可能か? 山に入りさえすれば大きな木の枝が我々の姿を隠してくれる! 椛さえいなければこの山に侵入する事はいかなる奴でも不可能と、高をくくってる天狗達の隙をつけるはずだ。

「文、手伝ってくれないか?」
「なにを手伝えというんだ、俺に仲間を裏切れというのか」

 文にいわれ、魔理沙は自分が恥ずかしかった。……文はしばらく考えたすえ霖之助に世話になり、いままで一度も「手伝ってくれ」と、いった事の無い友の頼みを叶えてやる事にした。

「しかたがない、魔理沙なにをすればいい」
「え? いいのか」
「その代わりといってはなんだが、もし見つかって山を追われたら魔理沙の所か香霖堂に住まわせて貰うからな」
「あぁいいよ、それなら、椛の『気』を、そらしてくれ、それだけでいいよ」
「なら、酒でも飲ませて眠らせるか」
「それなら、もっといい方法がありますよ」

 永琳は魔理沙が干している『キノコ』の中から『ネムリタケ』を取りだし、すり鉢ですり潰し薬箱から他の薬を取り出して混ぜ、油紙に包んで文に渡した。

「それを、お酒に入れて飲ませると直ぐに眠るでしょう」
「どれくらい、眠っていますか?」
「一日と、いったところでしょうか」
「霖之助さんが怪我していても一日あれば登れるだろう、先ず温泉の有る場所を教える、それから計画をたてるか? そのあとは魔理沙に任せるしかない」

「まず、目指すところは六合目~七合目の間に池があり、そのすぐそばに真直ぐに立っている岩がある、その岩の上に丸い岩がのっていて『こけし』に、似て見える、そこまで行けば着いたも同然、直ぐ近くに大きな山小屋がありその横に温泉がある。山小屋は三ヶ月に一度、下級天狗が見回りするので管理が行き届いているはずだ。次に山の入り口まで魔理沙と私と霖之助さんと三人で行き、そこから私は椛の所へ向かい椛を眠らせたら木の枝を燃やし煙を上げる、それを見たら山に入っていい。それでは魔理沙、準備に取り掛かっていい」

 永琳が魔理沙に『痛み止めに熱さまし』が、入った薬を油紙に入れて渡した。「一日二回飲ませてください、出かける前に一服飲ませておくといいですよ」といった。魔理沙は霖之助に薬を飲ませヒョウタンにお茶を入れおにぎりを包み腰に巻いて、文に、準備が済んだことを告げた。

「では、出かけるとするか」

 永琳が「気を付けていくんですよ」と、いう、魔理沙は永琳にお礼をいって文を促し、山の入り口へ向かう。入り口に着くと文が『頑張るんだぞ』と、いって椛のもとへと向かった。

 魔理沙は妖怪の山をみすえ、行く手を阻む奴がいれば鬼であろうと天狗であろうと命を掛けて蹴散らし、霖之助を目的地まで連れて行く腹を固めた。

 空を見上げると薄黒い雲が風に流されていく、怪しい雲行きだ、『雨が降らなければいいが』と、思っていると目のはしに何かがうつった。見ると煙が立ち昇っている、いよいよ始まったか、ならば行くとするか、「香霖、いまから登るけど大丈夫か?」と、聞くと「あぁ、頑張るさ」という、それならいくぜと山に向かって踏み出した。

 明るいうちに一歩でも先に進まなければと、魔理沙は霖之助に肩をかしながら足を進める、小さな魔理沙が肩をかしながら歩いても、霖之助の怪我した足ではさほどに進むわけがない。

「香霖、少し休んでお茶でも飲もう」
「あぁ、そうしてくれ」

 魔理沙はヒョウタンを渡しておにぎりを差し出すと「それはいい」と、いった、朝から何も食べてないから無理に食べさせ、暗くなる前に少しでも登らなければと立ちあがる。

「香霖、もう行くけどいいか?」

 うなずく霖之助に肩をかし再び登り始めた…………かなり登ったころ、夜のとばりが近づいてきた。

 魔理沙は足を止めなかった、霖之助の熱が高くなっていたからだ。泣きっ面に蜂とは、よくいったものだ雨までポツポツ落ちてきた。だんだん雨足も強くなり遂に『ざぁざぁ』と降り出した。

 山道は水が流れ、川のせせらぎのようになって歩きにくくなっていた。魔理沙は、ぬかるみに足を取られ霖之助とともに転んだ、立っては転び立っては転び何度転んだことか、ただ、一歩でも先へ進みたかった。魔理沙も霖之助も着ている物は泥だらけになっていた。

 魔理沙は大きな木下に座りヒョウタンのお茶を飲もうとしたが、お茶はからっぽだ、横の大きな草の葉を一枚取りヒョウタンの口にあて雨水をためる、帽子をとると霖之助の頭にのせて体を寄せ合った。

 一向にやみそうも無い雨は容赦なく二人を襲い、草や泥道にもパチャパチャと飛沫が跳ね返っている、魔理沙の金色の髪も顔にまとわりついて離れない。

 霖之助は熱で朦朧としている、魔理沙は薬を口にいれ、ヒョウタンにたまった雨水を口に含むと霖之助の口に口を付け流し込んだ、なんだか変な気持ちだが今はどうでもよかった。雨と風に体力が徐々に奪われていく。

 霖之助を見ていると子供のころを思い出す、私が生まれる前に父の所から独立したと、よく母が話していた。その父の店に遊びに来ては、私を抱いて神社のお祭りに連れて行ってくれた。祭りでは『金魚すくい』や『綿菓子』を買ってくれ夜道の帰りに「こぉ~りん、まり、こわい」というと「まりさは、俺が守るさ心配するな」と、よくいっていた。

 それが今は逆だ、辛くもあるが少しは嬉しくもある、魔理沙の口元が小さくほころんだ。

 風雨はいっこうに衰えない疲れで睡魔が襲う、顔をふって眠気をはらうと髪についた雨水が飛び金色の髪が頬をたたいた。

 周りはすっかり暗くなり二人の顔がぼやけて見える、雨で冷たくなった手をあて熱をはかると前より高く感じられた、霖之助は辛うじて意識を保っていた。

「ま、り……さ」
「なんだ? どうした?」
「つ……か……れ……た」
「あぁ、わかってるって、あと、少しだから頑張れ、もう少し休んでいいから」

 霖之助を励ます魔理沙も疲れと眠気で意識が朦朧としている、そんな魔理沙の前に、光も届かぬ暗い闇の底からもくもくとあらわれた者がいた。

 見ると、目は金色に輝き耳はとがっていて、真っ赤な口は耳まで裂け舌は蛇のように二つに別れ狼より長い牙をしている、そいつが「置いていけ、俺が食ってやる」と、ささやく、次に現れると「もう、お前もクタクタではないか、あとは我々が骨まで食ってやるから置いていけ」と、いった。魔理沙は「ふざけたことぬかすんじゃないぜ」といい、体を動かそうとしたが重い鎖で巻かれているように動けなかった。

 稲妻がはしり、大きな木をバリバリと引き裂くような音を立てて雷が鳴った。魔理沙は『ハット』して周りを見渡したがそこには誰もいなかった。一瞬眠りに落ちたようだ、なんとした失態、気持ちを取り直して立ち上がる。

「そろそろ行くか、香霖」
「つ……か、れ……た、ひ……と、り……で……い、け」

 魔理沙の平手が霖之助の頬を叩いた。顔がゆがみ眼鏡が地面に落ちた。

「情けないこというんじゃないぜ、香霖、」

 魔理沙は小さな体を震わせ悔しい気持ちを胸の底におさえ唇を噛んだ、唇は切れ口の中は生暖かい血の臭いが広がっていた。頬をつたう涙は雨とともに流れていく。

 眼鏡をひろって掛けてやり「お前も幻想郷一の偏屈者なら、ここでその根性を出してみろ」と、いって霖之助の腕の下に肩を入れて立たせる。そんな魔理沙を応援するかのように風が雨雲を追い払い、雨も小降りになっていた。

「行くぞ香霖、頑張って一歩踏み出せ」

 霖之助は魔理沙の励ましが聞こえたのか、肩の上にある腕に力を入れ一歩踏み出した。魔理沙は嬉しくて涙が止まらなかった。幻想郷において兄であり父である霖之助をこのまま放ってはおけない、ただ、それだけが魔理沙の心の支えになっていたそのためには心を鬼にする。

「その一歩が、かならず目的地へ運んでくれるから、頑張ろう香霖」

 どれだけ歩いたのか雨も上がり、時々雲の合間から月が顔をのぞかせた。月の明かりが照らした先に池があった。池のそばにこけし岩も見えている体力はもう限界にちかかった、魔理沙はそこに居るはずも無いものに向かって心の中で手を合わせた。雨は上がったというのに顔はグシャグシャに濡れている。「香霖、あと一息だ頑張れ」と、自分にいい聞かせるようにいった。

 山小屋に着いた魔理沙は家の中に入らず、そのまま温泉へ行き二人でつかった。湯の中で、霖之助の着ている物を脱がせ湯船の石に背を持たせて、魔理沙も裸になり汚れた二人の着物を洗った。洗い物がすみ霖之助の横に座ると、冷えた体をお湯の温もりがつつみこみ今までの疲れが消えるように取れていく。

 ここまで来るのにどれくらいかかったのか、もう空は白んできていた。体も温まり疲れも少し取れたので霖之助を山小屋へ連れて行くと小屋の中は天狗が集うだけに広くできている、部屋の中には押入れが一つと両脇に窓があり真ん中に囲炉裏がある、天井からは自在鉤が下がっていて鉤には鉄でできた薬缶がついていた、土間には、かまど、その横の壁に薪が積んであり何時でも使えるようにしてある、流石、几帳面な天狗のすることだと感心した。

 魔理沙は霖之助の体を拭くと押入れから布団を出して寝かせ、囲炉裏に火をつけ自在鉤から薬缶をはずし水を入れて掛けた。 洗い物を取りに温泉まで行くと、もう日は真上に差し掛かかっていた。

 部屋に戻り、洗い物を干して霖之助の布団に滑り込むと疲れと熱で動かない霖之助の背中に体を付ける、魔理沙の疲れた体に暖かい温もりが乳房さを通して入ってくる、その心地よさに身を任せていると睡魔が迎えに来た。

 どれほど眠っていたのか目が覚めると囲炉裏の火は消え、部屋は暗く窓から見える外には星がきらめいていた。霖之助を見るとまだ眠っている、額に手をあてると熱は少し下がっていた。疲れで気だるい体は布団の温もりを放そうとしない、魔理沙は、もう一度目を閉じた。

 目が覚めると窓からは朝日が差し込み、そこだけをスポットライトが照らすように囲炉裏に当たっていた。魔理沙は大きく背伸びをし裸にきがつくと着物をとり身に着けた。霖之助がうつろな目で見ていた、額に手を当てると熱はまだそこにとどまっている、囲炉裏に火をつけ土間に降り外の様子を見に行った。

 眼下には雲が広がり雲は風に流され川のようにうごめいている、雲の切れ間にときどき麓が見える、目の前にはこけし岩がありその下に池が広がっていた。こんな綺麗な景色を独り占めにしている天狗達が羨ましくも怒りにさえ思えた。まだ、きずかれてないようだ、部屋に戻ると霖之助がこちらに振り向いた。

「魔理沙、お茶をくれないか」
「まだ白湯しかないぜ」
「それでいいよ」

 湯呑みを出し囲炉裏の上で湯気をたてている薬缶から白湯を注ぎ、ついでに薬を飲ませると湯呑みを差し出し「もう、一杯」といった。薬缶のお湯を注いでやり飲み終わると「さぁ、香霖、温泉へ行くぞ」と、背中をおこして座らせると霖之助は布団で股間をおさえた。魔理沙は霖之助の頭を指で軽く前におしクスリと笑い肩をかし温泉までいった。

 霖之助をお湯に入れ小屋に戻ると食事の用意にとりかかる、食事はお粥と梅ぼしにきめ、かまどに火をつけると着物を持って湯船にむかう、湯の中の石に背をもたせ目をつぶっている霖之助を見ると気持ち良さそうにしている。これなら元に戻るのも速いかもしれない、お湯から上げて着物を着せると部屋に戻った。

 蟹が泡を吹くように釜が泡を吹いている釜の蓋をずらすと泡は消えた。
 囲炉裏に座りお粥と梅ぼしの食事が終わると、霖之助を布団に寝かせ魔理沙は小屋の外にでた。
 金色の髪が風になびき、木々の若葉も生き生きとして魔理沙の周りを春の暖かさが漂っていた。麓を眺めると森の中を縦横無尽に飛びたくなる気持ちを抑え、部屋に戻り霖之助の横に寝転びしばらく眠ることにした。

 目が覚めると周りはすっかり暗くなっていて霖之助はもう目を覚ましていた。こんなに寝たのは何年ぶりだろう、やはり山登りがこたえたのか心に問うた。霖之助が弱音を吐いたのも頷ける、額に手をあてると熱はほとんど感じられなかった。遅くなった夕食は残りのお粥と梅ぼしですませ二人でお湯につかりにいった。

 石に背を持たせ目をつぶっていると冷たい夜風が頬をなでた。 霖之助は目を開け、目の前にいる魔理沙の雪のような乳房から目をそらし「苦労掛けたな魔理沙……ありがとう」と、いった。
魔理沙は顔を曇らせお湯の中につけた。金色の髪がお湯の中で溶けるように広がる「お湯がぬるくなるぞ」と霖之助がいう、魔理沙は顔をあげ右手でお湯を叩いた、お湯は霖之助の顔に当たってくだけ二人は顔を見合わせて笑った。

 木の葉が一枚、風に揺られヒラヒラと舞いながら魔理沙の肩にとまった。風が立ち昇る湯気をやさしく伴って消えた。星がきらめく夜空には綺麗な月が二人の苦労をねぎらうように照らしていた。
 魔理沙は誰に言うとはなしに月にむかって「ありがとう」と、呟く…………何処かで梟が鳴いた……ホォ─ ホォ─。





 
 
 

 

 
 

 

 


 

 
 



 
誤字脱字宜しくお願いします。
どんな批判でも良いです。
私の一歩前進のために、どうかご指導のほど宜しくお願いします。
                                       源 五郎
源 五郎
[email protected]
コメント



1.名前が無い程度の能力削除
それぞれのキャラのイメージが違いすぎて何だかよくわからない。
2.名前が無い程度の能力削除
とりあえず最初の「薄麗」を直す作業に戻るんだ!
3.名前が無い程度の能力削除
>魔理沙~タイミングをはかって打つのだ
バカボンが幻想郷入りしたのかと思った
あと打つではなく撃つですね
4.名前が無い程度の能力削除
面白いと思ったけど、文章が詰まり過ぎて読みにくいです。
適度に改行した方がいいかも。
5.名前が無い程度の能力削除
いくらなんでも俺霖之助は無いと思う。
6.名前が無い程度の能力削除
とりあえずキャラの口上は理解した方がいいと思います。
原作でチェックするなり、他の作者様のSSを参考にしたり。
酷い言い方をするようですが、そのせいでどのキャラが話しているのかよくわかりませんでした。
7.名前が無い程度の能力削除
え!?霖之助が「俺」!?
8.源 五郎削除
>1様
もっとキャラの基本に沿う様に努力します。
有難うございました。

>2様
誤字、修正しました。
有難うございました。

>3様
誤字、修正しました。
たしかにバカボンですよね(笑)
タイミング……撃て」でよかったですね。
書き表し方にもっと気おつけるようにしたいと思います。
有難うございました。

>4様
もっと読みやすいように『改行』努力します。
有難うございました。

>5様
たしかに『俺』はないですね、反省します。
有難うございました。

>6様
わかりました、もっと他の作者様のSSをお手本に勉強させてもらいます。
有難うございました。

>7様
>5様と同じになりますが『俺』はないですね。
もっと気おつけるようにします。
有難うございました。

最後に皆様。返事が遅くなってお許しください。
9.名前が無い程度の能力削除
返信もだけど誤字報告
「気おつける」→「気をつける」 「撃つつ」→「撃つ」 

正直反省してるように見えにくいけど。
次があればもう少し文章の書き方、キャラの特徴等しっかり勉強してきてくださいね。
10.名前が無い程度の能力削除
一人称間違えるぐらいなら書くなよ
11.名前が無い程度の能力削除
よし、香霖堂を読むんだ。…と言いたいところですが今は手に入らないので、
出版されたら俺と一緒に買いましょうw