Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

魔理沙の特訓

2009/06/04 08:16:02
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 ぽかぽかと良い天気だ。こんな日は縁側でお茶を飲んでそのまま転寝したい気分になる。
そんなこと思わなくてもしてしまうけど。
今まさにそんな状態だ。
お昼ご飯を食べたすぐだからそんな愚にもつかないことをする訳にもいかない。
一応年頃の女の子なので。
 「だけど本当に天気がいいわね。」
 今日何度目になるか分からない独り言呟く。この天気の良さはかれこれ三日ほど続いていた。
その前はずっと雨続きだったので、久しぶりに晴れた最初の日なんかは普段より境内の掃除に力が入ってしまったりした。
その勢いで雨のせいで溜まってしまっていた諸々のもの全部片付けてしまった。
自分で言ってしまうのもなんだけど、珍しいことだ。
次の日に遊びに来た魔理沙は「せっかく晴れたのに今度は雪でも降らす気か?」と失礼なこと言っていた。言い返すのに少し詰まった自分が悔しい。
まぁそれだけ珍しいことを起こすお天と様は偉大だ、ということで。
 ちなみに、季節上まだ雪が降る可能性はほんの少しとは言え残っているので、例え降ったとしても私の所為じゃない。
…でもお願い。降らないで。

 風が柔らかに木々を撫でる。枝葉は気持ち良さ気にサァサァと鳴き声をあげている。
その音が耳を撫で、一緒に風にもなでらているのでついついうとうとしてしまう。
やることも無いし眠ってしまおうかしら、と先ほどの自戒を放り投げようとしたところに、
「霊夢~~~!」 
と呼ばれる声に閉じかけていた瞼を開ける。石段から上がって来たのは伊吹萃香であった。
そのままこちらに駆け寄ってくる。そういえば朝から出掛けていたっけ。
「あんたどこ行ってたの?出て行く前に物置漁ってたみたいだけど…」
「漁ってたんじゃないよぉ。あれは宝探し!」と少しむくれた顔で言い返す萃香。
「似たようなもんでしょ。って、あれ?魔理沙?どうしたの?」
 違うぅ~~~、と地団駄を踏む萃香を無視し、遅れて上がってきたもう一人に気付き声を掛けた。
いつも飛んで神社まで来る魔理沙なので、珍しい。
よっ、といたずら好きそうな顔でこちらに手をあげている。


 話を聞いてみると、今朝物置を漁っていた萃香はそこで大き目の鞠を見つけた。
それで里の子達と遊んでいたのだが、玉遊びに熱が入り剛速球で鞠を投げた。
もちろん人間の子供が鬼の剛速球を受け止められるはずがなく傍の民家の障子を突き破った。
対面の壁ごと。
家主にこっぴどく怒られ、障子と壁の修理させられた。
素直に従ったことは褒めてあげるところだ。
そして魔理沙の方はというと、たまたまその現場を目撃していたので修理を手伝ってあげたというのだ。
これを聞いた霊夢は初め驚いたが、条件付きでな、という魔理沙の言葉にため息を付いた。
しかも修理が終わってから言ったというのが魔理沙らしい。
ちなみに飛んでいなかったのは「単に散歩がしたかっただけ」だそうだ。


「というわけだ。霊夢」
口に運ぶ箸を止め魔理沙が言う。魔理沙と萃香は障子の修理のせいで遅れた昼食をとっている。
これも条件の内らしい。
なんで私が魔理沙のご飯までださないといけないのよ、と文句を言うと、だって萃香の保護者だろ?と魔理沙。萃香も申し訳なさそうに頭を下げていたので仕方無しといったところだ。
「で?それも“条件の内”ってことは他にも条件があるんでしょ?」
御椀を指差して問いかける。
「当たり前だぜ」
にやりと笑い片目をつぶってみせる魔理沙。
「で、それに私も参加すると」
ふぅ、と息をついて言われるであろう条件を先に口にする。
「さすが霊夢だぜ。勘が良くて助かる」
「それ褒めてないわよ」
「考えすぎだぜ」
「別にいいわよ。暇だし天気もいいし。たまにはいいでしょう」
んん~、伸びをして言う。こういう時体を伸ばしたくなるのは何故なのかしら。
「あっさりOKしてくれるなんて珍しいじゃないか。お天気に感謝だな」
「なぁ、魔理沙。結局何をするんだ。あたしもまだ聞いてないし、そろそろおしえてくれよ」
ご飯を食べ終わった萃香が魔理沙に尋ねた。
へへ、といたずら顔で笑う魔理沙。
「それはな。弾幕ごっこにおける“新技法”の特訓だぜ!」




「で、なにをするかと思えば“これ”?」
今霊夢は神社から見て境内の左前方に立っている。萃香は丁度その反対側。
そして魔理沙は二人に挟まれて鳥居と神社の中ほどに立っている。
手には萃香が物置から持っていった鞠を持っている。つまりは“中当て”の格好である。
「…魔理沙。まだいまいち趣旨が掴めないんだけど…」
「だから、先刻説明しただろ?」
鞠になにやら呪文をかけながら魔理沙が答える。
「え~っと、自分に向かってくる弾幕をキャッチするんだっけ?」
先刻魔理沙がした“新技法”の説明を反芻する。
「そう!そしてキャッチした弾幕を相手に投げ返すんだ!すると相手は自分の放った弾幕が自分めがけて襲いかかってきてびっくり!驚いている隙をついてこちらの弾幕も相手めがけて放つ。自分と敵の弾幕、ダブルの弾幕に囲まれピチューンだ!」
誇らしげにのたまう魔理沙。この技法は萃香の霊撃を見て思い付いたらしい。
萃香のはスペルカードなので常に発動できるわけではない。しかしそれを常時使えるとしたら?
相手は自分の弾幕に常に苛まれることになるわけである。
“新”にして“最強”の技法なのである。というのが魔理沙の主張だ。
しかしその技法を行うのがキャッチ&リバースというのはどうなのだろうか。
そのうち弾幕は体力だとか言い出しそうで怖い。
そんなことには絶対ならないのだが…
「それでなんで“中当て”になるのよ」
大体の想像はついている。
「いきなり弾幕じゃ取れなかったとき痛そうだろう?」
やっぱり。
「ほれ」
ひょいっと鞠をこちらに投げる魔理沙。受け止めた鞠は普通より硬くなっている。
「少し硬さを足しておいた。それなら投げやすいだろ?」
にっこりと笑う魔理沙。確かに弾力もあってこれなら当たってしまったとしても大げさに
痛いということはないだろう。つまりは純粋な中当て。
遊びのような特訓であるが、遊びがはいっているだけに、これは一つの“勝負”なのだ。ならば博麗の名において勝ちに行くが必定。何も、弾幕ごっこだけが得意という訳でもない。
「魔理沙。悪いけど本気で当てにいくわよ」
クスリと言い放つ。
「ああ。でないと特訓にならないからな」
魔理沙もにやりと不敵に笑っている。
「特訓特訓~」
萃香もわくわくしているようだ。
「取れるものなら取ってみなさい!」
霊夢は魔理沙めがけて鞠を放った。




 「や、やったぜ」
始めて数刻ほど、魔理沙はついに特訓の第一段階である、飛んでくる鞠を受け止めるとい
う目標を達成した。投げられた鞠を受け止めるだけなのだが、いやはや、投げるのが鬼と
博麗の巫女なので難易度はかなり高い。魔理沙も最初は避けるのに精一杯であった。目が
慣れてくると立ち向かったのだが、スピードで威力の増した鞠を受けるのは困難なことで
ある。幾度か挑戦するうちに取れるようにはなったのだが、「まだ、安定したわけじゃな
い。この技は百発百受けじゃないと駄目なんだ!」とおかしな言い方をし、「百本…もす
る必要はないから五十本連続受けだ!」とめんどくさいのか自信があるのか分からない目
標を決めた。
 そして五十本連続受けを達成したのである。
「しかしよくもまぁここまでやったわね。中当て遊びならもう誰にも負けないんじゃない
?」嘆息しつつ言う霊夢。褒めるというより半ば呆れ気味だ。
「この遊びなら特訓しなくても負けないぜ。避けてればいいんだからな」
「それは弾幕ごっこも同じじゃないの?」
これに魔理沙は「勝率は上げるに越したことないだろう?」と嘯いた。
ん~、と唸る霊夢。
「さて、いよいよ投げ返す特訓だぜ!」拳を握る魔理沙。
「なぁ、魔理沙。」
と萃香が口を開いた。不思議そうに首を傾げている。
「どうした?」と魔理沙。
「先刻の遊びは弾幕ごっこの特訓だったのか?」萃香が尋ねる。
「まだ主旨を理解してなかったのか?飛んできた弾幕を逆に投げ返す。先ずは受け止める
訓練をしていたんだ。だから次はそれを投げ返す特訓だ!」とこぶしをつきあげる。
「でも魔理沙。」まだ府に落ちない萃香。そして疑問を口にする。
「弾幕って、『触れたら負け』じゃないのか?」
拳を突き上げたまま固まる魔理沙。
その様子にため息をつく霊夢であった。
初投稿です。
魔理沙、霊夢、萃香の平和そうな一日を書いてみました。

ご指摘いただいた誤字を修正。
ご指摘ありがとうございます。
日々軒
コメント



1.名前が無い程度の能力削除
本文中で萃香の名前殆ど間違ってますけどね。
2.名前が無い程度の能力削除
何というドッジボール…
いいじゃん!特殊ルールってことで。
3.名前が無い程度の能力削除
弾幕を跳ね返すなら衣玖さんの技をインスパイヤだぜ!