「やぁ」
「やぁ」
「反応薄いね」
「わぁ、びっくり!」
「わざとらしい反応ありがとう」
「どういたしまして。で、冗談はさておき」
「冗談だったんだ」
「あんたが一人って珍しいわね。他の二人は?」
霊夢が境内で箒を掃いていると、珍しい人物が訪れた。
黒い服にふよふよと宙に浮いてるヴァイオリン、少し目が細くて、微妙にテンションが低い人物。ルナサだった。いつもならばメルランとリリカも居る筈だが、何故か今日は一人だった。
「買い出し、ジャンケンで負けたの」
「買い出しなんてするのね」
「買ったのは林檎」
「別に訊いてない」
「うん、それは分かってる」
「テンション低いわね」
「そう? 普通だけど」
「たまにはテンション上げてみれば?」
「私がキャーキャー叫ぶようなテンションをしているのなんて似合わない」
「そうかしら? 案外似合うかもよ」
「では少しだけ……頑張ってみよう」
うんうん唸り、準備するルナサ。
わくわく霊夢。
唸るルナサ。
どきどき霊夢。
唸るルナサ。
唸る霊夢。
うなルナサ。
欠伸する霊夢。
「うん、心の準備完了」
「あ、やっと?」
「いくよ」
「どうぞ」
すぅっと息を吸い込む。そして、
「ヒャッハー! ここは通さねぇぜ! ヒャッハー! 水だぁ!」
「うん、ゴメン。やっぱり似合わない」
「うん、分かってた」
「大体今の性格まで変わって無かった?」
「私の中で一番テンション高い人物を真似てみた。頭モヒカンでナイフ振り回すような世紀末人物」
「ミスチョイス」
「ミスチョイスか」
なんとなく、黙る二人。
そこで、霊夢はふと思う。
「あんた買い出し終わったんでしょ?」
「うん、林檎」
「別にそれは訊いてない」
「ゴメン」
「で、何しに神社来たのよ?」
「久し振りの遠出で、少し疲れてしまってね」
「ふむふむ」
「数分ほど休憩させてくれない?」
「帰れ」
「そう……残念」
ちっとも残念そうに見えない。
「せっかくだからお参りして帰るよ」
「よし、休憩してけ」
「え? でも……」
「いいから、素敵なお賽銭箱はあっちね」
霊夢の指が指した方向へ、素直に従うルナサ。
小銭を取り出し、五百円玉をお賽銭箱に投げ入れた。
驚く霊夢とは対象的に、ルナサは静かに目を瞑り手を合わせる。
どれくらい時間が経っただろうか。
そんな長い時間じゃあ無かっただろうが、霊夢にとっては、それが凄く長い時間に感じられた。箒を手から落として固まっている。
「……さて、と」
ふぅと息を吐き、くるりと振り返った瞬間、
「あ、あああああああああんたぁ!」
「きゃあっ!?」
霊夢に肩を掴まれて、揺さぶられた。
突然のことに、珍しく変な声を上げてしまった。
「ありがとう! ほ、ほほ本当にお賽銭入れてくれるなんててて」
「あ、あうー」
「しかも五百円玉って!? ブルジョワなの! ブルジョワなのね!」
「う~う~!?」
肩をガクガク揺さぶられ続け、ルナサはふらふらしている。
目をグルグルさせているルナサに気付いた霊夢が、パッと手を離す。
「ご、ごめん!」
「いや、大丈夫」
「と、とりあえず歓迎するわ。お茶入れてくるから縁側で待ってて」
「うん、分かった」
霊夢の言葉にコクリと頷き、ルナサは縁側へと向かう。
「……良い天気」
縁側に腰掛け、空を見上げる。
視界が霞むほどに明るい青空。風が、ルナサの髪を撫でる。虫の鳴き声、木々の囁きが心地良い。
「年寄りくさいわね」
「でも、良い天気なのは事実」
霊夢がお茶を手渡す。
ルナサはそれを受け取り、目を細めてお茶を啜る。霊夢も、お茶を啜る。
二人同時にお茶を飲むのを止め、二人同時に息を吐く。
傍から見たら年寄り二人だ。
「美味しい」
「それは良かったわ」
「うん、疲れもとれるよ」
「そういえば、あんたさっき何をお願いしてたの?」
「ん?」
「五百円玉使ってまで熱心にお参りしてさ。五百円玉使ってまで」
「何で二回言ったの?」
「それほど驚きだったのよ。普段あんまりお賽銭入れてく人なんていないから」
霊夢のその言葉にルナサは首を傾げる。
「神社に来たら大体はお参りするものじゃないの?」
「そういう常識を持ってないやつの方が多いのよ」
「へぇ、不思議」
「私からすればあんたの方が不思議だけどね。で、何お願いしてたの?」
「次のライブも上手くいきますように」
「……それだけ?」
「そうだけど?」
「みんなあんたみたいな性格だったら良いのに……いや、テンション低いやつばっかになるか」
「失礼な。私はこれが普通なの。周りがテンション高すぎるだけ」
「そんなもんかしらね」
「そんなものだよ」
さて、と言いルナサは立ち上がる。
「もう行くの?」
「うん、十分な休憩が出来た。ありがとう」
「そう、またいつでも来なさい」
「ジャンケンに負けたらね」
そう言って、ルナサは去っていった。
霊夢は小さく手を振り、見送った。
そして、姿が見えなくなった後、なんとなくお茶を啜る。
「うん、美味しいわ」
やっぱり、美味しかった。
これでやる気でる!
しかし、まさか五百円参拝とは。恐ろしいな、姉御。
と、どっかの青いMSに乗ってる人みたいに言ってみる
今回はタグで騙されなさそうである意味安心して読めましたw
だっていつもの「ほのぼの」は糖分濃度が表示以上だk(ry
ルナサ初書きでした。
五百円玉参拝なんて中々出来ませんよね。
>>2様
一瞬誰だか分からなかったですw
>>3様
では次回は凄く甘いのを一つ
>>4様
プリズムリバーはお金貰ってるのでしょうかねw