☆シュールギャグです☆
☆それでもよろしければ☆
どうも、稗田 阿求です。
皆さんは、言われて傷つく言葉って、ありますか? 私はあります。
「どんくさい」
これって酷い言葉だと思いませんか。漢字にすると鈍臭い、なんですよ。
鈍くて臭い、これはもう全人格を否定されているのと同義です。たぶん。きっと。
ただね……そんな「どんくさい」という言葉を受け入れざるを得ない事態が本日発生してしまいましました。遺憾にも。
はい、語尾をどもってしまう程度には動揺しています。
今日は、いつになく良い天気だったので、庭に出てみたんですよ。
ぽかぽかといい陽気で、時折吹く風が心地よくて。歩きながら、んーって伸びとかしてましたら。
急に目の前が真っ暗になりまして。体全体に浮遊感、と言うんでしょうか、ふわっとした感覚が襲ってきました。
「よし、逝ける!」
そんな予感がしたんです。気のせいなんかじゃありません。その証拠に空がどんどん遠のいて…………あれ、遠のいて?
空が次第に小さくなっていって、今ではビー玉くらいの大きさに。
そこで私は気づいてしまいました。
『ああ、私、落ちてるんだ』
現状の把握が完了したら、次は対策を考えるべきです。今、いいこと言いました、私。
『遅いよ』とか『対策でどうにかなるレベルじゃねーぞ』とか、そういうこと言う人嫌いです。
どうやら、庭に開いていた穴に落ちてしまったようですね。なぜ、こんな穴が開いているのかは知りませんけど。
まだ地面には付いていない、慌てるような時間じゃありません。
外からの光が差し込まないくらいになりました。これで、ゆっくり考えることが出来そうです。
私は、空を飛ぶことが出来ません。幻想郷では、空を見上げると結構な頻度で誰かしらが飛んでいたりするので、勘違いしてしまいがちですが。
羽も無いのに、ふわふわ飛ぶとか非常識にも程があります。うらやましい。
そこで問題だ! どうやってこの危機をかわすか?
3択-一つだけ選びなさい
答え①美人の阿求は突如脱出のアイデアがひらめく。
答え②誰かがきて助けてくれる。
答え③轢死体。 現実は非情である。
答え⑨あたい。
私がマルをつけたいのは答え②ですけど期待は出来ない……。
私が、穴に落ちた事を知っているのはおそらく私自身だけ。
仮に、屋敷の誰かが目撃していたとしても、ウチに空を飛べるお手伝いさんはいないし、いたとしても等加速度直線落下運動で移動中の私に追いつけるはずがありません。
さて、本格的に困ってしまいました。
「かわせない」と「轢死体」では文字数と「い」しか合ってない事など気にならないくらい困りました。
ともあれ、考えを進めましょう。答え①、②が正解でないとするなら、残る解答は③しかありません。ありませんったらありません。
私は死ぬと、ヤマザナドゥ様の元で次世代用の体(この表現なんだかカッコイイ)が調達されるまで仕事のお手伝いをすることになっています。
もちろん、その時点で先代の体は失われているわけですね。
まあ、それは仕方ありません。
問題なのは、彼岸での仕事の方なんです。
私は『一度見た物を忘れない程度の能力』を持っています。私が言うのもなんですが、この力は非常に便利でして。
例えば、一度目にした書類の処理結果や、普段使わない資料や判子の管理場所もバッチリ覚えているのです。
ここまで言えば、もうお分かりですね。
その結果、週に二、三度はヤマザナドゥ様の使いがやってきて、過去の事案についてや、失せ物の在処などを聞いていかれます。
彼岸が円滑に運営されている背景には、歴代阿礼乙女の涙ぐましい努力が隠されているのです。全部私ですけど。是非曲直庁も、電子化を推進するべきです。
ぶっちゃけると、死にたくないなぁってことです。
だって、そうでしょう? 今代の幻想郷縁起を書き上げ、阿礼乙女としての役目を終えたと言える私が、残り少ない人生をのんびり過ごしたいと考えるのは当然のことじゃないですか。
サボりたくなる小町さんの気持ちもよくわかります。
大体、現在マッハで人生が終わりかけているのに走馬燈のひとつも出さないんですから、私の魂の、なんとサービス精神に欠けたことか。私の走馬燈となると、かなりの上映時間になりそうですね。
はい、現実から目を背ける作業終了ー。
普通、高いところから落ちると人は、途中で気を失うものだと聞いたことがあります。
落下の衝撃による苦痛を感じたくないという、自己防衛本能みたいなものでしょうか。
私は、今ほど自分の能力を恨めしく感じたことはありません。
このまま、気絶することなく地面に叩きつけられ、ぴょん吉(シャツ無し)になった場合、その際の痛みを記憶し続ける羽目に陥ってしまうでしょう。
いやすぎますね。
む、周囲を取り巻く空気の質が若干変わったような? 湿度が増したといいますか。
どうやら底が近いようです。
名残惜しくはありますが、このあたりでお別れのようです。ではまた、来世ー。
※
※
※
ぽよん、ぽよん
次の瞬間、私が聞いた効果音は『バキッ』でも『グシャ』でもなく、とても柔らかいものでした。
閉じていた目をうっすらと開くと、地下とおぼしき大きな空間が広がっていて。
体の下には、粘りけの強い糸で編まれた網のようなものがありました。これが、私をぴょん吉(シャツ無し)の事態から救ってくれたことは疑いようもありません。
「あんた、大丈夫かい?」
びっくりしました、まさかの答え②だったとは。
「あ、はい。大丈夫です」
確認してみて、大した外傷もなく、筋や関節を痛めた様子もありません。
見れば、一人の妖怪さんがこちらを気遣わしそうに窺っています。
「そいつはよかった。上の方から、なんか落ちてくる音がしたからさ。出てくるならあの穴だろうと思って、網を張っておいたんだよ」
この方が、私の命の恩人だったんですね。是非ともお礼を言わなければ。
「本当にありがとうございました。私、九代目阿礼乙女、稗田阿求と申します」
「いいって。わたしは黒谷 ヤマメ、土蜘蛛だよ」
そう言って朗らかに笑うヤマメさん。あの笑顔を見ていますと、なんといいますか……胸が高鳴ります。
まさか、これが恋!?
自己紹介を終えた後、この場所についてヤマメさんに説明してもらいました。
幻想郷の地下には、その昔、忌み嫌われた妖怪が追いやられたという過去があったそうで。最近までは、地上との交流も無かったようです。
「それで、あんたはこれからどうするんだい? 地上まで帰るんだったら、道を教えるくらい出来るけど」
言われて、私は悩んでしまいます。落下していた時間から考えると、地上にたどり着くまで相当な距離がありそうですし。
このまま、ここで暮らすのも悪くないか、なんて考えてしまいます。
何より、ヤマメさんの笑顔をもっと見ていたい、と思っている自分に気づくのです。
善は急げ、と言いますからね。さっそくアタックしてみましょう。
「ヤマメさん、不躾で申し訳ないんですが、お願いしたいことがあります」
「ん? なんだい」
稗田阿求、一世一代の大勝負!!
「わ、私の残りの人生を貰っていただけませんか!?」
言っちゃった……言っちゃいました。はしたない女と思われたでしょうか。
ヤマメさんは、びっくりした顔をしています。そりゃあそうですよね、出会ったばかりの相手に、いきなり告白されたんですから。
ヤマメさんがゆっくり近づいてきます。ああ、恥ずかしくてまともに顔を直視出来ません。
彼女の気配が、すぐそばまでやってきました。さあ、ヤマメさんの返答や如何に!!!
がり
このあと阿求はヤマメにおいしくいただかれました
☆それでもよろしければ☆
どうも、稗田 阿求です。
皆さんは、言われて傷つく言葉って、ありますか? 私はあります。
「どんくさい」
これって酷い言葉だと思いませんか。漢字にすると鈍臭い、なんですよ。
鈍くて臭い、これはもう全人格を否定されているのと同義です。たぶん。きっと。
ただね……そんな「どんくさい」という言葉を受け入れざるを得ない事態が本日発生してしまいましました。遺憾にも。
はい、語尾をどもってしまう程度には動揺しています。
今日は、いつになく良い天気だったので、庭に出てみたんですよ。
ぽかぽかといい陽気で、時折吹く風が心地よくて。歩きながら、んーって伸びとかしてましたら。
急に目の前が真っ暗になりまして。体全体に浮遊感、と言うんでしょうか、ふわっとした感覚が襲ってきました。
「よし、逝ける!」
そんな予感がしたんです。気のせいなんかじゃありません。その証拠に空がどんどん遠のいて…………あれ、遠のいて?
空が次第に小さくなっていって、今ではビー玉くらいの大きさに。
そこで私は気づいてしまいました。
『ああ、私、落ちてるんだ』
現状の把握が完了したら、次は対策を考えるべきです。今、いいこと言いました、私。
『遅いよ』とか『対策でどうにかなるレベルじゃねーぞ』とか、そういうこと言う人嫌いです。
どうやら、庭に開いていた穴に落ちてしまったようですね。なぜ、こんな穴が開いているのかは知りませんけど。
まだ地面には付いていない、慌てるような時間じゃありません。
外からの光が差し込まないくらいになりました。これで、ゆっくり考えることが出来そうです。
私は、空を飛ぶことが出来ません。幻想郷では、空を見上げると結構な頻度で誰かしらが飛んでいたりするので、勘違いしてしまいがちですが。
羽も無いのに、ふわふわ飛ぶとか非常識にも程があります。うらやましい。
そこで問題だ! どうやってこの危機をかわすか?
3択-一つだけ選びなさい
答え①美人の阿求は突如脱出のアイデアがひらめく。
答え②誰かがきて助けてくれる。
答え③轢死体。 現実は非情である。
答え⑨あたい。
私がマルをつけたいのは答え②ですけど期待は出来ない……。
私が、穴に落ちた事を知っているのはおそらく私自身だけ。
仮に、屋敷の誰かが目撃していたとしても、ウチに空を飛べるお手伝いさんはいないし、いたとしても等加速度直線落下運動で移動中の私に追いつけるはずがありません。
さて、本格的に困ってしまいました。
「かわせない」と「轢死体」では文字数と「い」しか合ってない事など気にならないくらい困りました。
ともあれ、考えを進めましょう。答え①、②が正解でないとするなら、残る解答は③しかありません。ありませんったらありません。
私は死ぬと、ヤマザナドゥ様の元で次世代用の体(この表現なんだかカッコイイ)が調達されるまで仕事のお手伝いをすることになっています。
もちろん、その時点で先代の体は失われているわけですね。
まあ、それは仕方ありません。
問題なのは、彼岸での仕事の方なんです。
私は『一度見た物を忘れない程度の能力』を持っています。私が言うのもなんですが、この力は非常に便利でして。
例えば、一度目にした書類の処理結果や、普段使わない資料や判子の管理場所もバッチリ覚えているのです。
ここまで言えば、もうお分かりですね。
その結果、週に二、三度はヤマザナドゥ様の使いがやってきて、過去の事案についてや、失せ物の在処などを聞いていかれます。
彼岸が円滑に運営されている背景には、歴代阿礼乙女の涙ぐましい努力が隠されているのです。全部私ですけど。是非曲直庁も、電子化を推進するべきです。
ぶっちゃけると、死にたくないなぁってことです。
だって、そうでしょう? 今代の幻想郷縁起を書き上げ、阿礼乙女としての役目を終えたと言える私が、残り少ない人生をのんびり過ごしたいと考えるのは当然のことじゃないですか。
サボりたくなる小町さんの気持ちもよくわかります。
大体、現在マッハで人生が終わりかけているのに走馬燈のひとつも出さないんですから、私の魂の、なんとサービス精神に欠けたことか。私の走馬燈となると、かなりの上映時間になりそうですね。
はい、現実から目を背ける作業終了ー。
普通、高いところから落ちると人は、途中で気を失うものだと聞いたことがあります。
落下の衝撃による苦痛を感じたくないという、自己防衛本能みたいなものでしょうか。
私は、今ほど自分の能力を恨めしく感じたことはありません。
このまま、気絶することなく地面に叩きつけられ、ぴょん吉(シャツ無し)になった場合、その際の痛みを記憶し続ける羽目に陥ってしまうでしょう。
いやすぎますね。
む、周囲を取り巻く空気の質が若干変わったような? 湿度が増したといいますか。
どうやら底が近いようです。
名残惜しくはありますが、このあたりでお別れのようです。ではまた、来世ー。
※
※
※
ぽよん、ぽよん
次の瞬間、私が聞いた効果音は『バキッ』でも『グシャ』でもなく、とても柔らかいものでした。
閉じていた目をうっすらと開くと、地下とおぼしき大きな空間が広がっていて。
体の下には、粘りけの強い糸で編まれた網のようなものがありました。これが、私をぴょん吉(シャツ無し)の事態から救ってくれたことは疑いようもありません。
「あんた、大丈夫かい?」
びっくりしました、まさかの答え②だったとは。
「あ、はい。大丈夫です」
確認してみて、大した外傷もなく、筋や関節を痛めた様子もありません。
見れば、一人の妖怪さんがこちらを気遣わしそうに窺っています。
「そいつはよかった。上の方から、なんか落ちてくる音がしたからさ。出てくるならあの穴だろうと思って、網を張っておいたんだよ」
この方が、私の命の恩人だったんですね。是非ともお礼を言わなければ。
「本当にありがとうございました。私、九代目阿礼乙女、稗田阿求と申します」
「いいって。わたしは黒谷 ヤマメ、土蜘蛛だよ」
そう言って朗らかに笑うヤマメさん。あの笑顔を見ていますと、なんといいますか……胸が高鳴ります。
まさか、これが恋!?
自己紹介を終えた後、この場所についてヤマメさんに説明してもらいました。
幻想郷の地下には、その昔、忌み嫌われた妖怪が追いやられたという過去があったそうで。最近までは、地上との交流も無かったようです。
「それで、あんたはこれからどうするんだい? 地上まで帰るんだったら、道を教えるくらい出来るけど」
言われて、私は悩んでしまいます。落下していた時間から考えると、地上にたどり着くまで相当な距離がありそうですし。
このまま、ここで暮らすのも悪くないか、なんて考えてしまいます。
何より、ヤマメさんの笑顔をもっと見ていたい、と思っている自分に気づくのです。
善は急げ、と言いますからね。さっそくアタックしてみましょう。
「ヤマメさん、不躾で申し訳ないんですが、お願いしたいことがあります」
「ん? なんだい」
稗田阿求、一世一代の大勝負!!
「わ、私の残りの人生を貰っていただけませんか!?」
言っちゃった……言っちゃいました。はしたない女と思われたでしょうか。
ヤマメさんは、びっくりした顔をしています。そりゃあそうですよね、出会ったばかりの相手に、いきなり告白されたんですから。
ヤマメさんがゆっくり近づいてきます。ああ、恥ずかしくてまともに顔を直視出来ません。
彼女の気配が、すぐそばまでやってきました。さあ、ヤマメさんの返答や如何に!!!
がり
このあと阿求はヤマメにおいしくいただかれました
効果音が・・・
効果音で吹いたww
効果音が痛いなぁ、痛い痛いw
しかし何故稗田家の庭に地下まで届く穴があるんだ
しかし誰が掘ったその穴