「楽器を教わりたい?」
「はい!」
「………ふぅん、構わないが」
「あまりにも突然な話だな、どういうわけだ?大妖精」
「その………個性が欲しくて」
「ああ、そう」
気持がわからないとは言わないが、なんだか動機が不純だな。
「経験は?」
「無いです…」
「そうか」
「ごめんなさい………」
「誰だって最初は初心者だ」
それにしてもどうして私なんだ?
メルランやリリカのほうがこういうことを頼みやすいように思えるんだが、そういうわけでもないのか。
「好きな楽器はあるか?」
「んー………」
「好きな音でもいい」
「じゃあ、高くて可愛い音がいいです………」
「………」
確かに抽象的な質問をしたが、こんな返事が来るとは。
「リコーダーでもやってみるか」
「リコーダーですか」
「一般的には、大した楽器ではないと想われがちだが………リコーダーも吹けないようでは管楽器は使えないぞ」
「はい、なんとかやってみます」
「さて………教えるとはいっても、私もずっと暇なわけじゃない」
「あ、はい」
大妖精はおそらく時間はあるだろう、あわせるなら私に合わせてもらわないと。
「ルナサさんが大丈夫なときを教えてもらえれば、いつでも伺います」
「そうだな、随時話すことにしよう」
とりあえず吹き方から教えないといけないのか?
こういうのはメルランが専門だが、まぁいい。
「深く考えることは無い、縦に咥えて息を吹きかける、そして押さえる穴を選んで音を調整するんだ」
「縦に………」
「逆だ、音が出ないことは無いが………」
もしかしてこの子、微妙にドンくさいんじゃないか。
「そうだ、今日はあいつは一緒じゃないのか?」
「え?」
「あいつだ、えーと………名前は忘れた、賑やかなお前と同族のやつだ」
「………チルノちゃん?」
「ああ、それだ」
「チルノちゃんは関係ありません」
「ん、ああ、そうか」
なんだ?
今微妙に発言にトゲを感じたんだが………ま、関係ないならいい。
私としても、この子だけのほうが教えやすいだろうしな………
とりあえず音階を教える。
ドからドまでさえ覚えてしまえばとりあえず簡単な曲は吹けるようになるハズだ、それでも最初は難しいものなんだけど………
プヒュ………ヒュー……
「ぷはっ!」
「肺活量無すぎ………」
「息継ぎって………どこで?」
「それは曲によって代わる、それより………ちょっと深呼吸してみろ」
「はい」
大きく息を吸う大妖精。
お腹があまり膨らまない………期待できないな
「吐いて」
ゆっくりと息を吐く。
………5秒?
「水泳するか」
「え?」
「正直ここまで劣っているとは想わなかった、肺活量が無ければ楽器なんて吹けない、運動するぞ」
「う、運動ですか………」
「そうだ、次からは氷湖で泳ぐぞ、水着用意しとけ」
「は、はい、わかりました!」
想ったよりもずっと大変そうだ。
でも頑張らないと、楽器が使えるようになればきっと私も個性がつく。
個性がつけば、チルノちゃんと一緒にいる、オマケみたいな見方はされないと想う。
別にイヤだったわけじゃないけど、私だって何か意外な事ができるようになって、凄いって想われてみたい。
確かに妖精の中では特別力が強いけど、あまり嬉しいことではない。
周りは真っ暗、音がよく通るこの時間に木に登ってリコーダーを吹いて見る。
綺麗な高い音、たった一日だけだけどとても上手になったように錯覚してしまう。
この音を聞きつけて、ミスティアさんが私のところに現れた。
「リコーダー?どうしたの急に」
「うん、ルナサさんに習って、勉強し始めたんだ」
「へぇー………難しいんじゃない?」
「うん………肺活量がないからダメだって」
「ああ、そっか、じゃあ良い鍛え方があるよ」
「本当?」
「水泳だよ」
「………ルナサさんと同じだ」
よっぽど水泳はいいんだろうか。
お腹の当たりが鍛えられるのかな。
「じゃあ今度皆で泳ぎに行かない?」
「うん、あ、でも」
「ん?」
「あの、私が楽器練習してるって、皆に言わないで欲しいの」
「ええ?」
「お願い」
「………いいけど、ああ、皆に内緒にしてうまくなったら教えてあげるの?」
「………そんなとこ、かな」
「ふーん」
嘘か………
確かにチルノが大妖精が面白いことをしてるってわかったら、真似事を始めてルナサを怒らせて台無しにしたり、はたまた大妖精以上に上手くなってこの子の立場を無くしてしまったり、いろいろ考えられる。
大妖精が自分の立場にちょっとだけ悩んでいることは薄々気が付いていたけど、ここまでくるとちょっと深刻かな。
誰も、貴方のことをチルノと一緒にいるだけの妖精だなんて想ってないのに、それに気が付いていない。
直接言ってあげてもきっと気を使われてるだけだなんて想われて逆効果だろう。
まぁ、この子なりに自分でなんとかしようとして楽器を習い始めたわけだから………見守ってあげようかな。
ただ、チルノの立場はどうなんだろう。
チルノは大妖精のことを仲良く遊んでくれる姉、または親友のように想っているはずだ。
余所余所しくなっていって、いつのまにか違うものに熱中していく大妖精、いつもどおりのチルノ………
間違いなく疎遠になっていくだろうな。
「どうして私がそこまで気にしないといけないんだ………」
「姉さんが引き受けちゃったからでしょ?」
「………メルラン、代わってくれないか」
「ダメだよ、大妖精ちゃんは姉さんを頼ってきたんだから」
「………やれやれ」
「とりあえず、チルノちゃんにどうやって説明するかだね」
「………大妖精が一方的に、チルノを避けているわけだしな」
「嫌いなわけじゃないだろうけどね、周りの思い込みに負けたんだね」
「そういうな、単純に特技が増えるならいいじゃないか、まぁ………邪ではあるが」
「そうだね」
「ともかく、チルノに理解をもたせないといけないな、アイツは真剣に取り組んでいるから、面白半分では首を突っ込むなとでも」
「直球だね」
「他にあるまい、遠まわしに言ったら伝わらんだろう」
「うん………」
「メルラン」
「ん?」
「教師って大変だな」
「そうだね」
.
「はい!」
「………ふぅん、構わないが」
「あまりにも突然な話だな、どういうわけだ?大妖精」
「その………個性が欲しくて」
「ああ、そう」
気持がわからないとは言わないが、なんだか動機が不純だな。
「経験は?」
「無いです…」
「そうか」
「ごめんなさい………」
「誰だって最初は初心者だ」
それにしてもどうして私なんだ?
メルランやリリカのほうがこういうことを頼みやすいように思えるんだが、そういうわけでもないのか。
「好きな楽器はあるか?」
「んー………」
「好きな音でもいい」
「じゃあ、高くて可愛い音がいいです………」
「………」
確かに抽象的な質問をしたが、こんな返事が来るとは。
「リコーダーでもやってみるか」
「リコーダーですか」
「一般的には、大した楽器ではないと想われがちだが………リコーダーも吹けないようでは管楽器は使えないぞ」
「はい、なんとかやってみます」
「さて………教えるとはいっても、私もずっと暇なわけじゃない」
「あ、はい」
大妖精はおそらく時間はあるだろう、あわせるなら私に合わせてもらわないと。
「ルナサさんが大丈夫なときを教えてもらえれば、いつでも伺います」
「そうだな、随時話すことにしよう」
とりあえず吹き方から教えないといけないのか?
こういうのはメルランが専門だが、まぁいい。
「深く考えることは無い、縦に咥えて息を吹きかける、そして押さえる穴を選んで音を調整するんだ」
「縦に………」
「逆だ、音が出ないことは無いが………」
もしかしてこの子、微妙にドンくさいんじゃないか。
「そうだ、今日はあいつは一緒じゃないのか?」
「え?」
「あいつだ、えーと………名前は忘れた、賑やかなお前と同族のやつだ」
「………チルノちゃん?」
「ああ、それだ」
「チルノちゃんは関係ありません」
「ん、ああ、そうか」
なんだ?
今微妙に発言にトゲを感じたんだが………ま、関係ないならいい。
私としても、この子だけのほうが教えやすいだろうしな………
とりあえず音階を教える。
ドからドまでさえ覚えてしまえばとりあえず簡単な曲は吹けるようになるハズだ、それでも最初は難しいものなんだけど………
プヒュ………ヒュー……
「ぷはっ!」
「肺活量無すぎ………」
「息継ぎって………どこで?」
「それは曲によって代わる、それより………ちょっと深呼吸してみろ」
「はい」
大きく息を吸う大妖精。
お腹があまり膨らまない………期待できないな
「吐いて」
ゆっくりと息を吐く。
………5秒?
「水泳するか」
「え?」
「正直ここまで劣っているとは想わなかった、肺活量が無ければ楽器なんて吹けない、運動するぞ」
「う、運動ですか………」
「そうだ、次からは氷湖で泳ぐぞ、水着用意しとけ」
「は、はい、わかりました!」
想ったよりもずっと大変そうだ。
でも頑張らないと、楽器が使えるようになればきっと私も個性がつく。
個性がつけば、チルノちゃんと一緒にいる、オマケみたいな見方はされないと想う。
別にイヤだったわけじゃないけど、私だって何か意外な事ができるようになって、凄いって想われてみたい。
確かに妖精の中では特別力が強いけど、あまり嬉しいことではない。
周りは真っ暗、音がよく通るこの時間に木に登ってリコーダーを吹いて見る。
綺麗な高い音、たった一日だけだけどとても上手になったように錯覚してしまう。
この音を聞きつけて、ミスティアさんが私のところに現れた。
「リコーダー?どうしたの急に」
「うん、ルナサさんに習って、勉強し始めたんだ」
「へぇー………難しいんじゃない?」
「うん………肺活量がないからダメだって」
「ああ、そっか、じゃあ良い鍛え方があるよ」
「本当?」
「水泳だよ」
「………ルナサさんと同じだ」
よっぽど水泳はいいんだろうか。
お腹の当たりが鍛えられるのかな。
「じゃあ今度皆で泳ぎに行かない?」
「うん、あ、でも」
「ん?」
「あの、私が楽器練習してるって、皆に言わないで欲しいの」
「ええ?」
「お願い」
「………いいけど、ああ、皆に内緒にしてうまくなったら教えてあげるの?」
「………そんなとこ、かな」
「ふーん」
嘘か………
確かにチルノが大妖精が面白いことをしてるってわかったら、真似事を始めてルナサを怒らせて台無しにしたり、はたまた大妖精以上に上手くなってこの子の立場を無くしてしまったり、いろいろ考えられる。
大妖精が自分の立場にちょっとだけ悩んでいることは薄々気が付いていたけど、ここまでくるとちょっと深刻かな。
誰も、貴方のことをチルノと一緒にいるだけの妖精だなんて想ってないのに、それに気が付いていない。
直接言ってあげてもきっと気を使われてるだけだなんて想われて逆効果だろう。
まぁ、この子なりに自分でなんとかしようとして楽器を習い始めたわけだから………見守ってあげようかな。
ただ、チルノの立場はどうなんだろう。
チルノは大妖精のことを仲良く遊んでくれる姉、または親友のように想っているはずだ。
余所余所しくなっていって、いつのまにか違うものに熱中していく大妖精、いつもどおりのチルノ………
間違いなく疎遠になっていくだろうな。
「どうして私がそこまで気にしないといけないんだ………」
「姉さんが引き受けちゃったからでしょ?」
「………メルラン、代わってくれないか」
「ダメだよ、大妖精ちゃんは姉さんを頼ってきたんだから」
「………やれやれ」
「とりあえず、チルノちゃんにどうやって説明するかだね」
「………大妖精が一方的に、チルノを避けているわけだしな」
「嫌いなわけじゃないだろうけどね、周りの思い込みに負けたんだね」
「そういうな、単純に特技が増えるならいいじゃないか、まぁ………邪ではあるが」
「そうだね」
「ともかく、チルノに理解をもたせないといけないな、アイツは真剣に取り組んでいるから、面白半分では首を突っ込むなとでも」
「直球だね」
「他にあるまい、遠まわしに言ったら伝わらんだろう」
「うん………」
「メルラン」
「ん?」
「教師って大変だな」
「そうだね」
.
食玩はおまけがメインでゴワス
続き気になるのでよろしくお願いします
タイトルは違うかもしれませんがきっと書きます