Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

東方小話・第七集

2009/05/24 19:21:25
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◇必殺の話


 魔法の森。
 そこでは仲の良い三匹の妖精が、今までの訓練の成果を試そうとしていた。

「いくわよ!」「任せて!」「いい調子!」

 サニーミルク、ルナチャイルド、スターサファイアの挙動がぴったりと重なる。

「──日光!」「──月光!」「──星光!」

「三つの心! 一つに合わせ! 今、必殺の!」

「お、丁度良いところに的が」

 箒に乗っていた魔理沙が、試作品の魔法で三妖精をまとめて吹き飛ばした。




 真の必殺とは、相手の必殺の瞬間に繰り出す技──不意打ちである。





























◇立場の話


 人間の里。
 そこの名士である稗田家当主は、日々里のために尽力する。

「にゃーにゃー」

「ミャー」

「にゃーにゃーにゃー」

「ミャォ」

「──当主様。大手通りの大店様がお越しになられ、その御通信が」

「直ぐに此方に、筆と机の用意を」

 キッ、と居住まいを正していた阿求の元で、会談の用意が始まる。
 庭では、急に放り出された猫が毛を逆立てていた。


 立場の高い人から可愛がられるときは気をつけよう。
 状況によって、簡単に放り出されるかも知れない。

































◇交ざる話


 迷いの竹林。
 そこではある特性を持った二人の人間が、定期的に決闘を行っている。

「今夜の貴女は夕餉の魚のようによくほぐして、骨だけ壷の中に閉じ込めてあげるわ」

「は。じゃあ、こちらは特大の串でも持ってきて、売り物の焼き鳥みたいな有様にしてやるよ姫様」

「────勝負」

 二つの視線と死線が交差し、声が重なった。
 しばらくして、

「今日もいいネタ文文ぶ~ん。おお、この辺りで何やら特ダネの香りがします!」
 
 夜更けに記事を探していた射命丸文が暗い竹薮を見下ろした。

「うーん、私の目でもよく見えないなぁ……。お、そういえば河童につけて貰った新機能が!
 早速試してみましょう! そぉれ、ウツルンフラッッシュ!」

 暗い竹薮を一瞬明るく照らし、写真が出てくる。

「さてさて、どんな特ダネが……────」

 幻想郷最速の文屋が、写真を放り出して飛び去った。

 

 誰かと争うとき、自分と相手、端からは同じ交ざりものに見えている。



















  




◇姉妹の話


 地霊殿。
 そこである妖怪の姉妹が、口喧嘩をしていた。

「……だから地上にも恐ろしい妖怪がいるのよ。
 それこそ今地底にいる者達を追いやるくらいの。気軽に遊びに行きすぎては駄目、絶対」

「そんな事無いよ! 私が本気出せば気づける奴なんかいないし。
 お姉ちゃんは私より弱いから、余計に怖がっているだけじゃない」
 
「ふう……。仕方ないわね。こんなもの、貴女に見せたくなかったのだけど」

 さとりが手をかざして、ある光景を映す。

「私は心配なのよ。こいし」

「ごめんなさい」

 霊夢と魔理沙のとある心象風景を見せられたこいしが、部屋の隅で頭を下げた。



 自分が姉や兄よりなにかが優れていても、侮ってはいけない。
 大方、弱点を識られているからだ。



























◇罠の話



 永遠亭。
 そこはいつも多くの兎達が、せわしそうに跳ねている。

「──いいかね兎諸君。私達は人間や他の妖怪に舐められないためにも、
日々訓練を重ねなければならない!」
 
 てゐが兎語で、他の兎達に発破をかけた。
 そして沢山張ってあるロープに指をさす。

「そのため、今日はより速く、より高く跳べるかどうかの特訓をする!
 うまくできた者には私直伝の罠の奥義を伝授してあげよう!」

 兎達の気勢があがる。悪戯好きの兎達にとって、てゐの鮮やかな罠作りは憧れであった。
 すぐさまゴールを目指して跳び始めるが、なかなかてゐの眼鏡に叶うものはいない。 

「──まあ、いいんだけどね。こうしてドタバタしていれば、鈴仙あたりがやってきて、
私が徹夜で仕上げた……くふふ」

 てゐが奥にある本命の罠を見てほくそ笑む。

 後ろで、お使いに来た妖夢がロープにひっかかり滑っていった。 


 ──罠とは、対象に対してより、第三者に多くの被害をもたらす。
































◇悪魔の話



 魔法の大図書館。
 そこそこ広いその図書館では、そこそこの数の小悪魔達が常に飛び回っている。

「悪魔の証明……それはその存在を証明するのは、それを持ってくれば容易いが、
逆にその存在を否定するためには全ての可能性を調べ尽くさねばできないという不純な論理……。
全称命題の証明と置き換えることも可能……」

 パチュリーが近くにいた一匹の小悪魔をつまみあげる。

「まあ、ここでは簡単なんだけど……」

「? ? ?」

 手放された小悪魔が慌てて飛んでいく。
 それを見送ってから、パチュリーが珍しく動き始めた。
 地下からの階段を上りきり、仕切られた窓の一つを解放する。

「外では、誰が幻想郷の証明をするのかしら」

 景色を眺めながら、パチュリーは歌うように呟いた。


 外で忘れられたものが集う幻想郷。
 忘れられ、否定された者達が集う楽園を、私達は証明できるだろうか。

























 
小悪魔連れてきても、誰も信じてくれない気がする。


これから読む方 → 東方のアンニュイな小話です。ちょっとした休憩時間のお供に

もう読まれた方 → お疲れ様です。素敵な貴方に、またどうぞお越し下さいませ

前のも読んだ方 → いつも有難うございます。今回はあえて言うなら「とぶ話」です

今回わかりにくかったようなので、やや補足
ネコん
コメント



1.名前が無い程度の能力削除
今回は理解の範疇を超えてるかな
面白かったけどw

確かに外の世界にないものが幻想郷にある以上、外の世界よりは悪魔の証明は楽そうですよね
さとりんはいったいなにを見せたw
2.GUNモドキ削除
牛乳を飲みながら読ませていただきました。
最初と最後の話が好みでしたねぇ。

三月精は、アタックかスパークか、どちらを出したかったのでしょうか、気になるところです。

それと、幻想郷の悪魔の証明は、一体どういうものが当て嵌まるのでしょうね?
現時点では、山の四天王の後二人は居るのか、とか、諏訪子のZUN帽の中には本当に誰もいないのか、とかですかねぇwwww

しかし、今回の話は少々薄味でしたねぇ。
私はまだまだ噴きませんよ? 私の戦闘力は紫様の年齢と同じ数値です。
え? 具体的な数値が聞きたい? 仕方ありませんねぇ。
私の戦闘力は17ちょ(スキマ送り
3.名前が無い程度の能力削除
三月精が「コンビネーションクラァァッシュ!!」とか(SR風に)叫んでいるのを
想像しただけで噴いてしまった私は負け組w
4.名前が無い程度の能力削除
「月に!」「星に!」「太陽に!」
私はアク○リオンでした。三月精、可愛いですねw

いつ見ても、このシリーズにはまったりさせられます…
5.名前が無い程度の能力削除
あの文が写真を破棄して去るなんて…、食傷気味のネタだったのか、逃げ出したくなるぐらいエグい有り様だったのでしょうか?