汗と泥に塗れながら藤原妹紅は思考する。
父を殺され。
人間である事を捨て。
幾多の年月を孤独に過ごし。
いつしか外法を身に付け。
その上何故私は今、ここまで苦しめられているのか。
『どうー?』
思えばこの不幸が始まったのもあの女がきっかけなのだ。
蓬莱山輝夜。憎き怨敵であり、己と同じ不死の身体を持つ女。
―――――父の仇。
『まだー?』
あの女への憎悪が私を構成している全てだ。
そして『まだ温泉出ないのー?』
「うるせぇ死ねーーー!!」
『死なないですしおすしー』
現在、地下5000m。
東方窒息死 ~ Ba-bang Ba-bang Bangbang
~ちょっと前~
輝『スマブラやろーぜー』
妹『絵的にアレだからこいこいやろうぜこいこい』
輝『えー、普通ー』
妹『最近のスマブラよくわかんないんだよ。絶だのメテオだの』
輝『私蓬莱人だけど、絶も出来ない蓬莱人って…』
妹『知らんがな』
輝『じゃあこいこいでいいわ…。ただし罰ゲーム有りで』
妹『ふむ、乗った』
輝『敗者が勝者の命令を聞くOK? 俺のターン、ドロー! 五光!』
妹『Oops!?』
~
『それっぽい独白くらいさせなさいよ!』
輝「まだ出ないのー?」
『うるせぇこの眉毛野郎!』
輝「別に私の眉毛に特異点は無いわよ」
鈴「お茶が入りましたよー」
輝「わぁい」
『がぁぁぁぁぁぁ!』
永「ちなみに私達は姫様の私室でゆっくりテレビ見ながら待ってます」
輝「八雲紫に『温泉作るから』って言って借りた交信機で会話してるの」
鈴「虚空に向かって喋らないでください、怖いから」
『そろそろ生物の気配がしなくなって…ギャバッ』
輝「どったのー?」
『………ぷはぁっ、ゲホッ、ゴホッ、さ、酸欠で死んだ…。リザった…』
輝「なんだそんな事か」
鈴「ウノ!」
永「姫様パス」
輝「リバース」
永「ドロー4」
鈴「ですよね」
『ちょっと待て何やってんだそっち!?』
輝「ウノだけど」
『そっかーウノかー』
『死にたいのか』
輝「暇だもの」
『手伝えよ!?』
輝「だからイナバ一匹ついてかせたじゃない」
『酸欠でブッ倒れたからお布団着せて寝かせてるよ!』
『暑…死…助…』
輝「何その優しさ惚れる」
鈴「なんかてゐ暑がってますけどお布団ってどうなんですかね」
永「命に関わるんじゃない?」
『そろそろ8000m行くぞー』
鈴「速っ」
輝「それは報告しなくていいです」
永「喉が渇きましたか?」
『はい!』
永「『ともだち』が貴女の健闘を称え水道水を投げ入れてくれました。キャッチしてくださいそりゃっ」
『馬鹿にしてんのか』
輝「んー…。やっぱりその穴見苦しいわね」
鈴「姫が『自分の部屋に温泉ほしーい』とかギャーギャー騒いだんじゃないですか」
永「これは酷い忠誠心」
輝「とりあえず板かなんかで塞いじゃ駄目かしらん」
『ぎゃうっ!?』
『死ぬから』
輝「死ぬの?」
『死なないけど』
鈴「師匠、悲鳴が、今なんか悲鳴が」
永「気のせいよ」
『うお、びっくりした。なぁ、ちょっと目離してたらお前んとこの兎が血まみれになってるんだが』
輝「なにそれこわい」
鈴「…」
永「気のせいよ」
『ギャバッ』
輝「あ、死んだ」
鈴「よく考えたらてゐ頑丈だなぁ」
『ふぅ…。ところでさぁ』
輝「んあー?」
『これ、万が一温泉出てきたら私ら死ぬよね。溺死するよね』
輝「死ぬの?」
『兎は水ん中に長時間入れると死んじゃうんだよ?』
輝「兎じゃなくても死んじゃうけど」
『わかっててやってんのかてめぇ』
慧「邪魔するぞー」
輝「電源オフ」
永「了解」
『いま慧』ブツ
慧「なんだ居たのか、すまんな。呼んでも誰も来やしないし、鍵も開いてたから勝手に入らせて貰った」
永「いいのよ」
輝「いらっさーい」
鈴「どうも。コーヒーとお茶、どっちにします?」
慧「ああ、今日は茶を飲みに来た訳じゃないんだ。妹紅を知らないか?」
輝「ぜったいにしりません」
永「今日は来てないようだけど…。この辺りに居ないなら里に降りてるんじゃないかしら?」
鈴「…」
慧「そうか…。あぁ、それだけ聞きに来たんだ、邪魔したな」
永「いえいえ。どんげ、玄関まで送って差し上げなさい」
慧「構わんよ」
鈴「しのびねぇな」
慧「逆だ。じゃあ、また」
輝「ばいぶー」
鈴「犯罪者の気分です」
永「犯罪者そのものよ」
輝「行ったわね。もしもーし、こちらライザ1、応答せよ」
『…ん、繋がったか、もしもーし』
輝「もしもーし。ごめんね、ちょっと電波が悪くて」
『ふぅん? あ、ツルハシが遂にブッ壊れたから新しいの寄越してくれ』
輝「月から持ってきた黄金のツルハシになんて事を…」
永「ツルハシ落とすわよー。どう? 温泉が出る気配は?」
『さっき一応液体っぽいのは出たぜー。心なしかドロドロしてたけど』
輝「やった! じゃあ早速」
『なんか軽く5000℃くらいありそうだったけど大丈夫か?』
輝「迅速に埋めなさい」
『もう埋めたよ。…あれ、なんで私命令されてるんだろう』
『おぎゃァ!?』
輝「快感なんでしょ!? 『もっと命令してください』って言いなさいよ!」
『ブチ転がすぞ』
鈴「悲鳴が…」
永「よく生きてたわね」
鈴「師匠?」
『お、来た来たツルハシ…なぁ、お前んとこの兎が…、いや、何でもない、うん』
輝「この辺りには温泉無いのかしらねぇ…」
『私の長年の勘から言わせてもらうと、もうこの辺りとかそういうレベルじゃなくなってる気がする』
輝「薄々気付いてた」
『まぁいいや、こんだけ掘って出なかったら流石に腹が立つ。掘るぞおらー!』
輝「がんばれー」
永「桃鉄やりません?」
輝「やるやるー」
『パゼェスト! バイ! フェニィィィィ』ブツ
輝「五月蝿いから切るわ」
輝「ふぅ…。良い潰し合いだったわ。友情破壊」
鈴「死んだ」
永「不死人と天才と月兎が居てどうしてCPUに負けるんでしょうね」
輝「今何時?」
永「結構遅いですね。今日はもうお休みになられては」
輝「うん…あっ、温泉」
永「…忘れてました」
鈴「…あっ」
輝「通信機は…、あれ、何処やったっけ」
永「さっきコタツの中に転がってったの見ましたよ」
輝「コタツぅ? なんでそんな所に…あった」
鈴「あるある」
輝「もしもーし。通じてないかな、もしもーし…」
『最後の岩盤だッ、喰らいやがれゃァァーーーーーー!!』
輝「もしもーし! 聞こえてるー? もしもーし!」
永「送信だけ壊れちゃいましたかね」
『ひっは! やっと地表だ…! あれ、目的なんだっけ…』
輝「地表?」
永「だいたいわかった」
『っていうかここ何処だよ…。何でいつの間にか上に掘り進んで…。まぁいい、それより新鮮な空気を…!』
『Boa tarde!』
『わわ! お、人か、人がいた、助かった…。すんませーん、ここ何処…』
『Hmm... Qual é o seu japonês?』
『はい? え、何て?』
『...』
『黙っちゃったよ…。言葉通じないのか? ここ何処だよ本当に…』
『Samba Nunca Morre!!』
『!?』
『Samba Nunca Morre!!』
『な、何よ!?』
『Samba Nunca Morre!!』
『さん…何?』
『Samba Nunca Morre!!』
『…』
『Samba Nunca Morre!!』
『Samba Nunca Morre!!!』
『Samba Nunca Morre!!!!』
『Samba Nunca Morre!!!!!』
『Samba Nunca Morre!!!!!!』
輝「電源オフ」
永「了解」
ドリフはねえよwww
ひょっとしてぱれっとの儚月抄ヒントにしてる?