~注意書き~
本作は「早苗さんの修学旅行~沖縄編」の幻想郷サイドのお話になります。
そちらをお読みでない方は先にそちらをご覧になっていただくことを強くお勧めいたします。
なお、本作はキャラがやたらと多いために細切れの文をつなげていますので、若干読みにくいかと思われますがご容赦ください。では。
※ちなみに場面転換は***
人物転換は* となっております。
~注意書き 終~
「ねえ、海を見たくはない?」
きっかけはそう、紫のその一言。
その一言で、私達は、大変な経験をすることになったのだ。
「ということで、修学旅行に行きましょう」
「待って、何が『ということ』なのかしっかり説明しなさい」
いきなりやって来て、いきなり告げられた。
わかっていた、こいつはこう言う奴なのだと。わかってはいたが…。
「意味分かんないわよ」
「や、だからね?私は海がみたいの。で、せっかくだから貴女達も誘ってあげようと思って」
「結構よ」
「話が解るわね。じゃあ出発は明朝。迎えに来るから用意しといてね」
…聞いちゃいねぇ。
「だから私は…」
「おやつは三百円までよ。あ、バナナはおやつに入らないからいくらでも持って行って頂戴。ただし、魚肉ソーセージはおやつね。チーカマも」
「だから…」
「じゃ、そう言うことで。まだ永遠亭とか紅魔館とか行ってないのよ。それじゃあね」
そう言って、紫は来た時と同じようにスキマに消えてあっという間にいなくなった。
「何なのよ…」
海っていうとあれか。月にあったやつか。
何でいきなり、そんなものを見たいと言い出したのだろうか…
明朝。
何故か私はマヨヒガにいた。他にも何人もいるが、その表情は一様ではない。
戸惑ったような者、楽しそうにしている者。様々だ。
紫が変わった服を着て(すぅつ、と言うらしい)、旗を振っていた。
「はーい、出席取るわよー。名前で呼ぶからねー。
霊夢に魔理沙にアリスに咲夜に美鈴に永琳に輝夜に鈴仙に妹紅に慧音に霊夢に妖夢に幽々子にチルノに大ちゃんに霊夢に萃香に映姫に小町に藍に橙に霊夢に私。はいおっけー」
「待ちなさい。私はそんなにいないわ」
「あらごめんなさい。常日頃から貴女の事を考えているから思わず数え間違ってしまったわ。
…私の目を引く貴女が悪いのよ?」
「そんな話はしていない」
「やん、いけずぅ」
よくわかった。相手にしない方がいい。
「はーい、じゃあ全員揃っているみたいなので…藍、あれ用意出来てる?」
「はい、万端です」
参加者全員で首をかしげる。
一体何だというのか。
そんな私達の心を知ってか知らずか(多分わかってやってる)、紫は楽しそうに笑って言った。
「では皆様。こちら特設スキマルームにてお召し物をお着替え願えますかしら」
「「「は?」」」
有無を言わさず、私たち全員、スキマにぱっくりと呑み込まれた。
「あいたたた…何すんのよまったくもう!紫!聞いてんでしょう!?」
見事お尻から着地した私は、可哀想なお尻をさすりながら虚空を睨みつけた。
案の定。
「呼んだ?」
間を置かずに紫はにゅっと顔だけ現した。
「何なのこれは!?どういうつもりなの!」
私が怒鳴りつけると、紫は悪びれもせずに
「だから、その服に着替えてくれない?向こうに行くのにその恰好じゃあ目立ってしまうもの」
と言って私の足元を指差した。
見れば。
「…何これ」
「せーらー服って言うの。向こうの民族衣裳ね(嘘)
着方、わかる?」
「う、…わかんない、かも」
そう言うと、紫は待ってましたと言わんばかりにスキマから身を乗り出し。
「ちょ、何を…」
私の巫女服に手を伸ばして。
「着替えさせてあ げ る」
「やめちょ、や、いやぁああぁ!」
抵抗空しく、私はひん剥かれてしまうのだった。
* * *
「本日は、スキマ観光をご利用いただき誠にありがとうございます。
私、バスガイド兼引率の八雲紫と申します。こちら運転手は私の式、八雲藍が勤めさせていただきます。皆様どうぞよろしくお願いいたします。はいはい、どうもどうも。物投げちゃ駄目よー?
当バスはこれよりスキマを抜けまして、外界の沖縄は美○海水族館へと向かわせていただきます。
皆様に楽しんでいただけるよう、スタッフ一同全力で取り組ませていただきたいと思います。…では、ごゆるりと」
* * *
side: 紫(1)
「はい到着」
スキマの向こうは沖縄でした。私が繋げたから。
ぐるりと見回すと、うん、全員無事ね。…よかったよかった。
「それじゃ、ここからは自由行動よ。チームを組んで好きに回るといいわ。ただし、さっき渡した腕時計をつけておいてね。時間になったら集合よ。
あとそう、一応修学旅行という形を取っているから、役割決めをさせてもらうわ。
まず私と藍と幽々子と慧音は引率の教師。永琳は保健の先生になってもらおうかしら。
役目としては、そうね。連絡通達の拠点、てとこかしら。何かあったら私が小さな式を放って貴女達に伝えるから、それを他の子たちに伝えてくれればいいわ。永琳は救護兵ってことで」
そう言って名前を呼んだ藍以外の三人は、なるほどと手を打っていた。
「だから服が違ったのか…」
何処か残念そうなニュアンスを含んでいるのは気のせいかしらね?
「後は…閻魔様と妖夢は風紀委員ね。他の子たちが宜しくないことをしないように適当に監視して頂戴。適当でいいから」
「適当などと!私が許しませんよ!」
「は、任務承りました。全力で当たらせて戴きます」
…なんだろう、本気になってしまっている気がする。
ま、別にいいんだけどね、
私の邪魔さえしなければ。
「では解散!良い一日を!」
私の一声で、それぞれ散らばって水族館へと向かって行った。
チームの別れ方はこう。
霊夢、魔理沙、アリス、萃香のチーム。引率はなし。まあ二人しっかりしてるから大丈夫でしょう。
咲夜、美鈴のチーム。引率なし。大勢で行動するのは嫌なのだとか。
チルノ、大ちゃん、橙。引率に藍のチーム。ちょっと大変かもね。
輝夜、鈴仙、妹紅。引率に慧音。まぁここまで来て喧嘩はやらかさない…でしょう。たぶん。
幽々子と妖夢、映姫と小町がそれぞれ遊撃…ってところかしら。
残った永琳と私は適当にその辺をうろついて居ましょうか。
さて、楽しい一日の始まりよ。
* * *
side: 永琳
「折角だから、セーラー服が来てみたかったわ…」
私は化粧室の中で一人ごちた。
わかってるわ。ちょっと無理があるなんて事。
「…でもねぇ」
呟きながら、薄く紅を引きなおす。
「イケると思うんだけど、まだ…」
少しばかりテンションを落としながら、私は化粧室を後にした。
お手洗いを出てすぐの角を曲がると、一人の少女が肩を落として項垂れていた。
私は思わず声をかけた。テンションがどうこう言っている場合ではない。病人かもしれないのだ。
「ちょっと貴女、大丈夫?具合、悪いの?」
* * *
side: 橙
お鼻がぴくぴくする。お魚がいっぱいいるからだ。
おいしそうってよだれをたらしそうになったら、藍様に「食べちゃ駄目だぞ」って怒られた。残念。
せっかくこんな所まで来たんだから、藍様といっぱい遊びたいんだけど、チルノちゃんとかいるから、駄目なんだって。
しょうがないからずっと手をつないでいよう。はぐれちゃったらやだもんね。
…チルノちゃん、いなかったらよかったのに。って思う私はきっと悪い子なんだなぁ…。
こんなこと藍様に言ったら、きっと怒られちゃうから、言わない。
*
side: 藍
あぁ、何でこんなことに。
本当だったら橙と一緒に色んな魚を見て回るつもりだった!なのに…
「らんー、あれなぁにー!?」
「お、おい待てチルノ!勝手にあっちこっち行くな!」
何故私はこんな氷精に振り回されているんだ…
私は橙とつないだ手を固く握りしめた。
ごめんな、橙…。
*
見ていて気付いた。二人とも、全然面白そうな顔、してない。
きっと、原因――という言い方は嫌だけど――はチルノちゃんだろう。
…よし。
side: 大妖精
「あ、あいたたた…」
私はお腹を押さえてその場にうずくまった。
「大ちゃん!どうしたの!?」
あっちへこっちへ飛びまわっていたチルノちゃんは、心配そうな顔で一目散に私の元へ。
「おなか、痛い…」
私が呟くと、チルノちゃんは大急ぎで藍さんを呼んで来てくれた。
「大丈夫か?」
そおっと抱きかかえた私のお腹に、確かめるように藍さんが触れる。
「い、いたたた…」
私は痛みで体を丸め…た様にして藍さんの耳元に囁いた。
「チルノちゃんは、私が一緒にいますから」
「…!」
「藍さんは橙ちゃんと、いっぱい遊んできてください。二人とも、そう言う顔、してますから」
私が顔を離すと、藍さんは驚いたような、どこか恥ずかしそうな顔で私を見ていた。
私はチルノちゃんの方に顔を向けた。精一杯痛そうな顔で。
「ち、チルノちゃん。一緒に永琳さんのところ、行ってくれる?」
「いくよ!」
「ありがとう…それじゃ、藍さん。私達戻りますから…ここからはお二人で回って下さい」
「あ、あぁ」
私達は藍さんたちと別れ、元来た道を戻る。
数分歩いただろうか。もう、藍さん達はだいぶ先に行ったはず。
もう大丈夫だろう。
「あ、チルノちゃん…おなか痛くなくなった、みたい」
「へ?ほんと?」
「うん」
「よかったー!」
本当にほっとした様で、チルノちゃんは嬉しそうに笑ってくれた。
…だましてごめんね、心配させて、ごめんね。
私はぎゅっとチルノちゃんの手を握った。
「ごめんね…」
「何が?」
「…ううん。何でもないよ、何でも」
「ほんとにもうだいじょうぶなの?」
「大丈夫!さ、藍さん達は行っちゃったから、二人で色々見てまわろっか!」
「うん!」
迷惑かけちゃった分、私はチルノちゃんと一緒にいっぱい楽しむことにした。
二人って言うのも、悪くないよね?
ね、チルノちゃん。
* * *
side: 妖夢
「他の人たちの監視って言われたけど…」
皆それぞれどこかに散ってしまって、所在がはっきりしないし。
何より。
「あぁ!幽々子様!ヒトデを食べようとしないで!」
私の主こそ、問題を起こしてくれそうで目が離せないのだ。
…使命とはかくも重きものか。
*
side: 幽々子
さて。妖夢をからかうのも飽きてきたわね…
どうしようかしらねぇ?
…あら、ずいぶんと大きい魚ね。
「大きいわねぇ。これ捌いたら何人前になるのかしら、ねぇ妖夢?」
「やめて下さいね、そんなことしませんからね、普通のお魚で我慢してくださいね」
「けちー」
全く、冗談の解せない子だこと。
「それにしても本当に…」
「?」
私は目の前を歩き去って行く少女を見つめた。
「美味しそうな子ね」
* * *
良いですね、こんな話好きです。
誘ってあげて欲しかった
なんか色々と目立つ人たちがいないのが
残念です
残された人たちは何やってるかになりますw
「オー〇ドの爺さま」かしらかしらご存じかしら。
大ちゃーん!
良い娘やあんたー!
でも実はお腹真っ黒とか勘繰りましたごめんなさーい!
ゆか→……れいむ……ですと……?
くうっ、やはり「ゆか琳」は夢幻でしたかっ。
次回は幽々子嬢の「美味しそうな子……」発言を耳で拾った妖夢さんの未曾有の嫉妬が始まるのですね分かr(ry
咲「絶対」
アリ「運命」
美「黙示録」
次回楽しみにお待ちしております。
ぺこり。
保険の先生ってなんかすごい命の危険感じるんですがw
数えなおしてみてください。もうちょっといますよ…
>>3様
一応風神前までのキャラで書きました。
早苗さんがまだ外にいるので。
>>4様
実はメンバー適当なんです。サーセンwww
残された人たちはお土産に思いをはせているんだと思います
>>5様
脳内補完で
>>otacon00様
いい思い出はできましたか?
作者はホテルのベットでポケモンをやっていました。
>>謳魚様
れっぼりゅーしょーん!
ゆか琳ですか…考えておきます。
>>8様
…やっべえ、取り立てにきそう。
直しときました。ご報告ありがとうございます。
>>9様
騒がしいのでゆかりんに却下されました。