「あ…」
多々良小傘は歩いている道の先に何かを見つけた。
それが何かは遠目からでもすぐに分かる。
そう、傘である。
放置されてもう数日が立っているのか、紙は所々破れて骨も折れている。
「こういうのを見ると、昔の自分を見ているようで…
なんだか痛々しいねぇ…」
たたまれている状態の傘を拾いあげてそっと開く。
パシャパシャ
と中にたまっていた水が漏れる、それは小傘の顔を濡らした。
「悲しいねぇ…、まだ直せば使えたろうに…」
水を被った所為もある、しかしその顔は悲しみの色に染まりどこか泣いているようにも見えた。
傘は消耗品。
壊れやすい傘はすぐに壊れてしまい使い物にならなくなる。
しかしそれをどうやって処分するかが問題である。
ゴミとして捨てる。
それならばまだいい。
でも壊れた傘は案外大きくて場所をとる。
だから人々は傘が壊れてしまった時点でそのまま道に捨ててしまうのだ。
この行為に小傘は胸を痛めた。
壊れたから捨てられ、そのままずっと一人ぼっち。
物に魂があるとするならば、きっととても悲しいだろう。
小傘も元はそんな捨てられた傘の一つだったのかもしれない。
「仕方ないねぇ」
手近にあった木の葉や枝を持ってきて壊れてしまった傘を修繕した。
そんなときに
ポツン、ポツン
と、雨が降り出した。
「強くなりそうだねぇ、帰ろうか」
雨の中を歩いていく。
だんだん雨も強くなってきて水溜りができ始める。
「ん?」
小傘は木の下に小さな子供がいるのを見つけた。
―雨が降ってきているのに、何をやっているんだろう。
気になって近づいてみる。
「うらめしや~」
「お姉ちゃん誰?」
「寂しいねぇ、もう少し怖がってくれてもいいんじゃないのさぁ」
「だって怖くないもん」
「私ももうお終いかねぇ…、ところで、雨降ってきてるよ、帰らないのかい?」
「傘がないから、濡れちゃうよ」
しゅんとした少年にさっき直した傘を手渡した。
「ボロボロだけど、後一回ぐらいは使ってやってよ」
「え?いいの?」
小傘は優しく頷いた。
「そうしてくれたほうが、その傘も喜ぶ、途中で捨てたりしないでおくれよ?」
「うん!!ありがとう、傘のお姉ちゃん!!」
そういって少年は嬉しそうに傘をさしながら帰っていった。
小傘はそんな様子を見ていたらなんだか自分まで嬉しくなってきて自然と頬が緩んでいた。
「私もあんなふうに使って欲しかったねぇ」
多々良小傘は歩いている道の先に何かを見つけた。
それが何かは遠目からでもすぐに分かる。
そう、傘である。
放置されてもう数日が立っているのか、紙は所々破れて骨も折れている。
「こういうのを見ると、昔の自分を見ているようで…
なんだか痛々しいねぇ…」
たたまれている状態の傘を拾いあげてそっと開く。
パシャパシャ
と中にたまっていた水が漏れる、それは小傘の顔を濡らした。
「悲しいねぇ…、まだ直せば使えたろうに…」
水を被った所為もある、しかしその顔は悲しみの色に染まりどこか泣いているようにも見えた。
傘は消耗品。
壊れやすい傘はすぐに壊れてしまい使い物にならなくなる。
しかしそれをどうやって処分するかが問題である。
ゴミとして捨てる。
それならばまだいい。
でも壊れた傘は案外大きくて場所をとる。
だから人々は傘が壊れてしまった時点でそのまま道に捨ててしまうのだ。
この行為に小傘は胸を痛めた。
壊れたから捨てられ、そのままずっと一人ぼっち。
物に魂があるとするならば、きっととても悲しいだろう。
小傘も元はそんな捨てられた傘の一つだったのかもしれない。
「仕方ないねぇ」
手近にあった木の葉や枝を持ってきて壊れてしまった傘を修繕した。
そんなときに
ポツン、ポツン
と、雨が降り出した。
「強くなりそうだねぇ、帰ろうか」
雨の中を歩いていく。
だんだん雨も強くなってきて水溜りができ始める。
「ん?」
小傘は木の下に小さな子供がいるのを見つけた。
―雨が降ってきているのに、何をやっているんだろう。
気になって近づいてみる。
「うらめしや~」
「お姉ちゃん誰?」
「寂しいねぇ、もう少し怖がってくれてもいいんじゃないのさぁ」
「だって怖くないもん」
「私ももうお終いかねぇ…、ところで、雨降ってきてるよ、帰らないのかい?」
「傘がないから、濡れちゃうよ」
しゅんとした少年にさっき直した傘を手渡した。
「ボロボロだけど、後一回ぐらいは使ってやってよ」
「え?いいの?」
小傘は優しく頷いた。
「そうしてくれたほうが、その傘も喜ぶ、途中で捨てたりしないでおくれよ?」
「うん!!ありがとう、傘のお姉ちゃん!!」
そういって少年は嬉しそうに傘をさしながら帰っていった。
小傘はそんな様子を見ていたらなんだか自分まで嬉しくなってきて自然と頬が緩んでいた。
「私もあんなふうに使って欲しかったねぇ」
よその国の『傘』は、庶民には結構な高級品で、実際持ってない方のほうが多かったりします。勿論、ビニール傘なんて、あるのは日本だけ…
贅沢な話ですよねぇ…
きっと帰り道に捨てられてしまったんだろうなあ・・・。
6代目の今の傘は今も元気にやっています。
でもあえて放置プレイして小傘ちゃん降臨を待つという手も(ry
大量生産大量消費の時代に突入した当たりからの文化です。
それ以前は傘屋というお店がありまして、一人一人の体型に合わせた専用の傘を作ってもらっていたわけですね。
自分専用の傘ですから皆大切に扱ったことでしょうし、今のような壊れやすい傘とは違って10年くらいは使い続けられるので、愛着も沸いて壊れても修理して使い続けるということをしていたようですね。
これと似たような現象が発生したのは靴ですね。
靴も以前は完全オーダーメイド品でした。欧州は未だに完全オーダーメイドですね。
大量に並べられている靴から自分に合ったものものを探すというのは日本くらいなものでしたが、最近は日本式の国も出てきているみたいですね。
ところで小傘ちゃんはどこに行けば手に入りますか?
小傘って元は「捨てられた」傘だったのか、「忘れられた」傘だったのかどっちでしょうね。
意味的に結構違ってくる気がします。
1~3さんの感想見てたら、ビニル傘使えなくなってきちまうよ・・・。
今使ってるのビニルのだけど、ちゃんとしたの買おうかな。
そうすればいつの日か小傘ちゃんと(ry
傘にも魂が宿るなんて日本だけだよな。
小傘ちゃん、大事にするよ。げへへ。
なんちってw
コンビニで買ったビニール傘ですが傘としての機能は果たしてくれてます
・・・まあ、新しいの買っても直ぐに骨折れちゃうからそのままなだけだったりしますが
ところで小傘ちゃんは(ry