Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

なんてことのない話

2009/05/04 22:56:12
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「魔理沙」
「は、はい。なんでございましょうか、アリス……さん」
「これは、どういうことかしら?」

 アリスが買い物から帰ってくると、見事に家が爆発していた。
 原形は止めているが、窓ガラスは全て割れている。人形たちは、アリスが大切に術を施していたため、傷は無かった。

「これには深そうに見えて実は浅い事情があるんだ」
「殴りたいわ」
「実はだな……研究してたら、失敗した」
「それだけ?」
「うん」
「何で私の家で?」
「それなりに危険な実験だったから。いや、失敗したらアリスも巻き込んで爆発しようなんてことは全然思って無いぜ? アリスが家に居なかったから、ムシャクシャしてアリスのベッドで30分ゴロゴロしてたとかそんなことは無いぜ?」
「訊いて無いことまで自白ありがとう。そしてさようなら、魔理沙」
「いや、ちょっと待てアリス。話せば分かる!」
「殺せば分かる!」
「それはにゃい!」

 いつの間にか、魔理沙の体は自由がきかなくなっていた。
 よく、目を凝らして見ると、微かに糸が見える。

「魔力を帯びた糸よ」
「物騒だからやめようぜアリス。アリスに暴力は似合わない。ついでに笑顔はもっと似合わない」
「よし、くたばりなさい」
「待て! 冗談だ! 私的にはアリスの笑顔はむしろ見たい! 別にたまに見せるアリスの笑顔が好きとかそういうのじゃないぜ!」
「そんなカミングアウトいらないわ」

 上海と一緒に攻撃体勢を構える。

「ちょ! アリス、お前は優しい子だろ! お前は私にも自然にも上海にも優しい筈だ!」
「自然にも上海にも優しいけど、魔理沙には厳しいわ。あ、そうそう、上海構えが良くなったわね。うん、もう上海大好き」
「やめるんだアリス! 争いは何も生まないってチルノが言ってたぞ! 争いをするやつは馬鹿がすることだ、ってチルノが酒を片手に語っていたぞ!」
「なんか腹立つわね、それ」
「他にも、『争いを止めてから、お肌の調子がよくなりました』とか『争いを止めてから、妹と仲良くなれました。今ではもう毎日朝まで不夜城レッドです』とか『争いを止めてから、彼女のことが憎くなくなりました。今ではフジヤマです』とか幸せになったというメッセージがたくさん……」
「アーティフルサクリファイスバーストストリーム」
「なんか混ざってる!? ごふぁっ!」

 とりあえず倒れた魔理沙を放って置くわけにもいかないので、家に入れることにしたアリス。
 最初から倒さなきゃ別に家に入れないで済んだのだが。



「う……ん」
「気絶というよりは普通に寝てる感じね」

 ベッドの上に魔理沙を乗せる。

「あ、アリス駄目だ……逃げろ」
「一体何の夢見てるのかしら?」
「あぁ……逃げ遅れたアリスが全裸に……」
「本当に何の夢見てんのよ!?」

 眠っている魔理沙を軽く殴るが、起きない。

「アリスが……」
「また私?」
「アリスが……分裂した」
「どういう状況よ」
「両方私のもんだー……」
「何で!?」

 もはや意味が分からない。というか寝言多過ぎだろう、とアリスは思った。

「アリスぅ」
「また寝言?」
「そうだぜ、これから喋ることは寝言だぜ」
「ん?」

 先ほどまでとは違い、すらすらとした口調に違和感を覚える。

「悪かったぜ……」
「は?」
「ごめん……」

 家を爆発させたことについてだろう。
 魔理沙は目を瞑ったまま、謝った。

「魔理沙」
「言っておくが寝言だぜ」
「そう。じゃあ私がこれから話すことは独り言よ」
「む……」

 二人とも素直じゃないから、そんなハリボテの言い訳をしなければ、こんなことは話せないのだ。

「別にあんたが迷惑かけるのなんて、もう慣れたわよ」
「だけど……」

 なんだかんだで、魔理沙は根は良い子だ。
 悪いと思ったことには謝るし、相手が本当に嫌がることはしない。

「私はそれよりもあんたが反省してしおらしくなっている方が慣れないわよ」
「な!? 余計なお世話だ!」
「あら、魔理沙起きたのかしら? 寝言じゃなかったの?」

 意地悪い表情でアリスが言うから、魔理沙は――

「くっ……また寝る!」

 布団を顔まで被った。

「ちょ! 寝るなら自分の家で寝なさいよ!」
「いやだい」
「……ったく」

 アリスはそれ以上何もしなかった。
 しばらくすると、寝息が聞こえてきた。
 ふと窓を見る。
 差し込む夕陽が、室内を照らしていた。

「……今日買ってきた食材で、二人分作ろうかしらね」

 魔理沙が起きる頃には、温かい料理が出来ていることだろう。
久し振りにこの二人を書きたくなったため、衝動的に書きました。
そのせいか、内容は本当になんてことのないお話。
しかし本当に久し振りな組み合わせな気がします。
そんなこんなではですが、少しでも楽しんで下さると、幸いです。
喉飴
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コメント



1.ふぶき削除
確かに魔理沙は喋れば喋る程ボロが出そうですなw


>「アーティフルサクリファイスバーストストリーム」

巨大上海が突っ込み大爆発するんですね?
\シャンハーイ♪/

素晴らしい寝言ですね魔理沙さんw
2.しんっ削除
いやはやこれは可愛いアリマリ。(マリアリでしょうか…?)
素直になれ、いや素直にならないでください!こういう関係大好きです。

あと、三つ首の上海想像しました。
3.名前が無い程度の能力削除
ふ、ふつくしい…

はい、なんでもありません
楽しませてもらいました
さすが、としか言いようがありませんよ
4.名前が無い程度の能力削除
ニヤニヤが止まらない俺きめぇw
5.謳魚削除
後日パッチュさんが小耳に挟んで果て無きツンデレ化を遂げるのはまた別の御話ですね(違)
6.名前が無い程度の能力削除
いいニヤニヤ話でした。
寝言独り言が可愛すぎるですよ。
にとりとぱちぇさんが絡んでくれないかなと思った。
喉飴さんの話だとにとりは文がいるから無理かなぁ
7.奇声を発する程度の能力削除
物凄く癒されました!!!
この組み合わせも大好きです!!
とゆうよりアリスが大好きです!喉飴さんも大好きです!!!
8.喉飴削除
>>ふぶき様
なんとなくボロが出まくるイメージがありますw

>>しんっ様
こういう素直じゃないから認め合わない関係、微妙な関係って良いですよね!
アルティメット上海ですかw

>>3様
社長w
いえいえ、楽しんでいただいてなによりです。

>>4様
いえ、私にとっては嬉しいですw

>>謳魚様
それはそれで面白そうですねw

>>6様
私のお話は基本的に1話リセット(世界観やキャラ観はあまり変わらないですが)ですので、二人を絡ませて会話させるのは出来ますよ。

>>奇声を発する程度の能力様
わわわ!? 嬉しいお言葉です。
久し振りにアリスを魔理沙と絡ませましたが、楽しんで下さってなによりです。
9.岩山更夜削除
同じく三つ首の上海を想像しました。
これはいい甘えん坊魔理沙と甘やかしアリス。この二人、大好きです。
10.名前が無い程度の能力削除
確かに最近は下火な二人だけれども、この話みて、やっぱりイイわ!と思った。
11.名前が無い程度の能力削除
発作ですね。思う存分ぶちまけてくださいね。
12.無在削除
>>『争いを止めてから、妹と仲良くなれました。今ではもう毎日朝まで不夜城レッドです』
不夜城レッド……姉妹の睡眠不足が心配になりま(ry

>>「アーティフルサクリファイスバーストストリーム」
アリスは魔理沙の嫁ということですね、わかります。いや、命令してる側がアリス、命令を受ける側が上海だと、上海がアリスの嫁ということになるのか……

不器用な二人に幸あらんことを。
13.喉飴削除
>>岩山更夜様
この二人、なんだかんだで良いコンビになれる気がしますw

>>10様
私の作品を読んでそのようなことを思って下さるとは嬉しい限りです!

>>11様
まだまだ発作は続きそうです。

>>無在様
むしろ妹様がフォーオブアカインドで4人になり、レミリアを(ry
不器用すぎる二人ですが、いずれは幸せに……
14.名前が無い程度の能力削除
不夜城レッド、フジヤマ、って隠語?として機能してるのがすごい!