Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

れいひな!

2009/05/03 22:53:11
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「ねぇ、なんで私は縛られてるのかしら?」
「んー?」

 博麗神社内、居間に縛られてちょこんと正座しているのは厄神鍵山雛だ。

「私ね、最近お賽銭入らないのよ」
「はぁ……そうなの?」
「これって厄じゃないかしら?」
「いや、それはあなたの責任……」
「なんか言った?」

 雛の首筋に針をあてる霊夢。
 うわーやばいよこの人。厄とか以前になんかやばいよ。そんなことを思いながらも、地味に冷静な雛。

「で、なんで私をさらって来たの?」
「そりゃああんたに厄を吸い取って貰おうかと」
「はぁ……まぁ、いいけど。あんまり私に近寄らない方が良いわよ?」
「なんでよ?」
「それは――」

 雛が喋ろうとした瞬間、霊夢が卓袱台に思い切り脛をぶつけた。

「あーあ……」
「痛ぁぁぁ!?」
「弁慶の泣き所(笑)だし痛いでしょうに」
「馬鹿にしてるでしょ!? 何よ(笑)って!?」
「いえいえ、そんなことないわよ(ウザい)」
「ちょ!? ちまちま心の声漏れてるわよ!?」
「これは失礼。まぁ、これで分かったでしょう? 私に近付きすぎると厄が移るわよ」

 そう雛が忠告するが、霊夢は逆に雛に近付いて来る。

「あなた……話聞いてた?」
「聞いてたわよ。どっちにしろあんたに厄吸い取って貰うから関係無いじゃない。で、どうやって回収するの?」
「……とりあえず縄解いてくれないかしら」
「逃げない?」
「逃げないわ」
「本当に?」
「本当」
「お値段地上?」
「にとり」
「よし!」
「うし!」
「にゃー!」
「わふーん!」
「あなたがー!」
「好きだからー!」
「私の賽銭箱は53万です」
「私の厄は108式まであるわよ……っていつまでやらせるのよ!?」
「はいはい、ごめん」

 縄を解く。
 意外にキツく締め付けられていたせいか、雛の服に跡がついてしまっていた。

「うわっ……なんかえっちぃ」
「あなたが付けた跡じゃない!」

 雛の台詞も、取り方によってはかなり危ない。
 少し頬を朱にして、雛は怒る。霊夢はヘラヘラ笑っている。

「で、どうやって回収するの?」
「んーちょっと動かないでね」

 そう言って、雛は霊夢に歩み寄る。
 そして、抱き締めた。

「な!?」
「はい、動かないで」
「な、ちょ! これが回収の仕方なの!?」
「ええ、密着しなきゃダメなのよ」

 本当は別に抱き締める必要は無い。軽く手に触れているだけでも良いのだが、雛はさっきのお返しといわんばかりに抱き締める。
 霊夢の黒髪が、雛の頬を撫でて少しくすぐったい。
 定期的な鼓動が、やけに煩く聞こえる。

「あら、あなた恥ずかしがってるわね?」
「う……」

 雛は、より追い討ちをかける。
 勝ち誇ったような、そんな笑みで。

「あんまり調子に……」
「ふぇ?」
「乗るなぁ!」
「きゃあ!?」

 いきなり霊夢が前に体重をかけたせいで、雛は畳に背中をぶつけ、倒れる。
 手首を霊夢に押さえ付けられ、息がかかる程に近い距離。鼻と鼻がぶつかっている。

「あ……」
「私の勝ちかしらね?」

 もはや厄回収のことなど忘れている。
 ただ、雛は顔に紅葉を散らすだけ。
 これだけ近いと、顔立ちが良く分かる。

「あぅ……」

 霊夢は、少女らしい可愛らしさがありながらも、今みたいに勝ち誇った表情は、少し格好良い。
 思わず、顔をそらしてしまう。

「あら、それは逃げと思っていいかしら?」
「う……いいから。早く退いてよ……」

 潤んだ瞳、恥ずかしがりながらも、少し拗ねたような目付き。
 それを見た霊夢は――

「なんかハマってきたからまだダメ」
「な!?」

 雛をギュッと抱き締める。
 暴れるが、霊夢が全体重かけて雛の上から抱き締めているため、逃げられない。

「はーなーしーてー!」
「いーやっ!」


 そして15分後。
 そこには、暴れ疲れた雛が肩で息をしている状態。霊夢は笑顔だ。
 息が荒く、暴れたせいで服が少し乱れている雛は、見方によってはかなり危なかった。

「うー……厄神なのに」
「あはは」
「笑わないでよ!」

 雛は睨むが、それを笑い流す霊夢。

「はぁ……もう帰るわ」
「そう。またいらっしゃい」
「え?」
「あんた、面白いし」
「面白く無いわよ!」
「それに可愛いしね」
「…………は?」

 雛は厄神であるから、他人と関わることはほとんど無かった。
 今日、こんなふうに普通に会話したりするのさえ、久し振りだった。
 さらに、可愛いなんて言われたのは初めてで――

「~っ! 帰るわ!」
「はいはい」

 霊夢から顔を背けて、速攻帰る雛。
 恥ずかしさやら嬉しさやらくすぐったさやら、いろんな感情が雛を支配していた。

「あ~もうっ!」

 ぶんぶんと激しく頭を振り、不思議な感情を振り払おうとする。
 結局、雛はその日ずっと忘れられなかった。





◇◇◇





「お賽銭箱が真っ二つにぃぃぃぃぃぃ!?」

 雛にあれだけ触れたのに、結局厄回収して貰わなかった霊夢には、溜まりに溜まった厄が降り注いでいたそうな。
あやにと以上に超マイナーですよね。そんにゃこんにゃで喉飴です。
雛のSS増えればいいなぁ。ルーミアのSSも増えればいいなぁ。
もうみんな可愛いですよ。
少しでも楽しんで下さると幸いです。
喉飴
http://amedamadaisuki.blog20.fc2.com/
コメント



1.名前が無い程度の能力削除
これはいい組み合わせですね。
何という天然タラシ……(?)
魔理沙もよく言われるけど、霊夢もなのか……。
2.名前が無い程度の能力削除
すっごい珍しいカプですねw
でも、とても似合っていました。 さすがは、霊夢w
マイナーカプはもっと増えるべきだよ!!
3.無在削除
すげぇ……。何がすごいって喉飴さんの飽くなき探究心がすげぇ……
喉飴さんがカップリングの魔術師と化している……
あな、恐ろしや……

それにしても、霊夢の天然ジゴロっぷりが相変わらず凄まじいw
何やかんやで、孤独な子には何故か手を差し出したくなりますよねw
4.名前が無い程度の能力削除
貴方がー!好きだからー!がクリーンヒットwww息ピッタリすぎるwww
私も貴方が好きだー!!
5.名前が無い程度の能力削除
なんだこの甘さは
けしからん、もっとやれ
6.メガネとパーマ削除
ひなあああああああああ!!

さすが喉飴さん! 俺たちにできないことを(ry。
ごちそうさまでした!
7.名前が無い程度の能力削除
ないなら自分で書く!な貴方の心意気が好きです。
8.名前が無い程度の能力削除
なんとも珍カプ
だがそれがいい!

るみゃのSSもっと増えないかな~
雛様のSSもっと増えないかな~
9.奇声を発する程度の能力削除
おお!これは珍しい組み合わせですね!!


・・・向こうでも書きましたけど喉飴さんは、
咲アリはご興味無いですか?
10.謳魚削除
そそわに(多分おそらくきっと)ひなれい(と思しき作品が確か存在されていた筈)、プチにれいひな!
御話の傾向も反対方向ですし、はっ!まさかシンメトリー的な何かを狙って…………喉飴さん……おそろしい飴(こ)…………!
でもマスカット味美味しいです。
あぁ、雛さんが絆されて逝く様が目に浮かぶ……。
11.喉飴削除
>>1様
なんとなく、たまに珍しい組み合わせを書きたくなります。

>>2様
王道もいいですけどマイナーだっていいですよね!

>>無在様
阿呆な探求心ですけどねw
なんか孤独な子は良いですよねww

>>4様
あなたがーとぅきだからー!
懐かしいですよねw

>>5様
ならばリミッタ解除して本気の甘さを(やめれ

>>メガネとパーマ様
いえいえwお粗末様でしたw

>>7様
書かないと私の好きな組み合わせは中々無いんで……

>>8様
るみゃも雛ももっと増えるべきですよね!

>>奇声を発する程度の能力様
みゅ~私に書けとw!?
難しい組み合わせほど、ただでさえ短いのにかなり短くなりますよ。

>>謳魚様
それは是非読んでみたいです!
雛さん良いですよ雛さん。
12.名前が無い程度の能力削除
これはいいものだ
あなたのフロンティアぶりには恐れ入ります
13.名前が無い程度の能力削除
カップリングのレパートリーや・・・!
14.名前が無い程度の能力削除
雛大好きなんですよ私
このカップリングは嫌いじゃないかも
霊夢は百戦錬磨って感じで慣れてるね
雛がウブくて可愛い
雛だけに
15.喉飴削除
>>12様
嬉しいお言葉!
ありがたいです!

>>13様
私より凄いレパートリーを書く人がたくさんいますので、私もより頑張って近付きたいです!

>>14様
霊夢は羞恥心が薄い、色恋沙汰の感情には疎いといったイメージで書いてますw
雛可愛いですよね雛。
16.岩山更夜削除
雛可愛いよ雛。
そして天然ジゴロな霊夢はもはや万国共通ですね!(ぇ
17.喉飴削除
>>岩山更夜様
霊夢は天然攻め、それが私のイメージですw
18.名前が無い程度の能力削除
雛るみゃで10本SS書けばいっぺんに増えるよ!(増えるよ!)
19.名前が無い程度の能力削除
縛り跡がえっちぃだと・・・?その縛り方ってまさか亀(ry