「ねぇ、なんで私は縛られてるのかしら?」
「んー?」
博麗神社内、居間に縛られてちょこんと正座しているのは厄神鍵山雛だ。
「私ね、最近お賽銭入らないのよ」
「はぁ……そうなの?」
「これって厄じゃないかしら?」
「いや、それはあなたの責任……」
「なんか言った?」
雛の首筋に針をあてる霊夢。
うわーやばいよこの人。厄とか以前になんかやばいよ。そんなことを思いながらも、地味に冷静な雛。
「で、なんで私をさらって来たの?」
「そりゃああんたに厄を吸い取って貰おうかと」
「はぁ……まぁ、いいけど。あんまり私に近寄らない方が良いわよ?」
「なんでよ?」
「それは――」
雛が喋ろうとした瞬間、霊夢が卓袱台に思い切り脛をぶつけた。
「あーあ……」
「痛ぁぁぁ!?」
「弁慶の泣き所(笑)だし痛いでしょうに」
「馬鹿にしてるでしょ!? 何よ(笑)って!?」
「いえいえ、そんなことないわよ(ウザい)」
「ちょ!? ちまちま心の声漏れてるわよ!?」
「これは失礼。まぁ、これで分かったでしょう? 私に近付きすぎると厄が移るわよ」
そう雛が忠告するが、霊夢は逆に雛に近付いて来る。
「あなた……話聞いてた?」
「聞いてたわよ。どっちにしろあんたに厄吸い取って貰うから関係無いじゃない。で、どうやって回収するの?」
「……とりあえず縄解いてくれないかしら」
「逃げない?」
「逃げないわ」
「本当に?」
「本当」
「お値段地上?」
「にとり」
「よし!」
「うし!」
「にゃー!」
「わふーん!」
「あなたがー!」
「好きだからー!」
「私の賽銭箱は53万です」
「私の厄は108式まであるわよ……っていつまでやらせるのよ!?」
「はいはい、ごめん」
縄を解く。
意外にキツく締め付けられていたせいか、雛の服に跡がついてしまっていた。
「うわっ……なんかえっちぃ」
「あなたが付けた跡じゃない!」
雛の台詞も、取り方によってはかなり危ない。
少し頬を朱にして、雛は怒る。霊夢はヘラヘラ笑っている。
「で、どうやって回収するの?」
「んーちょっと動かないでね」
そう言って、雛は霊夢に歩み寄る。
そして、抱き締めた。
「な!?」
「はい、動かないで」
「な、ちょ! これが回収の仕方なの!?」
「ええ、密着しなきゃダメなのよ」
本当は別に抱き締める必要は無い。軽く手に触れているだけでも良いのだが、雛はさっきのお返しといわんばかりに抱き締める。
霊夢の黒髪が、雛の頬を撫でて少しくすぐったい。
定期的な鼓動が、やけに煩く聞こえる。
「あら、あなた恥ずかしがってるわね?」
「う……」
雛は、より追い討ちをかける。
勝ち誇ったような、そんな笑みで。
「あんまり調子に……」
「ふぇ?」
「乗るなぁ!」
「きゃあ!?」
いきなり霊夢が前に体重をかけたせいで、雛は畳に背中をぶつけ、倒れる。
手首を霊夢に押さえ付けられ、息がかかる程に近い距離。鼻と鼻がぶつかっている。
「あ……」
「私の勝ちかしらね?」
もはや厄回収のことなど忘れている。
ただ、雛は顔に紅葉を散らすだけ。
これだけ近いと、顔立ちが良く分かる。
「あぅ……」
霊夢は、少女らしい可愛らしさがありながらも、今みたいに勝ち誇った表情は、少し格好良い。
思わず、顔をそらしてしまう。
「あら、それは逃げと思っていいかしら?」
「う……いいから。早く退いてよ……」
潤んだ瞳、恥ずかしがりながらも、少し拗ねたような目付き。
それを見た霊夢は――
「なんかハマってきたからまだダメ」
「な!?」
雛をギュッと抱き締める。
暴れるが、霊夢が全体重かけて雛の上から抱き締めているため、逃げられない。
「はーなーしーてー!」
「いーやっ!」
そして15分後。
そこには、暴れ疲れた雛が肩で息をしている状態。霊夢は笑顔だ。
息が荒く、暴れたせいで服が少し乱れている雛は、見方によってはかなり危なかった。
「うー……厄神なのに」
「あはは」
「笑わないでよ!」
雛は睨むが、それを笑い流す霊夢。
「はぁ……もう帰るわ」
「そう。またいらっしゃい」
「え?」
「あんた、面白いし」
「面白く無いわよ!」
「それに可愛いしね」
「…………は?」
雛は厄神であるから、他人と関わることはほとんど無かった。
今日、こんなふうに普通に会話したりするのさえ、久し振りだった。
さらに、可愛いなんて言われたのは初めてで――
「~っ! 帰るわ!」
「はいはい」
霊夢から顔を背けて、速攻帰る雛。
恥ずかしさやら嬉しさやらくすぐったさやら、いろんな感情が雛を支配していた。
「あ~もうっ!」
ぶんぶんと激しく頭を振り、不思議な感情を振り払おうとする。
結局、雛はその日ずっと忘れられなかった。
◇◇◇
「お賽銭箱が真っ二つにぃぃぃぃぃぃ!?」
雛にあれだけ触れたのに、結局厄回収して貰わなかった霊夢には、溜まりに溜まった厄が降り注いでいたそうな。
何という天然タラシ……(?)
魔理沙もよく言われるけど、霊夢もなのか……。
でも、とても似合っていました。 さすがは、霊夢w
マイナーカプはもっと増えるべきだよ!!
喉飴さんがカップリングの魔術師と化している……
あな、恐ろしや……
それにしても、霊夢の天然ジゴロっぷりが相変わらず凄まじいw
何やかんやで、孤独な子には何故か手を差し出したくなりますよねw
私も貴方が好きだー!!
けしからん、もっとやれ
さすが喉飴さん! 俺たちにできないことを(ry。
ごちそうさまでした!
だがそれがいい!
るみゃのSSもっと増えないかな~
雛様のSSもっと増えないかな~
・・・向こうでも書きましたけど喉飴さんは、
咲アリはご興味無いですか?
御話の傾向も反対方向ですし、はっ!まさかシンメトリー的な何かを狙って…………喉飴さん……おそろしい飴(こ)…………!
でもマスカット味美味しいです。
あぁ、雛さんが絆されて逝く様が目に浮かぶ……。
なんとなく、たまに珍しい組み合わせを書きたくなります。
>>2様
王道もいいですけどマイナーだっていいですよね!
>>無在様
阿呆な探求心ですけどねw
なんか孤独な子は良いですよねww
>>4様
あなたがーとぅきだからー!
懐かしいですよねw
>>5様
ならばリミッタ解除して本気の甘さを(やめれ
>>メガネとパーマ様
いえいえwお粗末様でしたw
>>7様
書かないと私の好きな組み合わせは中々無いんで……
>>8様
るみゃも雛ももっと増えるべきですよね!
>>奇声を発する程度の能力様
みゅ~私に書けとw!?
難しい組み合わせほど、ただでさえ短いのにかなり短くなりますよ。
>>謳魚様
それは是非読んでみたいです!
雛さん良いですよ雛さん。
あなたのフロンティアぶりには恐れ入ります
このカップリングは嫌いじゃないかも
霊夢は百戦錬磨って感じで慣れてるね
雛がウブくて可愛い
雛だけに
嬉しいお言葉!
ありがたいです!
>>13様
私より凄いレパートリーを書く人がたくさんいますので、私もより頑張って近付きたいです!
>>14様
霊夢は羞恥心が薄い、色恋沙汰の感情には疎いといったイメージで書いてますw
雛可愛いですよね雛。
そして天然ジゴロな霊夢はもはや万国共通ですね!(ぇ
霊夢は天然攻め、それが私のイメージですw