(既に天命は見えているわ…)
星の動き、世の中の動き…その全てを見た上で
鳳雛…『知将』阿理素は守るべきと思われる魔理沙と共に
紅魔館側についていた…
「どうしたんだ?阿理素…」
「…大丈夫、なんでもないわ」
共に移動している魔理沙に声をかけられて
阿理素は驚くが、すぐになんでもないと返す
先の赤壁(紅魔館の前の湖への妖怪の山の襲撃)で戦いを終え
次の作戦のために、魔理沙と阿理素は妖怪の山に対して侵攻を続けていた
移動をしながら、阿理素は考えていた
(…一応は敵を追い返すことは出来た…でも、それは
魔理沙や霊夢の徳によって起こった事…)
この二人が紅魔館に助太刀したからこそ、退ける事が出来たのだ
だが、逆の意味で言うと
(…魔理沙と霊夢…どちらかでも倒れることがあれば…)
此方の軍は瓦解してしまいかねない
阿理素には、それがわかっていた
「さあ、もう少しで目的地に着くぜ!」
「…ええ、そうね」
そんな事を知らずに、魔理沙は目的地に移動をしていた
(…天命……)
昨日の夜中に星を見ていた阿理素が心の中で呟くと
「…ごめん、ちょっと休憩しても良いかしら?」
魔理沙にそう伝えた
「わかったぜ…今日は暑いしな」
天候は晴天、額から汗が流れている
(…さあ、私の最後の見せ場になるわね)
これから先、何が起こるか阿理素にはわかっていた
だからこそ、阿理素は休憩を入れたのだ
「ねえ魔理沙…」
「ん?なんだ…」
「ちょっとお願いしても良い?」
木の陰に入って涼んでいる魔理沙に阿理素がお願いをする
…これが最後になるお願いを…
それからしばらくして、魔女二人が目的地に着く寸前で
妖怪の山の奇襲兵達によって、紅魔館側の
大将である『黒い帽子をつけている魔女』に大量の弓矢が打たれた
無論、奇襲をかけた兵達も一人残らず倒される事になるが
それよりも、敵の大将を倒した事で紅魔軍の士気に影響が出る
だが、一つだけ間違いがあった…
討たれたのは『黒い帽子』を着ていた魔女であり
「あ、阿理素!おい!しっかりしろ!」
「ま…り…さ…」
それが、魔理沙ではなかった事だ
「ちくしょう!待ってろ!今からすぐに…」
(…よ、よかった…これで…)
体中に矢が刺さっている阿理素はにっこりと微笑んだ
(魔理沙は…大丈夫…後は…ほ、他の人に…任せれば…)
阿理素の目が閉じていく、近くで魔理沙が怒鳴り声を上げているのも
聞こえなくなってきた
(…お母さん…私…胸を張って魔界に帰れるよね?)
それが、鳳凰の雛と呼ばれた軍師の最後の姿であった
「…つ、続きは無いんですか!?」
貸して貰った本を読みながら、私は家の家主に声を上げた
「それが最新刊よ…私も早く次が見たいわ」
家主も、私と同じ思いらしくお互いに新刊が早く出ることを望んでいた
これが、私が隠居を決めた日のお昼の事でした(byさとり)
(此処は…)
目を開くと、そこは自分が知らない部屋だった
その事実に気がつきながらも
「…ふぁ~」
身体がまだ眠りを求めているので、もう一度眠りにつく
(…布団…暖かい)
いつものように、周りからの心の声が聞こえないので
私は近くにあった抱き枕を抱き寄せて
もう一度私は夢の世界へと旅立った…
・・・
おはよう、隠居中のレミリアよ…
昨日の夜に色々あったから、今日はちょっと遅めに起きたんだけど…
「…なんで抱きつかれているのかしら?」
「にゃあ…」
そう、朝起きたらさとりに抱きつかれていた
まあ、紅魔館でもこうやってフランや咲夜に抱きつかれて
寝られた事はあったし、別に悪い気はしないけど
(…朝ご飯作れないわね)
…たまにはこんな事があっても良いわよね
隠居とはそういうものだ…
「…というわけで、朝ご飯の準備しておいてくれる?」
「…(ぷいっ)」
ぬ、流石に反抗されたわね…仕方ないわ
「OK、今晩は焼き魚にしてあげるから」
「にゃう!」
やれやれ、最近は少し我侭になってきたみたいね
まあ仕方が無い、自由とはそういう物ね
「すぅ…すぅ…」
随分気持ち良さそうに寝てるわね
仕方が無い、もう暫く抱き枕代わりになることにしましょう
・・・
「…んむ?」
私が起きて真っ先に目に飛び込んできたのは
「あら?起きたかしら」
抱き枕の代わりにしていた家の家主だった
「ご、御免なさい!」
「別に気にしないで良いわよ…」
頬が赤くなっているのがわかる
こ、こんな失態をするなんて思ってませんでした
まさか、抱き枕と気がつかずにレミリアさんを抱きしめていたなんて
「それにしても、よく寝てたわね」
頬が赤くなっているなって居るであろう私に
お昼ごはんを作りながらレミリアさんがそう答える
(私のせいでお昼になってしまった)
「はい…普段は緊張して寝ていますから」
「寝るのに緊張?」
ええ、普通に寝る事が出来れば楽なんですけどね
『相手の考えている事がわかる』能力のおかげと…
「…気をつけてないと、数人私の布団の中に入ってくるんです」
「さ、災難ね…」
…ええ、昔はそこまで酷くなかったんですけど
最近は夜にこっそりと乱入される事が多くて…
「辺りに人が極端に少ないこの家は
思っている以上に静かで、久しぶりに熟睡できました」
「へえ、なるほどね」
それに、御布団の感触が気持ちよかったのと…
(レミリアさんの抱き心地が気持ちよかったなんて言えない)
…ええ!言えませんとも!
「…ですから…その…思わず安心してしまいまして」
「まあ、ゆっくり眠れたのならそれが一番ね…さあ、お昼ご飯できたわ」
あ、御味噌汁に饂飩ですか…おいしそうです
・・・
「美味しかったです」
どうやら御口に召してくれたらしいわね…よかったよかった
(猫飯も悪くないけど、たまにはこういう饂飩も良いわよね)
さて、お昼も終ったし…今日やることを…っとその前に
「そうそう、さとりに一つ言っておかないといけない事があったわ」
「…えっと…出て行けですか?」
「なんでそうなる!?」
しかも寂しそうな顔で言わない!
思わず抱きしめたくなるじゃない!
「にゃう!にゃう!」
おっと、そうだったわ…それどころじゃないわね
「貴方も此処で一緒に隠居してみるきないかしら?」
「…えっ!?」
まあ、いきなりそう言われても驚くわよね
「まあ、無理にとは言わないけど…一度隠居して
貴方の配下…いえ、家族の事を考えてみたらどうかって…」
「…家族の事…」
むぅ…やっぱり少し悩んでいるわね
まあ、それも仕方ないわね…
「あの…レミリアさんはなんで隠居を…」
む、良い質問ね
「ええ、少し前にね…」
隠居をした時の話をさとりに話していく
「かくかくしかじか…」
「なんと…そうだったんですか」
「…わかったの?かくかくしかじかだけで」
「いえ、わかりません」
…意外と天然系なのかしら?
「天然?」
「む、心読まれた?」
「いえ、勝手に聞こえて来たんです」
「そうか、それなら仕方ないわね…」
やれやれ…丁度時間もあるし少し昔話をしても良いわね
「それじゃあ、ちょっと長くなるけど隠居の話をするわね」
「はい…」
・・・
「というわけで…今は隠居二回目なの」
「そうだったんですか…」
…驚きました、レミリアさんの隠居にそんな歴史があったなんて
「…だから、貴方も隠居してみれば何か得るものがあるんじゃないかと思ってね」
隠居ですか…確かにこのまま帰っても、
皆、前と変わらないような行動を取るでしょうし
(…私もこの場所でしばらく生活をしてみたいですしね)
よし、決めました…
「…今日から隠居します!」
「そう…それなら歓迎するわ(随分と思い切ったわね)」
まあ…確かにそうかもしれませんね…
でも、今のまま帰ってもお燐や空、こいしは変わらない
「ええ、思い切りました…家族が好き勝手するのなら
反省するまで私も気ままに隠居する事に決めましたから」
…ふふ、なんだか久しぶりにわくわくしてきました!
色々とレミリアさんにも質問して、隠居を楽しまないと
まずは表に出て、買い物に行かないと…
「そうと決まれば、早速私の隠居の準備をしないと!」
「あ、ちょっと…」
わくわくを胸に家のドアを開ける…
(ざぁぁ…)
「今は雨だから、買い物は明日まで待ちなさい」
「…雨なんて大嫌いです」
・・・
隠居するのを進めたのは私だけど
まさか、即断するなんて思っていなかったわね
今夜は雨が降っているから、一日家の中に居る予定なので
さとりの話を聞きながら、内職の人形作りを行なう
「内職ですか…結構楽しいですね」
「なかなかうまいわね」
…正直に言うわ、私よりもさとりは裁縫がうまい
私が作るよりも早く、しっかり作っている
(く、悔しくなんかないもん!)
「…実は、ペット達の分を縫っていまして、こういうのは得意なんです」
そ、そうか…だから私よりも年季が入っているのか
それならしかたないわね…
「これでノルマ達成ですね」
二人がかりで行なった内職はあっと言う間に終ってしまった
「残った時間…どうしましょう?」
むぅ…晩御飯までにまだ時間はあるし…あ、そうだわ…
「しばらくの間、本を読まない?」
「本…ですか?」
首を傾げるさとりを他所に、私は本を取りに向かう
(ふふっ…待ってなさい、白狼の椛先生の新刊があったはず)
これなら、さとりも満足するはずよ
・・・
三ボス志…まさかこんな面白い物があったなんて…
(今度は地上の者の本も取り寄せれるようにしないと!)
「続きが気になります…」
「ええ、そうね…でも、そろそろ丁度良い時間になってきたわ」
レミリアさんに渡された本に夢中になっているうちに
気がついたら、すっかり夕方になってしまっていました
「…さあ、晩御飯の準備を手伝ってくれる?」
レミリアさんの言葉に私は緊張して首を縦に振る
えっ?何で緊張するかって?じ、実は…
「そ、それでは逝きます!」
包丁の柄の部分を片手で持ち、もう片方の手を刃の部分に軽く当てる
「待ちなさい、包丁は牙突スタイルで持つ物じゃないわ」
「そ、そうでしたね…で、では…」
包丁をかえして構える
「…逆刃で持っても切りにくいわよ」
「そ、そうですよね!あは…あはは…」
渇いた笑いでいる私にレミリアさんが確認を籠めて一言
「…もしかして、料理を作った事ない?」
その言葉に、私は無言のまま頷いた
だ、だって…お燐や空達が作る料理が美味しいんです!
そうです!それがいけないんです!
だ、だから包丁の持ち方も…ごにょごにょ…
そんな風にしている私に対してレミリアさんが
魚を三枚に降ろしながら面白そうに伝えてきた
「まあ、私も隠居を始めた時はそうだったしね…」
「え、そうなんですか?」
目の前で、魚を三枚に降ろしているレミリアさんを見て私は驚くが
「とりあえず、本があるから一緒に作れるようになって行きましょう」
レミリアさんの言葉に私は無言で頷きました
・・・
「「ご馳走様でした」」
「うな~」
さとりの意外な一面をみたわね…
まあ、とりあえず私がリードしている面があって嬉しかったわ
とりあえず、今日はこれでお終い
さとりもお皿を洗うぐらいはでき…
(ぱりん!)
…まあ、このぐらいなら許容範囲内ね
明日は晴れるはずだから、その際に色々買い物に行けば良いし
さあ、もうそろそろ眠る時間になってきたわね
そろそろ日記を書かないと…
(そうだ…良い事を思いついたわ)
面白い事を思いついたわ、早速さとりを呼んでこの事を伝えないと
「さとり~ちょっとちょっと…」
「ご、ごめんなさい!お皿割っちゃって」
「それは気にしなくて良いから…それよりもちょっとこっちに…」
・・・
隠居一日目…
今日から私は隠居を始める…
何を書いて見て良いのか分からないけど
とりあえず、覚悟だけここに初めに記します
明日からは、レミリアさんと私が交互に日記を書くことになった
隠居生活をするためにとても大切な事らしい
…書いているうちに眠くなってきました
今日はこれまでです…では日記をこの紳士である猫に…
「…お願いします」
「な~う…」
古明地さとり…隠居を決めました!
では、おやすみなさい…
さとりも加わってこの隠居シリーズが楽しみで仕方が無いのですがそれ以上に三ボス志が気になって仕方が無いw
>紳士である猫
さとりなら、この猫の心も・・・
おぜう様を抱きしめて眠るさとりんを思い浮かべたら鼻血でそうになりました
疲れてるなら無理せずゆっくり休んでいってね!
一箇所だけ「阿理素」の部分が「アリス」になってましたッス!
この隠居シリーズが終わったら三ボス志を書き始めるんですよね?
楽しみに待っていますよ~!
物凄く楽しかったですね~
単品でも見たいけど、この作品内だけってのも良いものです
料理苦手で恥じらうさとりんが可愛すぎ
抱き枕にされるレミィカワユス。
そして猫、どうやって飯作った!
包丁の持ち方が牙突スタイル…ww
でもイイ!
しかし本当に苦労人が集まるなぁレミリア様の隠居小屋w
現在のところ霖之助・さとりと来てるから…次は紫か輝夜か。
小さい土鍋があるとなおよし、味噌煮込みとは違う節約めし。
ごはん作るのメンドイ時は物凄く重宝します、やるなぁお嬢w
続きが楽しみです!!!
プチ創想話を開き、隠居シリーズきた!やっほーいと思ってたら、道中の三ボス志にピチューンされていたwww
何を言っているかわかると思うし、むしろ共感してくれる人もいるだろうけど、今私はとても満たされている気がする。
東方、そして三国志ファンの私にスキはなかった。
とりあえず、霊夢のあとを継いで脇巫女(官職名)となった早苗が身代わりのゆっくりれいむを使って、紫を撤退させるところまで幻視したww
隠居にさとりが正式加入。
紳士な猫クンもさとりが通訳をすることによって、レミリアと意思疎通ができるようになるのかしらん?
まあ、この二人(?)の関係は、今のままで十分な気がするけどね。
ここまで書いて気づいた。
本編より三ボス志のほうが感想の分量が多いってどうよww
続きがほんっと気になるんで、椛先生、がんばって書いてください。応援してます。
しかし面白う御座いました。
三ボス志にやられた。
一輪&雲山や勇儀の出番はまだですか?
ボム連発でもピチュった…。
>後、猫なんですけど…この猫は紳士です…
フンベルト・フォン・ジッキンゲン男爵のことかーーーっ!!!!!
そのうちどんどん増えていって家族になったりw
隠居の話に永琳や藍が来ても面白いような・・・w
それにしてもこんなに要領の良い猫はうらやましいです…
妖夢さんや藍様の隠居は見てみたいですねw
普段苦労してますから…w
次回も期待して待っています!あまり無理せず、自分のペースで進めて下さい。
ホントに楽しくて一瞬で読み終わってしまいます。次回も楽しみに待っています。
脇役先生も椛先生も頑張ってください!!
こうやって隠居コミュニティはゆっくりながらも確実に拡がっていくと…
そして椛先生の新作が気になる!
いいなあ、この隠居シリーズはいいなぁ。本当和むし満たされます。