「さぁやってまいりました!東方F1、博麗グランプリ!と言ってもアスファルト道路があるわけではなく、試合も空を飛ぶだけですが気にしていたら盛り上がりません!司会は私こと犬走椛、解説には阿求さんをお招きしております!阿求さん、よろしくお願いします」
「よろしくお願いします」
「それでは出場者がアップをしている間に、本グランプリについて簡単に説明させていただきます。
本グランプリはスペカ及び個人の能力、弾幕すべて使用OKとなっています。選手は博麗神社をスタートし、各要所を順繰りに巡りながら幻想郷内の決められたコースを飛んでもらいます。ゴールは博麗神社、つまりここに戻ってくると言うわけですね。チェックポイントは紅魔館、迷いの竹林、魔法の森となっています」
「ちなみに『慧音が優勝する歴史を創生』『レミリアが優勝する運命』など、自らの能力を明らかなチートとして使用することは禁じております。とはいえ自主的に制限するよう呼びかけているだけですので選手のモラルによるものが大きいです。なるべくフェアなプレイをしていただけたらと思いますね」
「本グランプリの優勝者には霊夢さんをはむはむする権利と、紫さんよりお酒が進呈されます。これは霊夢さん、マジでがんばらないと身が危ないですねぇ。そのほかにも各チェックポイントで一位通過した方にもいろいろ用意してあります。
さて選手が配置についていますが・・・・・・阿求さん、どうでしょうか?」
「弾幕使用可といっても、純粋なレースとしての試合になるでしょう。博麗サーキットは他のコースに比べて非常に道の幅が広く、自由な戦術展開ができる場所です。それゆえこのサーキットのみ全員参加と言う異例の形を取るわけですが、広いと言うことはすなわち追い越しやすいということですので」
「なるほど、最速称号を持つ文先輩や魔理沙さんが有力候補と言うわけですね。他のコースでは数週同じ場所を回りますが、博麗サーキットはその全長も長いので1週回るだけとなっています。同じチャンスは二度と来ないこのサーキット、勝負の出所が肝心です。
それではスターティンググリッドの発表です。なお予選タイムアタックではスピードに差が出すぎて面白くないので、くじ引きで決定しております」
「人数が多すぎるため、ポイント獲得圏内のトップ6のみこちらで紹介させていただきます。括弧内は所属になっています」
1、東風谷早苗 (守矢F1)
2、リリカ・プリズムリバー (プリズムミュージック)
3、ルナサ・プリズムリバー (プリズムミュージック)
4、メルラン・プリズムリバー (プリズムミュージック)
5、橙 (ヤクモ)
6、メディスン・メランコリー (フラワーマウンテン)
「フォーメーションラップをこの人数ですると大変時間がかかることが予想されるためぶっつけ本番となるわけですが、試合前から奇跡を起こしたか、ポールポジションを獲得したのは守矢F1の緑巫女。しかし2から4は明らかに工作臭がしますねぇ」
「早苗さんとしては乱戦となる中盤を避け、先行逃げ切りを狙うつもりでしょう。3姉妹についてはノーコメントとさせていただきます」
「有力候補の魔理沙選手は11番手、文先輩は19番手ですが十分に狙える位置。
さぁ、総勢何十名いるか数えるのもめんどくさいですが全員がグリッドに入ったようです!
突き抜ける快晴模様のなか、彼女達は幻想郷を疾駆する!文先輩の最速称号は続いていくのか!?金に輝く王冠を手にするのは誰か!東方F1博麗グランプリ・・・・・・・・今スタート!」
※
「いい滑り出しを見せる早苗さん、まずは第一チェックポイントの紅魔館を目指していきます。・・・・と、いきなり中盤が騒がしいようですが」
「うっわぁ・・・・・・・・」
「これはひどい!26番手にいた雛さんが辺り構わず厄をばらまいています!周囲にいた選手達が次々と不幸に見舞われていく~!!後続の選手も巻き込まれて乱闘騒ぎになっています!その間に先頭集団はぐいぐい進んでいく!その先頭集団はどうですか?」
「魔理沙さんが6番手に上がりました」
「速いですねぇ~、惚れ惚れします。っと、プリズムリバーは横一列に並んで後続の選手に抜かせないようにする作戦のようです。そのボジションでそれをしても一位は取れませんが、仕方ないですね」
「機会をうかがうにはこれしか手段がありませんからね。早苗さんが奇跡を起こさなければ、ジェットストリームアタックで表彰台を占領していたかもしれません」
「ドムよりジムキャノンのほうが私は好きですよ」
「ガンキャノンじゃないんですか?」
「ジムキャノン一択です、ジェガンやジムスナイパーも捨てがたいですが。ちなみに幻想郷のガンキャノン、神奈子さんは現在35位ですって関係ないですね。
さてトップ争いですが、10位にいるレミリアさんを中心にレッドデビルレーシング必勝パターンの陣形を組んでいるぞ!」
「後続を美鈴さんが抑え、攻撃の要であるレミリアさんを咲夜さんがガードし、ロイヤルフレアとグングニル・レーヴァテインによる正面攻撃。過去これを避けれた者はいません。彼女らの正面に立っている選手はピンチです」
「つまり早苗さんや3連星ですね・・・・・・今槍が放たれた!早苗さんや文先輩、魔理沙さんも撃墜されていきます!
さすが歴戦のツワモノたち、全員がコースに復帰しましたが、快晴の中日傘を差してエントリーしているレミリアがここでトップに躍り出た!なおも追いすがろうとする魔理沙さんを、フランドールさんと美鈴さんがブロックに入る!」
「紅魔館一位通過者には紅魔館当主レミリアさんより、フランドール・スカーレットさんの下着3点セットが寄贈されます」
「そのままレミリアが一位通過 !」
「言ってはなんですが、自分が欲しかっただけでしょう。そのまま総合1位をもぎ取り霊夢さんさえ手篭めにする腹積もりかと」
「でしょうねぇ。さらに6番手早苗さん7番手文先輩さんと続き、魔理沙さんをブロック中のはずのフランドールさんが個人的恨みを胸に猛追中!
そして・・・・・・さすがと言うべきかレミリア!妖精メイドたちが他選手に向かって弾幕を展開しているぞ!回避に気を取られる一同の横を紅魔組は優々と差を広げにかかる!第二チェックポイントである永遠亭へ一直線だ!」
「上位グループをレッドデビル・レーシングが総なめしてしている状態ですね。これは簡単には抜けません」
「美鈴さんはブロックに定評がありますから追い抜きは難しいと思われますが。ん?これは・・・・・・雨ですか?」
「風雨ですね」
「雨です!雨が降ってまいりましたが、これは文先輩によるものです!逃げ切られる前に勝負に出たということでしょう。最速と謳われるそのスピード、一度トップに出れば他の追随を許しません!雨によって選手達のスピードが落ちる中でも文先輩はものともしません!水も滴るいい女!もうちょっとでその胸元(ピーーーーーー)は、鼻血が・・・・・・」
「パチュリーさんが抜かれました。これで5位浮上ですが、早計過ぎます。失策ですね」
「(ふきふき)この雨でレミリアさんやフランさんも速力を落とさざるを得ないようですので良策では?」
「このコースは途中で竹林を通らなければならないのです。そして竹林ではイナバたちが罠を張っていることでしょうから、このままだと射命丸さんは罠の駆逐係になってしまいます」
「確かに・・・・なんて言っている間に先頭集団が竹林へ突入しました!ここからではその模様を見ることはできませんので、その間下位集団に目を向けたいと思います。
ひどい混戦状態の中盤、さらにその後ろにアリスさんの姿が見えます。試合前、霊夢さんに一泡吹かせたいと話していたアリスさんが後ろから3番目の位置にいます。腹部の辺りを手で押さえていますが、何かトラブルでしょうか?」
「エンジントラブルですね。メディスンに一服盛られたかと」
「腹痛を押してなおも飛び続けるアリスさん、苦しい戦いになりました。そのアリスさんに追いつこうとするのは鈍速に定評のある幽香選手。その幽香さんのさらに後方、最下位は地霊殿SATORIのさとりさんのようですが」
「幽香さんについては妥当とも言うべきでしょうが、さとりさんはよくわかりませんね。本来ならもっと速度を出せるはずですが」
「中盤の乱戦空域に食い込むくらいには速力はあるはずなのですが、おそらくさとりさんもマシントラブルでしょう。
っと、試合監視中のの天狗より速報が入っています。え~っと、コースアウトですね。どうやら脱落者が出たようですが・・・・・・・・バカルテッターズ改めフェアリーズのロゴガ見えます!
ルーミアさんとリリーホワイトさん、同じチームの二人が揃って脱落~!」
「集団の中で闇を展開させたルーミアさんとリリーホワイトさんの追突事故ですね。そのまま竹林の竹にぶつかって両者気絶と言ったところでしょう」
「完走出来ない選手が出てしまいました・・・・・・・・あ~っと!?にとりさんが竹林の竹にぶつかりクラッシュー!
背負っていた推進装置のようなものから煙が出ていますが、にとりさん首を横に振る!コース復帰できずリタイアのようです。これで3人目~!竹林サーキットでは毎年コースアウト者が続出していますが、やはりここには魔物が住んでいるのか!?」
「このコースは道が狭い上にコーナーが多いですから、事故もいたしかかたありません」
「そしてそのコースから一番に抜け出すのは・・・・・・・・今出てきました、が、あれ?
なんと、一位はレティ・ホワイトロックです!続いてチルノが通過、3位てゐ、4位永琳、5位輝夜。一体何があったのか予測が付きません。あ、今レミリアが8位で通過しましたが、体に纏わり付いているのは氷ですかね?」
「雨で濡れたところに冷気を当てて凍らせたんでしょう。永遠亭エターナルは罠を駆使して逃れた様子。同チームのルーミアとリリーを失ったチルノらのフェアリーズ、まさかの頭脳プレイワンツー通過とは大番狂わせですね。レティさんには永遠亭より秘密のお薬(はぁと)が送られます」
「最後のチェックポイントは魔法の森。
そして後続が次々と竹林から出てきますが、永遠亭組もといエターナルの優曇華院さんの姿がまだ見えません。プリズムの3姉妹はここまで順位を落としていますねぇ。そして幽香さん、さとりさん、そして最後尾にランクダウンしてしまったアリスさんが今、通過してしまいました。
ただ今イナバ監視員から届いた情報によると、竹林内で複数名がコースアウトしているとのことです。どなたがコースアウトされたか確認を・・・・・・・・」
「椛さん、これエントリーリストです」
「ありがとうございます。えっと・・・・・・チーム桜花の西行寺幽々子さん、同じく桜花の魂魄妖夢さん。フェアリーズのミスティアさん。優曇華院さんもですが、永江衣玖さんもまだ通過していませんか?」
「鶏肉に兎肉に魚肉ですか。大体予想は付きます」
「衣玖さん、お魚判定でいいんですか?」
「いいんじゃないですか?」
「まぁいいです。レースの模様を引き続き中継しましょう。
ちょっと目を離している隙にまた情勢が変わっています。リプレイを見て見ましょうか。
リグルさんが虫を大量発生させて選手らの目潰しをしてますね。で、一位に躍り出たところで魔理沙さんのマスパで吹き飛び、その魔理沙さんをこいしさんが吹き飛ばし、こいしさんは勇儀さんに吹き飛ばされ、勇儀さんは萃香が跳ね飛ばし、萃香さんを霊夢さんが夢想封印と。なんですかこのピタゴラスイッチもどき」
「現在の順位は1位霊夢さん、2位魔理沙さんのH.K.Rワンツー体勢。3位以下はレミリア、永琳、早苗、萃香と続いて7位に・・・・・・いえ、射命丸さんが萃香さんをオーバーテイクしまして今、6位に射命丸さんとなりました」
「フェアリーズのチルノが11位、ヤクモの橙さんも12位と健闘しています。次点と目されていた藍さんは中盤争いに巻き込まれていまだ29位。優勝はこの時点で消えていますが完走を目指してがんばって欲しい。
さぁ、魔法の森に設けられたヘアピンカーブを曲がればいよいよ博麗神社!霊夢さん、チームメイトと壮絶な一位争いを演じながらヘアピンカーブに差し掛かりました!」
「一位通過の霊夢さんには魔理沙さんより、魔道書10冊が寄贈されます。盗品を景品にするとはやりますね」
「パチュリーさん涙目!まぁ霊夢さんのことですから、いらないとか言いながら返してあげることでしょう。
レースは終盤、ヘアピンを抜ければいよいよ最後のストレート!文先輩は4位にまで浮上しています、速い!そして最後尾のアリスさんもヘアピンを通過しました」
「選手が一列になって飛ぶ様子はまさに圧巻ですね。ですが椛さん」
「なんでしょうか?」
「先頭集団から絶対に目を離さないで下さいね。試合は必ず動きます」
「わかりました。・・・・・・って!!
あ、あれは!?スキマです!そのスキマから紫さんが飛び出す!さらにその前方で大妖精さんがワープアウト!
後方からは距離を操った小町がすごいスピードでやってくるぞ!これはひどい、これまでの試合経過がすべて無に帰したぁ!!」
「すべて想定の範囲内です。むしろ最低限のモラルは守ったと賞賛すべきでしょう」
「どこに最低限の線引きをしてるんですかあなたは・・・・・・
さぁ残り200メートル!霊夢さんはスピードに追いつけずじりじりと離されている!紫、大妖精、小町、魔理沙、文先輩の5つ巴。一歩リードするは紫さんか?!」
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コースアウトによりリタイア:ルーミア、リリー、幽々子、妖夢、ミスティア、うどんげ、衣玖
6位以下は『マシントラブル』により全員リタイア。
第5位、アリス・マーガトロイド (シャンハイ・アリス)
第4位、博麗霊夢 (H.K.R ハクレイ・キリサメ・レーシング)
第3位、藤原妹紅 (永遠亭エターナル)
第2位、古明地さとり (地霊殿SATORI)
第1位、風見幽香 (フラワーマウンテン)
〔試合後の会見模様〕
「感謝すべきか怒るべきか悩みどころね。おかげで完走できたからよしとするわ」
「直感でヤバイと思って2重結界で防御しようとしたが間に合わなかった。そしてすべては終わった」
「気づいたら試合が終わってたって言うかな。複雑だがポイントはゲットできたから次につなげたいと思う」
「体調不良ではありませんでしたが、幽香さんの心の声が聞こえたので今回は見送らせていただきました。最初からアレを狙っていたとは、なんて恐ろしい人・・・・・・ですが次回は必ず霊夢を我が物とします」
「私の前に立つなんて、おバカさん。
あんなに長いホームストレートにそろって一直線で並んでいたらどうぞレーザーを撃ってくれと言っているようなもの、せっかくだからまとめて吹き飛ばしてあげたわ。若干名逃れた奴と復活した奴がいるけど、まぁいいでしょう。
さぁ霊夢こっちに来なさい、『はむはむする権利』だったわね?たっぷりかわいがってあげる」
「ひっ!!?」
「今回のグランプリはまさかの大逆転勝利に終わりました。優勝は幽香さんですが、チームとしてはいまだレッドデビル・レーシングが一位、守矢F1が2ポイント差で後を追う形となっています。
来週のこの時間は東方F1第4戦、紅魔グランプリ予選を。翌日に本戦決勝をお送りいたします。レッドデビル本拠地での戦い、どう見ますか阿求さん」
「コースの隅から隅までを知り尽くした咲夜さんの独壇場となっているサーキットですが、最近ではH.K.Rの魔理沙さんも積極的に情報収集をしていると言うこともありますので良い勝負が見れるものと思います。レッドデビルはアタッカー咲夜、ブロックに美鈴で来るでしょうから細い廊下でいかにして美鈴さんをかわせるかが勝負の分かれ目になるでしょう。
フェアリーズも今回力闘を見せてくれましたので、今後どこまでランクを上げてくるかが注目されますね。個人的にはエターナルの動向に注目です。マシンの信頼性と言う点では永遠亭エターナルがすばらしい仕上がりなので、ここがどういう戦略で来るかが気になるところ」
「ありがとうございます。
それでは霊夢さんがはむはむされている映像をご覧頂ながらお別れしたいと思います。ではみなさん、また来週」
面白かったんでシリーズ化を希望しとく
引退できたんだよ。五体満足で。
それはとてもとても有意義だと思う。
ミハイルの足の怪我、ミカの舌の切断。いろいろあったけど死なずに引退できたのはめでたいことですよ!
ってことで、面白かったです。次回はピットレポーターに河井ちゃんを幻想入りさせてくださいw
F1に疎い私でもすんなり読めました。
本編中に出てくる専門用語が理解できればもっと面白かったのでしょうね、悔やまれます。
用語もあまり難しいものがなく、すんなり理解できました。
ところで、衣玖さーん!?