Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

お燐の視線

2009/04/22 00:53:42
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にゃ~ん、と猫の姿のお燐が私の膝の上に乗ってきた。
最近の私―――博麗霊夢のお茶の時間はここから始まる。

「なんだかんだ言って、馴染んだんじゃないのか?」

と、箒から飛び降りつつ縁側に座る魔理沙。
お燐の尻尾がパタパタと膝を叩く。
これもいつものことである。

「まぁ毎日のように一緒にいれば、愛着もわくものよ」

私は素直に答えた。
初めの頃こそ慣れない世話に四苦八苦したが、慣れてみるとかわいく感じる。
今も私の膝の上でお腹を向けて寝転がっている。
私はそんなお燐をなでながら、お茶を飲む。

「そういえば、あんたは何か飼わないの?
 魔法使いなら、使い魔とか。
 パチュリーは小悪魔、アリスは人形に愛着を持ってるじゃない」
「ああ、それなら…」

魔理沙は帽子から八卦炉を取り出し、こちらに向けながら

「私の相棒はこいつで決まりだからな。
 最後のときまで、手放さないくらいの愛着はある」
「なるほど」

魔理沙らしい答えだと思った。

「まぁ、動物を飼うと家じゃあ世話できないっていうのもあるが」

確かにあの本やらマジックアイテムやらが高く積まれている部屋では、並みの動物では一週間と持つまい。

「あぁ、確かに。
 たまには整理しときなさい」

箒に手をかけた魔理沙は

「そいつは無理な相談だぜ」

と言いながら、お茶請けのおせんべを一枚つかみ

「じゃあ、次のお客がきたみたいだから、わたしは行く。
 くれぐれも、飼育放棄はするんじゃない。
 皆、わたしとの約束だぜ!」
「誰にいってるのよ・・・・」

と突っ込む間にも魔理沙はどんどん小さくなっていく。
忙しないなぁ、などと思いつつ背後に目を向ける。

「はぁい、霊夢」
「今度は紫か。
 お茶を入れなおしてくるから、待ってて」

そう言ってお燐を膝の上から下ろし、立ち上がる。
入れ替わりに紫が座ると、お燐は紫の膝の上に移動した。
眠れればどこでもいいのか、と内心悔しさを覚えるあたり、本当に愛着が出てきたんだなぁ、などと思いながらお茶を淹れに向かう。

・・・

「最近、霊夢丸くなったんじゃない?」
「それは喧嘩を売っているのかしら」

お茶をかけられたいのか、という意思を瞳にこめて紫を見る。
すると、紫は大げさに顔の前で手を振りながら言った。

「性格の話ですわ。
 やっぱり、ペットを飼うのは情操教育になるのかしら。
 何も言わなくても、お茶を出してくれるようになるなんてお母さん、感激!」

誰が誰のお母さんだ、という突っ込みはお茶と一緒に飲み込み、代わりにため息を一つ吐いた。

「まぁ、そのペットはあんたにご執心じゃないの」

お燐が紫の周りをぐるぐる回り、たまにタッチをしているのを見ながらお茶を飲む。

「構って欲しいんじゃない? 紫に」
「まぁ、構ってもらいたい、というのは合ってるでしょうけど…」
「やっぱり、私だけじゃ物足りないのかもね。 遊び相手」

そんなことを呟く私にふふっと笑いかけながら、紫がお燐を捕まえる。
そしてお燐の耳に何かを囁いた。
すると、極端にガッカリした様子で私の膝の上に戻ってきた。

「何を言ったのよ」
「別に何も。
 まぁ、その子はあなたに懐いているんだから、大切にするのよ」
「とはいってもねぇ・・・」

私がお燐の目を見ると、目を閉じてそっぽを向いてしまった。

「これで懐いてるのかしら?」
「ええ、懐いていますわ。それはもう。
 さて、わたしはそろそろ失礼するわ」

隣に目を向けると紫は既にいなかった。
お燐を持ち上げて顔の前まで持ってくる。
やっぱり目をそらされた。

「懐いてる…ねぇ」


・・・・

夕方。
お燐は執拗に目を見ようとしたら逃げ出してしまった。
まぁ、そんなに急激に距離が縮まるものでもないか。
そんなことを思いながら、庭掃除をしていると一陣の風が吹いた。

「すみませーん。文々。新聞です!」

天狗のブン屋、射命丸文である。

「何か変わったことありませんかね?」
「そうねぇ、今日の晩御飯は鳥のから揚げになりそうってことかしら」

私の言葉に、文が顔を真っ赤にして抗議する。

「何ですって! そんなことは許しませんよ!」
「じゃあ、あなたが散らかしたこの葉っぱ。 私もこれを許せないんだけど」

打って変わって青ざめる文。
額には一筋の汗。
彼女は心の読める妖怪ではないが、悟ったのだろう。
主に私の竹箒を握りしめる力の篭った手の、白さを見て。

「にゃ~ん」

いつの間にかお燐が文の足元にいた。
雀の死体をくわえて。

「あぁ~! なんてことを・・・って今はそんな場合でもありませんでした!
 この借りはいつか返しますからね!」

おぼえてろ~!などと叫びながら飛び去っていく姿はなんとなく小悪党を髣髴とさせた。

「というか、文とも紫とも目を合わせるのに、なんで私とは目を合わせないのよ」
「にゃ~ん」

やはりかわいい鳴き声をだしながらそっぽをむいた。
むむむ。

・・・・・

夜。
今度は萃香がやってきた。
私が思うに、お燐はこいつを気に入っているのではないだろうか。
萃香の行動をジッと見ているし、萃香が入ってくるときは部屋の前で待っていて飛び出すし、朝起きたら萃香の上に乗っかってたりするし。

「お~霊夢、今日はどう? 飲む?」
「今日は遠慮しておくわ。 掃除で疲れたし」

お燐はやはり、少し離れたところで萃香を見ている。
むむ、やはり萃香か。

「あのさ、萃香。
 あんたまたたびとか持ってる?」
「いんや、持ってるのはお酒だけ」

ということは匂いとかではないのか。
そんなことを考えている間に眠気が襲ってきた。

「じゃあ、私、寝るから。
 あんたもほどほどにしておくのよ」
「あいよ~」

分かっているのかいないのか、たぶん分かっていないのであろう返事を聞きながら布団に潜り込む。
やはり掃除の疲れが大きかったのかすぐに私の意識は眠りの底へと落ちていった。

・・・・・・・



もぞもぞ・・・



あたいはお姉さんが就寝したのを見計らって布団に潜り込む。
懐いていないなんてとんでもない。
いまではさとり様とは違う方面で一番好きなんじゃないかと思うけどね。

やっぱり、もっとお姉さんには『猫』について知ってもらう必要がありそうだね。
猫の直視はデスサイン。

長文、最後までお付き合いくださりありがとうございます。
最近猫を飼っているかもしれない3Dです。

猫が目を長時間見つめてくるのは、kill youサインらしいです。
逆に目をつぶってすぐにそらすのは両目のウインクだとか。
猫が身体を調べるように触るのは弱点を調べるため。
朝、乗ってくるのは窒息させるため。
蛇とか雀の死骸を持ってくるのは、次はお前だ、的な感じ。
待ち伏せして部屋から飛び出してくるのは奇襲。
逆にだらしない格好で寝たり、お腹を向けてくるのは信頼されている証拠らしいです。

誤字、感想、意見などを書いてくださると嬉しいです。

※4月26日追記
たくさんのコメントありがとうございます!
現在、次回作の起承転結の『起』の部分で躓いております。
承転結は構想できるのですが・・・
『起』の部分は私にとっての『鬼』門です。
もしお待ちしてくださる方がいましたら、気長にお待ちください。
3D
コメント



1.名前が無い程度の能力削除
これは知らなかった
面白かったです
2.名前が無い程度の能力削除
この組み合わせ、素敵です。ほのぼのー

霊夢さんがお婆ちゃんになっても膝の上に居てくれるんだろうなぁ
そして現世にお別れする時が来たら自分の体をお燐にプレゼント
ずっと一緒に居てくれた感謝の気持ちとして
3.名前が無い程度の能力削除
霊夢とお燐の関係はほのぼの
この組み合わせは今後とも増えて欲しい
4.名前が無い程度の能力削除
ぬこかわいいよぬこ
魔理沙はツチノコ飼ってなかったっけ?
5.奇声を発する程度の能力削除
初めて知ったー!!!
とっても面白かったです!
6.名前が無い程度の能力削除
自分はペット飼ってないので、犬猫の事は何かの機会で調べでもしない限りはよく分かりません。
なので、ほのぼのとした文で和んだ後にあとがきでデスサインの文字が出てきたのには驚いたw
たしかに魔理沙はツチノコ飼ってますね。まぁあれは飼ったというより捕獲しただけのような気がしますが。

昔から付き合ってきた動物とのやりとりなだけに、日常の一コマ描写だけでも和みます。
いや妖怪だけど。
7.名前が無い程度の能力削除
ああ、そういうジョークがありましたね。

正しくは
猫が目を長時間見つめてくるのは、kill youサインらしいです。
→がんをとばしている。見つめ続けると、喧嘩に発展

逆に目をつぶってすぐにそらすのは両目のウインクだとか。
→わたしはあなたと喧嘩したくありませんという、サイン

猫が身体を調べるように触るのは弱点を調べるため。
→人の周りをぐるぐる回り、たまにタッチをするのはえさをねだるサイン
子猫が母親にえさをねだる際にこういう行動に出るのが大人になっても出てくる

蛇とか雀の死骸を持ってくるのは、次はお前だ、的な感じ。
→自分より下の立場のものに施しを与えている。つまり、プレゼントされた人は猫より立場が下に見られている
8.3D削除
おお、思いもかけず7つもコメントありがとうございます!
以下レスです。
1様
ありがとうございます!励みになります!
2様
この組み合わせ、地霊殿発売直後のプチ想創話で気に入ったものです。
二番煎じではない、自分なりの味が出ていれば幸いです。
あと、霊夢の最後のお話いいですね。
自分なりに改変して作ってみても良いでしょうか??
3様
私もそう思いますです!
4様
魔理沙のツチノコ…
忘れてました、スミマセンorz
ぬこ、いいですよね!
5様
ありがとうございます!
6様
和んでいただけてよかったです!
あと、魔理沙がツチノコを捕獲したならば、家の猫は私にたかりにきてる感じです。
『ごはんよこせ!』『部屋に入れろ!』みたいな。
7様
なんとぉーーーーー!!
ジョークだったのかorz
いや、若干自分でも誇張しすぎだろうとは思ったのですが、グーグル先生で『ネコ 行動 意味』で上のほうにきていたから頭ごなしに信じすぎていました。
こういう指摘は今後の生活でも助かります。ありがとうございました!
及び、信じてしまった皆さん、すみません。
ジョークになりました。
9.謳魚削除
お燐ちゃんは霊夢さんの嫁兼ペット。とても色々な意味で。
楽しゅう読ませて頂きました、が、そそわorプチそそわに同じジョークを題材にした霖&燐のSSが有った様な気が致します。
まぁあちらは霖ちゃんパーペキ死亡フラグでしたけれど(霊夢さんの逆位置ですな)
しかし並み居る強敵を押し退けてカプ認識されてるお燐ちゃんは凄いですなぁ。
10.名前が無い程度の能力削除
うちの猫は仕事中にパソコンの上に乗るのが大好きです。
パソコンから降ろしては乗り降ろしては乗り、毎日が戦いです。
11.名前が無い程度の能力削除
確かに野生の獣って基本視線合わせが危険だな。
人に慣れている場合でも意味は同じなのかちょっと気になるところ。
12.名前が無い程度の能力削除
おしい……作品集66の『猫の居る店』にそれ以上に中身網羅されてるんでオチが消えてしまいました。
13.3D削除
コメントへのレスです!
謳魚様
12様の指摘にあったネコ輔様の作品の二番煎じになっておりました…
以後気をつけます!
霊夢の周りはあらゆる実力のある人妖が集まりますからね。
人間の姿でイチャつくのはたとえゆかりんでも袋になります。(個人的にはこの組み合わせもすきですが)
なので、猫の姿で徐々に心を奪っていくというお燐ちゃんの作戦です。
10様
猫は気に入った場所に居たがりますからね。
ウチも座椅子をひとつ占拠されてます。
11様
人になれている猫は目を合わせることに抵抗が無いので、外で他の猫にあったとき喧嘩になっちゃうそうですので、外猫を飼いたいときはご注意を。
12様
ご報告ありがとうございます!
読ませていただきました!(面白かったです!)
次に作品を書くときは重複に気をつけたいと思います!
14.名前が無い程度の能力削除
あれですかい?最後の猫がわざわざ強調されてるのは、こう、背後にお花が咲く的な意味での『ネコ』ですかい?
それとも、そう考えてしまった自分が穢れているのだろうか……。
作品はとてもほのぼのさせていただきました。うちの猫もこれくらい懐いてくれたらなぁ……
15.名前が無い程度の能力削除
お燐が非常に猫らしく猫っぽいのに感動した。そうだ、猫はこんな感じなんだ。
「猫がよく何も無い所を見つめているのは、そこに人には見えないなにかがいるから」
というやつだろうと思って読んだけど、面白かった。
16.名前が無い程度の能力削除
うちで猫を飼ってる当初「こっち見てくれないなぁ」と思っていた頃を思い出した
あとベッドに潜り込んで以降を詳しく
17.名前が無い程度の能力削除
紫は何を言ったのですかね?
18.名前が無い程度の能力削除
相手にタッチは多分本文では弱点を探るという意味で使ったのかもですが
エサをねだるという行為が本来だというなら…

紫にタッチ→霊夢のお母さんと勘違い?(笑)→霊夢を私にくれと訴える→紫「だが断る」
→燐ショボーン
と勝手に解釈できないこともないw

猫の習性は知らなかったから楽しめましたよ^^
19.名前が無い程度の能力削除
猫は、結構残酷で腹黒

だから、人間に好かれるのかも…
20.3D削除
またまたコメントへのレスです!
14様
霊夢のお燐への好感度でルートが分岐します。きっと。
詳しく書くと『ネコ』がどっちで『タ(この文章は七曜の魔女に削除されました)
15様
猫らしいお燐ちゃんにできて良かったです!
ありがとうございます!
16様
今週末までには中にベッドの内容をお届けします・・・たぶん。
17様
『私に弱点はありませんわ』
だったのですが、18様の考えが正しくなりました!
もしくは、藍しゃまが橙に使ったまたたびの匂いにつられてご飯をねだって断られたかです。きっと。
18様
ご想像通りです!ドンピシャです!
楽しんでいただきありがとうございます!
19様
肉食動物ですからね、基本的に。
それでもドライヤーを怖がる姿を見ているとたいした裏も無いような気がしてきますよ~!
21.名前が無い程度の能力削除
大好きなタイプの話でした。コメントでオチがちゃんとついててよかったです。
22.名前が無い程度の能力削除
コメントはてっきりわかっててやっているとばかりw 作者さん、なんて天然なんだw
まあどちらで解釈するにせよ、楽しめました。
全体・人物描写がしっかりとしていてよかったです。
23.3D削除
21様
ありがとうございます!
次回も頑張りたいと思います!
22様
半歩くらい間違って踏み出すタイプの天然ですw
全体・人物描写をお褒めいただきありがとうございます!
次のお話でも気をつけて書きたいと思います!