Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

Scarlet sisters

2009/04/18 17:51:20
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~注意書き~



・紅魔郷の話の流れをあんまり汲んでいません
・グロ?描写を微量含みます
・ふらんちゃんがぶっ壊れてます
・パパとママが出ます
・視点がころころ変わります
・ギャグが…ない

以上の点を踏まえた上で用法、用量を守って正しい姿勢で読みましょう。



~注意書き 終~






















































ずっと、ずぅっとむかしのこと。




おとうさまがいった。

「おまえはくるっている」

わたしはくるってなんかいないわ。

わたしはおとうさまをぎゅってした。



おかあさまがいった。

「あなたはこわれている」

わたしはこわれてなんかいないわ。

わたしはおかあさまをぎゅってした。



おねえさまがいった。

「あなたはどこもわるくないの」

そうよ。

わたしはおかしくなんてないわ。

「だから、このへやからでちゃだめよ」

「どこもわるくないこなら、わたしのいうことがきけるわよね?」

もちろん。

わたしはどこもわるくないし、くるってもいないし、こわれてもいないもん。

「わたしがいいっていうまで、ここからでちゃだめだからね?」

うん。わかった。

「だいすきよ、ふらん」

うん、わたしもおねえさまのことだいすき。



「ごめんね」



なんであやまるの?

おねえさま、なにかわるいことしたの?

「ごめんね、ふらん」

なんでないてるの?

おねえさまはかなしいの?

「あいしているわ、ふらん」

うん、わたしも。

あいしてるよ、おねえさま。






























ねえ、

おねえさま

いつになったら、

ここからでていいっていってくれるの?








おねえさま、おねえさま

わたし、くるってなんかいない

こわれてなんか、いないよ?

どこもおかしくなんかないんだから。

























「ふらん」

ああ、おねえさま!ひさし

























あれ、なんだかあかくて

あったかくって、ぬるっとする

これなに?



あ、











おねえさまだ。

おねえさまの、ちだ。

なんだかよくわかんなくなって、ひさしぶりにみたおねえさまをぎゅってしちゃったんだ。

だって、めが。

おとうさまと、おかあさまと、

おんなじめでわたしをみていたから。

ひさしぶりにあえたのに。

ずっということをきいて、ひとりでへやにいたのに。

いいこにしていたのに。

とっても、いやなめ。

だから、つぶしちゃったんだ。



いいにおい。

なまあったかくて、てつのにおい。

いいなぁ、おいしそうだからちょっとなめちゃお。

うーん、おいしい!

これがおねえさまのあじなんだ!

もうちょっと、なめてもいいよね?

おいしい、おいしい!

あれ、なんかちょっとしょっぱくなってきた。

なんでだろ?

うーん、むねもくるしいや。

わたし、びょうきになっちゃったのかな?

めがぼんやりしてよくみえないし。

やだ。

びょうきになったら、わるいところがあったら、おねえさまにきらわれちゃう。

だめ、だめ。そんなの、いやだ。



だめ、だめ、だめだめだめ。だめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめ。



あれ?でもさっき、おねえさまのことぎゅってしちゃったんだっけ。

だいすきだよ、おねえさま

うーん、なんでぎゅってしちゃったんだっけ?

あいしてるよ、おねえさま

よくわかんないや。

だいすきだよ、おねえさま

あれ、このあかいの、なんだっけ?

あいしてるよ、おねえさま

いいにおい。おいしそう。






だいすきだよ、あいしてるよ

おねえさま。




















ねえ、おねえさま

わたし、どこもおかしくなんかないでしょ?























































































「あ!?ここ…は」

「おかえりなさい、レミィ」

「あぁ、パチェの部屋か…今回は本気で死ぬかと思ったわ」

「脳がギリギリだったものね」

「あの調子じゃ、まだ外になんて出せないわね…」

「ちょいちょい様子見に行っては肉片になっているものね。回収して蘇生する私の身にもなって頂戴」

「それは感謝してるけど。他の奴になんか任せられないじゃない。それこそ即死でしょ」

「他の奴に任せられないのは妹様の事が大好きだからでしょう?」

「そりゃ、大事な妹だし…でも、」

「?」

「正直どう接したらいいのかわからない、わからないのよ。どんな顔であの子を見ればいいのか」

「そんなの、普通でいいんじゃないの?」

「私は幽閉しているのよ?恨まれているんじゃないかと思うと…とても普通でなんかいられない」

「だけど、必要だったんでしょ?」

「…それでも」

「あの子は危険すぎた。人々にとって、何より貴女にとって。仕方なかったのよ」

「それでも!あの子は幼かった!」

「貴女もよ、レミィ。貴女もまた、幼かったの。ああするより他に無かったの」

「私の所為で、あの子は…」

「…ねぇレミィ?貴女は私に何を望んでいるの?――慰め?罵倒?」

「っ!?」

「私は答えなんて持っていないわ。私は貴女達に何があったのか、貴女の話で聞いた事しか知らないのよ?
わかっているのでしょう?私はただ貴女について行くわ。

さぁ、レミリア・スカーレット。貴女は、どうしたいの?」

「私、は」

「貴女は」

「私は…」















































ドアノブを握る。

その手は嫌に汗ばんでいて、ぬるぬるして上手く回せない。

ようやく力を込めてかちゃりと回すと、幾重にも重ねて施された封印が外れた。

一歩、部屋に踏み込む。

酷く空気が淀んでいる。

レミリアは思わず顔をしかめそうになるが、それをどうにかして抑え込んだ。

薄暗い部屋の中を見回すと、隅の方で膝を抱えて蹲っているフランドールを見つけた。

近づくと、何事か呟いているのが聞こえてくる。

「…だめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめおねえさまだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめおねえさまだめだめだめだめだめだめだめいやだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめきらいにならないでだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめいやだめだめだめだめ」

レミリアには気付かず、ただひたすら。

ひたすらにそれだけを。

震えながら繰り返しているのだ。

レミリアは知らず、声をあげずに泣いていた。

全てを壊す、この子を壊したのは私。

こんな処に閉じ込めた私を、さぞかし恨んでいることだろう。

これは、無力だった私の罪。

守り切ることができなかった、幼い私の罪。

涙を拭う。振り払う。

甘んじて背負おう。この罪を。

貴女の狂気も、すべて私が受け止めよう。

だから、私を許してほしい。私が貴女を愛することを、ただそれだけを許してほしい。

「フラン」

レミリアは背中からそっと手をまわし、フランドールを抱きしめた。

フランドールは相変わらず小さな声でだめ、だめと繰り返している。

「フラン。貴女は狂ってなんかいない。壊れてなんかいない。悪くなんてない。
私は貴女を嫌いになんてならない。
大好きよ、フラン。愛してる。可愛いフラン。
もう独りで泣かないで。
私が貴女を抱きしめてあげるから。

だからもう、

私を怖がらないで」







「      」







ぴた、と声が止んだ。



「お、ねえ、さま?」

ようやく自分が抱き締められていたことに気が付き、フランドールは恐る恐る後ろを振り返る。

「うん」

視線が交わり、次いでフランの唇から漏れ出たのは嗚咽。

「わたし…ごめんなさい…、おねえさま、おねえさまを…ぎゅってしちゃって、ちがでて、わけわかんなくなっちゃって、わたし、」

「うん」

「むねがくるしくって…、ぎゅーってなって、まえがぼやぁーってみえなくなって、もう」

「うん…」

「わたし、びょうきなのかなぁ…?わるいとこ、あったら、おねえさまにきらわれちゃうよね?おねえさま、ここからでていいって、いってくれないよね?」

「…」

涙が止まらない。

違うって、言ってあげなきゃいけないのに。

「おねえさま、なかないで。なかないで。わたし、おねえさまがかなしいのなんてみたくないよ?」

こんなにこの子は優しいのに。

「…ごめんね、ごめんね、フラン」

「なんで?なんであやまるの?」

こんなにこの子は純粋なのに。

「ねぇ、ねぇ、おねえさま。わたし、いいこにしてたよ。おねえさまがいいっていわないから、ずっとちゃんとここからでなかったよ。だってわたし、わるいこじゃないもんね。
ねぇ、ねぇ、おねえさま。まだわたし、ここからでちゃだめ?」

ずっと、私の言うことを聞いていてくれたのに。



このこはやっぱり、こわれているのだ。

だって、



わたしのどうたいからしたは、


















もう、――のだから。






























「ねぇフラン。私、お引っ越ししようと思うの」

レミリアを抱きしめながら、その言葉に首を傾げるフランドール。

「おひっこし?どこにいくの?」

無邪気に問うてくるフランドールに優しく微笑み返す。

「幻想郷と言うところよ」

「げんそうきょう?」

「そう。そこだったら、貴女をここから出してあげられるかも知れないわ。そうしたら、」

ああ、私はなんて残酷なのか。

否、我は夜の王。

下等な者共、皆須く我にひれ伏せ。

私は只この愛する妹の為に。

「またあなたといっしょに、あそべるわね」




すべてをてきにまわしましょう。
かなうなら、こわれたわたしたちを、「あなた」がこわしてくれますように。
YAMADA
コメント



1.謳魚削除
ごめんなさい、とっても切ない良い御話なのに。
「幻想郷に行った後フラレミフラグですね分かります」とか自分がおりましたごめんなさい。
そろそろYAMADAさんのギャグが恋しい季節がやってきそうです。
2.奇声を発する程度の能力削除
切なすぎる!!!!
目から涙が止まりません!!!!
3.名前が無い程度の能力削除
最高でした。
そのひとことだけで、今の気持ちを全て語れる気がします。
4.YAMADA削除
scarletには罪深い~という意味があるそうな。

>>謳魚様
シリアスすいませんwww

>>奇声を発する程度の能力様
最初はフランが壊れているところだけだったのですが、だんだんこんな話になっていきました。
拙作に心打たれてくれたのならばこれ程うれしいことはありません。

>>3様
ありがとうございます。最高の褒め言葉です。