Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

小さな悪魔と大きな妖精の恋

2009/04/15 11:55:34
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「大と小の掛け合い」「大ちゃん仕事する」の続きです。



大妖精が紅魔館で働いてから数ヶ月
今では前のようにオドオドした感じはなく、メイドたちと普通に接し、名実ともに副メイド長となっていた。(本人はそう思ってないが……)
中でも小悪魔とは日常でも「こぁちゃん」「大ちゃん」と呼び合う仲にもなっていた。
パチュリーにも図書館で余っている部屋をもらい、仕事が二日三日と続くような時はそこで寝泊まりもしていた。これは仕事が終われば図書館に来るので、なるべく近い方がいいだろうとパチュリーが与えたのだ。なので大妖精と小悪魔はよく遅くまで部屋で話しているのだ。


「それじゃあ行ってきます!」
「はい、行ってらっしゃい」
「頑張ってね大ちゃん!」
そう言って大妖精は図書館を出た、
パチュリーも小悪魔も笑顔で大妖精を送り出す、大妖精は今日も紅魔館での仕事で、昨日から紅魔館にいた。
大妖精が出ていき、小悪魔も自分の仕事へと取り掛かろうとしたのだが、
「子悪魔、紅茶を二つ持って来て」
「二つ……ですか?」
「ええ、二つよ」
言われるまま、小悪魔は二つ紅茶を持ってきた、一つはパチュリーに、もう一つはどうするのか迷っていると、
「もう一つはあなたのよ、取り敢えず座りなさい」
「は、はい」
椅子に座り、パチュリーが何か話すのを待つ、しかしパチュリーは一向に話さない、たまらなくなりカップに口をつけた瞬間、
「あなた、あの妖精とキスはしたの?」
瞬間「ブッ」と小悪魔は紅茶を拭きだした。言ったパチュリーはにやりと笑っている。
「ゴッ……ゲフッゲフッ、こ、紅茶が鼻から!」
フーフーと息を正し、溢した紅茶を拭いてから
「いきなりなんてこと言うんですかパチュリー様!」
「あら、まだなの?」
「私と大ちゃんはそんな関係じゃありません!」
「あら、そうなの?てっきりもうしたのかと思ったのに」
「そ、それは、その……いつかは大ちゃんと……ってなんてこと言わすんですか!」
「あなたが言ったんじゃないの!」
それきりその話はしなくなり、小悪魔は仕事へと取り掛かった。顔は少し赤かったが……


「……役割分担は以上ですから、今日も皆さんお願いします」
「「「「はい、副メイド長!!」」」」
大妖精がメイドたちに指示をすると、すぐにメイド達は取り掛かる、その様子を見てから大妖精も箒を手に取り、廊下の掃除へと取り掛かる。レミリア、咲夜が恐怖のカリスマなら、大妖精は優しさのカリスマとでもいえばいいのだろうか……
「~~♪、~~~♪」
と大妖精が鼻歌を歌いながら掃除をしていると、一人の妖精がやってきて
「副メイド長は、小悪魔さんとどこまでの関係なんですか!?」
「……へ?」
(((あいつ言ったーー!!!)))
突然のことに大妖精は目を丸くする、他の妖精はと言うと大妖精に見えないように親指を立てていた。
「あの、その……どこまでの関係って言われても……」
「あれ、違うんですか?いつも仲良さそうにしてるからそうなんじゃないかなって思ったんですけど」
「た、確かに私と小悪魔さんは仲良いけど、そういった仲の良さじゃないよー!」
真っ赤になって否定していたが、どこか嬉しそうでもある大妖精だった。
「えー!お似合いだと思うですけど~」
「そ、そんなんじゃないってばー!もう、仕事するよ!」
その後、仕事をするのだが大妖精の顔は真っ赤なままだった。


仕事が終わり夜になる。夕飯を食べ終え、自室へと戻る。図書館で借りた本を読んでいたら、仕事を終えた小悪魔がやってきた。
「お待たせ大ちゃん」
「こ、こぁちゃんお疲れ様」
「どうしたの大ちゃん?」
「な、なんでもないよ!?」
大妖精は朝の事を思い出していた。自分が小悪魔とそういった関係になる、それは嬉しいことだが少し恥ずかしいことでもあった。不思議そうにしながらも小悪魔は大妖精のベッドに腰かけた。
それから数時間後
「……だったんだよ~」
「クスッ、それは災難だったね~」
今日の事を話す小悪魔、それを大妖精は笑って聞いている。
「それでね~」
ふと小悪魔は大妖精を見る、可愛らしい小さな口がよく動いている。
『あなた、あの妖精とキスはしたの?』
突如パチュリーの言葉を思い出す。
(したい、してみたい、大ちゃんと……)
そう思った瞬間、小悪魔は大妖精の肩を掴んでベッドへと押し倒し、顔を近づける、そしてもう少しで重なるというとき、
「……こぁちゃん?」
小さく小悪魔の名を呼ばれ気付く、
(自分は一体何をしようとしていた)
すぐに小悪魔は大妖精から離れ、手で顔を覆う。
「ご、ゴメン大ちゃん、わ、私何して……」
(ダメだ、絶対に嫌われた、もう……話してくれないかもしれない)
もう会えないかも、そう考えるだけで目から涙が溢れてきた。部屋には小悪魔の嗚咽しか聞こえない、
少し経って大妖精がススッと小悪魔に近づく、小悪魔はビクッと体を震わせるが何もできない。
「こぁちゃん、顔あげて」
呼ばれるが小悪魔は動けなかった。小悪魔は怖かった、大妖精の自分を見る目が、もしかしたら自分を蔑んで見ているかもしれない、そう思うと小悪魔は顔をあげれなかった。
顔をあげれないでいると、大妖精が大きく息をしたのがわかった。
「……ゴメンね、こぁちゃん」
スッと小悪魔の手をつかみ、顔を覆っていた手を開かせ、今度は大妖精がベッドへと押し倒した。目の前には泣いて目を腫らしている小悪魔の顔がある。
「こぁちゃん、私嫌じゃ無かったよ?それはいきなりで少し驚いたけど、私こぁちゃんが好きだもん、嬉しかったんだよ?」
「ほ、ホントに?」
ゆっくりと大妖精の方に顔を向ける小悪魔、大妖精は笑っていた。
「うん、だからね……今度は、その……ホントに……しよ?」
最後の方は恥ずかしさからなのか、小さくなってしまったがハッキリとした言い方だった。
小悪魔もこの申し出を断ることなど出来ず頷いた。上半身を起こし涙を拭き、そっと大妖精の肩に手を置く、心なしか体が少し震えている。
「……行くよ、大ちゃん」
「うん、来てこぁちゃん」
ゆっくりと二人の顔が近付いて行き、やがて重なった。それは時間にしてたった十数秒の事だったが、二人にとっては十分にも二十分にも感じた。重ねていた唇を離すと一筋の唾液が糸を引いてポタリと落ちた。二人の顔は先ほどよりも真っ赤になっていた。
「……しちゃったんだね」
「……うん、そうだね」
静寂が辺りを包みこむ、すると小悪魔が恥ずかしそうに泳がせていた視線を大妖精に向けた。
「大ちゃん、私もっと大ちゃんを感じたい、大ちゃんと一つになりたい……いいかな?」
小悪魔のまっすぐな視線を受け、大妖精もうなずく。
「うん、私ももっとこぁちゃんと繋がりたいな」
その言葉を聞き、小悪魔はゆっくりと大妖精の服に手をかけた。



チュンチュンと鳥が鳴く声で小悪魔は目を覚ました。ゆっくり体を起こし、左手を見る、そこには自分と大妖精の手が固く結ばれていた。
(とうとう、しちゃったんだな)
開いている方の手で大妖精の髪をなでる、サラサラとした手触りが心地いい、それを繰り返していると、大妖精が目を覚ました。
「ん……おはようこぁちゃん」
「おはよう大ちゃん」
ポスンともう一度小悪魔は体を倒し、大妖精と目線を合わせる。
「昨日は凄かったねこぁちゃん」
「大ちゃんだってすごい声出してたじゃない」
昨日のことを思い出し、二人は恥ずかしそうに笑った。
「こぁちゃん、私ね、今幸せだよ」
「うん、私もだよ大ちゃん」
そう言って、生まれたままの姿で二人はキスをするのだった。
こぁ大終わりました。
ここから前に投稿した「プレゼント」へと繋がります。
もっと甘いSS書ける文才ほしいなぁ……
読んで下さった方、ありがとうございました。


おまけ
「おはようございますパチュリー様」
「おはようございます」
「ええ、おはよう」
二人で一緒に図書館に赴く、これも部屋が近いので今では日常だ。
「パチュリー様、もうすぐ朝食の時間ですよ」
「ええ、すぐ行くから、先に行っててちょうだい、貴女もよ」
「わかりました、行こう大ちゃん」
「うん、じゃあ先に失礼しますパチュリーさん」
そう言って二人は一緒に図書館を出ていった。
二人が出ていったのを見届けると、読んでいた本を置き、椅子にもたれ掛る。
「まさかキスだけじゃなく、その先まで行くなんて……まあいいでしょう、
それにしてもあの二人、首筋にキスマークなんか付けて、熱いわね~」
クスッと笑ってパチュリーは立ち上がり、食堂を目指すだった。


誤字直しました、ありがとうございます!
般若
コメント



1.名前が無い程度の能力削除
せんせー、フタリの子供は中妖精と中悪魔のどっちになるんですかー
2.名前が無い程度の能力削除
×実名
○名実
3.名前が無い程度の能力削除
離さない→話さない
だと思いま。だがあえてこれはパチュリーの本当の行動だとか妄想してみるスイマセン。
4.名前が無い程度の能力削除
きっと子供は大でも小でもない普通の妖魔になるんですね
5.脇役削除
きっと身長が小さくて(小)胸が大きい(大)悪魔のように
笑顔が似合う(悪魔)妖精(妖精)が産まれるんですね?
…メイド長に気をつけなさいと言っておく!
6.般若削除
>>名前が無い程度の能力1様
どっちでしょう?でも普通の妖精よりは格段に強く、普通の悪魔よりは少し弱くなっているかもしれません。
でも二人の子供ですからきっといい子が生まれるはずですよ!

>>名前が無い程度の能力2様
指摘ありがとうございます、さっそく直しました。

>>名前が無い程度の能力3様
いえ、あなたので正解です。
でも少し寂しい気持ちがあったのかも知れませんね。

>>名前が無い程度の能力4様
おそらくそうだと思います。でも先ほども言ったように、二人の子供は絶対いい子です、間違いない!

>>脇役様
おそらくそんな事になったらパチュリーが
「私の孫になんてことするのよ!」
みたいな感じで助けてくれます。それでも諦めずにやってくるんでしょうが……
7.名前が無い程度の能力削除
この二人は早く結婚するべき。
甘い甘い話をありがとうございます。