「お嬢様。少々お聞きしたい事があるのですが」
ある日、唐突にレミリア・スカーレットの後ろに控えていた従者。瀟洒たるメイド十六夜 咲夜は、レミリアに尋ねる。
それに対して、レミリアは紅茶を一口飲んだ後で、「何時も通り美味しいわね」と告げる。
その言葉に、「ありがとうございます」と、咲夜は頭を軽く垂れる。
「で? 何を聞きたいのかしら?」
紅茶請けとして、一緒に出されていたガナッシュショコラにフォークを入れながらに質問内容について問う。
ガナッシュショコラの一片が、レミリアの口に運ばれ終わった後で、咲夜は口を開いた。
「門番……美鈴についてなのですが」
「あぁ、美鈴についてなの?」
態々、尋ねてくるから何か面白い事? と、思っていたのに出てきたのは門番の名前。
「はい」
「それで?」
ガナッシュショコラをもう三分の一ほど攻略した後で、レミリアはフォークを置き咲夜の方に顔を向ける。
「美鈴は、何時から門番を務めているのでしょうか? 私が、この紅魔館に仕えレミリア様に仕える前から居たと記憶してますが」
その質問は、レミリアにとってとても答えやすくて同時に答えづらい質問であった。
レミリアは、再びガナッシュショコラを攻略し始めながらに、「そうねぇ」とつぶやく。
「私が……あぁ、正確には私とフランドールが、幻想郷に来てから……と、しか言えないのかしら?」
何故、疑問系なのか。と、咲夜は、心の中でそんな事を思う。
「強いて言うなら、この紅魔館に私とフランドールが住み始めてから、美鈴は門番になったのよ」
そうね。こっちの方がしっくり来るわね。と、ガナッシュショコラを四分の三ほど攻略した後でそう呟く。
そんな言葉に、余計に分からなくなったのか咲夜は、心の中でほんの少し顰めていた眉が、表情にも表れる。
「それは、この紅魔館が元々この幻想郷にあったのだと言う事ですか?」
「えぇ。その通りよ。私が、幻想郷に来た当事からこの館は存在した。その時の館は、名前もなんもないただの館」
てっきり、この紅魔館は、何処からか持ってきた。とか、そう言うありえない可能性を考えていたのに
まさか、幻想郷に最初から存在していたとは、思いもしなかった。と、咲夜は思う。
「そして、美鈴も館に居たわね。居たと言うよりも居る? と、言ったらいいのかしら?」
言葉遊びと言う訳ではないのだが、レミリア自身もはっきりと今の話題への答えは把握していないのだろう。
言葉の端々に、時折疑問符や逆に尋ねられる様に言葉を発する。
「幻想郷に入った当初の私は、まだ若い吸血鬼だったから余り力がなくてね。能力にも覚醒したて。まさに運命に翻弄されていた頃ね。
フランドールは、まだ能力に覚醒していなくて、当時はそうねぇ……弱かったわね」
今でこそ、スカーレット・デビルやらなんやら畏怖を持って言われる様にはなったけども。
当時は、無名に近い吸血鬼。
「それでも、吸血鬼と言う種は、鬼と言う名がついてるだけあって強靭な種ではあったわ。
雑魚ならば、この身をもって潰す事は容易。でも、狡賢い知恵をつけた輩を相手にした時ね。
私と、フランドールは、散る事を覚悟したわね。運命を見たとしても運命は、最悪の方向性しか持たない運命ばかり」
今思えば、翻弄されすぎて、良い運命と言うのが見えなかった。だけなのかもしれないけど。
「逃げる。と、いう手段しか出来なかった私たちは、逃げ回ってたどり着いたのがこの館の前」
そして、美鈴と出会ったのもその時。と、レミリアは、口元をナプキンで拭きながらに言う。
空になったティーカップの中には、湯気を立てた紅茶が淹れられていた。
「館の前に、一人の女性が居て。まぁその女性が美鈴なのだけど……
美鈴は、傷ついて逃げていた私たちを見て。この館に招いてくれたわ」
ま、その時は、まただまされるとか思ってたけどね。フランドールだってちょっと暴れたわね。
と、懐かしい面持ちを浮かべ紅茶を一口。
「その時は、逃げ遂せた私たちだけども、やっぱり私たちを狙うものっていうのは少なく無くてね。
何せ、若くとも吸血鬼。その身食らえば力になるだろうし、吸血鬼を倒したというだけで、名が上がる」
また、タイミングが悪い事にまだ太陽が昇っているその時に来られたのだから、私達は館の中に居るしかなかった。
逃げるといっても、外は太陽と敵ばかり。
「困っていた私達の前に美鈴が現れたのよ。生えて出たと言う感じで」
アレには驚いたわ。フランドールはそれで能力覚醒しちゃったし。
「美鈴は、私とフランドールを前にこう言ったわ」
【貴女に、あえて今問いましょう。助けは必要ですか?
貴女には、この館が必要ですか? 貴女は、生き残りたいですか?】
「ってね。強そうでもなんでもない寧ろ弱く見える美鈴が、笑顔で尋ねるのよ」
当時は、弾幕ルールがあった訳じゃない本当の殺し合いだった。
故に、人間に毛の生えた様な美鈴は、本当に弱そうに見えた。
「その時、私は能力を使った訳でもないのに、一つの運命が見えたわ」
「一つの運命ですか?」
「そう。私とフランドール。今の紅魔館の皆が、笑顔でお茶会を開く運命がね」
だから、私は、美鈴を見て告げた。と、三杯目の紅茶を口にする。
「助けて欲しい。それだけ」
それから、美鈴は、この館の門番になった訳ね。
「……と、言う事は、門番として仕えるようになったのは、お嬢様がこの館に住まう様になってから」
「と、言う事ね。実際、美鈴が何時からこの館に居たのかは分からないわ。
ただ、私と出会った時から、美鈴は、私をレミリア様。フランドールを妹様と呼んでたのが気になった程度かしら」
名前すら名乗っていなかったのに、傷ついた私達を見て、驚いた表情で名前を呼んだ美鈴。
この紅魔館の主たる己でも、美鈴の全容は殆どつかめていない。と、咲夜との話で改めて認識するのだった。
ある日、唐突にレミリア・スカーレットの後ろに控えていた従者。瀟洒たるメイド十六夜 咲夜は、レミリアに尋ねる。
それに対して、レミリアは紅茶を一口飲んだ後で、「何時も通り美味しいわね」と告げる。
その言葉に、「ありがとうございます」と、咲夜は頭を軽く垂れる。
「で? 何を聞きたいのかしら?」
紅茶請けとして、一緒に出されていたガナッシュショコラにフォークを入れながらに質問内容について問う。
ガナッシュショコラの一片が、レミリアの口に運ばれ終わった後で、咲夜は口を開いた。
「門番……美鈴についてなのですが」
「あぁ、美鈴についてなの?」
態々、尋ねてくるから何か面白い事? と、思っていたのに出てきたのは門番の名前。
「はい」
「それで?」
ガナッシュショコラをもう三分の一ほど攻略した後で、レミリアはフォークを置き咲夜の方に顔を向ける。
「美鈴は、何時から門番を務めているのでしょうか? 私が、この紅魔館に仕えレミリア様に仕える前から居たと記憶してますが」
その質問は、レミリアにとってとても答えやすくて同時に答えづらい質問であった。
レミリアは、再びガナッシュショコラを攻略し始めながらに、「そうねぇ」とつぶやく。
「私が……あぁ、正確には私とフランドールが、幻想郷に来てから……と、しか言えないのかしら?」
何故、疑問系なのか。と、咲夜は、心の中でそんな事を思う。
「強いて言うなら、この紅魔館に私とフランドールが住み始めてから、美鈴は門番になったのよ」
そうね。こっちの方がしっくり来るわね。と、ガナッシュショコラを四分の三ほど攻略した後でそう呟く。
そんな言葉に、余計に分からなくなったのか咲夜は、心の中でほんの少し顰めていた眉が、表情にも表れる。
「それは、この紅魔館が元々この幻想郷にあったのだと言う事ですか?」
「えぇ。その通りよ。私が、幻想郷に来た当事からこの館は存在した。その時の館は、名前もなんもないただの館」
てっきり、この紅魔館は、何処からか持ってきた。とか、そう言うありえない可能性を考えていたのに
まさか、幻想郷に最初から存在していたとは、思いもしなかった。と、咲夜は思う。
「そして、美鈴も館に居たわね。居たと言うよりも居る? と、言ったらいいのかしら?」
言葉遊びと言う訳ではないのだが、レミリア自身もはっきりと今の話題への答えは把握していないのだろう。
言葉の端々に、時折疑問符や逆に尋ねられる様に言葉を発する。
「幻想郷に入った当初の私は、まだ若い吸血鬼だったから余り力がなくてね。能力にも覚醒したて。まさに運命に翻弄されていた頃ね。
フランドールは、まだ能力に覚醒していなくて、当時はそうねぇ……弱かったわね」
今でこそ、スカーレット・デビルやらなんやら畏怖を持って言われる様にはなったけども。
当時は、無名に近い吸血鬼。
「それでも、吸血鬼と言う種は、鬼と言う名がついてるだけあって強靭な種ではあったわ。
雑魚ならば、この身をもって潰す事は容易。でも、狡賢い知恵をつけた輩を相手にした時ね。
私と、フランドールは、散る事を覚悟したわね。運命を見たとしても運命は、最悪の方向性しか持たない運命ばかり」
今思えば、翻弄されすぎて、良い運命と言うのが見えなかった。だけなのかもしれないけど。
「逃げる。と、いう手段しか出来なかった私たちは、逃げ回ってたどり着いたのがこの館の前」
そして、美鈴と出会ったのもその時。と、レミリアは、口元をナプキンで拭きながらに言う。
空になったティーカップの中には、湯気を立てた紅茶が淹れられていた。
「館の前に、一人の女性が居て。まぁその女性が美鈴なのだけど……
美鈴は、傷ついて逃げていた私たちを見て。この館に招いてくれたわ」
ま、その時は、まただまされるとか思ってたけどね。フランドールだってちょっと暴れたわね。
と、懐かしい面持ちを浮かべ紅茶を一口。
「その時は、逃げ遂せた私たちだけども、やっぱり私たちを狙うものっていうのは少なく無くてね。
何せ、若くとも吸血鬼。その身食らえば力になるだろうし、吸血鬼を倒したというだけで、名が上がる」
また、タイミングが悪い事にまだ太陽が昇っているその時に来られたのだから、私達は館の中に居るしかなかった。
逃げるといっても、外は太陽と敵ばかり。
「困っていた私達の前に美鈴が現れたのよ。生えて出たと言う感じで」
アレには驚いたわ。フランドールはそれで能力覚醒しちゃったし。
「美鈴は、私とフランドールを前にこう言ったわ」
【貴女に、あえて今問いましょう。助けは必要ですか?
貴女には、この館が必要ですか? 貴女は、生き残りたいですか?】
「ってね。強そうでもなんでもない寧ろ弱く見える美鈴が、笑顔で尋ねるのよ」
当時は、弾幕ルールがあった訳じゃない本当の殺し合いだった。
故に、人間に毛の生えた様な美鈴は、本当に弱そうに見えた。
「その時、私は能力を使った訳でもないのに、一つの運命が見えたわ」
「一つの運命ですか?」
「そう。私とフランドール。今の紅魔館の皆が、笑顔でお茶会を開く運命がね」
だから、私は、美鈴を見て告げた。と、三杯目の紅茶を口にする。
「助けて欲しい。それだけ」
それから、美鈴は、この館の門番になった訳ね。
「……と、言う事は、門番として仕えるようになったのは、お嬢様がこの館に住まう様になってから」
「と、言う事ね。実際、美鈴が何時からこの館に居たのかは分からないわ。
ただ、私と出会った時から、美鈴は、私をレミリア様。フランドールを妹様と呼んでたのが気になった程度かしら」
名前すら名乗っていなかったのに、傷ついた私達を見て、驚いた表情で名前を呼んだ美鈴。
この紅魔館の主たる己でも、美鈴の全容は殆どつかめていない。と、咲夜との話で改めて認識するのだった。
世界を見守る存在の縮小版でしょうか。
うぅむ、むつかしい。
この館をお嬢様が真っ赤にしたのが紅魔館ですねわかりました。
美鈴は下手すれば古代神Lvかもしれない
美鈴のセリフでサンホラ思い出した。