「今日はもう帰るぜ」
「そう」
魔理沙は読んでた本を閉じた。
アリスは本に栞を挟み、玄関まで魔理沙を見送る為に立ち上がった。
「な、なぁ、アリス…」
「何?」
「あ…いや、なんでもないぜ。 また明日来るから」
「そう。 どうぞいらっしゃい」
「じゃあ、また明日」
「また明日」
魔理沙は扉を開け出て行った。
アリスはその遠ざかっていく後ろ姿を見送った。
「またね、か…。 一体いつまで続くのかしらね」
アリスは一人ぼやき、扉を閉めた。
魔理沙がアリスの家まで来るようになったのは大分前からだ。
魔理沙が去り際に何か言いたそうになったのは少し前からだ。
今では日常の一部となっている。
アリスは知っている。
魔理沙が家を出る際に、いつも帽子を目深に被ることを。
その理由も、魔理沙の想いも知っている。
だが、アリス自身からは何も言わない。手を差し伸べない。
アリスは魔法使いである。その命は人間に比べれば非常に長命である。
対して、魔理沙は人間である。その命は儚く、短い。
故に、アリスにとっての魔理沙は長い一生の内の一コマに過ぎないかもしれない。
しかし魔理沙にとってアリスを選ぶこと、それは魔理沙の一生の全てとなるだろう。
だから、おいそれと結果をだすべきではない。
それをも知っているからこそ、アリスから手を差し伸べることはない。
言葉を最後まで告げられなくとも、それは考える機会を作る。悩むチャンスをくれる。
その度悩み、自分の想いを確固たるものにしていけるのだ。
今日も一日が過ぎようとしている。
「よお、来たぜ」
「あら、ほんとに来たのね。 いいかげん飽きないの?」
「まだ読み途中だしな。 それに本を借りたらアリスが怒るじゃないか」
「借りるだけならいいのよ。返してくれればね」
「返すさ。死んだらな」
そう言って、魔理沙は帽子をとり快活そうに笑う。
「はぁ…、もういいわよ。 紅茶でいい?」
「ん?何でもいいぜ」
「はいはい。 どうぞ紅茶よ。砂糖はご自由に」
「さんきゅ」
魔理沙の前と自分の前にそれぞれ紅茶を置き、アリスは席に着いた。
魔理沙は既に座って、紅茶に砂糖を入れている。
「今日も夕食食べるんでしょ?」
「ああ。お願いするぜ」
それだけ聞いて、アリスも読書を開始した。
別に魔理沙が来て、どうということもない。
一緒に読書し、時たま会話をする程度。
夕食の席が二つになる、ただそれだけのこと。
今日もそんないつもの日常だった。
「ねぇ、魔理沙。帰らなくていいの?」
時計の針は、いつも魔理沙の帰る時刻をとうに過ぎている。
「ん?ああ。そういえばもうこんな時間か」
そう言うものの、魔理沙は直ぐに立ち上がろうとせず、いつもより時間をかけて帰る準備をした。
それに多少アリスはいぶかしんだが、見送る為に椅子から立ち上がり、扉の前まできた。。
「なぁ、アリス」
「何?魔理…んっ」
いつものことだと思っていたアリスは、自らの身体に起きたことを直ぐ理解できなかった。
魔理沙の身体がアリスから離れていく頃にやっと理解が追いついた。
アリスは無意識に自分の唇に触れた。
「ど、どうしてこんな?」
「…私は、弱い自分が嫌だった。あと一歩を踏み出せずにいる自分が嫌だった。
だから、自分を追い込む為に、後に引けないようにした。
アリス…。私はアリスのことが好きだ!」
俯き、顔を真っ赤にして魔理沙は言う。
「…………」
しかし、答えないアリスの様子に、魔理沙の表情に不安がうかんでくる。
「アリス…、もしかして嫌だった…んんっ」
全てを言い終える前に、魔理沙の唇にアリスの唇が重なる。
しばしの口付けの後、アリスは魔理沙の首に回していた腕をほどき、魔理沙から多少距離をとった。
しかし、目線は魔理沙の目を捉えたままである。
「私も貴女のことが好きよ。魔理沙」
「ほ、本当か?」
「本当に決まってるじゃない。それとも、私の愛を疑うのかしら?」
「そ、そんなことはない!」
「そう。ならいいじゃない」
「ああ、そうだな…」
「ん?魔理沙どうしたの?調子でも悪いの?」
「いや…そういうわけではないけど。すまんアリス、ベッドを貸してくれないか?」
「えぇ!?」
「だめか?」
「ま、まぁ…いいけど…」
「サンキュな、アリス」
「べ、別にいいわよ…」
魔理沙の想いは知っていたが、まさかこうなるとは思っていなく、アリスの胸は激しいビートを刻んでいた。
「ここが寝室よ」
寝室の扉を開け、中に二人で入っていく時も、アリスの心は乱れまくっていた。
「ありがとな、アリス……」
「べ、別に……魔理沙!?」
魔理沙は何かにつまずいたのか、その体は力を失って倒れていく。
アリスは慌てて支えようとするが、急では体勢も崩れていたので、結果、魔理沙がアリスに覆い被さるように、二人してベッドへと倒れた。
「ちょ、魔理沙。心の準備ってやつが…」
「…………」
「…魔理沙?」
返事が返ってこないのでアリスが魔理沙の顔を覗くと、そこにはやすらかな寝顔があった。
「魔理沙ったら……ん?」
アリスが魔理沙の髪を撫でてると、魔理沙の目の下に隈があることに気づいた。
多少はファンデーションで隠してあるようだが。
アリスは、ここ最近魔理沙が珍しく化粧をしていた理由が分かった。
魔理沙は、毎晩アリスのことを寝ないで考えて、寝不足になっていたのだ。
隈を見られて、アリスに感づかれるのが恥ずかしく、慣れない化粧をしていたのであろう。
「そういうことだったのね。全くまぎらわしいんだから。
…ちょっと早いけど私も寝るとしましょうか」
アリスは、魔理沙の頬に軽く口付けをし、目を閉じた。
「ん?朝か…」
「あら、起きたのね」
魔理沙が起き、アリスもその下で目を覚ました。
「あ、アリス…」
「ん?どうかした?」
「…私はアリスのことが好きだぜ」
「あら、おはようの挨拶は?」
「あ、おはよう」
「おはよう。
私も魔理沙のこと好きよ」
「そ、そうか。 じゃあ、昨日のことは夢じゃなかったんだな」
「そうね。 もっとはっきりさせてあげる」
アリスは言い終わるか終わらないうちに、自らの唇を魔理沙の唇に重ね合わせた。
「どう?はっきりした?」
少しだけ長い口付けを交わし、アリスは笑顔で問う。
「ああ、もちろんだぜ」
それに対し、魔理沙も溢れんばかりの笑みでそれに答えるのであった。
「そう」
魔理沙は読んでた本を閉じた。
アリスは本に栞を挟み、玄関まで魔理沙を見送る為に立ち上がった。
「な、なぁ、アリス…」
「何?」
「あ…いや、なんでもないぜ。 また明日来るから」
「そう。 どうぞいらっしゃい」
「じゃあ、また明日」
「また明日」
魔理沙は扉を開け出て行った。
アリスはその遠ざかっていく後ろ姿を見送った。
「またね、か…。 一体いつまで続くのかしらね」
アリスは一人ぼやき、扉を閉めた。
魔理沙がアリスの家まで来るようになったのは大分前からだ。
魔理沙が去り際に何か言いたそうになったのは少し前からだ。
今では日常の一部となっている。
アリスは知っている。
魔理沙が家を出る際に、いつも帽子を目深に被ることを。
その理由も、魔理沙の想いも知っている。
だが、アリス自身からは何も言わない。手を差し伸べない。
アリスは魔法使いである。その命は人間に比べれば非常に長命である。
対して、魔理沙は人間である。その命は儚く、短い。
故に、アリスにとっての魔理沙は長い一生の内の一コマに過ぎないかもしれない。
しかし魔理沙にとってアリスを選ぶこと、それは魔理沙の一生の全てとなるだろう。
だから、おいそれと結果をだすべきではない。
それをも知っているからこそ、アリスから手を差し伸べることはない。
言葉を最後まで告げられなくとも、それは考える機会を作る。悩むチャンスをくれる。
その度悩み、自分の想いを確固たるものにしていけるのだ。
今日も一日が過ぎようとしている。
「よお、来たぜ」
「あら、ほんとに来たのね。 いいかげん飽きないの?」
「まだ読み途中だしな。 それに本を借りたらアリスが怒るじゃないか」
「借りるだけならいいのよ。返してくれればね」
「返すさ。死んだらな」
そう言って、魔理沙は帽子をとり快活そうに笑う。
「はぁ…、もういいわよ。 紅茶でいい?」
「ん?何でもいいぜ」
「はいはい。 どうぞ紅茶よ。砂糖はご自由に」
「さんきゅ」
魔理沙の前と自分の前にそれぞれ紅茶を置き、アリスは席に着いた。
魔理沙は既に座って、紅茶に砂糖を入れている。
「今日も夕食食べるんでしょ?」
「ああ。お願いするぜ」
それだけ聞いて、アリスも読書を開始した。
別に魔理沙が来て、どうということもない。
一緒に読書し、時たま会話をする程度。
夕食の席が二つになる、ただそれだけのこと。
今日もそんないつもの日常だった。
「ねぇ、魔理沙。帰らなくていいの?」
時計の針は、いつも魔理沙の帰る時刻をとうに過ぎている。
「ん?ああ。そういえばもうこんな時間か」
そう言うものの、魔理沙は直ぐに立ち上がろうとせず、いつもより時間をかけて帰る準備をした。
それに多少アリスはいぶかしんだが、見送る為に椅子から立ち上がり、扉の前まできた。。
「なぁ、アリス」
「何?魔理…んっ」
いつものことだと思っていたアリスは、自らの身体に起きたことを直ぐ理解できなかった。
魔理沙の身体がアリスから離れていく頃にやっと理解が追いついた。
アリスは無意識に自分の唇に触れた。
「ど、どうしてこんな?」
「…私は、弱い自分が嫌だった。あと一歩を踏み出せずにいる自分が嫌だった。
だから、自分を追い込む為に、後に引けないようにした。
アリス…。私はアリスのことが好きだ!」
俯き、顔を真っ赤にして魔理沙は言う。
「…………」
しかし、答えないアリスの様子に、魔理沙の表情に不安がうかんでくる。
「アリス…、もしかして嫌だった…んんっ」
全てを言い終える前に、魔理沙の唇にアリスの唇が重なる。
しばしの口付けの後、アリスは魔理沙の首に回していた腕をほどき、魔理沙から多少距離をとった。
しかし、目線は魔理沙の目を捉えたままである。
「私も貴女のことが好きよ。魔理沙」
「ほ、本当か?」
「本当に決まってるじゃない。それとも、私の愛を疑うのかしら?」
「そ、そんなことはない!」
「そう。ならいいじゃない」
「ああ、そうだな…」
「ん?魔理沙どうしたの?調子でも悪いの?」
「いや…そういうわけではないけど。すまんアリス、ベッドを貸してくれないか?」
「えぇ!?」
「だめか?」
「ま、まぁ…いいけど…」
「サンキュな、アリス」
「べ、別にいいわよ…」
魔理沙の想いは知っていたが、まさかこうなるとは思っていなく、アリスの胸は激しいビートを刻んでいた。
「ここが寝室よ」
寝室の扉を開け、中に二人で入っていく時も、アリスの心は乱れまくっていた。
「ありがとな、アリス……」
「べ、別に……魔理沙!?」
魔理沙は何かにつまずいたのか、その体は力を失って倒れていく。
アリスは慌てて支えようとするが、急では体勢も崩れていたので、結果、魔理沙がアリスに覆い被さるように、二人してベッドへと倒れた。
「ちょ、魔理沙。心の準備ってやつが…」
「…………」
「…魔理沙?」
返事が返ってこないのでアリスが魔理沙の顔を覗くと、そこにはやすらかな寝顔があった。
「魔理沙ったら……ん?」
アリスが魔理沙の髪を撫でてると、魔理沙の目の下に隈があることに気づいた。
多少はファンデーションで隠してあるようだが。
アリスは、ここ最近魔理沙が珍しく化粧をしていた理由が分かった。
魔理沙は、毎晩アリスのことを寝ないで考えて、寝不足になっていたのだ。
隈を見られて、アリスに感づかれるのが恥ずかしく、慣れない化粧をしていたのであろう。
「そういうことだったのね。全くまぎらわしいんだから。
…ちょっと早いけど私も寝るとしましょうか」
アリスは、魔理沙の頬に軽く口付けをし、目を閉じた。
「ん?朝か…」
「あら、起きたのね」
魔理沙が起き、アリスもその下で目を覚ました。
「あ、アリス…」
「ん?どうかした?」
「…私はアリスのことが好きだぜ」
「あら、おはようの挨拶は?」
「あ、おはよう」
「おはよう。
私も魔理沙のこと好きよ」
「そ、そうか。 じゃあ、昨日のことは夢じゃなかったんだな」
「そうね。 もっとはっきりさせてあげる」
アリスは言い終わるか終わらないうちに、自らの唇を魔理沙の唇に重ね合わせた。
「どう?はっきりした?」
少しだけ長い口付けを交わし、アリスは笑顔で問う。
「ああ、もちろんだぜ」
それに対し、魔理沙も溢れんばかりの笑みでそれに答えるのであった。
アリスを想うあまりあまり寝付けない魔理沙が何とも可愛らしくて。
何だかいいなあ。
なにはともはれ、マリアリはやっぱりかわいいな。楽しかったです