Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

『イナバになる薬』

2009/04/02 15:45:17
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「……ふぅ」

 永遠亭の自室にて、八意 永琳がため息をつく。

「どうしたんですか、師匠?」

 そこへやって来たのは、鈴仙・優曇華院・イナバだった。

「ん、ちょっとね。新しい薬の開発をしていたのだけど、失敗したのよ」

「へぇ、師匠でもそんなことがあるんですね。ちなみに、どんな薬を作ろうとしたんですか?」

「人里向けの新しい風邪薬でね、商品名『私を墓場に埋めないで』」

「売り出すときは普通に風邪薬でお願いしますね。絶対売れませんから。それで、失敗してどんな薬になったんですか?」

 鈴仙が尋ねると、永琳は小さいビンを取り出した。

「これ……ですか?」

「えぇ。名称は『イナバになる薬』」

 沈黙が続き、十秒経った頃にようやく鈴仙が口を開いた。

「……もう一回言ってもらっていいですか?」

「『イナバになる薬』」

「開発中にいったい何が起こったんですか」

「風邪に負けないようにと思って健康な肉体の血を使ったのだけど、多分それが原因ね。少し量が多かったのかもしれない」

「えぇ!? いつのまにそんなことしたんですか!?」

「まぁ、それはどうでもいいとして。これ、どうしようかしら」

「どうでもいいって……。そもそも、いったいどういう薬なんですか?」

「文字通り、イナバになるのよ。と言っても、姿形全てじゃなく、一部分だけね」

「どのあたりなんです?」

「まず、名前の認識。自分の名前をイナバと認識するようになること。後は、身体的特徴がほんの少しだけ。それと、能力が身に付くわね。性格とかは一切変化無し。効果はそんなに長くなく、ほんの2~3時間かしら」

「あまり意味がなさそうな薬ですね」

「所詮は失敗作。にしても、『イナバになる薬』は変ね。適当に『頭が冴える薬』とかにしときましょう」

「実際には頭が冴えるんですか?」

「いいえ」

 軽く言い放ち、永琳はビンに『頭が冴える薬』と書いたラベルを貼った。

 そして、続けて鈴仙に話しかける。

「そうそう、ちょっと手伝って欲しいことがあるからついてきて頂戴」

「はい、わかりました」

 永琳が立ち上がり部屋を出て行くと、鈴仙が後に続いた。




「お師匠様」

 誰もいない部屋に、因幡 てゐの声が響き渡る。

「あら、誰もいない。……ん?」

 部屋を見渡していると、ひとつのビンが目に止まった。正確には、ビンに貼られていたラベルの文字である。『頭が冴える薬』。

 少しの間それを見つめてから、てゐの表情が変わる。軽い微笑を浮かべると、それに手を伸ばした。




「……あら?」
 用事を終え、部屋に戻ってきた永琳はいち早く異変に気づいた。あの薬が消えている。誰かが服用したのだろうか。

(大方あの子でしょうね。効果だけでも見に行こうかしら)

 そう思うと、再び部屋を出て、被験者を探し始めた。




 鈴仙が廊下を歩いていると、てゐが向かい側からやって来た。そのまま歩いていこうとしたのだが、すれ違うときに違和感を感じ呼び止めた。

「ちょっと待って。あなた何か変じゃない、……ってあれ!?」

「ん、どうしたの鈴仙?」

「ちょちょちょっと、どうしたのそれ?」

 鈴仙がてゐの右頬を指差すが、本人は何のことか分からない。

「何? 何かついてる?」

 触ってみるが、特に何もついていない。

「違くて、その痕! 何かあったの?」

「痕? 何それ、付けた覚えないけど」

 そんな話をしていると、今度は永琳が歩いてきた。

「あ、師匠。てゐの顔に何かの痕があるんですけど」

「え、どれ?」

 鈴仙が再びてゐの右頬を指差すと、永琳は何かに納得し、あぁと、2、3回小さく頷いた。そして、てゐに問い掛ける。

「あなた、私の部屋にあった薬飲んだでしょ?」

「えっ? あ~と、その~」

「別にいいのよ。大した薬じゃないから」

「ならはい」

「やっぱり。……どうやら、身体的特徴はちゃんと出てるみたいね」

「何の話ですか?」

「あぁー!!」

 突然、誰かが悲鳴を発した。その主は、蓬莱山 輝夜。歩いている途中に躓いてしまい、持っていた盆栽を放り投げてしまったのだ。なぜ盆栽を持っていたかはノータッチで。

 すると、てゐがすぐさま反応し、盆栽の後を全力疾走で追う。廊下に落ちる直前にてゐは飛び込み、ギリギリの所で右手でキャッチしていた。盆栽が無事であるのを右手を上げてアピールする。

 それを見ていた鈴仙は、あまりの反応の速さに驚いていた。しかし、永琳はまた納得していた。

「能力の方もちゃんと身に付いている。薬自体は失敗作だけど、効果は出てるようね」

「あれが薬の効果なんですか? 私あんな早く反応できませんよ」

「? どうしてそこであなたが出てくるの?」

「だって、イナバって私のことじゃ……。ってあれ、よく考えたら私にあの顔の痕無い」

 鈴仙は気になって、輝夜に盆栽を渡したてゐの方に歩いていき、こう尋ねた。

「ねぇ、 あなたの名前は何?」

「どうしたの突然?」

「いいから言ってみて」

「なんかよく分かんないけど、そこまで言うなら……。イナバ、稲葉 篤紀」

「……………………誰?」
材料提供・・・八雲 紫

プロ野球選手で一番好きです。
arado
コメント



1.名前が無い程度の能力削除
ああ、右側のw
2.欠片の屑削除
今見せろ~ お前の底力を~ 突き~進め~ 勝利を~掴み取れ~
てゐはエロ爽やかになったのでしょうか?w
3.名前が無い程度の能力削除
そっちかよwww
4.名前が無い程度の能力削除
そっちのイナバかよ!! イナバかよ!!
これはやられたとしか言いようが無い