私は永江衣玖。竜宮の使いであり、地上の災害を予測する者である。
今日は突然天界にいらっしゃるボンボンこと天子様が呼んでらっしゃるので、天界まで一っ飛びした。
なんでも真剣に話したいことがあるらしいが、どうせ真面目な話なんてこれっぽちもないのだろうなと何も期待しないで訪問した。
せめてお茶の一杯でもご馳走して欲しいところだが、気の利かないあの人からは何も出ないのだろうな。
まぁ手土産を用意していないこっちもこっちだから一先ず文句はやめておこう。
どの道気が進まないことに変わりはないし、手短に済ませて帰るつもりだ。
「あらぁ、いらっしゃい。」
が、集合場所の花畑に着いて私は驚いた。
そこでは天子様がティーセットを並べて待っているではないか。
「どうしたの?そう堅くならなくていいわよ。座ってほら―――違うの、隣に座ってよ。」
私は誘われるままに天子様の隣に座った。
なんだろうこの感じ。いつもの天子様とは違った雰囲気。
近づくといつもの桃の香りとは違う匂いがするし、いつもより顔が白いし唇が赤いし。
「突然呼び出してごめんなさい。」
いえ、いいんです。
そう言おうとしたが、私は天子様と近くで目が合った瞬間に俯いて黙ってしまった。
私らしくもない。どうして今日はこの人と話ができないのだろう。
いつもなら皮肉の一つだって吐けるはずなのに。
「でも、冷める前に来てくれてよかったわ。ここにある花を煎じてお茶を作ってみたの。
おいしかったからあなたにも是非と思ってね。」
天子様の手作り・・・
この人にこんな穏やかな趣味なんてあったのだろうか。いや、考えられない。
楽することと楽しいことしか考えられないこの人が手間をかけて作業をするなんて考えられない。
私相手に何かを企んでいるとしか・・・
「あとね、桃をジャムにしてそれをクッキーに練り込んで作ってみて――あ、何その顔?
私だって女の子なんですからね。お菓子だって作るんだから。」
自分の考えていることを読まれた気がしてドキッとした。
でも、表情に表れてしまったのは仕方が無い。
彼女も普段の自分というものをわかっているようだし、自他ともの理解というやつだ。
「それに今日はお化粧に気合が入っているでしょう?私ね、綺麗な女になりたいんだ。」
「もう十分お綺麗ですよ。」
「え?」
「―――え!?あ!いや、そのっ・・・」
その瞬間天子様の顔が変わり、自分がふと言ったことに恥ずかしさを覚えた。
どうしたことだろう。今まではこんな気持ちになったことがないのに、彼女の存在感を無視できない。
他人に興味を覚えたことなんか一度もなかったのに・・・幻想郷の住人に関わった影響かしら。
「・・・あ、ありがとう。」
「は、はい・・・」
ふいっと私の目から顔を逸らす。化粧が濃いせいか、顔色がいまいち伺えないのが残念だ。
けれどもその仕草で彼女の気持ちが十分理解できる。
天子様は照れていらっしゃった。
けれども考えてみれば、私もこんなことを言ってどんな顔をしているかわかったもんじゃない。
あっちの方を向いてくれて良かった。
「あ、あの、そのお化粧はどちらで知ったのですか?」
このまま沈黙の空間を作るまいと私は話題を振った。
お互いに変な気持ちのまま意識してたら自分でなくなってしまいそうな気がして恐かった。
「えっとね、この前遊びに来た亡霊の姫に教えてもらったの。
彼女が舞う姿は戦いでありながらもとても綺麗だったでしょう?
私もあんなふうに女らしくなりたいなって思ったの。」
「そのご様子ですと、収穫はあったようですね。」
「ええ・・・」
と、天子様が袖を引っ張ってきた。
彼女は私に見せる表情が決まったらしく、私の視線を自分に向けさせようとしているように思えた。
いや、彼女から私の視界に入り込もうとしてきている。帽子を被っているため上の方の視界は遮られている。
それを意識してか、わざわざ自分の帽子をとって私の胸元まで顔を寄せてきていた。
私の視界は天子様の顔で埋まった。
「いい顔でしょ?歌舞伎の舞台に出てもおかしくないって言われたわ。」
と、天子様がニヒヒと笑うと素敵な般若の顔が出来上がった。
「おぉ、フジヤマゲイシャ・・・」
私はその笑顔に度肝を抜かれ、一瞬胸が跳ね上がった。
彼女の笑顔を見ていると何故か「日本一」と言いたくなってくる。
ドキドキが治まらない。
「衣玖ったら堅くなっちゃって・・・それに、こんなに汗まで流しちゃって・・・うふふっ」
天子様にそっと頬を撫でられるとゾクゾクと電気のようなものが私の体に走る感覚がした。
いや、高電圧の電気以上に私は震えた。
動けない、彼女から目を逸らすことができない。
「衣玖だってもうちょっとお洒落に気を遣えばすごく綺麗になれるよ?」
彼女の吐息が顔にかかると私は硬直した。
顔が近い。こんな距離でお話したことなんて今日が初めてだ。
頭が混乱して自分が何を考えているかもよくわからなくなってきた。
彼女が発する言葉の一つ一つが私の耳に入り込み、どんどんと私を別の世界誘っていくように・・・
「ねぇ、衣玖にもこのお化粧を教えてあげようか?私と一緒に綺麗になろうよ。ね?」
「ハラキリ・・・」
今日は突然天界にいらっしゃるボンボンこと天子様が呼んでらっしゃるので、天界まで一っ飛びした。
なんでも真剣に話したいことがあるらしいが、どうせ真面目な話なんてこれっぽちもないのだろうなと何も期待しないで訪問した。
せめてお茶の一杯でもご馳走して欲しいところだが、気の利かないあの人からは何も出ないのだろうな。
まぁ手土産を用意していないこっちもこっちだから一先ず文句はやめておこう。
どの道気が進まないことに変わりはないし、手短に済ませて帰るつもりだ。
「あらぁ、いらっしゃい。」
が、集合場所の花畑に着いて私は驚いた。
そこでは天子様がティーセットを並べて待っているではないか。
「どうしたの?そう堅くならなくていいわよ。座ってほら―――違うの、隣に座ってよ。」
私は誘われるままに天子様の隣に座った。
なんだろうこの感じ。いつもの天子様とは違った雰囲気。
近づくといつもの桃の香りとは違う匂いがするし、いつもより顔が白いし唇が赤いし。
「突然呼び出してごめんなさい。」
いえ、いいんです。
そう言おうとしたが、私は天子様と近くで目が合った瞬間に俯いて黙ってしまった。
私らしくもない。どうして今日はこの人と話ができないのだろう。
いつもなら皮肉の一つだって吐けるはずなのに。
「でも、冷める前に来てくれてよかったわ。ここにある花を煎じてお茶を作ってみたの。
おいしかったからあなたにも是非と思ってね。」
天子様の手作り・・・
この人にこんな穏やかな趣味なんてあったのだろうか。いや、考えられない。
楽することと楽しいことしか考えられないこの人が手間をかけて作業をするなんて考えられない。
私相手に何かを企んでいるとしか・・・
「あとね、桃をジャムにしてそれをクッキーに練り込んで作ってみて――あ、何その顔?
私だって女の子なんですからね。お菓子だって作るんだから。」
自分の考えていることを読まれた気がしてドキッとした。
でも、表情に表れてしまったのは仕方が無い。
彼女も普段の自分というものをわかっているようだし、自他ともの理解というやつだ。
「それに今日はお化粧に気合が入っているでしょう?私ね、綺麗な女になりたいんだ。」
「もう十分お綺麗ですよ。」
「え?」
「―――え!?あ!いや、そのっ・・・」
その瞬間天子様の顔が変わり、自分がふと言ったことに恥ずかしさを覚えた。
どうしたことだろう。今まではこんな気持ちになったことがないのに、彼女の存在感を無視できない。
他人に興味を覚えたことなんか一度もなかったのに・・・幻想郷の住人に関わった影響かしら。
「・・・あ、ありがとう。」
「は、はい・・・」
ふいっと私の目から顔を逸らす。化粧が濃いせいか、顔色がいまいち伺えないのが残念だ。
けれどもその仕草で彼女の気持ちが十分理解できる。
天子様は照れていらっしゃった。
けれども考えてみれば、私もこんなことを言ってどんな顔をしているかわかったもんじゃない。
あっちの方を向いてくれて良かった。
「あ、あの、そのお化粧はどちらで知ったのですか?」
このまま沈黙の空間を作るまいと私は話題を振った。
お互いに変な気持ちのまま意識してたら自分でなくなってしまいそうな気がして恐かった。
「えっとね、この前遊びに来た亡霊の姫に教えてもらったの。
彼女が舞う姿は戦いでありながらもとても綺麗だったでしょう?
私もあんなふうに女らしくなりたいなって思ったの。」
「そのご様子ですと、収穫はあったようですね。」
「ええ・・・」
と、天子様が袖を引っ張ってきた。
彼女は私に見せる表情が決まったらしく、私の視線を自分に向けさせようとしているように思えた。
いや、彼女から私の視界に入り込もうとしてきている。帽子を被っているため上の方の視界は遮られている。
それを意識してか、わざわざ自分の帽子をとって私の胸元まで顔を寄せてきていた。
私の視界は天子様の顔で埋まった。
「いい顔でしょ?歌舞伎の舞台に出てもおかしくないって言われたわ。」
と、天子様がニヒヒと笑うと素敵な般若の顔が出来上がった。
「おぉ、フジヤマゲイシャ・・・」
私はその笑顔に度肝を抜かれ、一瞬胸が跳ね上がった。
彼女の笑顔を見ていると何故か「日本一」と言いたくなってくる。
ドキドキが治まらない。
「衣玖ったら堅くなっちゃって・・・それに、こんなに汗まで流しちゃって・・・うふふっ」
天子様にそっと頬を撫でられるとゾクゾクと電気のようなものが私の体に走る感覚がした。
いや、高電圧の電気以上に私は震えた。
動けない、彼女から目を逸らすことができない。
「衣玖だってもうちょっとお洒落に気を遣えばすごく綺麗になれるよ?」
彼女の吐息が顔にかかると私は硬直した。
顔が近い。こんな距離でお話したことなんて今日が初めてだ。
頭が混乱して自分が何を考えているかもよくわからなくなってきた。
彼女が発する言葉の一つ一つが私の耳に入り込み、どんどんと私を別の世界誘っていくように・・・
「ねぇ、衣玖にもこのお化粧を教えてあげようか?私と一緒に綺麗になろうよ。ね?」
「ハラキリ・・・」
天子に化粧は似合わない
もし化粧を習うならそれこそ衣玖さんに習うべき
衣玖さん途中からうわごとになってるww
鈴仙嬢「呼んでません、良いからとっとと調合しやがって下さいませんかヴォケ師匠」
永琳「はい……」
こうですね分かりません。
衣玖さんがてっちんの誘惑に敵う筈がないでしょう。
いや、なんとなくギルティなギア的な声が思い浮かんだんだ